著者
中村 剛 内田 臣一
出版者
愛知工業大学
雑誌
愛知工業大学研究報告. B, 専門関係論文集 (ISSN:03870812)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.127-134, 2003-03-31

Amounts of the gravel transport during a flood in September 2000 were estimated in the upper and middle reaches of the Yahagi River, central Honshu, Japan, from the change of sediment deposition n 5 reservoirs on the main stem, and from the observation of particle size of the sediments. The estimated amounts at influxes into the reservoirs are 17,000, 3,200, 41,000, 400, and 460,000 m^3 respectively from lower to upper reservoirs, and each amount deposited probably all in the reservoir. The transport below the lowest reservoir was also estimated at 5,000 m^3 by the change of riverbed cross sections. These amounts of gravel transport tend to be negatively correlated to the biomass of benthic invertebrates and the richness of riparian vegetation after the flood; i.e., a mass of gravel transport above the uppermost reservoir greatly destroyed the riparian vegetation and the benthic invertebrates, especially net-spinning caddis larvae, whereas both were well preserved even after the flood in the middle reaches. The amounts are positively correlated to the sediment yield in the tributaries estimated by previous studies. It suggests that the gravel transport in the main stem of the Yahagi River depends on the sediments from tributaries because the transport through the main stem is interrupted by the reservoirs.
著者
北野 幸彦
出版者
特定非営利活動法人 横断型基幹科学技術研究団体連合
雑誌
横幹 (ISSN:18817610)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.86-89, 2015

Panasonic's robot new business development group has challenged to develop some newproducts for hospital and eventually succeeded to launch innovative products to fit to hospital's'Wants.' Main strategy for needs-finding in hospital was to apply the know-how to improve productivityin working places of Panasonic as a manufacturing company such as problem breaking downfrom view of hospital management or observation per immersion into hospital's working places.
著者
木原 俊行 島田 希 寺嶋 浩介
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.167-179, 2015

本研究は,学校における実践研究の発展要因の構造に関するモデルを開発することを目的とするものである.そのために,4つの小中学校を対象として,研究推進リーダーを務めた教師に,実践研究の詳細について,聞き取り調査を実施した.得られたデータを,「専門的な学習共同体」の発展要因に関する先行知見を参照して整理し,また4校間で比較して,学校における実践研究の発展を促す要因の構造を暫定的にモデル化した.次いで,モデルの信頼性を検証するために,あらたに別の3つの小学校を対象として,研究推進リーダーを務めた教師に,同様の聞き取り調査を実施した.得られたデータを,再度「専門的な学習共同体」の発展に関する知見を用いて分析し,3校間で比較して共通項を導き出した.そして,それらとモデルの整合性を分析して,その信頼性を確認した.また,一部の要因を加えて,要因間の順序性や関係性を考慮し,モデルを精緻化した.
著者
永谷 圭司 大木 健 Britton Nathan 佐藤 毅一 野寄 敬博 高橋 悠輔 山内 元貴 秋山 健 吉田 和哉
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊・星・人 : 日本惑星科学会誌 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.121-129, 2012-06-25

火山噴火時には,その噴火の規模によって定められる危険区域に人が立ち入ることはできない。そのため,噴火予測や住民の避難計画の策定を目指した遠隔操作型の不整地移動探査ロボットによる火山定点観察,移動観察の実現が求められている。ただし,これを実現するためには,不整地環境における高い走行性能,高い位置推定精度,遠隔操作のための長距離通信,長時間活動を支えるための電源といった,様々な技術課題が存在する.これらの課題は,月・惑星における移動探査を行う探査ローバーの技術課題にオーバーラップする部分が少なくない.そこで,本研究では,不整地軟弱土壌における走行性能ならびに,不整地環境におけるロボットの高精度な自己位置推定の実現を目指し,車輪型/クローラ型不整地移動ロボット4台の走行試験を,伊豆大島裏砂漠ならびに,三原山で実施した.本稿では,各走行試験の概要ならびにロボットを紹介すると共に,火山観察ならびに月・惑星探査ロボットに今後必要となる技術課題について考察する.
著者
矢部 摩耶 小出 和欣 小出 由紀子
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.117-123, 2015

