著者
バティ アーロン スチュワート ジェフリー
出版者
慶應義塾大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

研究者たちは新しく「スピーキング伝達能力客観テスト(OCST)」を開発した。OCSTはタブレットPCを用いた計時情報ギャップ型テストである。伝統的な口頭運用能力テストの構成要素がテスト所要時間の原因になる事を前提に、発話者が評定者に新しい情報を述べる時間を計る。英語が第一(L1)及び第二言語(L2)である86名を対象にテストを行い、L2タスク完了時間にL1基準のスコアを当て、データは多相ラッシュ・モデルで解析された。仮説通りテストの客観的デザインは評定者の影響を弱め、評定者をモデルから除外できた。受験者の信頼性係数として0.88が観測され、多くの主観的なスピーキング能力テストの数値を上回った。
著者
林 茂彦 山本 聡史 手島 司
出版者
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

イチゴの循環式移動栽培における効率的な栽培管理を目指し、非破壊非接触で群落の3次元情報、果実情報(数、大きさ)を推定し、栽培ベッド毎に個別管理可能な計測システムを開発した。各情報は、カラー画像と距離画像を組み合わせた画像処理アルゴリズムによって抽出を行った。イチゴ群落の3D再構築により任意の断面で草高や幅を推定でき、2.5ヶ月間経時的に計測した結果、推定値から経時変化の観察が可能であった。果実の情報に関しては、赤色果実同士の重なりを距離情報によって分離することで着果密度によらず約95%の精度で計数できた。さらに、果実の大きさを推定した結果、推定精度はRMSEP12%であった。
著者
狩野 太郎
出版者
群馬県立県民健康科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は、味覚変化を抱える化学療法患者に対するICTを活用した支援システムの開発と、対処法に関するナレッジデータベースの構築である。筆者らが開発した味覚変化症状評価スケールCiTASを、タブレットPCで回答できるWebアプリケーションシステムを開発し、回答結果に基づき過去に同様の症状を体験した患者が行っていた工夫や対処法をデータベースから表示する支援システムを構築した。本支援システムは、UMINサーバ上に開設しているが、タイムリーな情報提供や双方向コミュニケーションを目的にFacebookページも開設した。現在250名程度の閲覧者を維持し、運用を継続している。
著者
今野 弘章
出版者
奈良女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、日本語と英語の多様な構文を話し手の伝達意図という語用論的特徴に注目しながら観察し、統語論と語用論のインターフェイスについて考察した。特に、話者の伝達意図という語用論的性質と機能範疇という統語的性質の間にどのような対応関係が見られるのかを明らかにした。日英語には、話者の伝達意図を欠く非伝達的表現が機能範疇を同時に欠く場合、話者の伝達意図を含む伝達的表現が機能範疇を同時に含む場合が存在する。これらの事例は、伝達意図の有無と機能範疇の有無が類像的(iconic)に対応する場合があることを示している。
著者
金子 友厚
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

歯髄組織再生においては、血管新生も重要な因子と考えられるが、これに関与するバイオマーカーは多数あり、その関与の実態に関する詳細は不明である。そこで、ラット臼歯の歯髄腔内で血管新生関連バイオマーカーが歯髄再生に対して果たす役割を、免疫組織化学、分子生物学的手法を用いて検索したところ、血管内皮細胞増殖因子や線維芽細胞増殖因子が、歯髄組織を速やかに再生するための重要な因子であることがわかった。主な研究成果 第35回日本歯内療法学会ワカイ賞受賞。第140回日本歯科保存学会優秀ポスター賞受賞。
著者
佐々木 健一郎
出版者
久留米大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

虚血下肢骨格筋組織は高度の酸化ストレスに暴露しており、そこへ筋注投与された血管内皮前駆細胞の多くが、その血管新生能力を発揮することなく細胞死を迎えていた。虚血性骨格筋細胞のミトコンドリア機能、炎症系血管新生作動タンパク分泌機能、糖エネルギー輸送機能は障害されていた。薬用化学物質プロピオン酸塩をマウス下肢虚血組織に噴霧投与し、低酸素傷害骨格筋細胞の機能回復を図ったところ、血管内皮前駆細胞投与後の血管新生効果が高まる傾向にあり、細胞投与組織の環境改善を図るという次世代型血管新生療法開発への有用なヒントとなった。
著者
金 徳男 高井 真司
出版者
大阪医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

