著者
松井 理直
出版者
神戸松蔭女子学院大学学術研究委員会
雑誌
トークス = Theoretical and applied linguistics at Kobe Shoin : 神戸松蔭女子学院大学研究紀要言語科学研究所篇 (ISSN:13434535)
巻号頁・発行日
no.19, pp.57-100, 2016-03

弁別素性の概念はローマン・ヤーコブソン以降、様々な形で研究されてきた。近年でも、弁別素性間の階層理論や過小指定、最適性理論における入力情報の完全指定と多様性といった形で議論が続いている。その中で、これらの概念が持つ多くの利点と、いくつかの問題点が明らかにされてきた。例えば、ソシュールの言う「差異の体系」に関する表示の問題や計算システムの並列性/直列性に関わる問題などが挙げられるであろう。その中で、統率音韻論などの要素理論で採用されている「音韻要素(phonological elements)」は、過小指定や素性階層の性質を反映すると共に、表示の完全性という点でも、離散的カテゴリーとプロトタイプカテゴリーの統合という点でも、こうした問題をクリアできる利点を持つ。しかし、その内部構造については十分な議論がなされていない。本稿では、C/D モデル(藤村2007) に立脚しながら、要素理論における「閉鎖要素」と「摩擦要素」の性質について検討を行う。
著者
賀來 敦 松下 明
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.31-37, 2015 (Released:2015-03-27)
参考文献数
15
被引用文献数
3 2

目的 : 全国医学部医学科入試募集要項の横断調査を行い, 地域枠制度の全容把握と問題点の考察を行う.方法 : 2013年度に77大学医学部が実施した地元出身者のための地域枠・将来地域医療に従事する意志を有する者を対象とした入学枠について, 大学区分・選抜方法等をWeb上で調査した.結果 : 62大学・地域枠数148枠・総募集人数1305名を認めた. 国立大学で86枠, 推薦/AO入試で90枠を占めた. 卒業後進路限定条件を30枠, 奨学金受給義務を84枠, 確約書で任意団体への所属を求めているものを8枠で認めた. 出身要件は83枠で, 地域医療教育の特殊カリキュラムは13枠のみに認めた.結論 : 一部の入学枠で, 卒後進路制限・奨学金受給義務化・不適切な確約書の取得などの制度構成の問題点を認めた. また本邦の出身用件はWHOガイドラインで推奨するへき地出身者の定義と異なり, 特殊カリキュラムによる教育支援実施率は低かった.
著者
粟野 隆
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.381-384, 2005-03-31
参考文献数
22
被引用文献数
2

In the last several years, an explosion of papers argue about Japanese modern landscape, there are design of residential gardens, policies of park and landscape of resort and so on. This paper clarifies the formation period of semi-western gardens in Tokyo during the Meiji period and its spatial characteristics, particularly Shiba-niwa (lawn garden), by analyzing the trends in western house construction and relationship between building layout and garden design within premises. The result leads to the following hypothesis. The formation period of Shiba-niwa style overlaps with the period of western building construction boom around the mid-Meiji period (1882-1902). The concept of Shiba-niwa was to integrate the juxtaposed arrangement of Japanese and western buildings, typical building layout in modern residential spaces, into coherent landscapes with simple combination of spacious lawns and gently meandering paths, that is a remarkable characteristic reflecting the modernization of traditional garden design.
著者
川東 竫弘
出版者
松山大学総合研究所
雑誌
松山大学論集 (ISSN:09163298)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.49-112, 2018-08
著者
大宮司 信
出版者
北翔大学北方圏学術情報センター
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 = Bulletin of Northern Regions Academic Information Center Hokusho University (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.1-6, 2014

日本における憑依の精神医学的研究の歴史を,宗教をひとつの要素として加え検討した。女性の教祖のばあい,日本では憑依体験をもとに宗教を始めた例が多く,苦しい生活を送った女性の心の回復のひとつの型として考えた。また人格の変性という点で共通する解離に関する精神医学研究が最近増加していることが明らかとなった。
著者
山崎 吉郎
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.93-97, 1987

