著者
石川 徳幸
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.9, pp.434-439, 2018-09-01 (Released:2018-09-01)

情報通信技術の発達にともない,人びとの情報接触行動も次第に変化し,紙媒体を基軸とした新聞産業は明らかな衰退期に入っている。そのため,現在の新聞業界はビジネスモデルの転換を迫られているが,そうした議論の中で常に取り上げられるのが電子新聞をはじめとするデジタル化の問題である。本稿の目的は,新聞がこれまでに取り組んできたデジタルサービスの歴史的過程を概観するとともに,そうした中で変化してきた新聞のメディアとしての特性について検討することにある。さらに,現在の新聞を取り巻く環境を概観することによって,問題の本質を掴み,向かうべき方向性を示唆することを企図している。
著者
森藤 元 安細 康介 渡辺 大 吉浦 裕 瀬戸 洋一
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.25, no.61, pp.43-48, 2001-09-21
被引用文献数
2

デジタルカメラを用いて撮影された写真は, 撮影後に編集されたか否かの判定が困難であるために証拠として採用しにくい。また, 不正な複製や部分使用も容易である。本稿ではデジタル署名により改ざん検知を可能とし, 電子透かしにより権利者を特定可能とすることで証拠写真として採用可能な写真を撮影できるデジタルカメラシステムについて述べる。また, 機能を実装したデジタルカメラを試作することで, 本システムの妥当性についても述べる。
著者
白波瀬 朋子 貴田 晶子
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.217-230, 2009 (Released:2009-09-16)
参考文献数
27
被引用文献数
5 6

廃パソコンを詳細解体し,化学分析により40元素について全含有量を求めた。パソコン1台中の基板約1kg (電源基板を除く) には,Ag, Au, Pd, Al, Cu, Pbがそれぞれ,0.79, 0.14, 0.19, 91, 187, 17.8g含まれ,そのうちマザーボードに含まれる割合は,Ag, Au, Pdは58%,Cuは66%であった。廃パソコン11kgに含まれるAg, Au, Pd, Al, Cu, Fe, Zn, Nd, Pbの含有量はそれぞれ,0.79, 0.14, 0.19, 420, 320, 7,200, 77, 23, 20gであった。また,Ni, Sn, Sb, Mg, Mnは57, 28, 2.1, 1.6, 1.0gと推定した。含有量が0.02g以下の金属元素は,Co, Nb, Cd, Te, V, Ga, Sc, 0.01g以下の金属元素は,Se, Ta, As, Bi, In, Hf, Ir, Li, Pt, Tl, Y等であった。2004年の廃パソコンの発生量747万台から,年間に廃棄されるパソコン中の金属量 (廃製品から回収しうる最大量) を推定し,Au, Ag, Pdについてそれぞれ,1.1, 5.9, 1.4tonと見積もった。
著者
齋藤 理一郎 長田 俊人 依光 英樹 町田 友樹 楠 美智子 長汐 晃輔 上野 啓司 塚越 一仁 若林 克法 越野 幹人
出版者
東北大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-06-28

本新学術領域研究は、「人類史上最も薄い物質」である、一原子層の厚さしかない物質(以下原子層物質)を合成してきました。また合成した非常に薄い物質を使って、消費電力が非常に小さい電子デバイスや、光デバイスの作成と検証を行い、その社会における有用性を実証しました。さらに、異なる原子層物質を積み重ねることによって、今までにない物質(複合原子層物質)を人工的に合成し、超伝導や量子的な性質を持つ、新しい機能材料を開発することに成功いたしました。これらは、国際共同研究基金を用いて国際共同研究を推進することによって、新しい物質の開発を加速いたしました。
著者
立脇 隆文 小池 文人
出版者
Association of Wildlife and Human Society
雑誌
野生生物と社会 (ISSN:24240877)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.15-28, 2016 (Released:2017-06-17)
参考文献数
48

Collecting and accumulating records of wildlife-vehicle collisions are useful for two purposes: to improve road safety, and to monitor the density of wildlife. Such records in Japan are obtained largely from roadkill collected by road managers or cleaners from local or national governments; however, little is known about the records within municipalities. The objective of this study was to provide an overview of roadkill records within municipalities in Japan. Particularly, this study aimed to reveal: the proportion of municipalities that have records of roadkill; the bureau that is mainly responsible for these records within municipalities; how the records are used by municipalities; and what information is usually available in these records. A questionnaire was sent to 650 municipalities across Japan, and was returned by 503 (77.4%) of the municipalities. Of the municipalities that answered the questionnaire, 68.6% recorded roadkill incidents in some way. The answers showed that in the majority of municipalities, cleaners within the municipality recorded roadkill, and road managers did not. About 90% of the records were discarded after 5 years had passed since they were recorded. The municipalities sometimes used the records for accounts of removing roadkill, or to reply to inquiries from citizens or prefectural offices, but rarely used them for preventing wildlife-vehicle collisions. Of the municipalities that answered the questionnaire, 50.1% collected roadkill not only from the municipal roads, but also from the prefectural or national roads, which municipalities have no responsibility to manage. The person removing the roadkill was usually the one to identify what species it belonged to. Each municipality recorded roadkill differently, as either a hand written note or as an electronic file in Microsoft Excel. The information available about roadkill in the majority of municipalities were month, location, and the species or taxa of animal removed. However, only 39.4% of the municipalities recorded all three characteristics. Based on these results, we suggest there should be a standardized system to collect roadkill records in Japanese municipalities, which could be used to improve road safety and monitor the density of local wildlife.

