著者
中谷内 一也 渡部 幹
出版者
The Japanese Psychological Association
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.235-243, 2005
被引用文献数
1

This research examined the effects of providing a monitoring and self sanctioning system, called "hostage posting" in economics, on the improvement of trustworthiness. We conducted two questionnaire-type experiments to compare the trust-improving effects among the three conditions, (a) a voluntary provision of a monitoring and self-sanction system by the manager, (b) an imposed provision, and (c) an achievement of satisfactory management without any types of provisions. Total of 561 undergraduate students participated in the experiments. Results revealed that perceived integrity and competence were improved to almost the same level in both conditions (a) and (c), whereas these were not improved in condition (b). Consistent with our previous research, these results showed that the voluntary hostage posting improved trustworthiness level as well as a good performance did. The estimation of necessity of the system, however, was not different across these conditions. The implications for management practice and directions for future research were discussed.
著者
村上 大造 松吉 秀武 蓑田 涼生 鮫島 靖浩 湯本 英二
出版者
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.73-78, 2009-06-30 (Released:2010-02-10)
参考文献数
15
被引用文献数
1

今回われわれは3例の小児・若年者(19歳以下)甲状腺乳頭癌症例を経験し,主に治療方針について文献的考察を加えて報告する。3症例とも広範な両側頸部リンパ節転移を有し,1例に多発性肺転移,また,残りの2例にも肺野に小結節陰影を認めた。全例に甲状腺全摘出術,両側頸部郭清術を行い,1例は患側の反回神経浸潤を認めたため,神経切除のうえ神経再建術を行った。また,全例,術後にI131大量療法を施行した。多発性肺転移例は現在も肺野に結節陰影を認めているが,治療後16年経過し明らかな増大傾向はない。また,1例に術後鎖骨下リンパ節にI131の集積を認めたが,リンパ節径の増大傾向やサイログロブリン値の上昇がないため,現在は外来にて厳重経過観察を行っている。全例生存し,日常生活に支障を来す合併症は認めていない。小児・若年者甲状腺乳頭癌の場合,腺内転移,リンパ節転移,肺転移の頻度が成人症例よりも高いという特徴がある。そのため,甲状腺全摘出,徹底した頸部郭清術を行い,必要に応じてI131大量療法を施行する必要があると考えられる。
著者
竹下 欣宏 三宅 康幸 酒井 潤一
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.111, no.7, pp.417-433, 2005 (Released:2005-11-01)
参考文献数
60
被引用文献数
7 8 3

古期御岳火山起源のテフラと上総層群中のテフラの対比を角閃石の化学組成値を用いて検討した.その結果,上総層群中の白尾テフラ(BYK)とKs12テフラが古期御岳火山のHサブステージのYUT4もしくは5と溶岩ステージの上浦沢テフラにそれぞれ対比できることが明らかになった.BYKとKs12は内陸地域と海岸地域を結ぶ重要な鍵テフラとなるだけでなく,特にBYKは更新世の前・中期境界の直上に位置するために,中部~関東地方において重要な時間基準面を提供すると考えられる. 上総層群中の9枚のテフラ(Ku6E, Ku5C, BYK, Ka2.4B, Ka2.4A, Ch3, Ch1.5, Ks18, Ks12)に含まれる角閃石の化学組成値はそれぞれ異なることを示した.さらに,黒富士火山,古期御岳火山のテフラも角閃石の組成値により明瞭に区別することができた.それらの結果は,その組成値がテフラの同定,対比の有効な指標になることを示している.
著者
渡邉 章子 中根 一恵 今井 克彦 大羽 和子
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.179-183, 2013-04-15 (Released:2013-06-04)
参考文献数
26

(1)ダイコンのNO3-は,上部に比べて顕著に下部に局在し,VCはNO3-含量の少ない上部に多く存在した.(2)全施肥窒素量を多く施用されたダイコンほどNO3-含量が多かった.また,施肥窒素量は同量であっても基肥窒素量を控えめにした場合に,NO3-含量が少なく,VC含量が多い傾向がみられたことから,基肥を控えた追肥主体の栽培方法により,NO3-含量の少ないダイコンが生産できる可能性が示唆された.

