著者
三宅 知宏
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.61-76, 2005-07

本稿は,現代日本語における「文法化」について,特に内容語と機能語の間のカテゴリーの連続性ということに着目して,考察することを目的としたものである。具体的には,文法化とみなす現象の範囲を再検討した上で,文法化に関する共時的な研究を行うことの意義を明確にした。本稿の主張は,文法化に関する共時的な研究の意義を,(1)同一の形式における内容語的な用法と機能語的な用法との連続性,及び両者の有機的な関連性を捉えることが可能になること,(2)文法化後の機能語としての意味・文法機能を説明する際に,文法化前の内容語としての意味からの類推が可能になること,の2点(ただし(2)は(1)の帰結)に求める,ということに集約される。さらに,そのような視点に立った場合に,現代日本語において,文法化として共時的に研究することに有効性を持つと思われる現象を,具体的かつ可能な限り網羅的に示し,それらの問題点の整理,及び研究の方向性の示唆を行った。
著者
小柳 智一
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.1-15, 2013-04-01

姉小路式と呼ばれる中世の秘伝書群に「たましゐをいれべきてには」という条があり,そこには「ただ」「なほ」「など」「いとど」という副詞と「だに」「さへ」という助詞が挙げられている。これら6語が一括りにされている理由を探る。最初に「てには」の歴史を概観し,中世の「てには」という術語の使い方では,助詞と副詞を一括りにすることが不自然でなかったことを確認する。次に,6語を検討して,副助詞との関連が特に強い副詞と副詞との関連が特に強い副助詞が主として選ばれていることを指摘する。そこから,「たましゐをいれべきてには」の根底に,ある種の副助詞とある種の副詞の間に意味的な同質性を認める視点のあったことが読み取れる。最後に,これと同型の視点は,助詞と副詞を区別するようになった近世以降にも散見され,それらを繋ぐと,富士谷成章-山田孝雄-森重敏という副助詞論の系譜が描けることを述べる。姉小路式もこの系譜に位置づけられる。

2 0 0 0 OA 倭玉篇 : 3巻

巻号頁・発行日
vol.[1], 1610

2 0 0 0 OA 倭玉篇 : 3巻

巻号頁・発行日
vol.[1], 1613
著者
岩本 明憲
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
pp.2020.001, (Released:2019-12-25)
参考文献数
38

本研究の一義的な目的は,価格戦略理論の一画を成す価格変更に関連して,既存研究の問題点を整理・指摘したうえで,短期の値上げ及び値下げに加えて,その延長線上に実現する長期の高価格戦略及び低価格戦略を全般的な価格変更戦略として包括し,これらの多様な価格引き上げと引き下げを識別・整序する包括的な理論的フレームワークを提示することである。この目的を果たすべく,まずは価格変更に関する既存研究をレビューすることで本研究の射程がこれまでの価格変更研究をベースとしながらも,それを拡張・発展させる内容であることを確認する。次にプロスペクト理論を用いて,短期と中期の価格変更を識別し,長期かつより高次の価格変更戦略として,高価格戦略と低価格戦略を位置づける。それを踏まえて,留保価格と販売価格の差異,そして価格変更のためのコスト及びそれらの変化に着目し,四つの短期・中期の価格変更及び長期的に実現する八つの高/低価格戦略を分類・識別する理論モデルとそれに該当する事例を提示する。
出版者
育徳財団
巻号頁・発行日
vol.本編, 1936
著者
金子 勝 市川 次郎
出版者
金曜日
雑誌
金曜日
巻号頁・発行日
vol.13, no.10, pp.27-29, 2005-03-04
著者
上田 祥平 平林 真伊 清水 美憲
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 38 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.491-492, 2014-09-13 (Released:2018-05-16)

STEM教育は,科学・技術・工学・数学を統合的に扱うことで,21世紀型能力等,これからの社会に求められる力の育成を目指す.学校数学の立場からこのSTEM教育をみると,理数系教育の新たな取り組みとして今後の展開が期待される一方,他分野と統合的に扱われるなかで数学の内容が後退するという問題点も挙げられる.本稿では,重要な数学の内容が含まれる活動として紹介されていたSTEM教育の活動の実践例を分析し,STEM教育での生徒の探究活動において数学化がどのような役割を果たしているのかを考察する.
著者
田中 優子 楠見 孝
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.514-525, 2007-12-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
21
被引用文献数
8 1

