著者
堀江 竜弥
出版者
仙台大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

平成28年度より継続してリハビリテーションプログラムと介入症例が確保できる施設について検討した。リハビリテーションプログラムに関しては、維持期における機能訓練が主体となり排尿動作につながるプログラムの構築に関する文献を検討したが見当らなかった。よって、新たにプログラム作成を検討しなければならないが、排尿習慣化訓練に加えて、骨盤底筋体操を組み入れたプログラム、なおかつ臥位および座位で実施可能なが有益であると考えている。これにより頻尿や過活動膀胱といった下部尿路症状の軽減につながるのではないかと考えた。しかし、脳卒中に高頻度で確認される切迫性尿失禁についての効果については不明確であるため、症状に応じた介入プログラムを検討する必要がある。これはプログラムすべてに組み入れるべきか、症状に応じ個別性を重視したものが有益なのかも含めて検討が必要と考えた。これまで、既存の排尿支援方法に関する文献収集を行い、プログラムに関しての情報収集を行っているが、欧米をはじめ諸外国で取り組まれてる実践例を踏まえ、有効な方法について検討している。介入症例の確保できる施設の検討であるが、交渉している医療機関からの明確な承認が得られていない現状にある。排尿支援の重要性を伝えながら少数例でも確保できるような交渉、および介護保険施設での介入が可能かどうか、引き続き検討していく予定である。
著者
折茂 慎一
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究は、制御ミリングプロセスにより炭素系材料(特にグラファイト)に対して高濃度の欠陥構造を導入し、水素を高効率で貯蔵・輸送するための新規な炭素系材料の設計指針を得ることを目的とする。これまで得られた研究成果(即ち、欠陥構造の導入過程では高密度の刃状転位が観察できるとともにσ^*結合の減衰などの電子構造変調も確認できたこと、この欠陥構造の発達に伴って水素貯蔵機能が増大してCH_<0.95>にも達すること、さらには「弱い化学吸着状態」も含めた少なくとも2種類の水素貯蔵サイトがあること、など)をもとにして、さらに詳細かつ実用性を視野に入れた研究も進めた。その結果、水素放出特性を調べるための昇温脱離質量数分析では、水素の放出反応が600K及び950Kから始まるふたつのピークをもって進行することが解明された。重要な知見は、この第1ピークがカーボンナノチューブに代表される毛細管(キャピラリー)を有した炭素系材料からの水素放出と同様の温度である、ということである。第2ピークは、試料の再結晶化に関係していることも見出された。すなわち、この第2ピークの温度以下では、試料中には水素貯蔵に適した欠陥構造が維持されていると考えられる。また、グラファイト以外の類似の物質系として六方晶窒化ホウ素(h-BN)を選定したところ、最大水素量はグラファイトの場合の約35%にとどまるなど、水素貯蔵機能が「局所」電子構造の相違に起因することなども新たに判明した。これら成果は、次世代水素貯蔵媒体としての新規な炭素系材料を開発するための設計指針として、国内外で注目されている。
著者
武田 将明
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

十八世紀イギリスの小説では作者が自らの姿を隠すことでリアリティを演出していた。しかし十九世紀には作者が作品の主権者として振舞うことが社会的に許容されるようになる。ところが二十世紀に入ると、主権者としての政治的な作者だけではなく、身体をもった自然的な作者もまた小説の前面に現れるようになる。本研究は、作者の身体の表象に注目して近代小説、とりわけ18世紀のイギリス小説の特徴を再検討することにより、イギリス近代小説史と小説の起源をめぐる研究に新たな局面を切り開くことを目指した。
著者
丸山 智
出版者
新潟大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

