著者
吉川 次郎 高久 雅生
出版者
情報メディア学会
雑誌
第15回情報メディア学会研究大会発表資料
巻号頁・発行日
pp.39-42, 2016

あらまし:Wikipediaにおける日本国内の学術情報の参照について、研究分野および言語版ごとの特徴や差異を明らかにするため、日本語版、英語版、中国語版におけるJ-STAGEコンテンツの参照状況の分析を行った。結果、研究分野は生命科学分野の割合が共通して高く、日本語版は理学・工学分野の割合が他言語版に比べて高いこと、日本語版は和文誌や英和混在誌が多いのに対し、英語版および中国語版では英文誌が多いことが分かった。
著者
中瀬 仁 嶋田 昌義 弘重 智彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
地震工学研究発表会講演論文集 (ISSN:18848435)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.801-804, 2001 (Released:2010-06-04)
参考文献数
5

液状化地盤における地中埋設構造物について, 従来の液状化判定に基づく検討を適用した場合, 十分締め固められた良質な埋め立て地盤や, 浮き上がりが生じにくいと考えられる細粒分を含む埋め立て地盤においても浮き上がると判定され, 膨大な対策費が必要となる場合が想定される. 著者のグループでは, 浮き上がりを許容する性能設計を視野においた検討を進めており, 本稿では過去に報告された実験結果を対象に, DEM (個別要素法) を用いた浮上量予測に対するシミュレーション研究を実施した内容について報告する. シミュレーションでは, 地盤を締め固める対策を施したケースに比べて無対策の構造物の浮上量が大きくなり, 定性的な浮上の傾向が実験と一致した. また, 液状化地盤が構造物下部に回り込むメカニズムも再現できた.
著者
米田 真理
出版者
朝日大学
雑誌
朝日大学経営論集 (ISSN:09133712)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.11-18, 2008-03

従来、能における家元制度の成立は観世(かんぜ)流の十五世大夫(家元)である観世元章(もとあきら)[1722〜74]が行った改革の事例をもとに説明されてきた。本稿ではその比較対象となり得る事例として、喜多(きた)流の九世大夫である喜多七大夫古能(しちだゆうひさよし)[1742〜1829]を取り上げ、その著作活動を軸に、以下の問題について考察した。まず、家元を継承して最初に取りかかったのは公式謡本(うたいぼん)の刊行だったが、これは、当時すでに観世流によって完成されていた、謡の教授システムの整備に追いつこうとする動きであった。また、同時に始められた喜多流伝書の再編も、観世流における伝書需要の実態を受けたものであった。ただ、絶大な権威を父から譲り受けた元章とは異なり、古能の場合、先代までの養子相続による芸系の乱れから、流儀内の基盤の整備はもっと差し迫っていた。家元継承時の古能の危機意識は、謡本刊行直前の喜多流の状況や、古能自身の回想から知られる。そこで古能は、喜多流の統一した演じ方を定めるため、宗家や別家、弟子家の伝書を集めて内容を比較するという方法をとったのだった。古能によって再編された各種伝書は、流儀の弟子に対する指導用書の役割を帯びるようになった。特に、大名など高級武家層への伝書相伝の状況からは、裕福な素人弟子を対象として、伝書が経済的安定に寄与していたことが知られる。ただ、こうした相伝や能面の仲介など金銭の授受を伴う活動は、むしろ古能の隠居後、すなわち「家元」でなくなった後に盛んに見られることから、家元制度の経済面に関するさらなる分析が必要であることを示唆した。
著者
矢倉 大夢 中野 倫靖 後藤 真孝
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2016-MUS-112, no.3, pp.1-10, 2016-07-23

本稿では,作業時に集中度を高めることを目的として聴取する楽曲,「作業用 BGM」 に特化した楽曲推薦システムを提案する.従来,ユーザが好むであろう楽曲を推薦する手法が研究されてきたが,「とても好き」 な楽曲は作業者の集中を阻害することが知られており,作業用 BGM として推薦する楽曲に適していない.提案システムは,「とても好き」 や 「とても嫌い」 ではなく、「好き」 もしくは 「どちらともいえない」 楽曲を,BGM 聴取時のユーザからのフィードバックに基づいて推薦する.具体的には,楽曲のサビ区間までをダイジェスト的に聴取する (部分的にしか再生されない) システムとして設計することで,楽曲を 「スキップ」 するフィードバックによって 「嫌い」 な楽曲を推定する従来手法に加え,「もっと聴く」 フィードバックを導入して 「好き」 な楽曲を推定する.さらに,「好き」 として推定された楽曲は,ユーザの集中度を行動ログから推定して 「とても好き」 か 「好き」 かを識別する.これは集中度が高い時のフィードバックは,低い時より嗜好度を強く表しているという仮説に基づく.そして,楽曲間類似度に基づく Label Spreading により,頑健にかつ再生履歴が少ない状況でも適切に楽曲を推薦することを可能にした.
著者
Jones Mark-Eric
出版者
日経BP社
雑誌
日経エレクトロニクス (ISSN:03851680)
巻号頁・発行日
no.783, pp.171-178, 2000-11-20

