著者
五十嵐 優智 藤田 桂英
雑誌
第77回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, no.1, pp.485-486, 2015-03-17

大規模な物産展やグルメイベント、即売会において希望の品物を手に入れるために、似通った商品購入を目的に持つ知人同士が協力し共同調達を行う場合がある。しかし、個人の希望とグループ全体の希望を考慮して、全員の合意をえられる最適な分配を人間のみで決定することは難しい。本論文では、待ち時間と購入数制約のある大規模即売会を対象とした共同調達問題を扱う。また、待ち時間と希望度合いを適切な効用関数として決定し、近似分配アルゴリズムを用いて個人の効用とグループ効用を近似的に最適化する手法を提案する。さらに、近似分配手法が有効な解を発見できることをシミュレーション実験により示す。
著者
藤原 貞雄
出版者
山口大学
雑誌
山口經濟學雜誌 (ISSN:05131758)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.525-551, 2004-03-31

変わらなければ死んでしまいますよ。我々はいま大きな問題を抱えている。これからどう立ち直るのか。新しい血と考え方を入れてもらって,活用させてもらうのです。生き返るのは我々の力であり,努力です。(塙義一日産自動車社長(当時),『日経ビジネス』1999年4月5日号)私は白紙の紙一枚もって日産にやって来ただけなのです。計画など何もありませんでした。私自身の経験と,私の感性と,やる気と決意を持ってきただけです。計画は私が日産にやって来てから,日産の人々と作成していったのです。だからこそ,計画は迅速に実行されたのです。…彼ら自身の計画だからです(カルロス・ゴーン日産自動車代表取締役(当時),『一橋ビジネスレビュー』2001年冬季号)
著者
牧迫 飛雄馬 島田 裕之 吉田 大輔 阿南 祐也 伊藤 忠 土井 剛彦 堤本 広大 上村 一貴 Jennifer S. BRACH 鈴木 隆雄
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.87-95, 2013-04-20 (Released:2018-04-12)
参考文献数
41

【目的】日本語版-改訂Gait Efficacy Scale(mGES)の信頼性と妥当性を検証することを目的とした。【方法】地域在住高齢者240名を対象とした。そのうちの31名については,自記式による日本語版mGESの評価を2回実施した(評価間隔14〜20日間)。日本語版mGESの妥当性を検証するために,運動機能(chair-stand test,片脚立位時間,通常歩行速度,6分間歩行距離),生活空間,転倒恐怖感との関連を調べた。【結果】日本語版mGESは高い再検査信頼性を示し(級内相関係数[2,1]=0.945,95%信頼区間0.891〜0.973),すべての運動機能および生活空間と有意な相関関係を認めた。従属変数を転倒恐怖感の有無,独立変数を性別,各運動機能,生活空間,日本語版mGES得点としたロジスティック回帰分析の結果,転倒恐怖感と有意な関連を認めた項目は,性別(女性),通常歩行速度,日本語版mGES得点であった。【結論】高齢者における歩行状態の自信の程度を把握する指標として,日本語版mGESは良好な信頼性および妥当性を有する評価であることが確認された。
著者
ロバート キャンベル 谷川 恵一 木越 俊介 湯上 良 小山 順子 神作 研一 斎藤 真麻理 太田 尚宏 青田 寿美 西村 慎太郎
出版者
人間文化研究機構国文学研究資料館
雑誌
国文研ニューズ = NIJL News (ISSN:18831931)
巻号頁・発行日
no.47, pp.1-16, 2017-05-08

●メッセージ新館長の挨拶●研究ノート兆民の推敲――『三酔人経綸問答』稿本――『新斎夜語』第八話と源氏注釈書統制と文書保護から「マレガ文書」の基層を探る●トピックス連続講座「くずし字で読む『百人一首』」2つの海外「日本古典籍ワークショップ2017」――ホノルル&バークレー――ハワイ大学マノア校と協定書を締結基幹研究成果論集『社会変容と民間アーカイブズ ――地域の持続へ向けて――』平成28年度日本古典籍講習会シンポジウム「松代藩真田家の歴史とアーカイブズII」平成29年度アーカイブズ・カレッジ(史料管理学研修会通算第63回)の開催「新日本古典籍総合データベース」の公開第3回日本語の歴史的典籍国際研究集会の開催「古典」オーロラハンター2総合研究大学院大学日本文学研究専攻の近況
著者
横山 秀克
出版者
(財)山形県テクノポリス財団(生物ラジカル研究所)
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1997

