著者
井川 ちとせ
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

郷里のイングランド中部地方を舞台に市井の人びとの日常と心理を克明に写し取った「リアリズム作家」として長らく文学史の周縁に置かれてきたアーノルド・ベネット(1867-1931)と、その晦渋さゆえにつねに精緻な読解の対象とされるヴァージニア・ウルフ(1882-1941)、ジェイムズ・ジョイス(1882-1941)、T. S. エリオット(1888-1965)ら「モダニズム作家」との同時代性に注目し、ジャーナリズムと学術研究というふたつの領域間の交渉を跡づけることで、リアリズムからモダニズムへという単線的な発展史の見直しをおこないました。
著者
西田 眞 景山 陽一
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では,口唇の動き特徴を利用した汎用性の高いヒューマンマシンインタフェースの構築を目的とし,口唇情報の解析およびシステム構築のための要素技術の開発を行った。その結果,(1)口唇の局所形状情報を用いて口唇形状のグルーピング,ならびに対象者の絞り込みが可能であること,(2)口唇の動き特徴のばらつきに着目することで喜びの情動の有無を検出可能であること,(3)発声が口唇の動き特徴に影響を及ぼし,発声状態を考慮することでコマンドの認識率を向上可能であることなどを明らかにした。
著者
三好 美織
出版者
広島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では,これからの社会を生きる児童・生徒が,理科教育において身に付けるべき科学的教養の内実と,理科の授業においてそれをいかに育成していくか,具体的な指導方略と習得状況を評価するための方法,評価規準を検討した。理科教育において科学的教養を育成し評価するにあたり,学習内容に則して科学的教養の具体を設定すること,知識,能力,態度などを総合して発揮することのできる文脈の中で,問題解決や探究活動など児童・生徒の実際的活動を通して科学的教養の育成を図ること,などが求められる。今後の課題として,教師の指導能力の向上のため,学習課題や実践事例の収集など,教員の支援体制の構築が必要になると考えられる。
著者
前田 君江 (2002-2003) 尾沼 君江 (2001)
出版者
東京外国語大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2001

1.昨年度に引き続き、イランの現代詩人シャームルーAhmad Shamlu(1925-2000)に関する研究を行った。今年度は、シャームルーの政治的思想と作品との関わりから、さらに進んで、彼が1950-60年代におけるイラン詩の状況の中でうち立てた、独自のジャンルと詩論についての研究を行った。2.シャームルーは、イラン詩において初めて、she'r-e mansur「非韻律詩」のジャンルを確立した詩人である。本研究では、歴史的にshe'r-e mansur(「散文の詩」)と呼ばれてきた作品を分析することによって、ペルシア詩におけるshe'r-e mansur概念の再考を試みた。これによれば、ペルシア語のshe'r-e mansurは、従来、prose poetryと訳されてきたが、形態的には、文学研究一般で言われるところの「散文詩」ではなく、avant garde free verse(「完全自由詩」)と呼ばれるものに近い形であることが明らかになった。しかし、同時に、she'r-e mansurが、「詩」において必要不可欠であるとされてきた「韻律」を排除したために、「散文」であるとみなされ、かつ、she'r-e mansur自体もまた、韻律の存在に関わりなく、詩が「詩たらしめるもの」を追求するという点で、「散文詩」と同様の文学史的課題を背負ってきたことを明らかにした。3.韻律形式は、現代においてもなお、ペルシア文学において、絶対的な価値をもつものであり、これを侵すことの意味もまた重大であった。シャームルーが、詩から韻律を排除するに際して、うち立てた概念のひとつが、「純粋詩」である。本研究担当者は、シャームルーの「純粋詩」の思想を、ペルシア詩において、新しい「詩」概念の形成として捉え、これを分析した。これによれば、第一に、シャームルー詩作論においては、「それ自体の形態をもった詩が、おのずから生まれてくる」という、彼の個人的な感覚が、非韻律詩創出の契機となっていることが指摘できる。また、第二に、シャームルーの主張する無意識性が、たとえば、「自動記述」において見られるような、無意識の利用ではなく、外界における体験が詩人の感覚を支配する力の強さを確信している点で、特徴的であることが明らかになる。4,さらに、シャームルーが事実上、詩作のうえでの師として位置づけたニーマー・ユーシージNima Yushij(1897-1960)の詩論の分析を通し、両者の詩学上の対立点が、詩における韻律リズムの存在に関するものだけでなく、詩と詩のフォルムとの関係をめぐるものであった点を明らかにした。
著者
大佐古 紀雄
出版者
育英短期大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

