著者
名定 慎也
出版者
中国学園大学/中国短期大学
雑誌
中国学園紀要 (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
no.20, pp.91-100, 2021-06

本研究では,「介護福祉士養成における適切な教育」及び,「介護現場における適切な介護の実践」の向上を目的とし,介護保険制度導入前と現在の介護実践に変化はあるのか,また,介護現場で実際に行われている生活支援技術と介護福祉士養成課程で学ぶ生活支援技術に相違はあるのかを比較した。特に今回は,ベッドを使用する介護技術に焦点を当てた。方法は,特別養護老人ホームや介護老人保健施設などで介護福祉実習に携わる施設職員にアンケート調査を実施した。その結果,介護保険導入前と現在を比較すると,①介護施設の介護ベッドは,「手動ベッド」から「電動ベッド」に移行していること,②ベッドを使用した介護技術(ベッドメイキング,オシメ交換)に関しては,ベッドの高さを調節し腰痛予防に留意する介護技術が促進していること。③介護現場の実践方法と介護福祉士養成教育内容の差異については,介護職員の意識や介護知識・技術のレベルの違い,体格の違い等状況により実践方法が変わるため差異を明確にするには至らなかったが,介護職員から「人によって介護方法が違う」という結果が明らかになったことで,基本の実践(介護技術)が定着していないことも示唆された。
著者
大田 俊行
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.189-200, 2000-06-01 (Released:2017-04-11)
被引用文献数
6 1

フェリチンは鉄貯蔵蛋白であり, 血清フェリチンは生体内の鉄貯蔵量を反映することから鉄欠乏や鉄の過剰状態の把握に使われてきた. つまり, 鉄欠乏性貧血では血清フェリチンは減少し, 鉄過剰状態になると増加する. しかし, 貯蔵鉄の増加を反映しない高フェリチン血症が種々の炎症性疾患および悪性腫瘍に見出されている. これらの疾患において, 血清フェリチン増加のメカニズムが解析され, いくつかの炎症性サイトカインおよび一酸化窒素の関与が指摘されてきている. さらに, フェリチンサブユニットの解析やCon-A結合フェリチンの割合が疾患によって異なるといった分子学的研究が進んでいる. このような血清フェリチン高値の臨床的意義の解明がなされつつあるが, 高フェリチン血症は単なる結果をみているのではなく, 種々の反応を通して積極的に病態形成に関与する可能性があり, さらなる研究が必要である.
著者
小倉 次郎
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.142, no.10, pp.1055-1060, 2022-10-01 (Released:2022-10-01)
参考文献数
48

As intermolecular and intramolecular disulfide bridges in proteins play a vital role in the stability of the final protein structure, the disruption of disulfide bridges in proteins may lead to disease development and progression. Therefore, understanding the association of abnormal protein disulfide bond formation with disease development and progression can be useful for developing novel drugs for various diseases. Considering that disulfide-linked protein folding involves redox reactions in the endoplasmic reticulum, this process may be affected by oxidative stress. We hypothesized that oxidative stress-related diseases may be induced by abnormal protein disulfide bond formation. This review introduces the association of abnormal protein disulfide bond formation with disease development and progression.
著者
石橋 洋 Ishibashi Hiroshi
出版者
旬報社
雑誌
労働法律旬報
巻号頁・発行日
vol.1567・68, pp.47-51, 2004-01-25

個別的労使関係法・第2回
著者
平井 龍之介 齋藤 佑樹 猿渡 洋
雑誌
研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:21888663)
巻号頁・発行日
vol.2023-SLP-146, no.11, pp.1-8, 2023-02-21

本稿では,連合学習を用いたユーザ参加型の多対多声質変換モデル学習法を提案する.従来の多対多声質変換技術は,多数話者の音声を含むデータセットを用いて声質変換モデルを学習する.しかし,学習されたモデルが多種多様なユーザによる入力音声に対して高品質な声質変換を実現する保証はない.提案手法では,高品質な多対多声質変換を実現する StarGANv2-VC モデルを研究開発者とユーザが協同的に学習し,ユーザが所有する音声データのプライバシーを保護しながら,より多様な話者の音声を変換可能な深層学習モデルを構築する.実験的評価の結果より,提案手法が従来の非分散型学習法と同程度の話者類似性を達成しうることを示す.