ドパミン神経は脳内で重要な役割を果たす神経細胞である。ドパミンはモノアミン酸化酵素代謝を受けるが、その代謝過程で活性酸素である過酸化水素が発生することが知られでいる。こうした活性酸素による細胞障害とドパミン神経障害との関連性が指摘されている(ドパミン神経障害の活性酸素仮説)。このようなドパミン神経障害には、いまなお原因が不明で難治な疾患が少なくない。従って、これらの疾患と活性酸素との関連を解明することは、その治療戦略を考えるうえで極めて重要である。本研究では、前年度で確立した白金円盤微小電極による脳内過酸化水素計測法の応用として、ドパミン神経障害の一つである遅発性ジスキネジアの疾患モデル動物の脳内における過酸化水素計測を行ない、抗精神病薬投与後の過酸化水素濃度上昇が抑制されているという知見を得た。これは遅発性ジスキネジアを引き起こす抗精神病薬の長期投与がドパミン代謝回転の低下させるという報告に合致する。さらに同モデル動物における脳内の脂肪酸ラジカルを電子スピン共鳴法を用いて検出した。これらの結果は、遅発性ジスキネジアではドパミン代謝回転低下がおこり過酸化水素の生成は抑制されているが、脂肪酸ラジカルの発生、つまり神経細胞膜脂質の過酸化障害は活発に進行していることを示すものといえる。ドパミン神経障害の活性酸素仮説においては、ドパミン代謝亢進と過酸化水素産生は密接な関係にある。そこで、この仮説の検証のためには、ドパミンと過酸化水素の同時計測が必要となる。そこで、本研究では、白金円盤微小電極を用いた脳内の過酸化水素とドパミンの時間経過を同時計測する手法の開発も行なった。そしてこの手法を用いて、ドパミン代謝亢進をもたらす薬物であるメタンフェタミンを投与した実験動物の脳内のドパミンと過酸化水素濃度の経時的変化の同時計測を行い、ほぼ同時に両者が上昇することを確認した。以上の所見は全てドパミン神経障害の活性酸素仮説を強く裏付けるものとなった。

2 0 0 0 OA De géneros y sexos

著者
Sanz Montserrat
出版者
神戸市外国語大学研究会
雑誌
神戸外大論叢 = Journal of foreign studies (ISSN:02897954)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.43-52, 2011-11-30
著者
高島 響子 児玉 聡
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.75-85, 2012

近年英国で問題となっているスイスへの渡航幇助自殺は、渡航医療の一形態と捉えることができる。本稿では、英国国内の生命の終結をめぐる議論およびPurdy v. DPP判決の内容と判決後に出された自殺幇助の訴追方針を概観し、渡航幇助自殺が英国の自殺幇助の議論全体にもたらした影響について考察した。英国では、渡航幇助自殺を行った患者を手助けした家族は訴追されないケースが蓄積し、Purdy貴族院判決後には、自殺幇助における訴追方針の明確化が求められた。こうして、国内で自殺幇助を合法化することは実現しないまま、渡航幇助自殺を事実上許容する訴追方針が出された。国内の自殺幇助の問題が、渡航幇助自殺を包含する形で一応の解決に落ち着いたともとれる現状にあることがわかった。このような展開がもたらされたのは、渡航医療の存在が国内議論に変化を生じさせた結果だと考えられる。自国内で実施不可能な行為が、渡航医療の利用によって海外で実現されるケースが蓄積されることにより、国内規制の議論に一種の「緊張関係」が生じ、従来の論争構造とは異なる新たな展開が生まれる可能性が示唆された。日本においても、臓器移植や生殖補助医療などにおいて、渡航医療を利用するケースがすでに報告されており、今後はそのようなケースの蓄積が、国内の議論や規制に与える影響を検討する必要がある。
著者
北田 晃司
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.69, no.8, pp.651-669, 1996-08-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

近代初期の非欧米諸国には,伝統的都市に行政的中枢管理機能,開港地などの新興都市に経済的中枢管理機能が立地するという二元的構造が見られ,それが後の中枢管理機能の立地にも影響した例が多い.本研究は植民地時代の朝鮮を例に,主要都市における経済的中枢管理機能および行政的中枢管理機能の立地を分析し,以下の結果が得られた. 1910年代初頭には,二元的構i造が顕著に見られた. 1920年代後半も大きな変化はないが,伝統的都市でも経済的中枢管理機能,あるいは新興都市でも行政的中枢管理機能を強化した都市が登場した.戦時体制下の1940年代前半には,工業化を背景とした北部の諸都市の経済的中枢管理機能の強化や,新たな官署の立地による都市相互の管轄関係の複雑化により,二元的構造はさらに後退した.このようななかで,京城の圧倒的優位のもとではあるが,北部では平壌,南部では釜山や大邸が,広域中心都市としての性格を持っに至った.
著者
吉川忠夫著
出版者
平凡社
巻号頁・発行日
1987
著者
原田 走一郎
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.103-117, 2016-10-01 (Released:2017-04-03)
参考文献数
14

