著者
池内 慈朗
出版者
大学美術教育学会
雑誌
美術教育学研究 (ISSN:24332038)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.33-40, 2016 (Released:2017-03-31)
参考文献数
23

表象は,ここにいながら自分の前にないモノ・世界を想起する能力である。幼児期,あるモノがそれ以外の何か別のモノをさすことを理解できない時期が存在し,小さな椅子に無理やり腰掛けようとするスケール・エラー等がみられる。本論考では,第一に,幼児期,「表象」「二重表象」を用いてどのように世界を構築していくのか,第二に人のミニチュア(縮小物)への嗜好等を俯瞰し,幼児期における“ごっこ遊び”などから表象理解,スケール理解について考察する。第三に,認知考古学からみた初期人類の知能の用い方と現代人類のMI(多重知能)理論の用い方の違いについて比較し,イメージ・スキーマ,プライマリー・メタファーの発現期を探る。古代から現代に至る過程で,認知的流動性の産物として生まれた芸術であるが,その(芸術)理解の基礎となる時期として,幼児期の2–3歳は重要な時期にあたることを検証したものである。

2 0 0 0 OA 神代秘史

出版者
国教宣明団
巻号頁・発行日
vol.第3巻, 1935
著者
狩野広之 著
出版者
東洋書館
巻号頁・発行日
1943
著者
堀内 香里
出版者
Tohoku University
巻号頁・発行日
2020-03-25

要約のみ
著者
箭内 亙
出版者
東洋文庫
雑誌
東洋学報 = The Toyo Gakuho
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.100-104, 1911-01
著者
進藤 達也 岩下 英俊 土肥 実久 萩原 純一 金城ショーン
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.7, pp.1560-1568, 1995-07-15
参考文献数
16

本論文では、分散メモリ型並列計算機のための新しいデータレイアウト法としてTwisted data layoutを提案する。データレイアウトは分散メモリ型並列計算機で並列プログラムを効果的に実行させる上での重要な要素である。配列デー一タの最適なデータレイアウトパターンは、プログラム全体を通して一つに決まらず、プログラムの部分ごとに異なる場合がある。Twisted data layoutは、最適なデータ分散法に関するこのようなコンフリクトの解消に用いることができる。並列計算機AP1000を用いた実験で、Twisted data layouの性能評価を行う。
著者
森 文彦
出版者
日本箱庭療法学会
雑誌
箱庭療法学研究 (ISSN:09163662)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.41-52, 2021

<p>浜松中納言物語は主人公中納言の内的世界での出来事を描いている。唐后は無意識の深い層に隠れている太母(Great Mother)のイメージである。唐后は方便(計らい)によって,中納言の亡父を唐国に転生させた。それは,中納言をして自分の存在に気づかせ,「母なるもの」「女性なるもの」を内的に確立させようとする唐后の計画であった。物語は,中納言のライバル,式部卿の宮や,恋人吉野の姫君との絡みを交えて進行する。当初中納言は,衝動的で心がいつも動揺していた青年であった。しかし,唐国からの帰国後は自分の責任を引き受ける成長した男性の姿を見せ始める。最終的に中納言は,物語の重要人物すべてを世話する中心的人物になる。物語は,唐后が中納言の成長をさらに促進するために,自分自身が日本に転生すると宣言するところで終わる。物語の目的は,内的な「父なるもの」と「母なるもの」の形成と相互に関係しつつ,主体性ある人格が成長・成熟していくプロセスを描くことにあったと考えられる。</p>
著者
辻本 聡
出版者
日本ブリーフサイコセラピー学会
雑誌
ブリーフサイコセラピー研究 (ISSN:18805132)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.1-13, 2019-10-31 (Released:2019-11-09)
参考文献数
31

神経言語プログラミング(Neuro-Linguistic Programming: NLP)は人間のコミュニケーションや学習の仕方,それに基づいた治療の方法論が体系化されたもので,誰しもが優れた結果を得るために活用できるとされている。しかし,技法が発展する中,本来は来談者の内的体験を重視する治療姿勢であったはずが,方法論が手順化されているために治療者の援助が単純化され,来談者の体験が軽視されているという問題が指摘されている。また,中には複雑な技法もあるため,治療者が行使する特殊な技能とみなされやすく,来談者の主体的な活用が困難になるということも生じる。本稿では,改めてNLPの概説に触れた上で,フラッシュバックによって外出困難となった事例を提示し,NLPの基本とされるモデルやツール,技法の活用で改善に至った経過を報告し,来談者自ら実施できる効果的なNLP治療について考察した。事例からは,1)症状を「体験様式」として再構成する,2)「地図」による見立ての共有,3)技法の「練習」,といった工夫によって,来談者と共同したNLPの実践が可能となり,基本的な技法でも治療効果を高めることができると同時に,NLPが本来志向する「来談者自らが活用可能」という目的を果たせることが示唆された。
著者
白石 雅紀 酒井 美里 戸田 有一
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.79-92, 2021-03-31 (Released:2021-05-26)
参考文献数
38