当院で胆石を認め外科的に胆囊を摘出した犬50症例の回顧的研究を実施した.大部分が中高齢犬であったが,10%は1歳未満であった.胆石の含有成分は炭酸カルシウムが最多で,その他ビリルビンカルシウム,タンパク,脂肪酸カルシウム,リン酸カルシウム及びコレステロールを認めた.胆汁細菌培養の陽性率は31%であった.病理組織検査も含め全症例で何らかの基礎疾患あるいは合併症を認めた.術後死亡率は全体の10%であり,無症状の13例,肝外胆管閉塞(EHBO)のない34例及びEHBO併発の16例ではそれぞれ0%,3%及び25%で,EHBOの併発は術後死亡率を高める要因の一つと考えられた.3割以上の症例で認めたEHBOや胆石に続発すると思われる胆囊炎及び胆囊破裂の発症リスクを考慮すると,無症状の胆石症例においても外科的治療は選択肢として考えるべきであり,少なくとも基礎疾患の精査は必要と思われた.
著者
寺田 一薫
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.171-186, 2000-08-25

交通市場において,弱い調整政策は規制緩和と両立するのであろうか。本稿は,そのようなケースでの弱い最小限の交通調整政策の実行案を提示しようとするものである。英国では,先進国で最初に,1985年交通法によって域内バスの規制緩和が行なわれた。しかし,現労働党政権は,白書(『ニューディール』)と協議文書(『サラブレッド』)から2000年交通法案までのプロセスにおいて,部分的な再規制を立法化しようとしている。この立法化の重要な部分に,地方政府とバス事業者の間での協力があり,それらは「品質協定」ないし「品質契約」と称するものの下で行なわれることになっている。本稿では,その品質協定/契約が英国の域内バス市場においてもつ意味,ならびにその下で政府が果たすべき役割について分析を行なう。比較的中央集権的な国家である英国においても,域内バスに関しては分権的な対応をとらざるをえなくなっており,自治体ごとの対応を通じて,比較制度的な検討ができる。以下,Iにおいて,当該規制緩和の概要と政策修正論議について概観したあと,IIで15年間にわたって行なわれてきた自治体の規制緩和への公式な対応を論じる。IIIにおいては,自治体の行動の前提となる市場の構造と行動について紹介する。IVにおいては,弱い交通調整の一例として,英国で自然発生した自治体とバス事業者間での品質協定について検討する。Vでは,これらの趨勢をふまえての現労働党政権の政策動向について紹介する。さらにVIにおいて,これらの政策論の総括を行なうことにする。
著者
新浪 剛史
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1727, pp.66-69, 2014-02-03

問 小売業界では、インターネット通販の影響も大きい。昨年はライバルのセブン&アイ・ホールディングスが「オムニチャネル」を掲げて、相次いで企業買収・出資に動きました。 答 セブンさんの立場ならあの戦略は正しいと思います。
著者
山田 慎也
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.193, pp.95-112, 2015-02