2 0 0 0 OA 独唱:子守唄

著者
(原詞:PD)[作詞]
出版者
コロムビア(戦前)
巻号頁・発行日
1928
著者
小野 記彦
出版者
日本遺伝学会
雑誌
遺伝学雑誌 (ISSN:0021504X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.269-274, 1955 (Released:2007-05-21)
参考文献数
4

1. ヤクシソウとワダンとの雑種は自然に存在するヤクシワダンとよばれるものもあるが, 人工的につくつた雑種もだいたいこれと同じものになる.2. この雑種の減数分裂における対合は特異であり, 染色体形態の異るにもかかわらず, 常に 5IIがみられる. その子孫においては染色体の配分がいろいろとみだされるが, 中期では5個の Configurationsを示すものがもつとも多く見られた. しかしより早い時期では, Configurations の数の減少, すなわち多価染色体が多く見られた. このようにはじめに結合していて中期に進むにつれて解消するような結合を残余対合 (residual pairing) とよんだ.3. 自然雑種は新しい種の出発点となり得るかどうかはいろいろの考えがあるが, 属間雑種のように両親の形質が遠いものでは, 二次的安定種がつくられる可能性が示された.4. ヤクシソウとアキノノゲシとの雑種では染色体数が一定しないで 10~14 のいろいろの数の細胞が一つの根においてもキメラになつているのがみとめられた. しかしその中で12のものが, もつとも多く, しかも得られた9個体において, このことは常に一定であつた.5. 同じような染色体の分断消失による減少はヤクシソウとアゼトウナとの雑種, ワダンとアキノノゲシとの雑種においても見出される. しかもいつでも分断消失する染色体は父方のものである.6. 自然にもこのような雑種がみられるが, アゼトウナ自然集団の中から採集された自然雑種においても同じように染色体の分断消失がみられる.7. 自然集団の中には 90% 以上の高い稔性のもののみの集団と 20% ぐらいのひくい稔性のものをふくむ集団とがある. 前者は古くできた雑種集団であり, 後者は新しくできた雑種のふくまれる集団であると思われる.
著者
小林 節
出版者
慶應義塾大学
巻号頁・発行日
1989

博士論文
著者
黒田,長禮
出版者
東京動物學會
雑誌
動物学雑誌
巻号頁・発行日
vol.30, no.352, 1918-02-22
著者
黒田,長禮
出版者
東京動物學會
雑誌
動物学雑誌
巻号頁・発行日
vol.30, no.356, 1918-06-15
著者
山下 翔大 中条 武司 西田 尚央 成瀬 元
出版者
The Sedimentological Society of Japan
雑誌
堆積学研究 (ISSN:1342310X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.81-92, 2011-12-26 (Released:2012-03-07)
参考文献数
23
被引用文献数
1 3

2009年10月に三重県伊勢湾に襲来した台風18号により,伊勢湾に流入する櫛田川では出水イベントが発生した.それに伴って櫛田川河口に発達する干潟環境において発生した大規模な地形および底質の変化を観察するとともに,洪水起源堆積物の特徴,堆積様式および保存ポテンシャルについて検討した.櫛田川河口干潟では,分岐流路の氾濫によって砂嘴が破壊される,大量の陸源有機物および泥質堆積物が砂質潮汐低地上に堆積するといった大規模な地形および底質の変化が生じた.また,洪水起源堆積物の試料を採取し,肉眼観察および走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行ったところ,砂質な破堤堆積物(堆積相1)および泥質なfluid mud堆積物(堆積相2)の2つが識別できた.特に堆積相2は,砂州のトラフ部などの地形的閉鎖域に厚く堆積しており,2010年4月の事後調査においても残留している様子が観察できた.さらに,砂質潮汐低地地下の堆積物を観察すると,過去の洪水に起因すると考えられるfluid mud堆積物がレンズ状に多数存在していることが明らかとなった.これらことは,砂州のトラフ部などの地形的閉鎖域に堆積した洪水起源fluid mud堆積物は再サスペンジョンによる流出を免れ,河口干潟の地層中に保存されることを意味している.
著者
菅森 義晃 池内 萌加 佐野 円香 景山 直樹 小玉 芳敬
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.129, no.1, pp.45-60, 2023-01-15 (Released:2023-02-21)
参考文献数
53

鳥取県東部の白兎海岸の気多岬および淤岐ノ島に露出する鳥取層群の地質調査および安山岩のK-Ar年代を測定した.気多岬には鳥取層群八頭層河原火山岩部層に帰属する両輝石安山岩が露出し,その石基中の斜長石のK-Ar年代は18.3±0.6 Maであった.絶対年代を比較すると,先行研究で指摘された河原火山岩部層が北但層群の養父亜層群八鹿層に対比される考えは支持される.淤岐ノ島に露出する鳥取層群は岩美層に帰属するとみられ,礫岩層を主体とし,河川環境下での火山活動の激化による堆積とその後の火山活動の鎮静化による斜面変形の一連の環境変化を記録した堆積物,広義のギルバート型ファンデルタの一部に比較できる地層を有する.広義のギルバート型ファンデルタが示す古流向は現在の方位で南西方向であったため,東北東方向に陸地が存在したとする考えと調和的である.これらの知見は日本海形成初期における古地理の復元に有用なデータとなりうる.