本研究では, 大学生を対象とし, 目標や文脈という状況要因が批判的思考の使用に関わるメタ認知的判断に及ぼす影響を検討することを目的として, 研究1では, 批判的思考が「効果的」な文脈と「非効果的」な文脈を収集した。研究2では, 収集した文脈の分類を行い, それぞれの特徴を抽出した。2つの文脈にはそれぞれ異なる特徴がみられた。研究3では,「正しい判断をする」「物事を楽しむ」という2つの目標と文脈を独立変数として, 批判的思考をどの程度発揮しようとするかというメタ認知的な判断に及ぼす影響を検討した。その結果,「物事を楽しむ」という目標よりも「正しい判断をする」という目標においてより批判的思考を発揮しようと判断すること, 同じ目標であっても文脈によって批判的思考の発揮判断が変化することが明らかになった。さらに, 批判的思考の発揮判断は, 目標や文脈を考慮するものの全体的に批判的思考を発揮しようとするタイプ, 効果的な文脈で非常に高く批判的思考を発揮しようとするタイプ, 非効果的文脈では目標に関係なくほとんど発揮しようとしないタイプという3タイプによって特徴づけられることが示された。
著者
朴 鎔燮 北岡 裕子 佐藤 嘉伸 上甲 剛 中村 仁信 田村 進一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-2, 情報・システム 2-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.8, pp.1618-1627, 2001-08-01
参考文献数
18
被引用文献数
6

CTスキャナの高速化高解像度化により,胸部全体の3次元CT画像が取得可能になってきた.本論文では,異なる呼吸相での胸部CT画像から肋骨の運動を解析する手法を提案する.提案手法では各肋骨を肋骨の中心線に相当する曲線として表現し,肋骨運動の解剖的な知識に基づいた誤差関数により曲線の繰返しレジストレーションを行い,肋骨の回転中心軸と軸周りの回転角度を計算する.画像シミュレーションにより,中心線抽出精度,レジストレーション精度,提案した誤差関数の収束性の評価を行った.提案手法を4人の健康ボランティアのCT画像に適用することにより評価し,計測結果を論じた.本手法は,単純性と精度の面で肋骨の呼吸運動の計測に有用であることが示された.
著者
西應 浩司 材野 博司 松原 斎樹 藏澄 美仁 森田 孝夫
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.66, no.547, pp.169-176, 2001-09-30 (Released:2017-02-04)
参考文献数
23
被引用文献数
5 5

An experiment was done in one area with grid shaped street pattern and in another area with irregularly twisted street pattern. There were two ways to memorize forms in the experiment: a real walk and CG animation presented walk through a fixed pathway. After learning the course, the subject walked the pathway by themselves. Originally the subjects were 25 males and 15 females. The results were analysed based on gender difference-14 male and 14 female subjects. Analysing errors in the abstract distance and abstract angle errors on the cognitive maps, it was recognized that the drawn street lengths are shorter than the actual distances for both genders. Concerning a real walk through the irregularly twisted street the females' errors in the abstract angles were smaller than the males' errors. However both gender's found the irregularly twisted street more legible than the grid shaped one.
著者
Makoto Morinaga Junichi Mori Takanori Matsui Yasuaki Kawase Kazuyuki Hanaka
出版者
ACOUSTICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
Acoustical Science and Technology (ISSN:13463969)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.391-398, 2019-11-01 (Released:2019-11-01)
参考文献数
15
被引用文献数
6

We have been developing an aircraft model identification system that uses a convolutional neural network (CNN). The assumption is that this identification system would be used to estimate the number of flights to create noise maps. In our previous study, we used the CNN model to classify five aircraft comprising three rotorcraft, one turboprop, and one jet aircraft, and the accuracy reached 99%. In the present study, to examine whether this method is also effective for identifying the sound sources of jet aircraft, we conducted two case studies using frequency characteristics of aircraft noise obtained from field measurements around Osaka International Airport and Narita International Airport. Targeting 7 and 18 types of sound source at Osaka and Narita, respectively, an identification rate of 98% was obtained in both cases. This suggests that the present system can estimate the number of jet aircraft flights for each engine type or each aircraft model with very high accuracy.