著者
森 崇 矢田部 俊介
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.638-643, 2016-06-15

近年,無線を用い列車の位置と速度をリアルタイムで把握し,システムで連続的制御を行う方式が採用されるようになった.しかし無線の使用は,セキュリティの問題を生む.従来の安全性の対象を拡大し,人為的攻撃に対する高いセキュリティ性も検討対象として含める必要がある.そのため,JR西日本では,国際規格IEC62278(RAMS)の考え方にもとづき,システムの安全性や安定性をライフサイクル全般にわたって管理すると共に,その枠内でセキュリティ性も専門家の知見を活用しつつ検討する「システム評価委員会」を立ち上げ,検討を続けてきた.小論では,委員会で行われた脅威分析の手法について紹介する.
著者
松村 葵 建内 宏重 永井 宏達 中村 雅俊 大塚 直輝 市橋 則明
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Aa0153, 2012

【はじめに、目的】 上肢拳上動作時の肩関節の機能的安定性のひとつに肩甲骨上方回旋における僧帽筋上部、下部線維と前鋸筋によるフォースカップル作用がある。これは僧帽筋上部、下部と前鋸筋がそれぞれ適切なタイミングでバランスよく作用することによって、スムーズな上方回旋を発生させて肩甲上腕関節の安定化を図る機能である。これらの筋が異常な順序で活動することによりフォースカップル作用が破綻し、肩甲骨の異常運動と肩関節の不安定性を高めることがこれまでに報告されている。しかし先行研究では主動作筋の筋活動の開始時点を基準として肩甲骨周囲筋の筋活動のタイミングを解析しており、実際の肩甲骨の上方回旋に対して肩甲骨周囲筋がどのようなタイミングで活動するかは明らかとなっていない。日常生活の場面では、さまざまな運動速度での上肢の拳上運動を行っている。先行研究において、拳上運動の肩甲骨運動は速度の影響を受けないと報告されている。しかし、運動速度が肩甲骨周囲筋の活動順序に与える影響については明らかになっておらず、これを明らかにすることは肩関節の運動を理解するうえで重要な情報となりうる。本研究の目的は、上肢拳上動作の運動速度の変化が肩甲骨上方回旋に対する肩甲骨周囲筋の活動順序に与える影響を検討することである。【方法】 対象は健常男性10名(平均年齢22.3±1.0歳)とした。表面筋電図測定装置(Telemyo2400, Noraxon社製)を用いて僧帽筋上部(UT)・中部(MT)・下部(LT)、前鋸筋(SA)、三角筋前部(AD)・三角筋中部(MD)の筋活動を導出した。また6自由度電磁センサー(Liberty, Polhemus社製)を肩峰と胸郭に貼付して三次元的に肩甲骨の運動学的データを測定した。動作課題は座位で両肩関節屈曲と外転を行った。測定側は利き腕側とした。運動速度は4秒で最大拳上し4秒で下制するslowと1秒で拳上し1秒で下制するfastの2条件とし、メトロノームによって規定した。各動作は5回ずつ行い、途中3回の拳上相を解析に用いた。表面筋電図と電磁センサーは同期させてデータ解析を行った。筋電図処理は50msの二乗平均平方根を求め、最大等尺性収縮時の筋活動を100%として正規化した。肩甲骨の上方回旋角度は胸郭に対する肩甲骨セグメントのオイラー角を算出することで求めた。肩甲骨上方回旋の運動開始時期は安静時の平均角度に標準偏差の3倍を加えた角度を連続して100ms以上超える時点とした。同様に筋活動開始時期は安静時平均筋活動に標準偏差の3倍を加えた値を連続して100ms以上超える時点とした。筋活動開始時期は雑音による影響を除外するために、筋電図データを確認しながら決定した。筋活動のタイミングは各筋の筋活動開始時期と肩甲骨上方回旋の運動開始時期の差を求めることで算出し、3回の平均値を解析に用いた。統計処理には各筋の筋活動開始時期と肩甲骨上方回旋の運動開始時期の差を従属変数とし、筋と運動速度を要因とする反復測定2元配置分散分析を用いた。事後検定として各筋についてのslowとfastの2条件をWilcoxon検定によって比較した。有意水準は0.05とした。【倫理的配慮、説明と同意】 対象者には研究の内容を十分に説明し同意を得た。なお本研究は本学倫理委員会の承認を得ている。【結果】 屈曲動作において、slow条件ではAD、UT、SAが肩甲骨上方回旋よりも早く活動を開始していた。一方でfast条件では全ての筋が上方回旋よりも早く活動を開始していた。分散分析の結果、筋と運動速度の間に有意な交互作用が得られ(p<0.01)、事後検定の結果、運動速度が速くなることでMTの筋活動は有意に早く開始していた。外転動作において、slowではMD、UT、MT、SAが肩甲骨上方回旋よりも早く活動を開始していた。一方でfastでは全ての筋が上方回旋よりも早く活動を開始していた。分散分析の結果、筋と運動速度の間に有意な交互作用が得られた(p<0.05)。事後検定の結果、運動速度が速くなることでMTとLTの筋活動が有意に早く開始していた。【考察】 本研究の結果、運動速度を速くすることで屈曲動作においてMTが、また外転動作においてはMTとLTの筋活動のタイミングが早くなることが明らかとなった。また運動速度を速くすると、肩甲骨の上方回旋の開始時期よりもすべての肩甲骨固定筋が早い時期に活動し始めていた。これは運動速度が肩甲骨固定筋の活動順序に影響を及ぼすことを示唆している。拳上動作の運動速度を増加させたことにより、速い上腕骨の運動に対応するためにより肩甲骨の固定性を増大させるような戦略をとることが考えられる。【理学療法学研究としての意義】 本研究の結果、運動速度に応じて肩甲骨固定筋に求められる筋活動が異なることが示唆され、速い速度での拳上動作では、肩甲骨の固定性を高めるために僧帽筋中部・下部の活動のタイミングに注目する必要があると考えられる。
著者
後藤 洋
出版者
鹿児島大学
雑誌
経済学論集 (ISSN:03890104)
巻号頁・発行日
no.60, pp.23-37, 2003-12
著者
三田 佳子 鈴木 亮
出版者
日経BP社
雑誌
日経マネー (ISSN:09119361)
巻号頁・発行日
no.341, pp.92-95, 2011-04

