著者
竹原 広実 梁瀬 度子 西川 向一 村上 恵子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.1005-1013, 2001

生活の中での入浴の位置づけを把握し, 今後の浴室空間のあり方を検討することを目的として入浴行動の実態について質問紙による調査を行った.得られた結果は以下の通りである.<BR>(1) 冬よりも夏が, また若年層ほど入浴頻度は高く, 若年層はシャワーをよく使い, 高年層は浴槽に浸かることが多いことが明らかとなった.<BR>(2) 身体を清潔にする以外の入浴の意味とは, 疲れをとる, 心身のリフレッシュのためと考えているものが多くを占め, 他に高年層ほど健康のため, 中年層は家族とのコミュニケーションをはかるため, 若年層は1人の時間を楽しみくつろぐ, 身だしなみを整えるなど精神的なリラックス効果や美容のためなど年齢によって入浴の意味が異なることが明らかとなった.<BR>(3) 入浴法や入浴関連商品について, 柚子湯やクール系入浴剤などは知名度が高くよく使用されているが, 比較的新しい商品である芳香浴やエステゼリーなどは知名度は高いがまだ多くは使用されていない.しかしそれらに対する関心は高いことから今後の利用が見込まれる.また男性より女性が, そして特に若年層の女性が強く関心をもっていることが明らかとなった.<BR>(4) 入浴行動について対象者の類型化を行ったところ, 日々規則正しく入浴を行っているかどうかと入浴に対して積極的な姿勢であるかどうかの2軸が抽出され, 不規則・消極型, 不規則・積極型, 規則・消極型, 規則・積極型の4つに分類された.
著者
村瀬 将隆 中島 勇介 武田 誠 川池 健司 松尾 直規
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.I_1441-I_1446, 2017

近年,東日本大震災による津波災害や,平成27年の鬼怒川破堤による洪水災害など,大規模な浸水災害が生じている.地下鉄や地下街など高度に地下空間が活用されている都市域に対して大規模な浸水災害が生ずれば,その氾濫形態は複雑化することが考えられ,地下空間の浸水被害のみでは無く,地下鉄の線路が新たな水路となり,他地域への浸水を広めることも考えられる.本研究は,名古屋と大阪の地下鉄を有する都市域を対象に,洪水破堤による大規模な浸水解析を行い,地下鉄の有無による浸水被害の違いや地域による浸水特性を明らかにする.
著者
齋藤 文信 田口 淳一 清野 誠喜
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.61, pp.225-226, 2008-12

転作菜種を基幹とする菜種油の販売に向けた消費者調査。ホームユーステストによる調査。秋田県では、水田転作の推進や遊休農地解消を目的として菜種作付を進めている。そこで栽培された菜種から食用油を製造(搾油)、食用油として使用後その廃食油からバイオディーゼル燃料を製造し、自動車や農業機械の燃料に使う構想を提案している。しかし、国産菜種を原料とした菜種油の割合は原油生産量ベースで0.09%(「我が国の油脂事情2005年」)と極めて少ないことから、国産菜種油の商品流通量は少量であり、商品として認知されているとは言い難い。また、消費者の食用油購入に関する研究は美味しさや機能性に関する研究が中心で、価格帯や原料産地・油分抽出法の違いに関する評価を分析した研究は十分に行われていない。そこで、本研究では消費者の食用油購買状況や秋田県産菜種を原料とした菜種油の評価について価格帯を中心に把握することを目的とする。
著者
天笠 邦一
出版者
日本社会情報学会
雑誌
日本社会情報学会全国大会研究発表論文集
巻号頁・発行日
vol.22, pp.178-181, 2007

本研究では、地域活性化活動における問題の解決策として、地域の生活者自身の手による主体的な社会調査の実施と、その実現の為のITCを活用したプラットフォームの構築を提案する。さらに本論では、提案の実現を目標として行なわれたプラットフォームのコンセプトの整理及びそのプロトタイプの設計・実装の概要を紹介するとともに、そのプロトタイプを用いて行なわれたユーステストから得られた知見を報告する。
著者
津留 壽昭 木村 哲二 乾 忠孝
出版者
The Surface Finishing Society of Japan
雑誌
金属表面技術 (ISSN:00260614)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.130-134, 1976

A study was made on electrodeposition of cobalt from cobalt ethylenediamine chelate solution for the purpose of investigating the stability of chelate on pH and the optimum condition in electrolysis. The results obtained were as follows: 1) Ethylenediamine (en) and cobalt ion (II) formed stable chelate compound of (Coen<sub>3</sub>)<sup>2+</sup> in a pH range 8.0-10. 2) Bright cobalt platings were obtained from chelate solutions of pH 3.0-5.0 by the addition of two addition agents, and cathodic current efficiency was found to be decreased. The optimum bath composition for bright cobalt plating was as follows: CoCl<sub>2</sub>⋅6H<sub>2</sub>O (CoSO<sub>4</sub>⋅7H<sub>2</sub>O) 0.05-0.20mol/<i>l</i> (0.1-0.3mol/<i>l</i>), en 0.15-0.60mol/<i>l</i> (0.3-0.9mol/<i>l</i>), HOCH<sub>2</sub>C: CCH<sub>2</sub>OH 0.05g/<i>l</i>, C<sub>10</sub>H<sub>6</sub> (SO<sub>3</sub>Na)<sub>2</sub>⋅2H<sub>2</sub>O 0.03g/<i>l</i>, pH 3.0-5.0, Temperature Room temperature, Cathodic current density 0.8-1.5A/dm<sup>2</sup>. The cathodic current efficiency under the above condition was about 70-80%. 3) The cobalt deposits obtained from Co-en baths were of small grains in crystal structure, and the brightness apparently increased with increasing electrolysis time.
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.58, pp.265-266, 2005-12