本稿では,徳島県勝浦郡勝浦町のビッグひな祭りの事例を通して,地域固有の特徴ある民俗文化ではないごく一般的な民俗が,その地域を特徴付けるイベントとして成功し,地域おこしを果たしていく過程とその要因について分析し,現代社会における民俗の利用の様相を照射することを目的としている。徳島県勝浦町は,戦前から県下で最も早くミカン栽培が導入され,昭和40年代までミカン産地としてかなり潤っていたが,その後生産は低迷し,他の地方と同様人口流出が続いていた。こうしたなかで,地域おこしとして1988年,ビッグひな祭りが開催され,途中1年は開催されなかったが,以後現在まで連続して行っている。当初役場の職員を中心に,全国で誇れるイベントを作り出そうとして企画され,その対象はおもに町民であった。しかも雛祭り自体は勝浦町に特徴あるものではなく,また地域に固有の雛人形を前面に出したわけではない。各家庭で収蔵されていた雛人形を,勝浦町周辺地域からあつめて,巨大な雛段に飾ることで,イベントの特性を形成していった。さらに,町民が参加するかたちで,主催は役場職員から民間団体に移行し,開催会場のために土地建物を所有する。こうして民間主催のイベントにすることで,行政では制約が課されていたさまざまな企画を可能とするとともに,創作的な人形の飾り方を導入することで,多様な形態での町民の参加が可能となり,その新奇性からも町内外の観覧者を集めることに成功した。そして徳島県下から,近畿圏など広域の観光イベントとして成長していった。さらに,このノウハウとともに,集まった雛人形自体を贈与し,地域おこしを必要とする全国の市町村に積極的に供与することで,全国での認知も高まっていった。こうした状況を生み出す背景となったのは,実は戦後衣装着の人形飾りを用いた三月節供の行事が全国に浸透し,大量に消費された雛人形が各家庭で役目を終えたままとなっているからであり,それらを再利用する方法がみいだされたことによる。さらに自宅で飾られなくなった雛人形を観光を通して享受していくという,民俗の現在的な展開をも見て取ることができる。This article aims to reveal how folk customs manifest themselves in the modern society. To this end, the Big Hina-doll Festival in Katsuura Town, Katsuura District, Tokushima Prefecture, is used as a case study to analyze how and why a folk custom has developed to an event that represents and revitalizes a community even though it is not original or indigenous to the community.Katsuura Town, Tokushima Prefecture, was the first town in the prefecture to start orange cultivation before World War II and prospered as an orange-growing town until around the late 1960s to the early 1970s. Then, with the decline of orange cultivation, the town, like so many others, suffered depopulation. Against this backdrop, the Big Hina-doll Festival was held to revitalize the town in 1988, since when it has been held annually up to the present time except for one year. This was originally designed for town people and led by the town office staff who aimed to make it a nationally recognized festival. Although neither hina-doll festival nor hina dolls were unique to the town, the event distinguished itself by displaying a great number of hina dolls collected from households in and around the town on a huge red-carpeted staircase.Then, with more town people joining the management, the festival was transferred from public to private hands, and a private association possessed premises as a venue for the festival. Thus, by privatizing the festival, a variety of limitations due to being a public event were removed. Moreover, the adoption of new creative ways of displaying hina dolls enhanced the flexibility for town people to participate in the festival. This novelty drew a large audience from in and around the town, and the festival gradually grew to an event that attracted tourists from all over the prefecture and the Kinki Region. Furthermore, the town increased the national recognition of the festival by providing its knowhow, as well as collected hina dolls, for municipalities requiring revitalization programs all over Japan.The reason behind this success was because the festival was recognized as a new opportunity to reuse hina dolls which had spread throughout the country since the end of World War II along with the custom of the Girls' Festival in March and then been packed away at households as their daughters grew up. This also reflects the contemporary development of folk customs that hina dolls are shared through tourism after they were no longer used at home.
著者
上野 健一
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
気象集誌 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.655-671, 1993-12-25
被引用文献数
6

冬期北半球500hPaに卓越する主な3つの沿革伝播パターン(NAO,PNA,WP)を回転主成分分析により抽出し、パターンが顕著に卓越した年の低気圧位置および軌跡の頻度分布をパターンの極性ごとに合成して比較した。さらに、パターンの変動に連動した降水量変動を示す地域を単相関解析により明らかにした。低気圧の位置・軌跡データは、それぞれNCAR地上気圧格子点データ(1946-90)およぴECMWF1000hPa等圧面高度格子点データ(1980-90)を利用して客観的に解析した。異なる性質の2つのデータに共通して、正負のパターンの出現に伴う大幅な低気圧経路の変更が北大西洋および北太平洋上を中心に示された。NAOパターンの振動に伴い、主な低気圧経路は北大西洋上を南北に振動し、低気圧が主に北大西洋中部を東進する場合と北西部沿岸を北東進してアイスランド付近から北海に達する場合が明らかとなった。この振動にともなう有為な降水量の年々変動が、ヨーロッパ沿岸の南西部と北西部に出現した。PNAパターンの場合、北太平洋上の低気圧経路は40゜-50゜Nに沿って東に向かい北東部太平洋上で北に進路を変えてアラスカ南部沿岸に向かう場合と、北西部沿岸を北東進しべーリング海へ達する場合がある。前者はアリューシャン低気圧東部を深めるパターンであり、後者では日本の太平洋沿岸を中心とするユーラシア大陸東岸とカナダ西岸の一部で降水量と正の相関がある。WPパターンの場合、南南西-北北東に走向を持つ帯状の低気圧分布域が北太平洋上を南北に変動する。この分布域が北上する場合、アリューシャン低気圧西部を強化し、日本の南西諸島と中部太平沿岸にて降水量の有為な増加傾向が認められる。さらに、東部アリューシャン低気圧付近のPNAパータンの変動に伴う低気圧経路の変動と、1977年以降顕著となった地上気温のアラスカから西カナダにかけた昇温および北東部太平洋上の低温化との関係について考察を行った。