著者
谷村 吉隆 DIJKSTRA ArendG. DIJKSTRA A.G.
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

本年度は昨年度行った非マルコフ性について研究をさらに発展させ、系と熱浴が強く結合していることにより生じる平衡統計力学からのずれについて詳細に研究した。具体的には2スピン系に2つの熱浴をつけた研究を行った。この計算は2つの独立した階層を扱うことになり、計算コストは大変高いが並列化等の処理により初めて可能になった。系と熱浴との相関に関しても、非線形応答関数を計算する手法を応用することでより深く研究しBathentanglementという概念を導入して、その解析を行った。結合強度が強い領域で熱浴とのエンタングルメントにより、通常の熱力学と様相が大きくことなることをパンプ・プローブなどの非線形分光スペクトルと結びつけながら研究を行った。光合成FMO系についてこのような概念を導入することで、これまでの結果を変えるかについてもチェックを行った。これまではドルーデ型という構造をもたないスペクトル分布関数にを用いて主に研究をおこなったが、ブラウニアン型という、共鳴周波数をもつスペクトル分布関数に対する階層方程式をもちいることで、電子移動反応についての2次元分光についても研究を開始した。マーカスのインバーテッドパラボロと呼ばれる化学反応律の変化を、シーケンシャルからスーパーエクスチェンジと呼ばれる電子移動反応領域について、階層方程式を用いることで統一的に議論し、それがどのように多次元分光スペクトルに反映されるかについてのシミュレーションを開始している。結果はヨーロッパやシンガポール等の国際会議で発表し、投稿中を含む2本の論文として出版した。
著者
横井 勝彦 奈倉 文二 阿倍 悦生 鈴木 俊夫 小野塚 知二 千田 武志
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2002

平成17年度は、過去3年間の研究成果を踏まえて、国内外の研究ネットワークの拡大につとめた。これまで各研究分担者は「第二次大戦前における日英間の武器移転・技術移転」という共通テーマの下で、経済史の視点より多角的かつ実証的な研究を進めてきた。その一応の成果は、奈倉文二・横井勝彦・小野塚知二『日英兵器産業とジーメンス事件-武器移転の国際経済史-』(日本経済評論社、2003年)および奈倉・横井編『日英兵器産業史-武器移転の経済史的研究-』(日本経済評論社、2005年)に取りまとめることができた。そうした成果を踏まえて、平成17年10月には政治経済学・経済史学会の下に「兵器産業・武器移転フォーラム」を設置し、研究者ネットワークの拡充に着手した。それとは別に同年11月には第41回経営史学会全国大会(神戸大学)において、安部悦生が学会報告(自由論題「戦間期イギリス兵器企業の戦略と組織-ヴィッカーズとアームストロング」)を行い、これまでの研究成果の一部を紹介した。また、海外の研究者としては、マリーナ・カッタルッツァ(Marina Cattaruzza スイス、ベルン大学・教授)、エーリッヒ・パウアー(Erich Pauer ドイツ、マールブルグ・フィリップス大学・教授)、アンドリュー・ポーター(Andrew Porter イギリス、ロンドン大学・教授)、以上3氏との国際的な共同研究体制を確立することが出来た。「日英関係史における武器移転・技術移転」というこれまでのテーマを今後は「帝国史・国際関係史における武器移転の総合的研究」へと広げていく予定である。
著者
澤田 幸平
出版者
東京工業大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