フィンランドの保育者制度を精確に理解することに予想以上の困難があったが、その詳細をつかむことができた。幼保の制度は一元的であっても、保育者養成のルートが多様であり、その最終学歴レベルにおいても裏付けとなる専門分野も異なる者が混在して職場にいるような状態である。特に大学と応用科学大学(AMK)に着目して事例研究を行ったが、同国の高等教育の質保証のシステムに準拠しながらも、それぞれの機関で良質な教育を提供するべく、教育課程、入試、実習においても工夫が為されていたことが確認できた。当初予定していた他の欧州諸国との比較まで至ることができなかったが、保育者およびその養成の制度の比較の視座が得られた。
著者
田端 俊英 上窪 裕二
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

マウス小脳へのB型ガンマ・アミノ酪酸受容体アゴニスト注入は小脳長期抑圧(LTD)依存的な視機性動眼反射(OKR)順応を促進した。一方、in-vitro実験により、1型アデノシン受容体がLTDのトリガー分子である1型代謝型グルタミン酸受容体と複合体化し、プルキンエ細胞におけるLTDの素過程を阻害することが分かった。Gタンパク質共役性受容体の相互作用がシナプス可塑性と学習に影響することが示唆された。
著者
三木 明徳 安藤 啓司 荒川 高光
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

筋損傷に対する予防や治療は、スポーツやリハビリテーションの臨床の現場において、理学療法士の重要な任務である。筋損傷急性期には寒冷療法が行われているが、筋再生の面から見ると好ましくない結果が出ている。科学的根拠に基づいた筋損傷に対する治療を確立するため、筋損傷に対する温度刺激の影響を形態学的、組織化学的、生化学的に観察した。温熱刺激を試みたところ、筋の再生は促進し、MyoDやmyogeninといった筋再生の重要因子の発現も早期化、促進できた。筋損傷後急性期の温熱刺激は禁忌とされているが、筋再生の面から見て検討を要すると考えられた。
著者
松本 剛 中村 衛 新城 竜一
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

