著者
飯嶋 徹
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.682-686, 2009-09-05

B中間子からK中間子とπ中間子への二体崩壊では,粒子と反粒子の間で崩壊振幅そのものが異なってCP対称性が破れる現象-直接的CP対称性の破れ-が起きる.この現象は小林益川理論によって予言されているが,Bファクトリ-実験で得られた大量のデータによって測定精度が向上するとともに,中性B中間子の場合と荷電B中間子の場合でCP非対称度が異なることがはっきりしてきた.本稿では"Kπパズル"と研究者の間で呼ばれているこの謎について紹介する.
著者
内田 良
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学教育創造開発機構紀要 (ISSN:21860793)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.95-103, 2011-03-31
被引用文献数
2

死亡事故を防ぐには、まずもって死亡事故の研究が不可欠である。本研究の目的は、学校管理下における柔道の死亡事故に関して、その実態を明らかにし、事故防止の留意点を引き出すことである。事故実態の分析からは、主に次の知見が得られた。第一に、柔道は死亡件数が多いだけでなく、死亡確率も高い。第二に、死亡事例の多くは初心者で発生している。第三に、柔道固有の動作から死に至るケースが多く、とくに頭部外傷による死亡が目立つ。2010年は、柔道事故防止の元年となった。しかし学校現場においては、柔道事故に対する危機意識はほとんど共有されていないのが現状である。中学校での武道必修化が目前に迫っているだけに、頭部外傷に関する医学的知見をはじめとして、事故防止の知識や方法が早急に学校現場に伝えられなければならない。
著者
坂元 香菜美 篠田 正人
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.7, pp.1-8, 2010-06-18

神経衰弱とよばれるカードゲームに,ある特別なカードを取ったほうが勝ちというルールを導入する.2 人のプレーヤーがこのゲームをするときの勝率を最大化する戦略について考察し,両者が最善を尽くしたときこのゲームが後攻有利であることを述べる.We consider a modified version of The Memory Game, where we define that the winner of the game is the player possessing the pair of special cards. We study the optimal strategies which maximize the winning probability in the case of 2-player game, and we show that the player to flip second has an advantage over the opponent.
著者
川島 浩平
出版者
京都大學人文科學研究所
雑誌
人文學報 = The Zinbun Gakuhō : Journal of Humanities (ISSN:04490274)
巻号頁・発行日
vol.100, pp.77-112, 2011-03

「黒人は固有の運動能力を有する」という意味での「黒人身体能力神話」を研究の対象とするにあたって,次の二つの立場を措定することがで、きる。第一は,「神話」の浸透を国際的な広がりをもつ現象として捉え,その起源と形成・普及の過程をグローパルな視点から解明しようとする立場である。第二は,「神話」の浸透におけるすぐれて日本的な状況に注目する立場である。ここで問われるべきは,「神話」の歴史性や時代的文脈におけるその性質であると同時に,否それ以上に,「量的」あるいは「比率的」な展開のありかたである。すなわち,グローパルな水準に照らし,「なぜ日本において,かくも無批判に『神話』が受容されるのか」である。本論は第二の立場に立ち,「神話」の日本における受容の過程を,「人種」/「黒人」という言葉・概念との遭遇とその習得を中心に解明することを目的とする。具体的な構成は以下の通りである。まず第一節にて,「黒人」,「身体能力」,「神話」などの主要概念に定義を与え,文献調査や意識調査の結果を紹介し,日米間の神話に対する意識や態度の差異の度合を明らかにする。第二節では,研究調査の方法論を詳述する。特に,アンケートと聞き取りの結果に基づいて設定した神話受容の過程を解明するために検討すべき4つの経験領域(1 実際の「黒人」との遭遇,2. 「人種」や「黒人」という言葉・概念との遭遇とその習得,3. これらの言葉・概念の公的教育カリキュラムによる学習. 4. 「神話」を支持するに至った契機と体験)の説明に力点を置く。第三節では,第一の経験領域に関してすでに発表した主要な分析結果を報告し,第四節では,第二の経験領域に関して具体的な分析を行う。最後にこの分析に続く作業を展望し,本研究調査の意義を指摘する。

3 0 0 0 OA 興国史談

著者
内村鑑三 著
出版者
警醒社書店
巻号頁・発行日
1900
著者
[南満洲鉄道株式会社 著]
出版者
[南満洲鉄道]
巻号頁・発行日
vol.附圖, 1910

3 0 0 0 OA 世界お伽噺

著者
祐文館編輯所 編
出版者
大川書店
巻号頁・発行日
1913
著者
小池 淳司 漆谷 敏和 樋野 誠一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F4(建設マネジメント) (ISSN:21856605)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.I_13-I_19, 2012 (Released:2013-03-12)
参考文献数
21

公共事業の投資効果に関する議論は,かつて,IS-LM曲線を用いた分析が主流であり,そこでは,公共投資が民間投資をクラウディング・アウトさせるか否かに強い関心がもたれていた.この議論での著者らの既存研究の結論は,デフレ不況のように経済が流動性の罠に陥っている場合は,クラウディング・アウトは発生しないというものである.一方で,このIS-LM曲線を用いた分析では,将来の期待を十分に反映していないという批判,いわゆるルーカス批判に十分に答えられない.しかし,近年の動学的確率的一般均衡(Dynamic Stochastic General Equilibrium:DSGE)モデルの発展によって,この問題についての議論ができるようになった.そこで本研究では,2000年以降のデータをもとに,MCMC法によるベイズ推定によってディープ・パラメーターを求め,DSGEモデルを用いて経済がデフレーションであり,かつ流動性の罠の状態にある日本における公共投資,いわゆる,財政政策の効果を明らかにする.