もう50年? という感じですね。この仕事、嫌いではなかったけど、気がついたら半世紀もやってしまった。驚きですね。それと同時に、もう逃げられない、あとはもう、命ある限り最後まで究めるしかない、というのが実感です。──50年間に転機はありましたか。 デビューから30年間くらいは、「女優の道は獣の道」というイメージがあったんです。
著者
長谷川 隼人
出版者
一橋大学大学院法学研究科
雑誌
一橋法学 (ISSN:13470388)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.1017-1042, 2015-11

This article aims to elucidate the economic revitalization ideas of Nobusuke Kishi and review the political implication of the Japan Reconstruction League (Nihon Saiken Renmei, JRL) . Kishi's basic economic revitalization vision was identical to that of the Yoshida administration. However, Kishi took a critical attitude toward the economic policy of the Yoshida administration. Prime Minister Yoshida and the Liberal Party (LP) placed a high value on the market economy. In contrast with PM Yoshida, Kishi insisted that the government must embrace socialistic policy for economic revitalization. Therefore, he sympathized closely with the Rightist Socialist Party of Japan (RJSP) and the left wing in the Reform Party (Kaishinto, RP) . For that reason, Kishi and the JRL sought to create a new party dominated by the RJSP and RP to execute his economic view. They expected Mamoru Shigemitsu to assume the position of new party leader. However, the RJSP rejected the forging of a bipartisan coalition in order to avoid intraparty conflict and Mr. Shigemitsu assumed the position of RP leader. Thus the JRL's political plan was eventually aborted. In the aftermath, Kishi switched his political plan to change the LP, which tried to create the Progressive conservative party in order to execute his economic revitalization plan. Kishi used the constitutional revision agenda to galvanize conservative politicians.
著者
雨城隠士 著
出版者
笛浦堂
巻号頁・発行日
1902
著者
松原 秀江 Hidee MATSUBARA
出版者
大手前大学
雑誌
大手前大学論集 = Otemae Journal (ISSN:1882644X)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.87-109, 2011-03-31

堀辰雄の文学に大きな影響を与えた女性たちが、彼の前に常に親子がらみで現れることに注目して、その誕生及び幼少年期を見ながら、『聖家族』に至るまでの作品内容とそれらを比較し、親がらみと裏返しをキーワードに、『聖家族』の書名が「聖母子」ではなく、「聖家族」だったことの意味を考える。
著者
名和 又介
出版者
同志社大学
雑誌
言語文化 (ISSN:13441418)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.[85]-105, 2008-08