台湾はフィリピン海プレートの運動に伴い、ルソン弧が東方より衝突することによって、現在の造山運動が引き起こされている。このような、台湾の造山運動・衝突テクトニクスを考察する上で、南西琉球弧がこれに果たす役割を検証することは重要である。そのため、台湾の衝突テクトニクスを解明するための米・台共同研究TAIGER Project(2004-2009)に参加し、2009年に実施されたR/V Marcus G. Langsethで実施された地下構造探査に加えて、EM-122測深機による精密測深データを取得した。また、これまでJAMSTEC船等で1990年以降に実施されて来た精密海底地形調査の結果を集大成し、沖縄トラフから琉球島弧・前弧域・海溝域・西フィリピン海盆北部に至る最新の海底地形図を作成し、それをもとに、当該域のテクトニクスを考察した。南西琉球弧から琉球海溝に至る海域は、次に示す東西方向の4領域に分類することが可能である。最北端の領域は、南岸沖の南落ち斜面に沿って南北方向に発達した海底谷の分布によって特徴付けられる。その南側では、スランプ性地辷り痕が発達し、平坦な前弧海盆へと続いている。更にその南側では、複雑な起伏、急斜面、東西向きのhalf grabenなどの、不規則な地形によって特徴付けられる。海溝域は、幅約40kmにも達する6500-6600mの深さの平坦面である。海溝軸の位置を特定することは難しい。海溝域の平坦面上には4個の海山が見られる。しかし、このような海溝の地形的特徴は、Gagua海嶺の衝突の起こっている123°Eの西側では不明瞭となっている。宮古~八重山域に掛けては、「島弧胴切り」型の正断層が多く発達しており、これらは活断層と認定されている。そのうち、石垣島東方沖の断層については、沖縄トラフの伸張に伴って北方に伝播している(すなわち、活断層の長さが長くなっている)ことが明らかとなった。これらの地形的特徴は、沖縄トラフ西部の伸張と呼応して、123°Eの東側で、海溝が南方のフィリピン海プレート側へ後退していることを示唆している。Gagua海嶺のある123°Eの西側の花東海盆は、その東側の西フィリピン海盆の特徴とは大きく異なる。後者が、拡大痕に相当する地塁・地溝地形とそれを直角に横切る断裂帯が多く発達するのに対して、前者は地形の起伏に乏しい。また、花東海盆の沈み込みが起こっているか否かは明瞭ではない。花東海盆の西端に当たるルソン弧と併せて、同海盆が前弧・背弧域と一体化し、これらの3海域全体が台湾ブロックに衝突している可能性が示唆される。花東海盆の北側前弧域では、明瞭な深発地震面が観察される。しかし、これはユーラシアプレートに対して北西方向に西フィリピン海盆が斜め沈み込みを起こしていることによる深発地震面であると見られる。
著者
荻野 昌弘 古川 彰 松田 素二 山 泰幸 打樋 啓史 今井 信雄 亀井 伸孝
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、太平洋戦争とその敗戦が戦後の日本社会およびアジア太平洋地域の形成に与えた影響における「負」の側面と、忌まわしい記憶として現在も残る戦争の記憶とを一括して「負」の遺産と捉え、調査研究することを目的としている。この目的のため、太平洋戦争時における日本国内および旧植民地、および中国大陸、太平洋諸地域など関連地域に関する調査を実施し、戦争に関する関連研究機関との協力関係の構築、図書館、博物館など資料の所在確認と基礎的データの収集に努めた。本研究の成果は次の三つの点にある。1戦後の日本社会の変容と太平洋戦争との関係-戦争が戦後の日本社会にいかなる影響を与えたのかという点に関して、空間利用という観点から分析した。具体的には、旧軍用地や戦争被害に遭った地域などがいかに変容したか、それが戦後日本の社会の構造変動にいかなる影響を及ぼしたかを考察した。このアプローチは、日本のみならず、太平洋戦争や第二次世界大戦に関係した地域,国家全体にも応用可能である。2戦争に関連した地域と観光開発-1のアプローチから、かつて戦場であった太平洋の地域を捉えると、その一部が、観光地になっていることが明らかとなった。かつての戦場は、いまや観光開発の対象であり、またグアムやサイパン、パラオのように、観光地としてしか認識されていない地域も存在する点に十分に留意する必要がある。3戦争が生み出した文化-太平洋戦争開戦から一年は、日本軍が勝利を収めていた。したがって、1942年の段階では、日本は一種の沸騰状態にあった。こうしたなか、思想や文化の領域においても,アメリカに対する勝利の事実抜きにしては、考えられなかったような新たな試みが生まれる。
著者
片山 直登 百合本 茂
出版者
流通経済大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では,現実のネットワーク設計問題において考慮すべき様々な条件を考慮したモデルを提案し,これらに対する解析,および容量スケーリング法,限定した分枝限定法や行・列生成法などを含む解法の開発を行った.続いて,基本的な容量制約をもつネットワーク設計問題に対して,デリート法を改良した貪欲法と容量スケーリング法を組み合わせた高速な新しい貪欲法を開発した.この高速解法を確率的シナリオ解析モデルに組み込むことにより,ロバストネスを考慮した新しいサプライチェーンネットワーク設計モデルに対する解法を開発した.
著者
松尾 健太郎 張 樹槐 西脇 健太郎
出版者
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、農薬散布量の削減を目的に、植物の病害を早期に発見する方法の開発とその病害発生状況をマップ化するシステムを開発することである。1)分光画像取得システムの開発室内実験用の装置は、スペクトルカメラ、リニアスライダ、製作した通信用制御装置、パソコン、16個のハロゲンランプからなる。本装置はリニアスライダにラインセンサであるスペクトルカメラが取り付けられ、リニアスライダとパソコンを通信用制御装置で結んでいる。本装置の動作は次の通りである。パソコンに画像保存用の名前を指定することにより、リニアスライダが設定幅を動きパソコンにその位置の画像を保存する。この動作を自動で繰り返し行い、対象物全体を撮影する。また、このシステムでは、取得した画像を波長別の対象物画像を一括して合成することや、マウスでクリックした画像の位置の全波長データをtxt形式で保存することができる。2)病害検出方法の検討レタスに腐敗病を接種し、発病前から作製したシステムで撮影し、その画像から検出方法を検討した。接種したレタスでは、目視で病害の発生が識別できる前の段階で健全な苗と比較して近赤外域の反射強度が低くなる傾向があることがわかった。このことを利用して画像処理を行うと目視で識別できる段階以前の病害発生状況を画像化することができた。ただし、原因不明で苗が枯死していく場合でも同様の傾向がみられ、病原菌の特定をすることはできなかった。本システムでは照明の関係から近紫外域のデータを取得できなかったので、照明を改良し再度実験を行う必要があると考えられた。3)マップ化システムの開発GPSが出す信号の識別IDを画像名にして保存することにより、全撮影が終了後に識別IDと位置情報により圃場画像を作製することができるプログラムを作製し、スペクトルカメラを使って圃場全体を撮影することが可能となった。
著者
西津 貴久
出版者
岐阜大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