PTFEグラフト移植後の外膜側から線維芽細胞の遊走がその管腔内内膜肥厚の形成に関与する可能性が示唆されてきた。本研究では現在広く使用されてきた多孔構造を有するPTFE人工血管と近年日本で開発された中層無孔体からなるグラシル(Grasil)人工血管を用いて比較検討し、PTFE人工血管移植後の血管内膜肥厚にはその外膜側からの線維芽細胞の遊走が非常に重要な役割を果たしていることを証明した。
著者
荒川 裕志 谷本 道哉 比嘉 一雄
出版者
独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究では徒手抵抗トレーニング(MRT)と一般的高負荷トレーニング(WRT)の動作特性・生理特性の比較を行った。動作特性を比較した結果、MRTではWRTよりも大きな筋活動および筋出力を対象の筋に課すことができ、特に伸張性収縮局面においてMRTとWRTの差が顕著となることが明らかになった。さらに、生理特性については、MRTはWRTよりも筋損傷を誘発し、WRTと同程度の血中乳酸上昇・内分泌応答を引き起こすことが明らかになった。以上から、MRTでは対象の筋に対してWRTと同等以上の力学的・生理学的刺激を与えることができ、得られる効果が従来のトレーニング方法よりも潜在的に大きいことが推察される。
著者
佐々木 昭夫 CHEN X. ROUVIMOV S. LーWEBER Z. WEBER E.R. 若原 昭浩 LILIENTAL-WEBER Zuzanna CHEN Xiaoshung CHEN X ROUVIMOV S WEBER Z.L WEBER E.R CHEN Xiaoshu ROWVIMOV Ser LILIENTALーWE ゼット WEBER Eicke 鍋谷 暢一
出版者
大阪電気通信大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

超高真空対応走査型トンネル顕微鏡による、不規則構造半導体の断面観察には、現用装置の改造が必要であった。製作企業との数度に亘る討議により、現用の表面観察に支障無く、改造し得る方法を案出した。今後、改造装置により本来の研究を続行し得る。InAs/GaAs量子ドットの規則、不規則配列の形成条件を知るために、スペ-サ層に相当するGaAs層の厚さを順次変えた試料を作製した。高分解能電子顕微鏡による試料断面を観察することにより、(1)GaAs層の厚さが、InAs量子ドットの高さの寸法と同じ厚さと、2倍の厚さの間であると、量子ドットが結合し合って規則的に配列し得ること、(2)薄いと量子ドットが潰れること、(3)厚いと結合が弱まり、量子ドットが互いに関連無く不規則に形成されること、などが分かった。J.Electronic Materials学術雑誌に掲載。InAs/GaAsの積層により、量子ドット数が増し、励起光あるいは注入電流を増すことにより、光量子効果による発光が強められる。InGaN結晶薄膜の成長において、位相分離が生ずることを実験的に見出した。これはGaN中にInNの量子ドットを形成する新しい方法と成り得る。しかしInNの形状を小さくする必要がある。AlN層に関しては、プラズマ励起成長法が如何に光量子物性に寄与するか検討中である。Stranski-Krastanov成長姿態が量子ドット形成に利用されている。層状と量子ドット状の形成において、歪エネルギーと表面エネルギーの和が小さくなる方が安定に形成されると云う考えにより、解析式を導いた。この式による理論値が、InAs/GaAsの遷移厚の実験値と良い一致を示し、今後ドット積層の場合に非常に有効な式となる。Electronic Materials Symp.(July,1998)に発表。研究代表者らは、これまで数多くの不規則超格子を作製してきた。これらの試料で未だ評価しきれていない物性値がある。本共同研究により、今後、上海技術物理研究所と共同で光検出に必要な物性値を含め、それらを解明して行く計画が立てられた。
著者
中川 泰宏
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

まず,Einstein・Kaehler 計量の一般化である,Kaehler・Ricci ソリトンを反標準類とは限らない一般の Kaehler 類の場合に一般化することに成功し,さらにその非自明な例を構成した.次に,トーリックでない Einstein・佐々木計量の例を構成することができた.そして第三に Nill・Paffenholz による非対称な Einstein・ Kaehler トーリックFano 多様体の例を高次元の場合へ一般化することに成功した.
著者
川口 衞 千葉 義尚 阿部 優 吉田 長行 立道 郁生
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2000

