著者
友田 明美
出版者
特定非営利活動法人和歌山子どもの虐待防止協会
雑誌
ビッグ愛りいぶる会議室A
巻号頁・発行日
pp.1-9, 2011-06-19

私は1987小児発達学講座に入局し、すぐに鹿児島市立病院に研修医として赴任しました。救命救急センターで働いていたある晩、3歳の男の子が瀕死の状態で運ばれてきました。親からの虐待を受けて脳内出血を起こしており、身体には火傷の痕がたくさんありました。3日間集中治療室で不眠不休で頑張ったのですが亡くなってしまいました。今でもあの子が助かってくれていたら、と思います。その子との出会いは非常にインパクトの強いものでした。その後、熊本市民病院の新生児医療センター、北九州市立総合療育センターを経て熊本大学に戻り小児神経学を勉強してきましたが、2003年に思い切って二人の子どもを連れてボストンのハーバード大学に留学し、子ども虐待ストレスが脳へおよぼす影響を研究しました。研究はその数年間では終わらず、ライフワークになりました。 虐待は死に至らなくても深刻な影響、後遺症を子どもに残します。脳に変化が起きてしまうという点からも、やはり虐待を防止しなければなりません。
著者
小林 大地
出版者
新潟大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

「良薬は口に苦し」は孔子が残した言葉であり、古くから人々は苦い薬には良い治療効果があると信じてきた。一方、医療現場において患者は薬の苦味を不快に感じ、苦味が原因で患者が服薬を中断することがあり、近年の大きな問題の一つとされている。このため、苦味成分が治療に有効であることを科学的に証明し、社会的な理解を得ることは苦味による服薬の中断を予防することにつながる。本研究では苦味物質が抗炎症作用を有することを種々の苦味物質および、苦味受容体欠損細胞を用いて解析を行い、苦味による治療効果の可能性を追求する。

2 0 0 0 OA 教行信証講義

著者
山辺習学, 赤沼智善 著
出版者
無我山房
巻号頁・発行日
vol.第2巻, 1916
著者
土屋 礼子
出版者
日本マス・コミュニケーション学会
雑誌
新聞学評論 (ISSN:04886550)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.184-199,317-31, 1992-05-20 (Released:2017-10-06)

Following the publication of major newspapers addressed to the intelligentsia, there emerged a number of popular papers which were mainly directed toward the general public by the extensive use of furikana on the Chinese characters. These popular papers were relatively cheap and widely read, added an entertainment aspect to other papers, and functioned as a means of developing a new style of written Japanese. The ultimate objective of the present study is to clarify the development process of the new style of the language adopted by three representative popular papers, Yomiuri Shinbun, Tokyo Eiri Shinbun and Kanayomi Shinbun, during the period from 1875 to 1880. For this purpose, this study attempts to identify the nature and characteristics of regular readers by analyzing 8,352 letters from approximately 3,700 readers. Major findings of the present study are as follows: (1) Nearly half the letters were in fact contributed from regular readers, who accounted for a small proportion of the public. However, more than 70 percent of the contributors were residents of Tokyo, especially from the downtown sections of Asakusa, Nihonbashi, Fukagawa, and Shitaya. Of the 59 contributors for whom details could be ascertained, 57 were male and about half were merchants while the other half were of samurai origin and now professionally engaged in journalism or public service. (2) Regular contributors formed an informal support group for these papers and often gathered at the publisher in order to have direct communication. Their letters functioned as a source of news for other readers. More importantly, the conversation within the group was often directly written up as letters, thus preparing the way for the formation of a new style of written Japanese language.
著者
土井 敏男 野田 亜矢子 濱 夏樹
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.601-602, 2008-12-20 (Released:2012-09-15)
参考文献数
7

Histological specimens of the tissue of a red-spotted grouper Epinephelus akaara infected by Lernaeenicus ramosus were observed. The muscle of the host was inflammated around the intruding head horn of the parasite, resulting in granuloma. Another host,parasitized by three copepods on the dorsal trunk, recovered spontaneously in captivity over a period of six months without any treatment.
著者
李 志炯
出版者
筑波大学
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.51(146)-72(125), 2001

はじめに 島崎藤村の『新生』は、従来、〈告白〉文学として扱われることが多かった。その理由は、藤村が、姪こま子との近親相姦の関係をこの作品によって公表した、と読者が受け取ってきたからに他ならない。 ...
著者
山口 拓史
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.86, no.1, pp.41-51, 2019 (Released:2019-10-12)
参考文献数
20
著者
新谷 恭明
出版者
西南女学院大学
雑誌
西南女学院大学紀要 = Bulletin of Seinan Jo Gakuin University (ISSN:13426354)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.39-50, 2017-03-01