納豆はその呈味において, 独特の苦味を有している.その苦味は, 納豆菌の作用によって生ずる, 大豆タンパク分解生成物のペプチドであることが明らかにされているが, 納豆中の苦味ペプチドの構造がどのようなものであるかを追究するため, 納豆より<I>n</I>-ブタノール抽出した試料について苦味ペプチドを分析した.<BR>セファデックスG-25カラムによるゲルろ過でFr.1~3の3画分を得たが, そのうちFr.1に強い苦味が認められた.さらにFr.1成分をCM-セファデックスでFr.a, b, cの3画分に分画したところ, Fr.bに最も強い苦味を認めた.Fr.aは弱い苦味, Fr.cはアミノ酸様のうま味を有していた.<BR>Fr.bより高圧ろ紙電気泳動によって純粋なペプチドを得, 塩酸加水分解後のアミノ酸分析の結果, 苦味ペプチドのアミノ酸組成は, アスパラギン酸 : スレオニン : グルタミン酸 : アラニン : プロリン : バリン : イソロイシン : ロイシン=1 : 1 : 1 : 1 : 2 : 3 : 3 : 5であることがわかった.またN末端アミノ酸はDNP法によってロイシンであり, C末端の構造はカルボキシペプチダーゼA法によって-Ala-Val-Ile-Leuであることがわかった.
著者
中島 求
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.13-17, 2004 (Released:2004-08-13)
参考文献数
10

魚・イルカの遊泳運動に関する研究を紹介する.まず高速遊泳動物に見られるマグロ・イルカ形の遊泳に関して推力発生の原理を説明する.次に,ダイナミクスをより詳細に解析するため著者らが提案した解析モデルおよびその解析結果について述べる.さらに著者らが開発した3機のイルカロボットを紹介する.1号機および2号機は直進遊泳性能を調べるために開発され,それぞれ最高推進速度1.15 m/s, 1.9 m/s を達成している.また3号機は機動性能を研究するために開発され,現在,胴体全長の約半分の回転半径で水中宙返り運動が可能である.
著者
延島 冬生
出版者
首都大学東京小笠原研究委員会
雑誌
小笠原研究年報 (ISSN:03879844)
巻号頁・発行日
no.41, pp.23-45, 2018-07-31

1980年小笠原諸島父島大渇水期における一水道事業従事者の日記を通し当時の水道管理者と住民の対応をまとめ、今後も起こりうるであろう同様の事態への参考材料とする。

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著者
平井則正 著
出版者
平井則正
巻号頁・発行日
1889
著者
上野 庸治
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.231-253, 1956
被引用文献数
2 1

八丈島に冬期に流行する発疹性熱性疾患で, 俗に八丈デング, 七島熱などとよばれていたものは, いわゆるK群のリケッチアを病原体とする七島型恙虫病で, おそらくタテツツガムシがこれを媒介し, 臨床的には1〜3週間持続する高熱, 著明な発疹, いわゆる刺口(皮膚の初発潰瘍)の存在, Weil-Felix反応のOXK凝集価の上昇などを主徴とし, ほとんど死亡例を見ない急性伝染病である.筆者は1949年以来, 八丈島にあつて前編にのべた恙虫類の生態, 疫学的研究と平行し, 本症の臨床的な研究をつゞけて次のような点を明らかにしえた.1潜伏期は不明な例が多いが, たまたまこれをほゞ確実に推定しえた2例においては12日及び13日間と判断された.2.前駆症はこれを欠くもの, 又は単なる違和感のある程度のものが多い.3.刺口(感染部位に生ずる皮膚の初発潰瘍)はほとんど全例にみられる.多くは1個であるが, 80例中6例には2個以上が見出された.経過は第1病日頃には小水泡を中心にもつ丘疹様であるが, 第3病日頃には中央が壊死して痂皮を形成し, その周囲に発赤環を認め, 痂皮部は通常楕円形で, 長径5〜10mmに及ぶ.第20病日頃には症状の軽快に伴つて痂皮がとれ, 小瘢痕と色素決着を残して消失に向う.症状のはげしいものほど潰瘍が大きい傾向がみられる.4.全例において淋巴節の腫脹, 圧痛がみられ, 特に刺口の局所淋巴節に相当したものにこれが著明である.5.全例に発熱がみられ, 治療せざるものの有熱期は10〜14日位である.大多数が悪寒を以て発病し, 約半数は悪寒戦慄を伴う.頭痛はほとんど必発で, 主訴をなし, 筋痛, 腰痛も多くに生ずる.脾腫, 肝腫は著明でない.消化系症状は不定である.6.発疹は全例にみられ, 全身に発生し, 丘疹性で粟粒大より拇指頭大に到り, 初め鮮紅色, やがて暗赤色となるが, 出血疹は認められなかつた.部位は躯幹に多く, 四肢では躯幹に近い屈側に著明であるが, 頭髪部や粘膜にもみられることがある.7.臨床検査では極期に血圧は最高, 最低とも低下し, 白血球数は減少, 好酸球は消失する.Weil-Felix反応は病日がすゝむとOXK凝集価の著明な上昇がみられたが, OXK19にはほとんど変化をみなかつた.各種の肝機能検査で極期にはその障害がみとめられた.心電図にも一時的な変化のみられた例がある.8.治療にはテラマイシン, テトラシン, オーレオマイシン, クロロマイセチンなどの抗生剤の卓効が認められた.しかし, その投与日数が短いとたとえ大量を初めにあたえても再燃が生じやすく, 反対に少量でも7日以上継続すると完治することを見出した.その結果, 病初の1〜2日はテトラシン, テラマイシンなどの250mg1日1回, 解熱後その125mg1日1回4〜6日間, 計6〜7日間の投与で総量約1gを以て最も合理的, 経済的な治療方式と考える.
著者
田中 宏樹 神谷 淳文 大村 愛花 村松 久圭
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.141, no.7, pp.413-416, 2021-07-01 (Released:2021-07-01)
参考文献数
2