本研究業績をまとめると以下の通りである。A.並進振り子原理に基づく免震システムの有効性を検証した(1)振り子免震の免震効果は上下動の影響をほとんど受けない。上下動と水平動を分離して設計できるのは,免震システムとして大きなメリットがある(2)振り子によって実現される長周期免震システムに必要とされる減衰は,軽微なもので充分である(3)「並進振り子型免震装置」を応用した免震床の実施例の挙動を実験的に明らかにした(4)並進振り子の支点間距離を利用した,免震周期のコントロールに関する知見を得た。また,この性質を利用し,かつ支持構造物の回転運動を生じない「対称2点吊り振り子型免震構造」を考案した(5)地震時に質量偏心がもたらすねじれ振動め影響を明らかにしたB.転動振り子の原理に基づく免震システム(パドル免震)の有効性を検証した(1)「パドル免震」を提案した。「パドル免震」は免震層の高さを長周期免震の場合でも可変にできることが極めて有利な点である。(2)パドル免震の模型実験を行ない,所定の免震効果が得られることを確認した(3)パドル免震装置の実用化検討の基礎として発生する応力分布を解析により把握できた(4)パドル柱自身の質量が免震効果に及ぼす影響を振動実験などにより明らかにした(5)この時,パドル免震装置自体の形状を工夫することによって,目的とする固有周期を得られることを確認したC.振り子免震の適用による空間構造の長周期免震の効果を検証した(1)球殻の薄肉ドームの支持部に,振り子免震を設けた場合について効果を検討した。この結果,屋根の応答を下部構造の剛性に関らず,地表入力波形の応答スペクトルで推定することが可能であること,トラス材軸力など多くの部材で長期応力を支配応力とできる可能性を示した。(2)さらに,パドル免震の原理の効果的な応用として,円形ドームの円周方向のみに復元力を有し,半径方向には拘束のない一方向免震の有効性が確認できた。
著者
齋藤 究
出版者
大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

ヘリウム/キセノン混合ガスにおけるシンチレーション過程を研究してきた。その中で時間スペクトル、発光スペクトルを明らかにした。また、シンチレーション収量と同時にイオン化収量も測定し、物質中での放射線エネルギーの分配過程に関する知見を得た。以上の知見を元に、ヘリウム/キセノン混合ガスを検出器媒体とし、希ガス蛍光(シンチレーション)を利用した、高許容計数率・高時間分解能といった性能を持つパルス中性子2次元位置検出器の開発を行った。
著者
山本 雅代
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

産出能力が言語間で極端に不均衡な受容バイリンガルが行う言語混合の特徴や機能を、(1)言語混合要素の類別、(2)言語混合の文法的適正、(3)劣勢言語の語彙拡張を促進する機能の有無を課題に考察した。その結果、(1)では大半が名詞等活用しない形態素であることがわかったが、(2)と(3)では統計的検証を可能にする量のデータが得られず、更なるデータ集積を待つこととなった。産出量寡少の受容バイリンガルの研究では避け難い課題と言える。
著者
古川 一郎
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、日系ブランドに対する中国消費者の「嫌いだけど買う」という、言説と行為の矛盾を説明する論理的フレームを構築し、データによる検証を行った。結論は以下の通りである。(1)嫌いだけど買うという言説と行為の矛盾は、反日という社会規範が引き起こしている。(2)実際は、中国消費者は日系ブランドが好きだから購入しているが、言説と行為の矛盾にほとんど無自覚である。(3)人々の対話は、社会規範の影響を受けている。この社会規範は対人関係の性質により大きく異なり、したがって対話の内容は相手により大きく異なる。「面子」という中国社会の規範の影響が大きく作用するとき、常に相手によって対話の内容が変わる。
著者
森 敏 藤原 徹
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1994

酵母の細胞膜に存在する3価鉄還元酵素の核遺伝子FRE1を含むplasmid(pC6L)ら制限酵素でORFにあたる配列を切り出し,2種類のT-DNAのコンストラクト,PYH6(pBI121由来)とPYH7(pUCΩE12GUS由来)に組み込み,タバコ(Nicotiana tabacum L.var SR1)に感染させた.カナマイシン耐性カルスを選抜し,植物体を再生させT2植物種子を採取し,カナマイシン耐性の7個体を得た.FRE1に特異的なプライマーでPCRを行ない,根からのRNAに対してノーザンハイブリダイゼーションを行なうと,0.9kbの転写物が確認された.この転写物は予想されるmRNAの長さよりも短かかったが,一応実験を続行した.これらの遺伝子導入植物の根の細胞膜が導入遺伝子の恒常的な発現によって,鉄が十分にある条件下でも3価鉄還元酵素活性を有しているかどうかを,根圏近傍のBPDS-Fe^<2+>の発色法を用いて検定した.ざんねんながら,発色は有意ではなかった.そこで鉄欠乏条件下での本酵素活性の持続性を水耕法によって検定したところ,2株が鉄欠乏耐性を示した.一方,本実験では,完全長のmRNAが得られていない.その原因を追究したところ,酵母ではポリAシグナルとは読まれない配列が,タバコでは読まれているために転写が途中で終了していることが判明した.現在,FRE1中のこの様な可能性のある5カ所のコドン領域をサイトスペシフィックミュータジュネシスにより改変した遺伝子を作成して,遺伝導入タバコを作成している.
著者
西海 理之
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

