著者
松沢 成文
出版者
日経BP社
雑誌
日経トップリーダー
巻号頁・発行日
no.325, pp.12-14, 2011-10

松下政経塾で、野田佳彦さんが第1期生で、私は第3期生。短い期間だったが、一緒に松下幸之助塾長の講話を聞いたり、寮で生活を送ったりした。 私の印象では、野田さんは目立つ方ではなかった。地味だけれども、仕事は着実にこなす。例えば、講演者に対して真っ先に手を上げて自分の持論を披露して質問するようなことはしない。常に3〜4番手で発言する。
著者
大西 拓一郎
出版者
国立国語研究所
雑誌
国語研プロジェクトレビュー (ISSN:21850119)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.68-77, 2014-10

私たちのプロジェクトは方言分布を対象にして,経年調査を実施し,方言の形成過程を明らかにしようとしている。全国500地点において,実際に30年から50年程度の比較を可能にする方言分布のデータを得た。その中から現実に発生している言語変化をとらえることができた。新たに発生していることが確認されたナンキンカボチャは50年前にナンキンとカボチャが分布していた境界にあり,両者の混交で生まれたことを示している。動詞否定辞過去形のンカッタは自律的に発生した形で,複数箇所において別々に発生しており,30年前と比べると近畿地方中央部に広がるとともに,中国地方西部や新潟県ではすでに分布領域が確定していたことがわかる。名詞述語推量辞のズラは中部地方の代表的な方言形式であるが,静岡県を中心にコピュラ形式を内包するダラに変化しつつあることが明らかになった。ただし,経年比較を通して言語変化が多数見つかるからといって,現実のことば全体が変動し続けているわけではないことには注意が必要である。
著者
品川 弘子 富吉 靖子 高増 雅子
出版者
東京聖栄大学
雑誌
聖徳栄養短期大学紀要 (ISSN:02866366)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.20-25, 2004-12-20
被引用文献数
1

女子学生の食生活の実態を把握し食教育の実践に生かすことを目的として、本学女子学生128名にアンケート調査を行った結果、以下のような食生活を取り巻く実態が判明し、今後の食教育のあり方について多くの助言が得られた。摂取頻度のもっとも高い食品は、その他の野菜で、次いで油類、牛乳・乳製品であった。また、摂取頻度の低い食品群として、海藻類、豆類・豆腐製品、魚・肉またはその加工品、緑黄色野菜が挙げられた。「改善の必要あり」および「放っておくと健康を損なう恐れあり」と判断された学生がそれぞれ27%および5%存在する一方、「健康状態が良い」が13%で、「まあまあ良い状態」が55%であった。また、80%の学生が米を主食としており、パンが10.5%、麺類が9.5%であった。今回の調査で初めて「外食」と「中食」の領域に共通な食べ物として「ハンバーガ」「サラダ」「寿司」が挙げられた。「外食」は、80%以上の学生が週に1〜3回利用しているが、「中食」は、1日に1〜2回利用している学生と、週に1〜3回利用している学生とが半分ずつ観察された。飲料では「お茶」が60%以上の学生にもっとも高頻度で飲まれており、菓子では第1位に「チョコレート」が挙げられた。約50%の母親が食事作りをしており、学生自身が自分で作るが33%.で、そのうちの1人暮らしの2/3が「自分」で食事作りをしていることが判った。
著者
渥美 さやか 大沼 美貴 末永 恵美 丸山 卓郎 菱田 敦之 木内 文之 小林 進 合田 幸広 袴塚 高志
出版者
日本食品化学学会
雑誌
日本食品化学学会誌 (ISSN:13412094)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.178-189, 2013

ブラックコホシュはキンポウゲ科サラシナショウマ属Cimicifuga racemosaの根及び根茎に由来する西洋ハーブであるが、健康食品等として流通するブラックコホシュ製品からはC. racemosa以外の近縁種の混入が報告されており、基原鑑別法の確立が望まれてきた。そこで我々は、葉緑体trnL領域のDNA配列を基に、特異的プライマーを用いたPCRによりC. racemosaと近縁植物を区別するARMS法を確立した。7種のサラシナショウマ属植物を用いた検討では、ARMS法によりC. racemosaとそれ以外の種を正しく判別することができた。同様に、国内市場で流通するブラックコホシュ製品の基原鑑別を行った結果、8製品のうち2製品には近縁種が使用され1製品にはサラシナショウマ属植物は含まれないことが明らかになった。さらに、国内市場品16製品に対して行ったTLC及びHPLCによる指標成分分析の結果は、ARMS法による鑑別結果とよく一致した。以上の結果より、植物組織を含むブラックコホシュ製品の基原鑑別において、ARMS法は有用であると考えられた。
著者
大野 ロベルト
出版者
日本社会事業大学
雑誌
日本社会事業大学研究紀要 = Study report of Japan College of Social Work : issues in social work (ISSN:0916765X)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.101-114, 2019-03