唾液腺多形性腺腫の間質表現は多彩であるが、乏血管性であることも特徴である。したがって間質をふくめて多形性腺腫組織は低酸素状態であるという仮説をたて、これを証明するために多形性腺腫由来細胞の増殖における低酸素依存性を試験管内で検討した。その結果、多形性腺腫由来細胞では、低酸素下でのHIF-1α蛋白質の高発現およびVHL遺伝子・蛋白質の低発現によりHIF-1αの分解抑制機構がはたらいており、低酸素状態で核移行したHIF-1αによりVEGFの高発現レベルを維持されることが示された。試験管内でえられた以上の結果は、ヌードマウス移植腫瘍組織・ヒト多形性腺腫組織手術材料の生体組織でも追認され、ヌードマウス背部皮下移植腫瘍内酸素分圧は周囲皮下組織に比して有意に低いことも確認された。以上の機序によって、低酸素環境で増殖さらには転移形質が誘導されている可能性が示唆された。
著者
山本 富士男
出版者
神奈川工科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は、近年のWeb サービスの基盤となっている分散オブジェクト技術、データベース、オブジェクト共有空間等のソフトウェア技術と、短距離無線通信やセンサ/アクチュエータを用いるフィジカルコンピューティング関連技術に関して、学習者がそれらを連携させ、興味を持って修得できるようにすることにある。具体的には、(1)現実感のある魅力的なプログラミング課題の考察を行い、(2)それらのスマートフォンや分散プログラミング環境での解決、実装例を多数示し、(3)今後の分散アプリケーション開発のための、学習者の環境や要求に応じた適切な連携手段と情報を明らかにした。
著者
中邑 賢龍 坂井 聡 苅田 知則 近藤 武夫 高橋 麻衣子 武長 龍樹 平林 ルミ
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、デジタルペンを用いて小学生の読み書きデータを取得し、読み書き速度の標準データを明らかにした。同時に、書字プロセスを時系列的に分析する事で、書き困難を3つのタイプに分類することが出来た。それぞれの困難さに対応した支援技術は即効的であった。支援技術を早期から導入する事で学習の遅れを防ぐ事が出来ると考えられ、その利用を前提にした教育が必要である。
著者
伊藤 浩史 長沼 誠二 片岡 寛章 喜多村 直実
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

頭頚部扁平上皮癌培養細胞株においてHGF刺激前後で発現が変化する種々の遺伝子を制御しているmicroRNAとして上皮間葉系移行(EMT)に関与するZEB1をターゲットとするmiR-200cと、癌細胞の浸潤や増殖因子の活性化に関わるST-14/matriptaseをターゲットとするmiR-27bを同定した。また前立腺癌でGleason score別に癌細胞を分取することによって、生検時のGleason分類ではHigh riskかIntermediate riskか判定困難な症例で、miRNA-182が予後診断マーカーとして有用であることを明らかにした。
著者
森下 將史 高木 丈夫
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

グラファイト上吸着ヘリウム3薄膜吸着第1原子層の固相は2次元量子スピン系のモデル物質を与える。この系の磁性は多体交換相互作用の競合により支配されるが、その詳細は不明であった。本研究では、吸着ポテンシャルのcorrugationが重要な役割を演じていると考え、経路積分モンテカルロシミュレーションによる吸着エネルギーの計算に基づいて吸着構造相図を求めた。最も低面密度の固相である√<3>×√<3>相から面密度の増大に伴い、striped domain wall構造、honeycomb domain wall構造、honeycomb cage構造、incommensurate構造へと、2次構造相転移により次々と移行する。この吸着構造相図は、様々な実験事実を定性的にではあるが、非常によく説明できるものである。特に、最大の謎であった、突然の反強磁性-強磁性転移は、commensurate構造からincommensurate構造へのC-IC転移による多体交換相互作用の競合の変化の結果として説明される。一方、この系の比熱を交換相互作用の大きさと同じの100μK程度の低温まで測定し、広い面密度領域に渡り、2桁以上の広い温度範囲でほぼ温度に反比例する依存性を観測した。局在スピン系の高温比熱は温度の自乗に反比例することが期待され、観測された比熱は異常なものである。この異常なべきの正常値からのずれは、多体交換相互作用の競合の強さを反映したfrustration parameterであると考えられる。観測された比熱のべきは複雑な面密度依存性を示すが、これも本研究により提案された構造相図により説明できる。また、√<3>×√<3>相より低面密度領域で競合が弱まること、流体相の比熱の寄与は観測されず、spin polaronの比熱と考えられるbumpが観測されたことは、これまで直接的証拠が得られていない零点空孔子の存在を強く示唆する。
著者
中村 輝石
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