米MoSys,Inc.は,DRAMと同じメモリ・セル構造を採りながらSRAM並みのアクセス性能を実現したメモリ「1T—SRAM」を開発した。ネットワーク機器や民生機器などに搭載するシステムLSIへの埋め込みを想定する。0.18nmルールのプロセス技術で作るLSIに埋め込んだ際のランダム・アクセス時間は5ns未満と短い。
著者
塚越 累 大畑 光司 福元 喜啓 沖田 祐介 高木 優衣 佐久間 香 高橋 秀明 木村 みさか 市橋 則明
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48101012-48101012, 2013

【はじめに、目的】Honda製リズム歩行アシスト装置(以下,歩行アシスト)は,歩行時の股関節の屈曲伸展運動を補助するトルクを負荷することによって歩行障害者の歩行の改善を目指すものである。これまでの我々の研究から,歩行アシスト使用中は下肢関節の角度範囲の増加や関節モーメントの増加が認められているが(日本臨床バイオメカニクス学会:2012),歩行アシストの効果が使用後に残存するか否かは明らかではない。本研究の目的は,若年者および高齢者における歩行アシスト使用後の歩行変化を動作解析および下肢筋活動分析の側面から検証することである。【方法】若年者17名(平均年齢25.1±3.8歳,男性9名)および日常生活と外出が自立している高齢者13名(平均年齢76.9±4.3歳,男性7名)を対象とし,歩行アシスト使用前および使用直後の自由歩行時の三次元動作解析と筋電図解析を行った。歩行アシストが発生させる股関節へのアシストトルクは,屈曲・伸展方向とも6Nmとし,使用時間は3分間とした。三次元動作解析装置および床反力計を使用し,歩行時の下肢関節角度,内的モーメントおよびパワーを測定した。筋電図解析の対象筋は右側の大殿筋,中殿筋,大腿直筋,外側広筋,大腿二頭筋,前脛骨筋,ヒラメ筋とした。得られた筋電図生波形を全波整流し50msのRoot mean squareを求めた後,最大等尺性収縮を100%として正規化し,それぞれ立脚期と遊脚期の平均値を算出した。歩行課題は各3回測定し,分析には3回の平均値を使用した。各測定項目について,測定時点(使用前,使用後)と群(若年群と高齢群)を2要因とした二元配置分散分析を行った後,交互作用が認められた場合には群内での比較を行った。【倫理的配慮、説明と同意】本研究計画は本学倫理委員会にて承認されており,対象者には研究実施前に研究内容について十分に説明し,書面にて同意を得た。【結果】歩行アシスト使用後に歩行速度は有意に増加した(全体;使用前1.19±0.15m/s,使用後1.27±0.13m/s)。ステップ長には有意な交互作用がみられ,高齢群のみ使用後に有意な増加が認められた(若年群;前0.64±0.06m,後0.65±0.05m,高齢群;前0.58±0.06m,後0.63±0.06m)。歩行率には有意な変化は見られなかったものの,若年群において増加する傾向にあった(若年群;前118±7steps/min,後121±9steps/min,高齢群;前116±11steps/min,後115±12steps/min)。歩行アシスト使用後は,使用前に比べて初期接地時の股関節屈曲角度,立脚後期の股関節最大伸展角度(全体;前12.6±7.2度,後14.6±8.4度)および遊脚期の股関節最大屈曲角度が有意に増大した。また,荷重応答期における股関節伸展モーメントと股関節伸展筋求心性パワーはアシスト使用後に有意に増加したが,立脚後期の股関節屈曲筋遠心性パワーの増加は高齢群のみに認められた。膝関節では,荷重応答期の屈曲角度および伸展モーメントの増加が認められ,遊脚中期の最大屈曲角度も使用後に増大した。一方,遊脚後期の膝関節屈曲モーメントは高齢群のみ有意な増加がみられた。足関節の角度にはアシスト使用前後における有意な変化は無かった。筋電図解析では,立脚期の大殿筋の筋活動が使用後に有意に増加していた。また,立脚期の大腿直筋に有意な交互作用が認められ,高齢群のみ有意な活動増加を示した。【考察】本研究の結果から,歩行アシストは使用直後の歩行速度の増加に対して効果的であることが明らかとなった。統計的に有意ではなかったものの若年者では歩行率が上昇する傾向にあり(p=0.07),高齢者ではステップ長の有意な増加が認められた。このことから,若年者では歩行率,高齢者ではステップ長の増加が歩行速度上昇の主な要因と考えられた。運動学的・運動力学的変化としては,立脚後期の股関節最大伸展角度や荷重応答期の股関節伸展モーメントおよび股関節伸展筋求心性パワーがアシスト使用後に増加していることから,これらが歩行速度の向上に大きく影響した可能性がある。この股関節伸展モーメントの変化と関連する筋活動変化として,大殿筋筋活動が増加したと考えられた。これに加えて,高齢者では立脚後期の股関節屈曲筋遠心性パワーが有意に増加しており,高齢者のみにみられたステップ長の延長に寄与していると思われた。歩行アシスト使用後に歩行動作の変化が見られたことは,この歩行補助装置の有用性の一側面を明らかにしたものと考えられる。【理学療法学研究としての意義】近年,研究開発や臨床応用がすすめられているロボティクスリハビリテーションは,将来的には理学療法の重要な手段となる可能性がある。本研究の結果は,歩行補助ロボットが高齢者や有疾患者の歩行能力の改善を促進させる可能性を示しており,理学療法の発展に寄与すると思われる。
著者
全 卓樹
出版者
特定非営利活動法人日本シミュレーション&ゲーミング学会
雑誌
シミュレーション&ゲーミング (ISSN:13451499)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.16-26, 2011-06-25
被引用文献数
1