パイルドラフト(PR)基礎は直接基礎の支持性能を活かしつつ、少数の摩擦杭により沈下の低減が見込める基礎形式である。従来の杭基礎の設計ではスラブ底面の支持力を無視し杭の支持力のみを考慮するため、PR基礎は合理的な基礎形式といえるが、ラフト-地盤-杭の相互作用が複雑であり未解明な点が多く残っている。特に地震時等、基礎に水平荷重が働く場合、この相互作用が水平変位により変化するため、基礎の挙動がより複雑になる。このため水平力に対してはラフト部のみで支持する簡便な設計方法が採用されることもある。また橋梁の基礎等の土木構造物は基礎幅に比べ重心位置が高いケースが多く、水平荷重を受けた際の水平変位に加え、基礎の回転が重要な問題となり相互作用が一層複雑となる。このため地盤工学の分野ではPR基礎の耐震設計法の確立には至っていない。地盤工学の分野では設計が性能設計に移行しつつあり、合理的な基礎形式であるPR基礎の耐震設計法の確立が強く望まれている。そこで本研究の目的は、PR基礎の合理的な耐震設計法の確立のために、PR基礎のラフト-地盤-杭の相互作用に関する詳細なメカニズムの把握である。具体的には相似則を考慮した遠心場で、PR基礎とその構成要素である、杭基礎、直接基礎の水平載荷実験を行った。これら3つの基礎形式の結果を比較することで、PR基礎のラフト-地盤-杭の相互作用を明確にする事が可能となる。またパイルドラフト基礎を実務に適用するためには、この複雑な相互作用のモデル化が必要となる。このため本研究ではPR基礎のモデル化に必要となるラフト、杭のバネ値である地盤反力係数について着目して結果の整理を行った。本研究の結果より、PR基礎の鉛直、水平、モーメント抵抗は杭基礎よりも大きくなることが確認できた。これらの結果はラフト部から抵抗が得られることに加え、ラフト底面の接地圧の増加により杭周面摩擦力、および押込み側の杭部の地盤反力係数が杭基礎に比べ増加しているためであることが確認できた。
著者
米森 敬三 佐藤 明彦 山根 久代 神崎 真哉
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

日本のカキの甘渋性を決定するAST遺伝子の単離を目的として、カキ(六倍体)の二倍体近縁野生種マメガキから作製したフォスミド・ライブラリーを用い、AST遺伝子マーカー領域をプローブとしてシードクローンを単離後、コンティグを構築した。さらに、マメガキのBACライブラリーを構築し、BACクローンを用いたコンティグも作製した。これらのコンティグ内にはAST遺伝子が存在している可能性が高く、AST遺伝子単離の実現性が大きく前進した。さらに、中国タイプの甘渋性を決定するPCNA遺伝子の単離においても、マメガキのBACクローンが有効である可能性が示され、CPCNA遺伝子単離のための方向性が示された。
著者
栗林 一彦
出版者
宇宙科学研究所
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1992

III-V族化合物半導体の溶液成長過程においてしばしば見られる巨大ステップ(マクロステップ)はドーパントの偏析をもたらす等により、結晶の品質を著しく損なうことが指摘されている。本研究は、赤外線を観察光とする顕微干渉計を用い、III-V族半導体であるGaPの溶液成長過程をリアルタイムで観察し、マクロステップの形成に関する液相中の温度勾配、流れ等の影響から、成長面形態の安定性に関する知見を得ることを目的としている。本年度は、上記リアルタイム観察から求めたマクロステップ間隔λを拡散支配モデル及び濃度境界層モデルによる計算と比較し、液相中の流れによる撹拌の影響の検討を行なった。西永らによる拡散律速型の界面安定性理論を、液相中の流れの効果を取り入れた濃度境界層モデルに拡張すると、λは2π√<DC_<e0>τ_D/C_sR(t)><^^-λ<^^-2π√<3DC_<e0>τ_D/C_sR(t)>で与えられる。ここでC_<e0>は曲率が0の時の液相中の平衡溶質濃度、C_sは固相中の溶質濃度、τ_Dはキャピラリー定数、Dは拡散係数、R(t)は成長速度である。λ、R(t)はそれぞれ明視野像、干渉縞像から求めた。これらの実測値は上記の関係を満たした。このことは、マクロステップの拳動は西永らの界面安定性理論でかなり良く説明できることせ示すものといえよう。また上部を冷却、下部を加熱すること等により液相中に積極的に流れを生じさせた場合、λは小さくなること、さらには、ステップクーリング及びニアクーリング法のいずれの場合もマクロステップが発生・発達したのは対照的に、適当な正の温度勾配がマクロステップの発生を抑制することが確認された。この結果は、温度勾配の付加が流れの抑制及び界面の安定化をもたらすことを示すものである。
著者
吉田 修一郎 高橋 智紀 西田 和弘 中野 恵子 鈴木 克拓 小田原 孝治
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

