出版者
VdH Books
巻号頁・発行日
2009
著者
相良 英明
出版者
日本比較文学会
雑誌
比較文学 (ISSN:04408039)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.40-50, 1977-12-25 (Released:2017-06-17)

Sōseki Natsumé (1867-1916) was a great novelist in the 20th century Japan, practically contemporaneous with Joseph Conrad (1857-1924). His views on Conrad’s early stories and sea novels are found in his essays, notebooks and marginal notes, and two of his novels show some evidences of the influences of Conrad. According to Soseki’s notebook, he read “Typhoon” presumably in spring or summer in 1906, and made a comment in it; “Literature of man’s will— cf. Typhoon”. And he wrote The 210th Day (i.e. the stormy day of typhoon), a story of will, in September of the same year. Its plot resembles that of “Typhoon”, the heroes facing a storm bravely, though not at sea but on the mountain. Also Soseki’s descriptions of the storm and scenes remind us strongly of Conrad’s. Soseki’s The Miner written in 1908 also resembles, in the theme and construction, Conrad’s “Heart of Darkness”. Between them, there are remarkable parallels in the pilgrimage of the narrator into the heart of darkness. Yet, what is really more significant may be that Soseki and Conrad had much in common in their personality, problem of ego, dualistic view of the world, and way how to live. Though in the later years, their ways as writers were different.
著者
今村 薫 斎藤 成也 石井 智美 星野 仏方 風戸 真理 Nurtazin Sabir Azim Baibagyssov
出版者
名古屋学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

世界には、おもにモンゴルに分布するフタコブラクダとアラビア半島からサハラ砂漠に分布するヒトコブラクダの2種の家畜ラクダがいる。これらは別種だが、カザフスタンでは昔から目的に応じて2種の交配が行われてきた。近年は、乳量の多いヒトコブラクダと、寒さに強くてカザフスタンの気候に適したフタコブラクダを交配させたハイブリッドの作出が盛んになってきている。そこで、ラクダの動物としての特性をDNA、生態、行動の点から解明すると同時に、ラクダを人間がどのように利用してきたか、その相互交渉の歴史と現状についての研究を進めた。
著者
マー マシュー
出版者
大阪府立大学大学院人間社会システム科学研究科
雑誌
空間・社会・地理思想 = Space, society and geographical thought (ISSN:13423282)
巻号頁・発行日
no.21, pp.3-14, 2018

近年の大阪市の釜ヶ崎(西成区のあいりん地区)は、再開発計画や地域の変化が生じており、おそらく日本の現代都市の中でもっとも突出したジェントリフィケーションの実例のひとつと思われる。当該地区を管轄する自治体は、日本の最大の貧困、ホームレスネス、福祉受給、結核が集中した地域を子供連れの家族や観光のための地域に変えることを目指す、西成特区構想という集中的な再開発プロジェクトを実施している。同時に、西成区はボトムアップのまちづくりにおいて、コミュニティの多様かつ反対の意見を取り入れることに熱心に取り組んできた。しかし、町内会、非営利団体、労働組合、政府機関、研究機関などの代表の声が中心となっており、日雇労働者、福祉受給者、公共空間での生活をしている者の声は、このプロセスではほとんどが聞き取られてこなかった。本稿では、これらの声に焦点をあて、釜ヶ崎住民の住まいの状況の(不)安定が西成特区構想に対する認識にどのような影響を及ぼしているのかを探るため、エスノグラフィーによるフィールドワークを取り上げる。西成特区構想が地域で公然と議論され始めた2014年の8月と9月に行われた、釜ヶ崎に住む18人の男性の質的なインタビューのデータを利用する。彼らの幅広い生活史やホームレス状態、福祉受給、雇用、日常生活などの経験の文脈を考察して、インタビューで語った西成特区構想や地域変化に対する見解を分析する。釜ヶ崎における再開発に対する住民の見解が住まいの状況によって異なると主張したい。ホームレス状態(シェルターや公共空間で寝泊まりすること)にある人々は、西成特区構想を現在と将来の生活の安心に対する脅威として経験していることが多い。主に福祉でサポーティブハウジングのような安定した住まいの状況にある人々は、それに反し、露天商や不法投棄の排除と防犯カメラの増加を日常生活の中での安全性と美化の促進と捉え好意的に見ていた。しかし、行政による福祉や年金の縮小の恐れが彼らの安心感を揺るがしたと言える。本稿では、彼らがインタビューで表現したこの不安を存在論的安心感(ontological security)に対する脅威として分析する。存在論的安心感は日常生活、将来、アイデンティティーに対するコントロールの主観的感覚である。存在論的安心感は健康、精神健康、社会参加、集団的な効力感を促進する。歴史的に行政の対応が不十分で、一般社会からスティグマがついた地域の再開発では、住民の不安は避けられないものかもしれない。しかし、本稿では、分析を通して住民の地域改善へのさらなる参加を促すいくつかのアプローチを提案したい。これからの社会科学研究は、様々な住まいの状況におかれている住民に対する再開発の影響を理解するために、多様な方法を用いる必要がある。……
著者
安田 元樹 田中 文英
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.4O2OS3b01, 2018 (Released:2018-07-30)