以前の研究から、高圧処理による筋肉内コラーゲン並びに結合組織の脆弱化には筋肉内デコリンの分解もしくはコラーゲン線維からの解離が関することを予想し、ウシ骨格筋から実際に単離・精製したデコリン分子の高圧下での立体構造を解析し、高圧処理に伴う筋肉内結合組織の脆弱化との関連性を検討し、以下のようなような結果を得た。(1)高圧処理はデコリンコアタンパク質の分解、GAG鎖の解離及びGAG鎖の分解を引き起こさなかった。(2)高圧下蛍光スペクトル測定及び表面疎水性測定により、400 MPaまでの高圧処理で可逆的にデコリン分子の立体構造が変化した。(3)デコリン分子表面のSH基量は高圧処理に影響されなかった。
著者
宮林 重明 萩野谷 和裕 黒羽根 郁夫
出版者
TOHOKU UNIVERSITY
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

先天性高乳酸血症110例の患者の検討を行い、電子伝達系酵素(ETP)欠損症は約3割を占めた。ETP欠損症の組織特異性の検討のため、培養線維芽細胞(Fibro.)でのETP活性測定包をミトコンドリア(mt.)を分離することなく、digitonin処理する事により確立した。見いだされたETP欠損症は、複合体I(CO I)欠損症11例、複合体IV(CCO)欠損症11例、複数のETP欠損症5例であった。筋組織でCOI欠損が証明された7例全例が臨床的にMELASの症状をとり、筋mt.の免疫ブロットでは特定なサブユニット(SU)の欠損ではなく全体のSUの減少を認めた。特に高分子と低分子のSUの低下が著明であった。11例のうち6例のFibro.でも検討をおこなったがCOI活性は正常であった。Fibro.でCOIの欠損している4例は全身型で、臨床的に、MELASと違い、早期死亡する重症例が多かった。全身型のCCO欠損症3例は臨床的にはLeigh脳症の経過をとり、CCO蛋白の全SUの均一な低下が全組織にみられたが、COI及びCOIIIに対するCRMの低下は認めなかった。重症致死型CCO欠損症の筋mt.ではCCO蛋白のみではなく特にCOIに対するCRMの著明な低下、cyt.hの低下を認め、肝・腎でも同様であった。COIIIの免疫ブロットは筋でのみ低下し、他の組織では正常であった。さらに同患者のFibro.でmt.を電顕的に検索したところ細胞内及び細胞間でCCO活性染色陽性と陰性の混在を認め、細胞内モザイクを示した。同所見は筋組織でも認められた。筋部分CCO欠損症では、3例でCCOのみならずCOIの低下を認めたが、Fibro.では正常であった。これらの例は活性の低下に比例して免疫ブロットでのCRMの低下も認めた。さらに臨床的にMBRRF像をとった2例で、電顕CCO活性染色において活性陽性線維と陰性線維の筋線維毎のモザイクを示した。以上の結果によりCCO活性に細胞毎のモザイクを示す例や、COI欠損症でcyt.b欠損を合併する例などは、mt.DNAの異常が想定された。
著者
横田 隆司
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

大震災時の避難行動をシミュレートする新しいシミュレーションシステムの構築のための萌芽的研究として,大きくは東日本大震災における避難行動のモデル化とそれに基づいたシミュレーションシステムの開発の二つの内容の研究を行った。その結果,児童や障害者など多様な人間の避難行動への配慮の必要性が明らかになったと共に,浸水被害想定や津波可視化などの課題に対して住民が簡易に利用できるシステムを構築することができた。
著者
李 妍淑
出版者
北海道大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

本研究では、中国において唯一公認された女性団体である婦女聯合会を素材に、ジェンダー政策推進過程における「婦聯」の役割を戦後台湾の女性政策と比較検討し、中国におけるジェンダー政策にみられる特徴の解明を試みた。中国の「婦聯」は、共産党の指導を前提としている組織として強い政治的性格を持ち、国家のジェンダー政策推進過程においては、党の「別働部隊」としての役割を果たしてきた。また、「婦聯」はジェンダー問題を女性固有の問題として捉え損ねているため性別役割分業を維持し、それが国家の政策とも共鳴することで、結果的に固定化されたジェンダー構造を生み出すことになった。
著者
杉浦 正晴
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

O-モノアシル酒石酸が、アルケニルボロン酸、アリルボロネート、ジボロンなどのホウ素化合物を活性化し、不斉共役付加反応やアリル化反応を促進する有効な不斉有機触媒となることを見出した。選択性や触媒活性の改善のために、触媒のアシル基およびカルボキシル基の効果を検討すると共に、計算化学による触媒の作用機構の究明を行った。また、触媒の回収・再使用に関する知見を得ることができた。