有機物連用、酸化還元処理による水田土壌の膨潤収縮量や間隙構造の変動レンジについて不攪乱土壌および調整土壌の分析に基づき解析した。有機物連用により稲麦輪作に伴う酸化還元の変動レンジは拡大するが、高水分領域での膨潤収縮特性への影響は風乾調整試料でのみ認めた。また、湛水等の還元環境のもとでは、水ポテンシャル一定条件下であっても、時間の経過とともに体積比および含水比が増加する粘弾性的な挙動が認めた。還元処理は、間隙径分布を全体的に増加させ、練り返しは、狭い範囲に間隙径分布を収斂させる働きがあることを認めた。酸化還元の影響下にある水田土壌の膨潤収縮特性の解析における粘弾性モデルの有効性を提示した。
著者
山田 進 町田 昌彦 大橋 洋士 松本 秀樹 今村 俊幸
出版者
独立行政法人日本原子力研究開発機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究ではメニーコア計算機用を対象に、量子多体モデルのシミュレーション手法である密度行列繰り込み群法と厳密対角化法の並列化・高速化を実施した。特に、モデルの物理的性質と計算機のネットワークアーキテクチャを考慮して、高速な通信手法を提案しその有効性を確認した。また、開発したコードを実際の物理問題に適用し、それらの物理的性質についての議論を行った。
著者
田岡 和城
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

CMMoL患者からOCT3/4、SOX2、KLF4、L-MYC、LIN28、p53-shRNAを導入し、iPS細胞(CMMoL-iPS)を樹立した。CMMoL-iPS細胞由来血球は造血能の亢進を示しており、表面抗原の特性も再現した。CMMoL-iPS細胞を免疫不全マウスの皮下に移植すると、奇形腫内で造血幹細胞が生じ、その細胞を免疫不全マウスに2次移植したところ、CD13陽性の単球細胞やCD34陽性細胞のCMMoL様細胞が産生され、CMMoLヒト型マウスモデルを樹立することに成功した。CMMoL-iPS細胞由来血球はERKの活性化を来しており、RAS阻害剤やMEK阻害剤により増殖が阻害された。
著者
柿並 良佑
出版者
立命館大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

「政治的なもの」に関する原理的研究を行い、成果として論文数点を発表した他、まもなくラクー=ラバルト&ナンシーのテクストの翻訳を発表予定である。また期間中に二度の渡仏調査を行ったが、その間、研究者と貴重な対談、インタビューを行うことができた。その一端は既にWebに公開されているが、残りの分についても発表予定である。
著者
有川 秀一
出版者
青山学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

これまでレーザ干渉計測を適用できなかったランダムな外乱振動下で,スペックル干渉法による面内2軸方向の変位分布測定方法を確立した.多数の画像から干渉可能な画像を選出することで,500mW以下のレーザでも測定可能な手法を確立し,3脚に設置可能な小型干渉計を構築した.さらにレーザの偏光を利用した分離方法および位相解析を適用可能にすることで面内2軸方向の変位分布・ひずみ成分を取得可能にした.そのためこれまでレーザ干渉測定が困難であった様々な現場でのスペックル干渉測定が可能になり,多くのひずみ測定実験や非破壊検査技術への応用が期待できる.
著者
伊村 くらら
出版者
中央大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

本研究課題では、幅広い産業において重要な貴金属ナノ粒子の回収と再分散を達成するため、pHに応答する両親媒性化合物を用いたナノ結晶回収法の開発とその有効性の検討を目的とした。まず、長鎖アミンにカルボキシル基を導入した両親媒性化合物群を合成し、水中での分子集合体構造を検討した。合成したC16CAは、pH6以上では球状ミセル、pH2からpH6ではラメラ、pH2以下ではひも状ミセルと、水溶液のpHに応じて分子集合体が三態に変化することが示された。そこで、最も一般的な貴金属ナノ結晶である金ナノ粒子をC16CAのラメラにより回収し再分散することを試みた。塩基性条件のC16CA溶液にクエン酸還元法で得られた金ナノ粒子を加えると、C16CAが配位することによって保護剤効果でナノ粒子が良好に分散することが示された。この分散溶液を弱酸性に変化すると、金ナノ粒子を取り込みながらC16CAのラメラが析出した。透過型電子顕微鏡(TEM)観察を行うと、金ナノ粒子がラメラ析出物の中で粒子間隔を維持したまま取り込まれていることが確認できた。また、ナノ粒子を取り込んだラメラは、ろ過操作によって、溶液から完全に分離され、ナノ結晶の分離回収剤としての機能発現を果たした。さらに、溶液pHを弱酸性から塩基性に操作すると、金ナノ粒子を取り込んだC16CAラメラ析出物が再び溶解し、分離回収したナノ粒子を再分散できた。このとき、UV-visスペクトルおよびTEM観察から、金ナノ粒子の分散状態が回収前の初期のものと変化していないことが確認され、ラメラの中に取り込むことで析出状態にあっても粒子同士の凝集を抑制できることが示された。このことから、C16CAの分子集合体のpH応答特性を利用した溶液‐ラメラ析出といった転移の制御は、ナノ結晶の分離方法として極めて簡便で有効な手法といえる
著者
赤瀬 信吾 田中 登 藤本 孝一 鈴木 元 小林 一彦 岸本 香織
出版者
京都府立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