社会的相互作用において人が無意識に他者のしぐさや癖、振る舞いを模倣し、また模倣された人は模倣した人に対して良印象や好感を持つことをカメレオン効果と呼ぶ。先行研究において、相手の発話をそのまま繰り返し発話する模倣によって、被模倣者に好印象を与えるカメレオン効果が得られたと報告されている。しかし、このような言語模倣が常に好印象を与えるとは限らないと我々は考える。また、この常に好印象につながるとは限らない模倣要素について調査された研究はない。 そこで本研究は、常に好印象につながるとは限らないと予想される模倣要素を調査することを目的とする。本稿では口癖に着目して、話者の発話をそのまま繰り返して模倣するロボットを模倣条件、話者の発話をそのまま繰り返して模倣しながら話者の口癖を強調するロボットを強調模倣条件とし、この2つの条件間のロボットに対して話者が抱いた印象の違いを調査した。 結果として模倣条件と強調模倣条件に有意な差は見られなかったが、口癖の強調は好印象につながらない可能性が示唆された。
著者
尾崎 泰弘
出版者
日本アーカイブズ学会
雑誌
アーカイブズ学研究 (ISSN:1349578X)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.60-82, 2008-11-10 (Released:2020-02-01)

写真を豊かに活用していくためには、文書などと同様コンテクスト情報が重要である。特にこれまで意識されていなかった撮影の目的・動機や、写真撮影技術が写真師にほぼ独占されていた時代においては、撮影依頼者にも注目していく必要がある。しかし、歴史的な価値が高く地域史料として収集されている台紙付写真においては、これらの情報は伝存の過程で失われていることが多い。そこでその撮影年代を復元するために、写真台紙を史料学的に分析し、その特徴と撮影年代との関係を明らかにした。今後、このデータをより精緻にしていくためには、史料保存機関で写真台紙のデータを共有化していくことが必要である。そのための共通の基盤として写真史料学が今求められている。
著者
馬 欣欣 岩﨑 一郎
出版者
日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
アジア経済 (ISSN:00022942)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.2-38, 2019

<p>共産党一党独裁制を維持する中国では,共産党員資格が,その保持者に賃金プレミアムをもたらすと論じられている。しかし,党員資格の賃金効果は,経済理論的に決して明確ではなく,その上,実証研究の成果も,肯定説と否定説が混在している。本稿は,先行研究のエビデンスの統合を介して,党員資格が賃金水準に及ぼす真の効果の特定を試みる。既存研究30点から抽出した332推定結果のメタ統合は,低位の水準ながらも,正の党員資格賃金効果の存在を示した。この結果は,公表バイアス及び真の効果の有無に関する検証結果によっても支持された。さらに文献間異質性のメタ回帰分析は,調査対象企業の所有形態,サーベイデータの種別,賃金変数の補足範囲や定義,推定期間及び推定量や制御変数の選択が,既存研究の実証成果に体系的な差異を生み出している可能性を強く示唆した。</p>