This study examines issues and challenges confronting multiple minorities. The term “multiple minorities” refers to individuals who have more than two aspects of minority identities. In particular, it focuses on the situations surrounding those who are with minority statuses of Muslims/Muslimas in non-Islamic societies and SOGI. We tried to apply Identity Politics and Connolly’s Pluralism as frameworks for our discussion. With insufficiencies in the labor force, Japan is expected to receive many more foreigners including Muslims/Muslimas in coming years. Not only foreigners but also SOGI minorities have been increasingly recognized as new minority groups. These groups need support for their integration into Japanese society because their vulnerability and experiences of discrimination are too often disregarded. When we consider how best to support them due to their historical backgrounds, we should consider that those two groups are situated in tensions with each other, and most importantly, some belong to both minority groups. Identity Politics provides a framework to empower and visibility of multiple minority identities. However, it is necessary to overcome tensions among identity groups for inclusion. Concerning the identity of multiple minority groups and the position of minorities, this study has only provided some clues for locating them. For further research, a framework that goes beyond the significance and limitations of Identity Politics and Connolly’s Pluralism is necessary to consider multiple minorities.
著者
仁木 國雄 冨澤 一郎 金子 克己 石井 明
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

雪の融点近くで、短いモデル・スキー(長さ20cm)を用い、遅い滑走速度(0.001~1m/s)における摩擦係数を斜面滑走法およびトライボメータ法を用いておこなった。その結果、摩擦係数(μ)が、滑走速度と雪の温度に依存することが解った。そして、-10℃程度の低温で、速度が極めて遅い場合に最も小さなμ値を示す事を見出した。今回の実験結果で最も注目すべき点は、モデル・スキーの低速度における摩擦係数の温度依存性が、高速度で滑る実際のスキーの温度依存性と反対になった点である。また、モデル・スキーの摩擦係数に荷重依存性が測定されなかったことから、低温、低速度における小さな摩擦係数は摩擦融解による解け水の潤滑摩擦では無いと考えられる。すなわち、低温では凝着力が小さくなるために良く滑ると考えられる。
著者
逆井 聡人
出版者
東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻
雑誌
言語情報科学 (ISSN:13478931)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.85-102, 2015-03-01

本稿は、アジア太平洋戦争直後の東京における戦災復興を考察する。本稿が対象とするのは、都市計画そのものや政府の政策等ではなく、戦災復興期の東京を描いた二本の映画である。一つは『20 年後の東京』という東京都都市計画課が作成したPR 映画であり、もう一つは黒澤明が監督した『野良犬』である。東京の戦災復興計画を宣伝する『20 年後の東京』がその計画の思想を伝える際に用いるレトリックを分析し、その背後にある植民地都市経営の経験とそれを「民主的」という言葉で覆い隠し、計画の正当性を偽装する態度を読み取る。また計画の障害として語られる闇市を取り上げ、その復興期における役割を評価した上で映画の言説との齟齬を明らかにする。そして、その闇市を映画の主要な空間として取り込んだ『野良犬』が、その空間にいかなる役割を担わせているかを主人公の復員兵・村上を通して考察する。本稿は都市を語る上で帝国主義の過去を忘却しようとする言説に対して、抗う拠点としての闇市という空間を位置付けることを目的とする。
著者
河邊 明男 中野 和久 山形 薫 中山田 真吾 田中 良哉
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.317a, 2015 (Released:2015-10-25)

【背景・目的】RAでは線維芽細胞様滑膜細胞(FLS)が骨軟骨破壊の中心を担うが,RA由来FLS特有のDNAメチル化プロファイルは攻撃的表現型と関連する.今回,最近DNA脱メチル化酵素として同定されたTetファミリーの調節における炎症の関与を評価した.【方法】関節手術で得た患者由来滑膜とFLSを4~6継代で使用.Tet1-3発現をqPCR,WB,免疫染色で,5hmCの発現をDot blotで評価した.siRNAでTETノックダウン後にTNFで96時間刺激し,各種メディエーター分泌と表面抗原の発現,細胞移動度を評価した.【結果】RA滑膜組織ではOAとの比較で強いTet3発現を認めた.FLSにおいて,炎症性サイトカイン(TNF,IL-1L-6,IL-17等)はDNAメチル化酵素(DNMT)遺伝子発現を低下させた一方で,Tet3のmRNAおよび蛋白発現を増加し,5hmC発現を促進した.さらに,TET3 siRNAにより,TNF依存性のCCL2産生,ICAM-1発現,浸潤能等はほぼ完全に阻害された.【考察】炎症性サイトカインによる慢性刺激はDNMT発現低下による受動的脱メチル化だけでなく,Tet3の発現増加による能動的脱メチル化も促進することが明らかになり,滑膜炎症の持続はエピジェネティック異常を誘導し,FLSの攻撃的表現型を付与することで病態の悪化をもたらすことが示唆された.