到来方向に感度を持つ暗黒物質探索実験において、新しい出器NEWAGE-0.3b'開発・生能評価を行ったのちに神岡地下で探索実験を行った。この検出器は、2010年に行われた前回の測定時に比べると次のような改良が施されている。①角度分解能と標的質量から最適化されたドリフト長40㎝とμ-prcを完全に覆うことができるGEMを用いて2倍の体積がある。②低圧ガスを用いることでより短い飛跡に関しての角度分解能を定義できることにより、エネルギー閾値が100keVから50keVに低減している。③新しいデータ取得システムの導入により、飛跡の形状が持つエネルギー損失の情報を用いてガンマ線バックグラウンド事象を効果的に除去できる。④冷却活性炭を用いたガス循環システムと検出器内のドリフトケージを低バックグラウンド素材であるPEEKに置き換えることでバックグラウンド源であるラドンの量を1/50以下に低下できる。2013年の7月から11月にかけて0.327㎏・daysの測定を行い、その間安定性を確認するために定期的にエネルギー校正や検出効率の測定を行った。測定の結果、200GeV/c2の質量の暗黒物質に対して577pbのSD散乱断面積の上限を得た。これは、前回測定時より約10倍感度が高く、方向に感度を持つ実験における世界最高感度を更新した。また、Geant4のシミュレーションを用いて残存バックグラウンド事象について詳細な調査を行い、画像検出器として用いているμ-PICの絶縁体部に含まれる放射性不純物の寄与が大きいことを突き止めた。今後、低バックグラウンドμ-PICの開発が進むとさらに10倍の感度向上が見込まれ、DAMAの主張する領域の探索が可能となる見通しを作った。
著者
鈴木 研
出版者
東北大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

三次元半導体実装用金属バンプに用いられる銅はヤング率が結晶方位によって異なる材料である.本研究では,実装構造内残留応力低減のため,ヤング率が最も低い(100)面に配向した銅バンプ作製を可能とするめっき条件,下地材料の探索を行った.(001)面配向のβ-Taバリア層上に銅シード層を形成しめっき成膜した銅薄膜で(100)面配向の増加を確認した.このめっき銅薄膜のヤング率をナノインデンテーション試験により評価したところ,(111)面配向単結晶銅より約20 GPaも小さいヤング率(平均127 GPa)を得た.以上より,結晶方位を制御しためっき銅バンプの作製による低ヤング率化の実現可能性を実証した.
著者
小保方 潤一
出版者
京都府立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

藻類を摂食するウミウシの中には、個体や卵の中で、藻類のmRNA配列に由来するcDNAが見いだされる場合がある。しかし、この特異な遺伝子水平転移の機構は分かっていない。一方、最近、蛍光発色団に結合するアプタマー配列を用いてRNA分子を蛍光標識する手法が開発された。本研究では、このRNA標識技術を用いて、藻類のRNA配列が捕食者中でどのように挙動するのかを検出する新規実験手法の開発にチャレンジした。研究期間の大半は、植物体中でのRNA蛍光標識法の開発に費やしたが、得られた蛍光強度は水平転移を検出するには不充分だった。現在引き続き、RNAの蛍光強度を高めるための検討を進めている。
著者
上岡 克己
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究「レイチェル・カーソンと緑の伝統」は『沈黙の春』(1962)出版により人々の世界観や自然観を一変させ、その後の環境保護運動に大きな影響を与えたアメリカの作家レイチェル・カーソン(1907-64)について、ネイチャーライティングの視点から考察しようとする試みである。 カーソン研究はもっぱら彼女の代表作『沈黙の春』を中心に論じられ、しかもそのアプローチは化学物質の危険性といったような、きわめて理系的発想で行われてきた。しかしながら「環境」そのものが私たちの生活や生き方と密接に関連している以上、理系的方法論には限界がある。「環境の問題」は、究極的に「人間の問題」、「文化や文明の問題」である。本研究では、例えば『沈黙の春』は殺虫剤や除草剤汚染を告発した書というよりは、私たち人類の生き方や文明を問い直す書として捉えていきたい。そこに文学研究の意義があると思う。本研究は、彼女の著作に英米の緑の伝統(ネイチャーライティングが持つ文学性、自然保護思想、エコロジー思想、自然教育)を認め、2年間の研究期間内で主にカーソンとネイチャーライティングの系譜について考察し、成果として共編著書『レイチェル・カーソン』(ミネルヴァ書房、2007)と論文「カーソンが愛した作家ヘンリー・ベストン」(『国際社会文化研究』8号、2008)に結実した。
著者
遠藤 泰生 中野 勝郎 増井 志津代 荒木 純子 松原 宏之 橋川 健竜 肥後本 芳男 佐々木 弘通 森 丈夫 中野 由美子 久田 由佳子 金井 光太朗 CHAPLIN joyce CAPOZZOLA christopher GOODMAN david JAFFEE david HALL david
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

「公民的要素」「政治的要素」「社会的要素」他の要素に市民権を分別しその成長を直線的に理解することに西欧の市民社会理解は特徴付けられる。しかし、19世紀前半のアメリカ合衆国における市民編成原理の歴史を理解するには、そのような枠組みは図式的すぎる。19世紀前半の合衆国における市民編成原理の追求は、領土の拡大と不断の移民の受け入れ、消費革命の浸透、奴隷制度の是非をめぐる論争などの問題に直面しながら行われた。本研究ではその歴史を、手稿請願、読書習慣、教会説教、大西洋世界における図像リテラシー他を媒体とする非公式の政治行為に携わる市民をも包摂する、巨視的視野から検討する。
著者
井ノ口 淳三
出版者
追手門学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