冷泉家時雨亭文庫の蔵書のうち冷泉家時雨亭叢書(朝日新聞社刊)未収録のもの約500点を詳細に調査した。そのうち77点については『新古今和歌集 打曇表紙本 風雅和歌集 春夏』をはじめとする16巻に分けて刊行した(現在も刊行中)。また、特に注目される擬定家本私家集(定家書写本の様式をまねて作成された写本群)については、和歌文学会関西例会においてシンポジウムを催した。これは、鎌倉時代中期から後期にかけての歌書が、どのように作成されていったのかを克明に研究する方法とその意義とを明確にする画期的なシンポジウムとなった。
著者
仲岡 雅裕 田中 法生 堀 正和 四ッ倉 典滋 宮下 和士 磯田 豊 野田 隆史 灘岡 和夫 山本 智子 浜口 昌巳
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、日本の温帯と冷温帯の沿岸生物群集を対象に、生産者と消費者の広域分散過程、および温度変化に伴う生産者と消費者の相互作用の変異を調べることにより、地球規模での環境変動に伴う沿岸生物群集の変化を理解し、沿岸資源生物および沿岸生態系の保全・管理に資することを目的とする。広域野外調査、リモートセンシング・GISを用いた長期変動解析、メタ群集決定構造の数理的解析、集団遺伝解析、野外操作実験を組み合わせたアプローチにより、沿岸生物群集の構成には、水温等の広域スケールの変動要因と、競争・捕食等の局所スケールの変動要因が複雑に関与していることが判明した。今後の気候変動に伴い、沿岸生物群集の動態は、植物-動物間相互作用の変化を通じて不安定化する可能性が高いことが予測された。
著者
加藤 弘之
出版者
国立情報学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

副作用のない純粋な関数型言語の分野で開発された、プログラム変換技術の一つである「融合変換」に、副作用を有する言語に適用可能なものに拡張するためのアルゴリズムを与えた。特にデータモデルとしてグラフ構造を対象とした言語を用いる。グラフ構造は、現実世界の実体を直接かつ自然に表現できるデータ構造であるからである。研究代表者が既に開発した木構造を対象とした副作用を有する言語であるXQueryはグラフ構造も扱うことができるため、この言語に対する健全な融合変換を与えた。また、完全性を示すためのスキーマのクラスと問合せ言語のクラスを示した。
著者
浅沼 俊彦 石蔵 文信 中谷 敏 増田 佳純
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

胸痛消失後の心筋虚血の診断(「虚血の既往」の診断)はしばしば困難であり、非侵襲的かつ簡便な心エコー法でこれが可能になれば、臨床で有用と考えられる。われわれは、動物実験により、最新技術である組織トラッキング法を用いて、これが可能か検討した。その結果、微細な心筋の異常運動(駆出後収縮)は、虚血改善後にも持続することが明らかになり、心エコー法による「虚血の既往」診断が可能と考えられた。
著者
佐々木 信幸
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