要旨:ロナルド・メイスによって1980 年代に提唱されて以来、ユニバーサルデザインの概念はインクルーシブな社会を考えるうえで重要なものであり続けており、教育から都市デザインに至るまで、広い領域に応用されてきた。本研究はこの概念の日本語への応用可能性を、とくに視覚・聴覚に障害を持ちながら高等教育を受けようとする学生に対する情報保障との関連から検討する試みである。本研究には二つの側面がある。第一の、より理論的な側面では、日本語の歴史を概観しながら、言語としての日本語の特徴を考察する。そして第二の、より実践的な側面では、実際の支援の現場に注目し、様々な障害を持つ学生に対する情報保障における問題点を整理する。二つの側面を突き合わせることで、真にユニバーサル=普遍的な日本語を教育現場で実現することはきわめて困難であることを明らかにしつつ、可能な限り状況を向上させるために必要な工夫について考察することが、本研究の目的である。
著者
藤澤 大介 能野 淳子
出版者
一般社団法人 日本総合病院精神医学会
雑誌
総合病院精神医学 (ISSN:09155872)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.10-17, 2012-01-15 (Released:2015-08-26)
参考文献数
13

認知行動療法は,認知の柔軟性を高め,積極的な行動変化を促す治療であり,レジリエンス向上に大きく関連する領域をターゲットにしているといえよう。認知行動療法を実施する際には,個々の症例に合わせて治療を計画することが重要であり,重症・複雑な症例ほど,こういった“症例の概念化”が重要である。本稿では,レジリエンス向上を意識した認知行動療法の概念化と治療計画の立て方を解説する。重篤な身体疾患への罹患は多くの人が体験する逆境の一つであり,レジリエンスに関する普遍的なテーマを提供してくれると考えられ,がん患者に認知行動療法を適用した事例を解説した。
著者
藤本 恵
出版者
日本近代文学会
雑誌
日本近代文学 (ISSN:05493749)
巻号頁・発行日
vol.89, pp.49-63, 2013-11-15 (Released:2017-06-01)

日本の児童文学において、「少女詩」研究は長くなおざりにされてきた。本稿では、雑誌『少女の友』大正期の詩欄を中心に、調査と考察を行った。なぜなら、『少女の友』の編集方針が変化した重要な時期であるにもかかわらず、詩欄の研究が他誌と比べて特に手薄だったからである。結果、『少女の友』の詩は常に「感傷」という内容の拘束を受けながらも、長大で叙事的な「口語詩」から、簡潔で自己主張的な「少女小曲」(=「少女詩」)へ変化したことが明らかになった。その変化は、少女読者が詩の読み手から書き手になる過程と重なっている。また、この時期詩は、児童や民衆、女性といった階層に広がっていく。少女詩が他ジャンル同様その流れの一つを形成していることを示した。
著者
福井 敏隆
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.116, pp.75-90, 2004-02