研究ノート(note)中国の民間芸は豊かで、其の図案のなかによくみられるのは吉祥の図案である。吉祥とは美しく幸福なシンボルであり、王家大院で多くの吉祥図案を目にした。帰国して吉祥図案を学んで、図案が意味しているものを理解できた。例えば「双獅戯球」は、愛しむ獅子の夫婦であり、獅子の間に刺繍をした球があるが、これは愛情の結晶である。一対の獅子が球をもてあそぶ図案は、獅子が愛情豊かに日々をおくり、やがて子供が生まれることを暗示している。この図案は、人間の夫婦もこの獅子のように仲むつまじく暮らし、子孫繁栄するように教えているのである。このように図案の幾つかを解説・紹介した内容である。中国有很多民间艺术。民间艺术的图案之中、我们常常看到吉祥图案。吉祥是美好、幸运的形象。我以前在王家大院曾经看到过很多吉祥图案、但是回国以后查阅了有关吉祥的资料、才知道图案所代表的含义。例如"双狮戏球"——它是一对恩爱的狮子夫妻、在它们中间有一个绣球、象征着爱情的结晶。一对狮子高兴地把玩绣球的图案告诉我们: 一对狮子恩恩爱爱地过日子、它们将来会生下自己的孩子。它象征着人世间的夫妻也和这对狮子一样和睦相处、福蔭子孙。这样拿几个例子来介绍一下。
著者
檜作 進
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.12, pp.1005-1010, 1972-12-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
59
被引用文献数
1 1

酒造の重要な課題は, 米のでん粉をいかに巧みに処理するかということであろう。しかし, 酒造の工程がでん粉の状態変化の面から明らかにされ, 管理されているだろうか。酒造を例にあげたが, でん粉を主原料とする他の工業においても大同小異である。この原因は, 老化の評価の方法にあるように思われる。ここに老化の評価に用いられる種々の方法を紹介していただいたので, 問題点などを考えてみたい。
著者
森田 美佐
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究の目的は、働く女性のみならず、男性も子どもも“幸せ”になる職場の女性活躍は、どうすれば実現するのかを、個人と家族の生活の質向上を目指す家政学とジェンダーの視点から、明らかにすることである。女性活躍をめぐる先行研究では、女性の離職率の低下、女性の仕事と家庭の両立を可能にする働き方の改革、女性管理職の登用等は、企業の組織の活性化はもちろん、生産性の向上などに利点があることが指摘されている。その結果、実際にそのような施策を打ち出し、女性を積極的に採用・登用する企業も増加している。研究としても、女性がキャリア形成に意欲的になれる雇用管理の在り方や、女性が昇進を望むような職場環境づくりに何が必要か等に関心をもつものが散見される。しかし日本の働く男女の意識や行動を見る限り、職場における女性活躍推進の数々の施策は、女性の労働者としての人権や、職業生活と家庭生活の充実を保障する環境づくりに向っているとは言い難い。加えて男性も、仕事のみならず、家庭や地域の中で活躍できる環境が形成されているのかどうか、疑問が残る。働く女性も男性も、ワークライフバランスの重要性を指摘されながらも、実際は、「仕事を取るか、家庭生活を取るか」の二者択一の状況の中で生活を営んでいると言わざるをえない。家庭生活を重視する労働者が、労働市場では周縁的な位置づけに留まる社会とは、家庭責任を重視すれば、男女が〝平等”に労働市場の中で二流の労働者として扱われる社会に過ぎないのではないか。これは職場と家庭の男女共同参画の実現、男女労働者の人間らしい働き方と暮らし、そして子どもが親のケアを受ける権利を保障しない。

2 0 0 0 OA 肖像集 4

著者
〔栗原信充//画〕
出版者
巻号頁・発行日
vol.真田昌幸・小川破笠,
著者
高橋 陽一
出版者
東洋大学PPP研究センター
雑誌
東洋大学PPP研究センター紀要 (ISSN:21895457)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.1-53, 2019-03

1999年のPFI法施行から約20年が経過し、期間満了となるPFI事業が増え始めている。内閣府 PFI推進委員会は「手法の有効性・必要性について、管理者等(主に地方公共団体)や住民間での共有が不十分」と指摘しているが、現状を見ると事業が生み出した「成果」に関する情報開示は不足しており、アカウンタビリティが全般的に低い状況にあると言える。本論では、PPP/PFI事業における上述の課題を解決するため、成果志向の評価手法である「プログラム評価」に着目し、国内外の先進事例の分析をもとに、その適用可能性と課題を検証する。
著者
竹内 洋
出版者
社会学研究会
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.103-118,134, 1977-11-30 (Released:2017-02-28)

The success boom in Meiji Japan launched out around Meiji 35( 1902). People's pride of a great nation power and rapid industrialization after the victory in the Sino -Japanese war gave rise to the boom. The Magazine Seiko which was modeled on an American Magazine, O.S. Marden's "Success" and was published by Dakro Murakami in Meiji35 had a great influence on the boom. This paper intends to analyze the changing opinion of the magazine in order to examine the success boom and its evolution in the early twentieth century.