チェコ、ドイツ、オランダなどヨーロッパ各地の図書館で文献調査を行い、『世界図絵』の様々な異版本を閲覧した。『世界図絵』の挿絵が初めてカラーで印刷された1883年版の特徴を明らかにしたことも重要な成果であるが、とりわけ「第3章 天空」の挿絵が1658年に発行された初版では、回転するものであったことを確認できたことは、きわめて大きな成果である。その結果『世界図絵』が世界で最初の挿絵入り教科書であるということにとどまらず、世界で最初の手でさわって動かせることのできる教材であることを明確に指摘することができた。
著者
洪 性俊
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究では,慢性化している都市高速道路渋滞の緩和対策として,交通状況に応じてJCT合流部の車線数を動的に変更する動的可変チャンネリゼーションを提案し,交通シミュレーションを利用したその効果の評価手法の提案,首都高速道路ネットワークを対象としたケーススタディ,ドライビングシミュレータを利用した実験によるその安全性の評価,動的可変チャンネリゼーションの実用化に向けた課題の整理を行った.
著者
亀谷 義浩
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

既存の螺旋スロープに点字ブロックを敷設し、視覚障害者(全盲者)とアイマスクをした健常者を被験者として、螺旋スロープの空間把握や探索行動の調査をした。結果、点字ブロックは、周回数の把握において役立つが、方向の把握においては効果が低いことがわかった。点字ブロックの敷設は、1/4周毎とし1カ所あたりに2枚が最適と結論付けられた。ただし、点字ブロック以外の手がかりも同時に複数必要であると考えられた。また、全盲者は、周回数から方向を割り出そうとする傾向はなく、音や歩いた感覚等によって方向の把握をする傾向があった。
著者
内山 繁樹 塚田 尚子 若狭 紅子 池邉 敏子 塚田 尚子
出版者
横浜市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

EBP プログラムである IMR(Illness Management and Recovery:疾病自己管理とリカバリー)と FPE(Family Psycho Education:家族心理教育)を並行して実施することで,家族間の負担感の軽減や自己効力感など相補的・相乗的な効果を実証的に示すことを目的とし,当事者とその家族を対象に介入を行った。 リカバリーゴールの達成に向けて前向きな行動変容が見られることで QOL の改善傾向や再発予防として示唆された。また,家族はエネルギーの使い方が減少し,体験の共感や苦労の分かち合いから心理的サポートの実感が得られていた。
著者
井上 櫻子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

18世紀後半のフランスで発達した描写詩は、自然の事物のさまざまな姿と自然の中に生きる人間の多様な情緒的経験を歌うものである。本研究は、描写詩における自然描写の変容に博物学的著作がどのように影響を与えているか明らかにした。さらに、描写詩、とりわけサン=ランベールの人間論とルソーやディドロの著作、さらには『百科全書』との関連性についても検討した。そして、長い間等閑視されてきた描写詩というジャンルを再評価する必要性を強調した。
著者
綾部 園子 平方 千裕
出版者
高崎健康福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

喫食者の咀嚼・嚥下機能に対応した粥を提供するために、各種副材料を添加した粥の性状とその変化を検討した。粥は、米・水・添加材料を加えて95℃60分真空調理した。10%粥は嚥下困難者用食品の許可基準に近く、ゼラチン、および一部のとろみ調整食品の添加は、遊離水分量、物性の変化を減じ、介護食用粥に適することが示唆された。冷凍保存後に解凍した粥の性状は、保存前の状態を保持していた。
著者
田地野 彰 寺内 一 飯島 優雅 高橋 幸 金丸 敏幸
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究では、大学生の英語学術論文作成技能の向上を図るため、インストラクショナルデザインの手法を用いて、大学の全学共通英語教育におけるアカデミックライティングコースの設計を行った。コース設計は、(1)評価指標の構築、(2)課題、教材、評価方法、フィードバック方法の開発及び効果の検証、(3)自律学習支援ツールの開発、の手順で行った。(1)では各種資料から評価項目のデータベースを作成し、記述型・段階尺度型の指標を構築した。(2)では主に技能統合型タスクを開発するとともに、英文産出の質的な向上をもたらすフィードバック方法を調査した。(3)ではムーブ分析結果に基づいて英語論文表現データベースを構築した。