本稿は幕末期に弘前藩において種痘がどのように受容されたかということと、幕末期に行われた医学制度の改革である医学館の創立を、蘭学の受容や種痘の実施と絡めて考察したものである。弘前藩領における本格的な蘭学の受容は文化年間以降に始まるものと思われるが、その際重要な人物は、芝蘭堂に学んだ福野田村(現北津軽郡板柳町福野田)の在村医高屋東助である。彼は寛政四年(一七九二)五月五日に入門が許されており、今のところどのような経緯で入門ができたのか全く不明な人物である。東助はのち郷里に帰って地域医療に従事し、ここに在村医による蘭学の導入がみられた。芝蘭堂にはその後文化十年(一八一一)に藩医の三上隆圭が学んでおり、藩医でも蘭学を志す者が出てくる。このように蘭学を志す者が多くなっていったが、その成果の一例として種痘の受容に焦点をあてて考察してみた。弘前藩領においては嘉永五年(一八五二)四月に秋田の医者板垣利齋が木造(現西津軽郡木造町)あたりで三十人程に種痘を実施したのが種痘実施の最初の様である。この利齋の動きに刺激されたためか、弘前藩医の中でも種痘を実施しようという動きがでてくる。その中心が藩医唐牛昌運とその弟昌考である。しかし、残念ながら弘前藩においては積極的な種痘の導入は図られなかった。唐牛兄弟の種痘はうまくいかなかったが、ある程度種痘を成功させ、普及していったのは幕末期に弘前藩の蘭方医として活躍した佐々木元俊である。元俊は自身が多くの人々に種痘を実施した他、当時創設されていた医学館に種痘館を併設させ、そこで弘前領内の医師に種痘技術を伝授する方法をとった。この元俊の活動を理解しバックアップしてくれたのが、医学館を創設し、医学制度の改革を積極的に実施した医学館頭取北岡太淳であった。
著者
中村 節子 橋本 淳 川面 なほ 山下 満智子 東 あかね
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成28年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.171, 2016 (Released:2016-08-28)

【目的】京都府立宇治支援学校の学校給食は年間テーマを設定し、それに基づく給食の提供と掲示等による食教育を実施してきた。平成27年度のテーマは、和食への関心を高めるために「お精進」とし、動物性食品を使用しない給食を導入することを目的とした。【方法】平成27年4月から1年間、毎月19日(「食育の日」)と1月~2月の給食月間に4回、計15回を「お精進の日」とし、動物性食品を使わない精進献立を、1回につき基本食約420食、嚥下困難等への対応のための工夫食19食を提供した。但し、出汁に鰹節は使用し、飲用牛乳は提供した。基本食と工夫食の食材は一部を除き共通とした。児童生徒、保護者、教職員への啓発のために、食育の日には玄関に献立に関する情報を、給食室前には料理や使用食材の説明等を掲示し、食品・栄養学的、文化的背景を学ぶことができるよう工夫した。また「お精進の日」の献立15食の栄養学的評価を行った。高等部においては、生徒が生活単元学習で精進料理の調理実習をし、会食した。【結果】動物性食品を使わず、野菜、豆、イモ、海藻類等の植物性食品のみによる学校給食献立を15種類作成し、提供することができた。児童・生徒、教職員の喫食状況は一般食と変わりなかった。また15食の献立の栄養価計算を行い、平均値を学校給食実施基準と比較した結果、精進料理給食(学校給食実施基準)はマグネシウム107(80)mg、カルシウム392(350)mg、食物繊維5.8(5.0)gと学校給食実施基準を上回った。一方、食塩2.7(2.5)gが多く、ビタミンB1 0.29(0.4)mgが少なかったことは今後の課題である。本研究は京都府立大学地域貢献型特別研究の一環として実施。
著者
大谷 亘 近藤 賢郎 ルーク コリー 甲斐 賢 植原 啓介 手塚 悟
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2021論文集
巻号頁・発行日
pp.148-154, 2021-10-19

TLS によるセキュリティモデルでは,host-to-host の通信路の識別・秘匿化 を可能にするが,PaaS プロバイダや CDN プロバイダなど複数のサービスプロバイダを跨がる Web サービスにおいて,TLS はサービスプロバイダ同士の関係性を保証できない.ユーザは第三者の攻撃やサービスプロバイダの運用事故などにより,サービスプロバイダの意図しない通信先に reroute される可能性がある.本稿では,サービスプロバイダ同士で相互に署名した TLS 公開鍵を DNSSEC で保護された権威 DNS ゾーンで公 開する,軽量な自己管理型相互宣言機構 M2DMRT を提案する.M2DMRT により,サービスプロバイダは第三者に頼らずサービスプロバイダ同士の関係性を相互に宣言でき,ユーザは署名を検証することで容易に関係性を信頼し脅威を回避することができる.本稿では M2DMRT における相互宣言の登録にかかるプロトコルを設計して,そのサーバサイドにおける Proof of Concept の実装を行い,基本性能を評価した結果,実用に耐えうる性能を持つことがわかった.