被差別部落は近世の「かわた」村を継承する身分差別であるというより、所謂解放令以降の歴史的経緯の中で近代に特有の被差別地域が構造的に生み出されたものが近代以降の部落差別である。それが近世と異なった形で具体的に現れるのは「スラム化」である。その「スラム化」された地域を呼称する「特殊部落」という用語が定着するのが明治40 年頃と説明される。そして「スラム化」を食い止めようとしたのが部落改善運動であった。福岡県教育会に於いて被差別部落の子どもたちに対する教育の必要性は提起されてはいたが、おりしも日露戦争後の地方改良運動に歩調を合わせるかのように宗像郡福間町の小学校による部落改善の活動が『福岡県教育会々報』誌上に掲載された。そしてこれがこの時期における唯一の報告であり、部落改善運動の実際を知る希少な史料であると言えよう。本稿ではこの報告書を翻刻し、解説を試みたい。
著者
井上 智之 辻 義輝 藤田 聡美 吉村 直人 兵頭 正浩 高橋 博愛 初村 和樹
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Cb0509, 2012 (Released:2012-08-10)

【目的】 肩関節周囲炎は肩関節周囲組織の退行性変化を基盤とし、主に肩甲上腕関節の可動域制限をきたす疾患である。退行性変化の一つとして肩甲骨の可動性低下があげられるが、肩関節周囲炎発症後の肩甲骨の動きは代償動作が強く、本来の退行性による可動性の変化は見出せないことが多い。そこで今回、肩関節に疾患のない20歳代と50歳代の肩甲骨の動きを比較し、可動性の退行性変化を検証することで今後の理学療法に役立てようと考えた。【方法】 対象は肩関節に既往のない20歳代男性10名(平均年齢24.5±1.69)、50歳代男性10名(平均年齢54.8±2.14)、利き肩20肩を対象とした。測定方法は、被検者に端坐位にて利き肩上肢のみの安静坐位、屈曲90°、最大挙上、外転の肢位をとらせた。肢位は日本整形外科学会の関節可動域測定法に基づいて実施。肩甲棘三角、肩峰後角、肩甲骨下角、上腕骨内側上顆、上腕骨外側上顆にランドマークをつけ、各々の肢位で前額面、矢状面、水平面からデジタルカメラにて撮影し、画像処理ソフトImageJを用いて肩甲骨傾斜角度、移動角度量(各動作肢位時肩甲骨傾斜角度-安静時肩甲骨傾斜角度)を算出した。20歳代と50歳代の各肢位における肩甲骨傾斜角度と移動角度量をJSTAT for Windowsを使用し統計処理を行い、危険率5%未満で有意として比較検討した。【説明と同意】 対象者に本研究の趣旨を説明し、同意を得た上で行った。【結果】 1.肩甲骨傾斜角度について安静坐位での前額面にて20歳代7.2±7.4°、50歳代16.2±6.5°であり有意な肩甲骨の上方回旋を認めた。最大挙上・外転での矢状面にて、最大挙上:20歳代41.5±11.3°、50歳代26.0±9.1°であり有意な肩甲骨の後傾角度低下を認めた。外転:20歳代7.9±11.5°、50歳代-4.9±6.7°であり有意な肩甲骨前傾が認められた。2.肩甲骨移動角度量について 屈曲90°での前額面にて20歳代16.8±5.7°、50歳代10.3±4.7°。最大挙上での前額面にて20歳代45.6±9.4°、50歳代33.5±7.7°、矢状面にて20歳代52.9±10.7°、50歳代39.1±9.3°。外転での前額面にて20歳代32.2±7.9°、50歳代20.3±4.7°、矢状面にて20歳代19.4±13.0°、50歳代8.2±5.7°。屈曲90°・最大挙上・外転の肢位において有意に50歳代の肩甲骨移動量の低下を認めた。【考察】 結果より、肩甲骨傾斜角度については、退行性変化として肩甲骨が上方回旋位となることが認められた。これは加齢に伴う胸郭の変化や肩甲骨上方回旋に関与する筋の緊張が優位となっていることが考えられる。また肩甲骨移動角度量については、屈曲90°、最大挙上、外転ともに上方回旋の可動性低下、最大挙上、外転においては後傾の可動性低下が認められており、これは肩甲上腕リズムにおいて、肩甲上腕関節による肩関節運動が優位になっていることが考えられる。特に外転においては、20歳代では肩甲骨が後傾しているのに対し、50歳代では前傾している対象者が多く、これは外転時の肩峰下でのストレスが強くなることが考えられる。今回の結果より、肩甲骨の上方回旋・後傾の可動性に着目することで、肩関節周囲炎の治療や予防につながると考えられた。【理学療法学研究としての意義】 肩関節周囲炎は肩甲骨の可動性や協調性が低下することが引き金となり、結果として肩甲上腕関節の疼痛や可動域制限をきたす可能性は以前より言われている。退行性変化を考慮して理学療法を行うことで、肩関節周囲炎に対する理学療法の新たな展開につながり、早期回復の達成、より効果的な予防治療の実現に寄与すると考えられる。