著者
三宅 陽一郎
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.63, no.7, pp.e3-e36, 2022-06-15

メタバースは人類が新しく獲得する時空間であり,今後,社会や人々の意識を大きく変えていくと期待されています.現代におけるメタバースはオンラインゲームやSNS,仮想通貨などを背景に成立しており,その歴史的成立の変遷をこの20年間のデジタル空間の発展とともに説明します.また,発展を続けるメタバースの未来について,人工知能エージェント,スマートシティ,NFTとの関連において,幾重にも重なる可能性を述べていきます.
著者
瀧 大知
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.123-139, 2016-03-11

近年、日本では近隣諸国との歴史認識問題や領土問題に端を発した排外主義的な傾向が強まり、路上やインターネット上で、おもに在日コリアンをターゲットにしたヘイト・スピーチが行われ、大きな社会問題となっている。このような事態に対してこれまで様々な言説が生まれてきた。しかし、こうした言説では、ヘイト・スピーチが持つ「暴力性」を問題視することはなく、むしろヘイト・スピーチをする人々が注目されるばかりで、被害者の姿がほとんど見えなくなっているという問題が見られる。こうした言説を批判的に検討することにより、本稿ではこのような被害者不在の言説が結果として、ヘイト・スピーチを黙認してきた圧倒的多数の無関心層と同様の役割を果たしてきてしまったことを明らかにする。
著者
中田 恵史 岡本 東 堀川 三好
雑誌
第80回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.149-150, 2018-03-13

無線LANとスマートフォンの普及により,スマートフォンから発信されるWi-Fiプローブ要求を利用した行動分析技術の研究がさかんに行われてきた.既存の研究では,MACアドレスのみを用いて同一利用者を推定し,分析を行っていた.しかし,最新のスマートフォンの一部にはMACアドレスをランダム化する機能が追加され,既存の手法を用いることが困難になっている.本研究では,ランダム化されたMACアドレスのプローブ要求に対して,タイムスタンプ,MACアドレス,受信信号強度,パケット長,シーケンス番号から同一利用者推定を行い,混雑度推定,エリア間移動を推定する手法を提案する.
著者
藤野 清次 GarryJ.Tee R&uumldiger Weiss
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.115(1998-HPC-074), pp.7-12, 1998-12-11

学術用語"eigenvalue"は,固有値問題などに現れる「固有値」に対する用語として現在英語圏でよく使われている.しかし,"eigen"という冠頭の言葉は,もともとドイツ語で「固有の」または「特有の」という意味を表す言葉である.そこで,「固有値」に対する学術用語として"eigenvalue"が現在英語圏で何故使われているかを入手資料を元に考察する.
出版者
国際日本文化研究センター・機関拠点型基幹研究プロジェクト「大衆文化の通時的・国際的研究による新しい日本像の創出」
雑誌
京都からやってきた妖怪たち : 国際日本文化研究センターコレクション : 於:湯本豪一記念日本妖怪博物館 (三次もののけミュージアム)
巻号頁・発行日
pp.1-20, 2021-10-15

広島県三次市にある湯本豪一記念日本妖怪博物館 (三次もののけミュージアム) において開催された特別展「京都からやってきた妖怪たち 国際日本文化研究センターコレクション」で展示した作品を使って、再構成した簡易版パンフレット
著者
松井 彰子 中島 淳
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
大阪市立自然史博物館研究報告 = Bulletin of the Osaka Museum of Natural History
巻号頁・発行日
no.74, pp.1-15, 2020-03-31

日本に分布するドジョウMisgurnus anguillicaudatusにはミトコンドリアDNAおよび核DNA領 域にもとづく3つの遺伝的系統が存在し,A および B-1は在来系統,B-2は中国大陸からの外来系統であ ることが知られている.本研究では,大阪府内で採集されたドジョウの遺伝的系統を調べ,遺伝的系 統間で形態的特徴を比較した.さらに,系統間の形態的差異に基づいて過去の標本の遺伝的系統を推 定し,大阪府内における遺伝的系統の分布とその変化を追った.その結果,大阪府には B-1および B-2 系統が分布しており,在来系統である B-1系統の分布は局所的である一方で,中国大陸系統である B-2 系統は広範に分布していること,さらに,両系統間での交雑が進み在来系統のみで構成される純粋な 集団は大阪府北部の非常に限られた水域にしか分布していない可能性があることが分かった.また, もともとは府内に広く分布していた在来系統は,ここ数十年のうちに急激に分布域を狭めた可能性が 高く,存続が脅かされている状況であると考えられる.
著者
川又 伸彦
出版者
埼玉大学経済学会
雑誌
社会科学論集 = SHAKAIKAGAKU-RONSHU (The Social Science Review) (ISSN:05597056)
巻号頁・発行日
vol.164, pp.97-109, 2021

はじめに1.条約を契機とする国内の人権保障の進展2.子の連れ去りについてのハーグ条約の概要3.子の連れ去りについての日本の状況と課題4.考察 ─子の連れ去りについての憲法学的試論─おわりに
著者
小野 厚夫
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.612-616, 2005-06-15

情報は日本で作られた言葉で、1876年出版の酒井忠恕訳『佛國歩兵陣中要務實地演習軌典』に最初の用例があり、その原語はフランス語のrenseignementである。初期には情報と状報が併用されていたが、ほどなく情報に統一された。はじめは兵語として用いられていたが、日清、日露戦争の記事で新聞用語として定着し、一般化した。第二次世界大戦後は英語のinformationの日本語訳として用いられ、科学的に取り扱われるようになった。
著者
秋葉 拓哉
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.53, no.12, pp.1298-1304, 2012-11-15

ここ数年で,プログラミングコンテストにおける日本の実力は大きく向上し,今では世界的な強豪国の1つとなった.本稿では,まず,ACM-ICPC を始めとするプログラミングコンテストの紹介を改めて行い,プログラミングコンテストの面白さや意義,批判などについて議論すると共に,世界トップレベルの選手がどうやって育つのか,日本はなぜ強豪国となったか,などについて解説する.
著者
寄藤 晶子
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 = The Journal of Matsumoto University (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
no.10, pp.245-256, 2012-01-31

「女性」を描くことから出発したフェミニスト地理学は生産/再生産/、公的/私的という二元論的知が世界を構成し、「男性」ですら排除や抑圧の対象となることを示した。ジェンダーは歴史・地理的な状況を通して再生産され、その過程では道徳的言説を伴う差異の空間を弁証法的に構築する。規範的な「男性」像を作り出す過程と空間の関係を分析するには、規範を脅かすものとして表象される空間・場所に対する道徳的言説と排除の地理にも注目する必要がある。
著者
水田 孝信
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.892-897, 2012-08-15

近年金融業界において,情報化と高速化の進展は目覚しいものがある.この情報化は金融が効率化しただけでなく,今までにない新しい事業を生み出す後押しにつながっている.本稿では金融になじみがあまりない読者にもなるべく分かりやすいように,そもそも社会の中での金融の役割は何であるかを解説し,その中で金融業界において情報化・高速化が進展してきた背景を解説する.そして,今後どのような研究や技術が必要でどのような課題があるのか著者の考えを述べる.