2 0 0 0 OA 緜考輯録

著者
[小野景湛] [等編]
巻号頁・発行日
vol.第14冊, 1000
著者
中村 晃士 鈴木 優一 山尾 あゆみ 加藤 英里 瀬戸 光 沖野 慎治 小野 和哉 中山 和彦
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学 (ISSN:13452894)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.121-125, 2012-07-15 (Released:2017-01-26)

われわれは,家族内葛藤から生じたと思われる心因性難聴と診断された女児Aを経験した.16歳の女児Aの幼いころの家庭では,父親がアルコールによる病的酩酊があり,父親から母親に対する暴力が日常的にあった.患者自身は被害に遭うことはなかったが,母親が父親に暴力を振るわれる姿をいつも見ており,緊張した毎日を送っていたと思われる.こうした中,患者は小学校低学年から耳が聞こえにくいという症状を呈していたが,耳鼻科を受診するも耳鼻科の診断がなされるが精神科治療に結びつくことはなかった.患者が小学5年生のときに両親は離婚しているが,父親の仕事をAが手伝うといった形をとっていたため,家庭,そして両親のバランスをAがとるという調整役を担わされていた.その結果として,難聴は次第に悪化し,16歳まで遷延化したため,精神科治療に導入された.診察の結果,Aの難聴は心因性であるとされ治療が開始された.面接の中で,Aにとって難聴は,意思を表明しないための道具であり,防衛として理解された.すなわち,Aは両親の狭間で意見を求められたり,ときにはどちらにつくのかといった態度の表明を迫られたりし,それを出来ないAにとっての防衛策が難聴だったのである.Aは家庭内で調整役を担わされているために葛藤状況が生じていると考えられ,Aの思いを言語化するよう治療では促された.もちろん,防衛としての難聴をAが手放すには時間がかかるが,Aが家庭内での調整役を担わなくても家族が崩壊しないことを現実生活の中で体験していけば,少しずつ難聴を手放せていけると思われた.また現代社会の中で,家庭環境はより複雑化していく一方であり,このような患者が増えていくことが予想される.治療者は,家族内の病理が女性や子どもといった弱い立場の人の身体症状という形で表面化しやすいということを念頭に治療に当たらなければいけない.
著者
谷川原 祐介 西 弘二 西牟田 章戸
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

抗がん剤の効果にみられる個人差はがん治療における大きな課題のひとつである。本研究は、タンパク質を介する応答を分析するプロテオーム解析と細胞内代謝を介する応答を分析するメタボローム解析という最新手法を用いて、癌に対する化学療法薬の作用機序と耐性メカニズムの解明を目的とした。薬理作用と耐性に関与する細胞内応答解析によって、抗がん剤反応性の個人差(有効または無効)を予測しうるバイオマーカー分子を複数見出し、個別化投薬へ展開するための基礎的知見を得た。

2 0 0 0 OA 標題紙

雑誌
立教大学コミュニティ福祉研究所紀要
巻号頁・発行日
vol.5, 2017-11
著者
今島 実
出版者
日本動物分類学会
雑誌
動物分類学会会報
巻号頁・発行日
no.38, pp.23-26, 1968-09-25
著者
田嶌 和久
出版者
立正大学
雑誌
立正大学文学部研究紀要 (ISSN:09114378)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.64_a-51_a, 1991-03-20

The primary significance of the so-called "order-problem" seems that this "problem" clarifies the contents of the macro-theory (analysis) of sociology. The purpose of this paper is to show the contents of the "theory of sociology of law" at the macro-theory of sociology through the following analysis : (1) To explain the outline of "oder problem in the modern states" and "justification in modern states". This explanation makes it clear that the shortcomings of Offers' theory. (2) To show the element that distinguishes Schmitts' theory from other sociologists (especially, Habermas, Luhmann, Offe). This element must be the center of the "theory of sociology of law". (3) To examine Schmitts' "theory of law". This examination makes it clear that Schmitts' "theory of law" complements Webers'.