(1)30%酸素吸入による認知機能変化発症15日以内の脳梗塞・脳出血患者において30%酸素と室内気吸入時の記銘力を比較し,左病巣群で高濃度酸素による言語性記銘増強効果を認めた.増強効果が大きい群では両側脳血流が低下していた.(2)iPadによるATMT訓練とWiiによる全般認知訓練発症10日以内の脳梗塞、脳出血患者において2週間のiPadによるATMT訓練群、Wiiによる全般認知訓練群のTMT-AとMMSEの変化を調べた。対照群に比しiPad群ではTMT-AのみならずMMSEも有意に改善し、効果は限定的でなく般化する可能性が示唆された。
著者
漆原 秀子
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究はモデル生物として知られる細胞性粘菌Dictyostelium. discoideumにおいて発生分化を支配する遺伝子間の制御関係をゲノムワイドに解析することを目指し、上流プロモーター領域の取得とデータベース化、遺伝子の発現特性による階層的グループ化、発現グループに特徴的な制御エレメントの抽出等による遺伝子間の制御ネットワークの解析を行った。プロモーター領域については転写開始点のばらつきを考慮してORF開始点を基準にとることとし、全予測遺伝子についてその配列を取得してデータベース化した。また、情報量の不足していた有性生殖期を中心にRNAを調製してアレイ解析を行い、これまで発現が確認されていなかった新規遺伝子約1,300個についての発現パターンを取得した。そのうち、性的成熟に伴って発現レベルが2倍以上に誘導される遺伝子が40個、1/2以下に抑制される遺伝子が123個、1/5以下になるものが51個であった。2倍以上に誘導される遺伝子と1/5以下に抑制される遺伝子についてリアルタイム定量PCRを行い、各々24個、13個について発現レベルの変化を確認することができた。MEMEプログラムによって特異的配列を抽出したところ、aggtc(t/a)aの配列が配偶子特異的遺伝子の上流に複数回出現していることがわかった。一方、細胞内シグナル伝達に関わるras遺伝子ファミリーの解析を行い、これまでに解析されているRasGグループとはやや系統的に隔たったRasXグループの6遺伝子(rasU, rasV, rasW, rasX, rasY, rasZ)が有性生殖期に特異的に発現することを見出し、シグナル伝達の仕分けを示唆することができた。これらの遺伝子がゲノム中にクラスターとして存在することを利用して4遺伝子と6遺伝子の多重破壊株を作製した。これらの破壊株において増殖と無性発生は正常であった。
著者
松本 美鈴
出版者
青山学院女子短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

伝承料理"あらい"の特徴は、きわめて活きのよい魚介類を用いることである。しかし、このような調理の特殊性が、"あらい"の利用範囲を限定している。あらい調理の可能性を広げるために、本研究では、鮮度の異なる魚肉から"あらい"を調製し、調製条件が魚肉の収縮に及ぼす影響を検討した。活スズキの筋肉を試料として用いた。試料は5℃で2日間貯蔵し、経時的にサンプリングし、"あらい"を調製した。"あらい"調製条件は、次の5つである。(1)18℃の脱イオン水中で3分間撹拌。(2)49℃の脱イオン水中で20秒間撹拌。(3)18℃の1mM塩化カルシウム水溶液中で3分間撹拌。(4)18℃の10mM塩化カルシウム水溶液中で3分間撹拌。(5)18℃の100mM塩化カルシウム水溶液中で3分間撹拌。調製した"あらい"物理的性質は、明度、硬直度、レオナーによる破断試験により評価した。また、各種"あらい"からエキスを調整し、筋肉中のアデノシン5'トリリン酸(ATP)と乳酸を測定した。即殺直後および6時間貯蔵した筋肉からは、いずれの条件でも"あらい"が調製できた。しかし、カルシウムを添加した水で処理した"あらい"は、筋肉の硬直度や破断荷重の値が大きく、筋収縮が著しかった。また、即殺後1日冷蔵した肉を脱イオン水中で処理しても筋肉は収縮せず、"あらい"にならなかった。しかし、10mMあるいは100mM塩化カルシウム水溶液で"あらい"を調製すると、即殺してから24時間貯蔵した魚肉においても、解糖系からの収縮エネルギーであるATPが補給され、筋肉が収縮することが認められた。つまり、"あらい"処理用の水にカルシウムが存在すれば、きわめていきのよい魚を用いなくても、"あらい"を調製することが可能であることが明らかとなった。
著者
浦久保 孝光
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

ロボットアームの特異姿勢は,従来のロボット運動制御においては避けられる傾向が強い.本研究では,ロボットアームによるある種の作業に対しては,特異姿勢を用いて作業を遂行することにより,必要な関節トルクを低減することが可能であることを明らかにした.作業遂行のための最適運動を数値最適化によって求め,この運動に見られる特異姿勢の動力学的性質を解析により明らかにした.さらに,得られた最適軌道により実際のロボットにおいても特異姿勢を用いた省トルク化が達成されることを実機実験により明らかにした.
著者
手島 貴範
出版者
国士舘大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、サッカー選手における持久的及び間欠的運動能力からみた体力的要素の発達過程について明らかにすることを目的とした。その結果、Yo-Yo intermittent recovery test (Level 1と2)は、12分間走との間に有意な相関関係が認められた。また、Yo-Yo intermittent recovery test (Level 1と2)は、それぞれ14歳から15歳の間の思春期中に著しく発達することを明らかにした。さらに、サイドに位置する選手において、Yo-Yo intermittent recovery testの結果が試合中の移動距離を反映することを明らかにした。