9月以降に収穫する晩生品種の枝豆に対し、産地は盛夏期の枝豆よりも食味、食感ともに優っていると評価している。しかし、本報告に先立ち実施した調査によれば、首都圏在住の消費者は9月以降に販売されている枝豆に対し、「夏の残り物」というマイナスイメージを購入前から持っている。こうした産地と消費者間の意識の乖離は、産地による「美味しい事実・理由」の説明が不十分であることも、その一因として考えられる。そのため産地側は、この"意識の乖離"を理解した上で、マーケティング対応を検討することが求められる。本報告は、「ホームユーステスト(in-home use test)」により、9月以降に販売される枝豆に対する消費者意識を明らかにし、県産枝豆のマーケティング対応の方向性を検討する。具体的には、(1)9月以降に販売される枝豆に対する消費者意識の把握、(2)9月以降に販売される枝豆の訴求ポイントの検討、である。
著者
濱尾 章二 松原 始
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.85-89, 2001

京都府の木津川河川敷にある砂州で,2000年5月3-5日にウグイス <i>Cettia diphone</i> の調査を行った.ノイバラのやぶが発達した部分で4羽の巣立ち雛が発見された.これらの雛は上面がオリーブ褐色,下面がバフ黄色で,頭部に長い綿羽をもち,体には斑点がなく,口ひげもなかった.また,捕獲により性を判定し、標識して個体識別した雌雄のウグイス成鳥が餌を運んでいた.これらのことから,4羽はウグイスの雛であると判定した.雛の測定値や30-50cmしか飛ぶことができないことから,これらの雛は近隣で巣立ったものと考えられた.調査地では,他にも抱卵斑の発達した雌が3羽捕獲された.しかし,巣は発見できなかった.ウグイスは一般に山地のやぶで繁殖する.調査地は低地の砂州であるが,河川管理による洪水の減少によって1970年代後半から植生が発達し始め,現在はノイバラやヤナギ類,サワグルミが侵入している.河川管理による河川敷の林地化が,ウグイスの繁殖場所をつくり出したものと考えられる.この研究は河川生態学術研究会木津川グループ(代表:山岸哲博士)の調査研究の一環として行われた.
著者
渡辺 響子
出版者
明治大学人文科学研究所
雑誌
明治大学人文科学研究所年報 (ISSN:05433908)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.50-50, 2001-07-13

本研究は,小説の中に芸術家が描かれ,芸術作品の内部において芸術の逆照射が行われるという,十九世紀に入ってフランスの文学界で顕著に見られるようになった現象を考察するものである。これは,十七世紀に宮廷を舞台にした物語が生まれたのとは,全く異なるレベルの事件である。1830年の七月革命は,1789年のフランス大革命と比べると,世界史的には影響が少なかったかもしれないが,フランスにおける真の市民社会の誕生・発展にとっては大転換期となった。小説・芸術が場パトロンの手から離れて,ひとりだちし始める時期であるとも言えよう。十九世紀が小説の世紀と呼ばれるまでになった背景には,この革命とその戦利品,そしてこれによって失ったものを考えないわけにはいかない。
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.842, pp.10-22, 2007-02-26

大きな曲面を描くガラスカーテンウオールと緑の広場が来訪者を迎える。日本で5番目、30年ぶりの新設の国立美術館である「国立新美術館」が1月21日オープンした。東京・乃木坂の東京大学生産技術研究所跡に建つ。
著者
手嶋 英貴
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.1143-1150, 2009-03-25

古代インドにおいて行われたヴェーダ祭式のうち,王権に関わりをもつものとして,ヴァージャペーヤ(Vajapeya),ラージャスーヤ(Rajasuya),およびアシュヴァメーダ(Asvamedha,馬犠牲祭)が挙げられる.「戦車走行」は,この三祭式すべてが共有する祭事要素であるが,従来は専ら前二者の間でのみ比較研究がおこなわれ,残るアシュヴァメーダについては詳しい検討がなされていない.そこで本稿は,アシュヴァメーダの戦車走行に的をしぼり,主に『バウダーヤナ・シュラウタ・スートラ』からその記述部分を紹介する.あわせて,同文献のヴァージャペーヤ章とラージャスーヤ章にある戦車走行部分を参照し,それとの比較を通して,三祭式の間にある連続と不連続の両面を確認する.その結果,アシュヴァメーダにおける戦車走行の特徴は,概ね次のように説明されうる:ヴァージャペーヤやラージャスーヤの戦車走行が「祭主の対抗者に勝つこと」や,それを通じた「戦利品(食物,家畜など)の獲得」を表象するのに対し,アシュヴァメーダの戦車走行では,そうした意図がほとんど前面に現れない.しかし一方で,その祭事形式および使用される祭詞が,一年前の「馬放ち」の日に行われた「馬の池入り」祭事とほぼ同じである.このことから,アシュヴァメーダの戦車走行が「馬の池入り」の再現という一面をもち,また「池入り」と同様に馬(祭主の代理)の象徴的再生を意図していることが窺われる.ただし,「池入り」では馬が戦車に繋がれることはなく,戦車走行は,祭馬を他の二頭の馬とともに戦車につなぐ点で固有性を示す.したがって,アシュヴァメーダの戦車走行は全体として,ヴァージャペーヤやラージャスーヤと共通する戦車使用の要素と,アシュヴァメーダ内での先行祭事である「馬の池入り」を再現する要素とが結合したものと推測される.