2 0 0 0 OA 略画式

著者
[ケイ]斎 筆
出版者
竹川藤兵衛 [ほか]
巻号頁・発行日
1813

鍬形蕙斎(北尾政美)の草花絵本。通行書名は「草花略画式」。大本1冊。淡色摺り。文化10年(1813)10月、江戸・須原屋市兵衛、同善五郎、鶴屋金助、英平吉、竹川藤兵衛。文化10年12月の平(岸本)由豆流の序には、「このふみのこと、風をもゑかゝすして風のけはひいちしるく、つゆをもあらはには見せて、枝のおもけなるさま、花のさきこほれたるいろとり、くちきかきのすみをにほはせたるなと、ことそきたるものから、すへてたゝそのものと見ゆる」と本絵本を称している。序中の「くちきかき」は朽木書きで、焼き筆による下絵のこと。その朽木書きのような省筆でありながら、風、露などの風情を描かずして表現し得ているという。墨線は用いず、淡色の上に、萌葱色を基本に3色ほどと色数も少ないが、独自の淡麗な画趣を湛えている。取り上げられた草木も、なたねの花、夕かほ、けゝ花、露艸、その他、賞翫用のそればかりでなく、ふだん山野や路辺で目にする草花について注意の目を向けている。蕙斎の一連の略画式の中では、最も遅れて成った。(鈴木淳)(2017.2)
著者
坂元 徹
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.7, pp.343-347, 2018-07-01 (Released:2018-07-01)

知的財産を取り巻く環境は劇的に変化しており,膨大な特許情報をグローバル視点で迅速かつ的確に概要・要点を分析することが求められている。このような状況の下,多くのAI技術を活用した特許調査・解析ツールが開発されており,「Xlpat」もその1つである。本稿では「Xlpat」の基本的機能や使用例について簡単に報告する。
著者
岩坂 泰信 張 代洲 小林 史尚 牧 輝弥 柿川 真紀子 洪 天祥
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

タクラマカン砂漠での気球観測では上空に浮遊する黄砂の約10%が微生物と合体していた。黄砂が偏西風帯にまで舞い上がった時点ですでに微生物を付着させている可能性が高い。能登半島での観測は、黄砂濃度上昇時に微生物濃度が上昇し「黄砂とともに大気圏を移動している」ことを強く示唆した。立山山頂付近の積雪の黄砂層の微生物多様性はタクラマカン砂漠のものと高い類似性があり、砂塵発生源地からの長距離移動・拡散を示唆した。
著者
黒岩 将 安本 慶一 村田 佳洋 伊藤 実
出版者
一般社団法人情報処理学会
巻号頁・発行日
2013-03-12

合コン(お見合いパーティ)では,できるだけ多くのカップルを成立させたいという要求が発生する.本論文では,合コン結果から,カップルが成立しやすい男女の属性情報の組(好相性と呼ぶ)を,進化計算を用いて求めることで,理想的な合コンメンバ(合コン参加者名簿)を決定するシステムを提案する.提案システムでは,男女の属性情報の組を進化計算の解集団(初期個体群)としてシステムに持たせ,合コンでのカップル成否を解の評価値(適応度)としてフィードバックしながら,好相性を表現する準最適解集団の獲得を目指す.提案システムの実現には,複数の好相性の同時探索,様々な参加者による多数の合コンの実施が必要である.これらの課題を解決するため,進化計算の新しい選択法,過去の合コン結果の新たな解評価への再利用法を考案した.提案システムを評価するため,カップルになった男女の属性情報を解としてそのまま利用する比較手法を用意し,計算機シミュレーションにより比較を行った.結果,提案手法が,比較手法に比べて,半分の合コン実施回数で,約2倍のカップル成立数を達成できることを確認した.
著者
楠岡 成雄
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.289-298, 1993-11-12 (Released:2008-12-25)
参考文献数
41
著者
上森 亮
出版者
早稲田大学大学院社会科学研究科
雑誌
ソシオサイエンス (ISSN:13458116)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.17-32, 2013-03-25
著者
中央気象台 編
出版者
中央気象台
巻号頁・発行日
vol.第9冊, 1935
著者
中村 覚 大和 裕幸 稗方 和夫 満行 泰河
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.1, no.Pre, pp.71-75, 2017-09-08 (Released:2017-09-08)
参考文献数
5

歴史学研究は、歴史資料(以下、資料)の目録データの作成や整理を行う「資料管理」、研究者が資料を用いて研究課題の解明に取り組む「資料研究」、資料や研究成果を広く一般に公開する「成果公開」の三つのプロセスに整理することができる。各々のプロセスは、取り扱うデータや活動主体の違いにより、独立して進められることが多い。本研究では、上述したプロセス間の有機的な連携を支援することを目的とし、各プロセス間で取り扱うデータをLinked Dataを用いて関連づけ、それらを相互に利用可能なシステムを提案する。また、海軍造船中将・第13代東京帝国大学総長であった平賀譲が遺した資料群『平賀譲文書』を対象とした適用事例を通じ、提案するシステムの有用性を評価する。