1.はじめに広島県東広島市の郊外に目を引く巨大な工場がある。マイクロンの広島工場(図1)である。マイクロンはアメリカ アイダホ州ボイシに本社を置き,世界中でさまざまなメモリの生産を行っている世界有数の半導体メーカである(図2)(1)。特に広島工場はDRAM(Dynamic Random
著者
大川 祐世 川﨑 寛二 深澤 洋滋 増山 祥子 山下 仁 若山 育郎
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.225-231, 2019 (Released:2020-07-13)
参考文献数
6

日韓鍼とEBMワークショップは全日本鍼灸学会と大韓鍼灸学会との学術交流の場である。 第9・10回の日韓鍼とEBMワークショップのテーマはいずれも 「診療ガイドライン=Clinical Practice Guidelines; CPG」 であった。 第9回は大阪で開催され韓国から3名、 日本から2名が講演を行った。 第10回は韓国、 チェチョン (堤川・Jecheon) で開催され日韓双方から2名ずつ講演を行った。 韓国は韓医学診療ガイドラインをいくつも作成しており、 第9回・10回ともにそれらの作成状況および改良のためのプロトコル等が報告された。 対して日本は未だ鍼灸の診療ガイドラインは作成されていないため、 鍼灸について記載のみられる日本国内の診療ガイドラインを調査した結果とそれらの質評価を行った結果を報告した。 日本と韓国では鍼灸を取り巻く環境は異なるが、 伝統医学領域の診療ガイドライン作成において先を行く韓国と本ワークショップを通じて議論を交えることができ、 日本の鍼灸診療ガイドライン作成の参考になった。 日韓両国の伝統医学発展のために学術交流を継続する必要性を再認識した。
著者
小野 陽二 肥野 武彦
出版者
日本保険医学会
雑誌
日本保険医学会誌 (ISSN:0301262X)
巻号頁・発行日
vol.85, pp.323-327, 1988-01-20