南琉球八重山黒島方言には二重有声摩擦音が観察される。本稿は、この二重有声摩擦音について以下のことを述べるものである。(1)黒島方言には二重有声摩擦音と単子音の有声摩擦音との音韻的対立を認める(2)基底に二重有声摩擦音をたてる必要がある(3)二重有声摩擦音の実現には揺れがあるが、それは言語類型論的傾向に合う二重音と単子音の有声摩擦音は、複合語の後部要素の先頭にたった場合にふるまいが異なる。具体的には、二重音のほうは無声化することがあるのに対し、単子音のほうは無声化しない。このような形態音韻的差異があるため、これらは音韻的に対立していると考えられる。また、言語内事実(動詞活用と母音同化の例外の除去)と言語類型論的傾向から、二重有声摩擦音を基底にたてるべき理由についても述べた。
著者
森 勇太
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.17-31, 2011-04

本稿では聞き手に利益のある行為を話し手がおこなうことを申し出るときの表現(以下,申し出表現)の考察を通して,「-てあげる」「-てさしあげる」などの恩恵を与えることを示す形式(以下,与益表現)の運用の歴史的変化について調査を行った。現代語で上位者に「-してあげましょうか」と,与益表現を用いて申し出を行うことは丁寧ではない。一方で,与益表現は「-てまいらす」などの表現をはじめとして,中世末期ごろにその形式が現れるが,中世末期から近世にかけては与益表現を用いて上位者に申し出を行う例が一定数あり,その待遇価値は高かったものと考えられる。この歴史的変化の要因としては,(1)恩恵の示し方の歴史的変化(聞き手に対する利益を表明することが抑制されるようになった),(2)利益を表さない謙譲語形式の有無の2点が考えられる。
著者
内原 俊記 融 衆太
出版者
医学書院
雑誌
総合診療 (ISSN:21888051)
巻号頁・発行日
vol.29, no.12, pp.1507-1509, 2019-12-15

認知障害やParkinson病の背景となる疾患は多様で、臨床診断が病理と異なる割合は、Parkinson病で25%1)、認知症では15〜70%に及ぶとの報告がある2)。髄液や画像所見を用いて診断精度を向上させようとする研究は盛んで、病態の一端を反映していることは確かだが3)、最終病理診断を参照して、これらの臨床検査の精度を評価した研究はほとんどない。臨床診断との相関を見ているこれらの検査は、たとえ理論的背景があっても、臨床診断の精度を超えることはないことを念頭に置く必要があり、診断の確定には病理解剖が不可欠である現状に変わりはない。 各疾患についての臨床像は本特集の別稿に譲り、本稿では、臨床診断と病理診断がどのように乖離するかについて解説する。
著者
下地 賀代子
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.76-91, 2006-10

多良間島方言のsi: ukiという形式は,〈動作・変化の完了とその変化の結果の継続〉,〈動きの完了とその痕跡〉,〈経歴・記録〉というパーフェクト的な意味を表すための形式である。継続相のsi: buLもパーフェクト的な意味を表すことができるのだが,〈パーフェクト〉のsi: buLには,上の3つのパーフェクト的な意味の他,〈動作の開始とその過程の継続〉の意味を表す用法も見られた。これは,両者の「中核的な時間的意味」が異なっていることの現れである。そして,si: buLが,パーフェクト的な意味を実現している場合においても〈継続性〉という中核的な時間的意味が取り出されるのに対し,si: ukiは,その形式が表わす文法的意味は常に基準時点以前のデキゴトの完了の段階を捉えるものであることから,その中核的な時間的意味として〈完了・以前性〉が取り出されることを示した。
著者
竹村 利夫 藤井 昭二
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.297-312, 1984-02-29 (Released:2009-08-21)
参考文献数
38
被引用文献数
12 10

There are many active faults in central Japan. Several active faults distributed in the northern part of the Hida mountains are described in detail in this paper.The Atotsugawa, Mozumi and Ushikubi faults, 40-80km in length, are NE-ENE in trend and displaced to the right side. The amounts of horizontal displacement as revealed in the offsets of the streams crossing the fault lines are about 1-3km, and the amounts of vertical displacement are 100-300m with the northwest side upthrown.The Kazura fault, 30km long, is NNW in trend and displaced to the left side. The amount of horizontal displacement is 1km as recognized from the stream offset, and the amount of vertical displacement is 100-200m with the west side upthrown.The Atotsugawa fault has displaced the Pleistocene terraces and lake deposits (20, 000- 40, 000y.B.P.) as much as 50-60m vertically at the outcrops of the Magawa River area located up the Jyoganjigawa River. Also the Holocene terraces (about 500y.B.P.) have been displaced 1-4m vertically. The average vertical displacement rate of the Atotsugawa fault is 1-4m/1000y., and the average lateral displacement rate is 1-5.7m/1000y. as judged from the pitch θ of striation on the fault planes.Several outcrops are found along the Mozumi, Ushikubi and Kazura faults. Late Pleistocene and Holocene terraces have been cut and displaced by faults. The average rate of displacement was 0.4-1.5m/1000y. in vertical displacement. The lateral component of displacements are usually larger than or nearly the same as the vertical components.These faults can be ranked as A class or the upper half of B class in degree of activities.