本稿では筆者の研究を中心に,量子ゲーム理論の現状レヴューを行う.量子ゲーム理論とは,通常のゲーム理論の戦略を表現する連結確率を,ヒルベルト・ベクトル(量子波動関数)から生成される量子連結確率で置き換えて拡張したものである.量子連結確率には量子的エンタングルメントに由来して,通常の連結確率にはない環境パラメータが含まれている.量子戦略の内実を精査することで,そのなかに通常の戦略を環境パラメータで変形した修正された擬古典戦略と,量子干渉に由来して古典戦略としては決して表せない純量子的成分との,二つを見出すことができる.前者には例えば利他的戦略が含まれ,これがディレンマ・ゲームの量子的な改善とされるものの物理的説明を与える.後者は多くの場合小さな補正項を提供するだけであるが,ハーサニィ型不完備情報ゲームにおいて擬古典的な寄与を消去すると,ナッシュ均衡利得全体をベル不等式の破れ分だけ与えることが示せる.量子ゲーム理論の数理的進化生物学への適用可能性についても論じる.

3 0 0 0 大漢和辞典

著者
諸橋轍次 著
出版者
大修館書店
巻号頁・発行日
vol.索引, 1960
著者
大庭 絵里
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.122-139, 1988
被引用文献数
1

This paper aims at considering the subjective aspect of news organization as a definer of deviance. This study is based on the research interviews with reporters and editors working in newspaper companies done in 1987. In this paper, news is viewed as a "social reality" constructed by news organization. The main purpose of this paper is to consider the structure and social meaning of the so-called criminal reporting, focusing on the process of news making activities. Firstly, news selection process is examined in view of articulating factors sustaining newsworthiness. Second, news work is analyzed in terms of organizational work and its relationships with the source organization. Finally, function of criminal reporting, that is, visualizing deviance by the media (newspaper) is discussed. Newsworthiness is a measure for selection of news, and the judgement is not only based on the action but also on the attributes and careers of the actor. News story as reality is constructed by news organization based on the definition by the source organization (the Police). In the process of news making, major social norm and value system are used so that the news story makes sense for the readers. Telling the boundary between deviance and control, news on "criminal case" legitimatize the police action and lead the readers to follow the ideology of the order of control.
著者
後藤 正幸 石田 崇 鈴木 誠 平澤 茂一
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.97-106, 2010-08-15

近年,インターネットの普及により膨大なテキストデータからの知識発見を扱うテキストマイニングの技法が注目されている.本研究では,テキストマイニングが取り扱う問題の中でも,特に文書分類の問題を取り上げ,形態素解析後の単語の出現分布としてある確率モデルのクラスを仮定し,文書分類の性能,並びに分類に用いられる距離について漸近的な分析を行う.一般に,文書分類に不必要な単語の混入を完全に排除することは難しく,様々な重要単語の重み付け法などが提案されている.本論文で扱う最初の問題は,このような分類に不必要な単語が混入することが,文書分類に与える性能劣化の程度を把握することである.さらには,単語の出現頻度に基づく文書分類においては,個々の単語の生起頻度は少なく,多くの単語の頻度がゼロとなってしまうというスパースネスの問題がある.すなわち,このベクトル空間上で一つの文書を表す点は,ゼロを多くの要素に持つベクトルで表現される.しかし,「このような状況で,文書同士の距離による分類がある程度の分類性能を示すのは何故か」という疑問については依然として経験的な解釈が与えられているのみである.その理論的根拠を与えるため,本稿では,各要素の出現頻度を有限に保ったまま,次元数を無限大とする新たな漸近論の概念を導入することにより,スパースな文書ベクトル間の距離について解析的な性能を示す.
著者
蜷川 繁
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第17回全国大会(2003)
巻号頁・発行日
pp.231, 2003 (Released:2004-02-03)

本研究では遺伝的アルゴリズムを用いて,サブサンプション・アーキテクチャを用いた自律移動ロボットのプログラムの進化実験を行った.実ロボットを使って実験を行ったところ,数世代でゴールに到達する個体が得られた.