はじめに 寿命に影響を及ぼす要因を探ることは,保険医学に寄与するものと考えられる。この際特定集団の寿命調査を行なう事も有意義であると考えられ,既に米国メトロポリタン生命によるシリーズものがある。我々は先に,「経営者層の寿命調査について」「衆議院議員の寿命」「内閣閣僚の寿命」を調査・報告してきた。今回は更に「衆・参議員議長,副議長の寿命」を報告するとともに,我が国最初の職業野球チームであり,50年の歴史を有する「読売巨人軍選手の寿命」と,40歳以上のラグビープレーヤーで構成され,世界高齢者ラグビーのパイオニアであり,昭和63年1月に40周年を迎える「不惑倶楽部の寿命」を併せて行なったので報告する。調査対象と方法 議長は衆議院,貴族院,参議院120名の内119名を対象とし,観察期間を入閣年から昭和60年までとした。読売巨人軍は入団者545名中537名を対象とし,同じく加入年から昭和60年までとした。不惑倶楽部は加入年が不明確な者が多かったので,各自の40歳から昭和60年までとした。死亡指数の基とした各年別・各歳別国民死亡率は前回まで使用したものをそのまま使用した。調査結果と考察表1の如く,議長・副議長は国民に比して悪く,特に衆議院議長,貴族院議長が全体を押し下げていた。衆議院議員,内閣閣僚が国民と比較して良好であったので,この結果は意外であった。表2では,巨人軍選手は国民に比較して良好であったが,ポジション別に見ると,投手,内野手が良かった。投手は身体が良いものに多く,選手寿命も短かい所為と考えられる。捕手は国民と差がなかった,この為か米国の職業野球選手の死亡指数と比較すると良くなかった。コーチ・マネージャーは日米共に選手に比較して悪かったが,これも日本の方が良くなかった。表3では,不惑倶楽部会員は職業野球選手と同様な傾向であった。40歳になっても,ラグビーを毎週楽しめると云う事は,肉体的にも恵まれているばかりでなく,職業環境等にも恵まれていると考えられ,また,余暇利用も一般日本人に比較して上手な人が多い事も,寿命を長くしていると言える。
著者
松井 太衛 中村 優太
出版者
FCCA(Forum: Carbohydrates Coming of Age)
雑誌
Trends in Glycoscience and Glycotechnology (ISSN:09157352)
巻号頁・発行日
vol.32, no.189, pp.J127-J131, 2020-09-25 (Released:2020-09-25)
参考文献数
51

ABO血液型は赤血球をはじめ上皮細胞表面や分泌体液中に広く存在するが、その生理的な機能は明らかではない。出血時に血小板を傷口につなぎ止め、血栓形成を担うフォンウィルブランド因子(VWF)は、血液型糖鎖の機能解明に1つの鍵を与えている。VWFは血液型を持つ少数の血漿タンパク質の1つである。血液型はVWFの血中濃度に影響を及ぼし、O型では非O型に比べて25%ほど低い。また、O型は非O型に比べて虚血性心疾患や血栓性疾患になるリスクが低いが、その反面、救急搬送された患者では、O型で出血死のリスクが高いことが明らかになり、これらにVWFが関わる可能性が示唆されている。O型患者のVWFは生理的な切断酵素であるADAMTS13への感受性が高いことから、A型およびB型糖鎖がVWFを切断酵素から防御している可能性が考えられる。血漿タンパク質における糖鎖の役割としては、シアル酸残基がプロテアーゼなどの種々の加水分解酵素に対する保護作用を持つことや、続いて露出するガラクトース残基がアシアロ糖タンパク質受容体によるクリアランスマーカーとしての役割が考えられてきたが、血液型糖鎖が中性の保護基として機能する可能性が示され、VWFを通して血液型糖鎖の新たな役割の解明が期待される。
著者
塚原 修一 濱名 篤
出版者
関西国際大学教育総合研究所
雑誌
教育総合研究叢書 = Studies on education (ISSN:18829937)
巻号頁・発行日
no.14, pp.1-14, 2021-03

米国の成果志向型教育についてテキサス値頃学位課程を事例として調査した。最初に開発された組織統率コースは,学士号をもつ中間管理職を求める地域の人材需要と,大学中退者や技術系準学士が学士号を取得して昇進・昇給をめざす社会人の教育需要を結合した新機軸である。学修成果目標(コンピテンス)の抽出,1学期を7週間とした教育課程,遠隔教育科目の設計,学習指導員(コーチ)による学修支援と学習管理システム,学修成果のオンライン評価,安価な学費の設定などに特色がある。こうした教育の内容と方法は,日本における社会人向け高等教育とともに,ウイズコロナないしポストコロナの大学教育にも多くの示唆を与える。
著者
永山 庸男
雑誌
環境と経営 : 静岡産業大学論集 = Environment and management : journal of Shizuoka Sangyo University
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.57-74, 2021-06-01

2021(令和3)年2月26日付けで公布となった大学設置基準等の改正省令等の中核に据えられた「大学等連携推進法人認定制度」によって、これから展開される日本の大学のリストラクチャリングの概要を説き、その制度の活用のもとでの静岡産業大学の存続性を試行的に検討している。この際、ルース・カップリングとダイナミック・ケイパビリティの概念を基本的視座に据えている。
著者
難波 文男
出版者
光琳
雑誌
食品工業 (ISSN:05598990)
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.35-43, 2008-05-30
被引用文献数
1