本研究では,無菌充填・無菌包装された食品の微生物危害を誘起するパッケージ・シール部の細孔を振動法により検出する検査システムの開発を行うことを目的としている.変位制御式加振器とレーザー・ドップラー検出器から構成される計測システム(以下,レーザー式)と,加振器・検出器を兼ねた動電型スピーカー利用の計測システム(以下,スピーカー式)の試作機を用いて測定を行った.試料には,200mL容量のアルミ付き紙容器(ブリックタイプ)に蒸留水をアセプティック充填したものを用いた.細孔を模擬するためにストロー挿入口に1mm厚のセプタムゴムを接着し,そこに外径0.4mmのシリンジ針を突き刺し,2.5mLまでの範囲で空気を注入した.スピーカー式で得られる第1共振ピークはスピーカーと容器の1自由度の振動で,容器重しか反映していない.また第2共振(または第3共振)ピークは,レーザー式では検出されなかったが,レーザー・ドップラーの原理から,この共振はねじれ振動である可能性があると推察される.スピーカー式で検出された第2共振周波数と,レーザー式で検出された第1共振周波数は,容器内に空気が封入されると低周波側ヘシフトした.空気量が容器容量の1.25%までの範囲では,空気封入前の周波数を基準とした差率と空気封入量に線形相関がみられた.レーザー式(r2=0.89,n=37)の方がスピーカー式(r2=0.64,n=40)よりも高相関であったため,精度を高めるためにはレーザー式が有利である.これらの共振周波数は容器によって異なり,個体差と,空気が入ることによる差率は同じオーダーであることから,共振周波数の絶対値による細孔の有無の検出は困難であった.これを解決するためには,測定後,細孔からの空気流入を促すために容器を真空下においた後に一気に復圧する操作を行ってから再度測定し,圧力操作前後の差率を用いて閾値以上のものを有孔と判断する方法が有効であった.
著者
小山 靖人
出版者
北海道大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-04-01

光学活性な有機化合物と無機化合物とを合理的に複合化することで、有用な機能性素子・素材が創出される。不斉有機金属触媒、分離分割材料、円偏光発光性材料などがこれらの代表的な例である。不斉場と無機物の合理的な複合化は、今後の革新的な素子・素材創製において重要なコンセプトであると言える。らせんポリマーは、その繰り返し構造間で生じる「空孔」や「溝」といった光学活性低分子には存在しない特異な不斉場を有する。そのためラセン高分子を機能性材料の土台として活用する研究が近年盛んに研究されている。こうした背景の下、我々は①高次構造が完全に片方巻きで、②様々な無機化合物と容易に複合化でき、③多彩な用途に利用することができ、さらに④ラセンの高次空間を外部刺激によって自在にコントロールできるような、「元素ブロックのラセン集積ツール」の開発を目的に研究を推進している。本研究では(i)元素ブロック材料を簡便に合成する新しい高分子合成法と(ii)汎用性・信頼性の高いラセン集積場の創製に分類して研究を実施しており、本年度は(i)、(ii)についてそれぞれ成果を得、発表した。結果として、(i)高分子ニトリルオキシド反応剤を用いる簡便な無機ガラス表面修飾法を見出し発表した。また2官能性ニトリルオキシドを用いる高分子連結法をこれまでに報告しているが、その分子連結点に蛍光性素子であるボロンエナミノケトネートを導入する方法論を開発し発表した。さらに(ii)については、糖鎖の剛直な片巻きらせん構造の有用性に着目した研究を推進し、天然由来の1,2-beta-グルコピラナンやアミロースの構造に化学的に手を加えることで、元素ブロックの集積に対し有用な土台となることを明らかとした。
著者
大木 章 中島 常憲
出版者
鹿児島大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

火山灰中に含まれる多環芳香族炭化水素(PAH)濃度を正確に測定する方法を確立した。桜島が噴火したときに得られた降灰を採取し、PAH濃度を測定したが、10種の3-4環PAH合計濃度は1.6-5.1 ng/gであり、微粒分ほどPAH濃度が高い傾向であった。また、降灰量が多い場合ほど、降灰中の水銀濃度は低くなった。火山降灰は、自由対流圏を含む大気中のエアロゾル捕集材として機能し、この中に含まれるPAHや水銀などの有害成分を吸着することが明かとなり、大気エアロゾル成分の年次変動を反映することがわかった。しかしながら、これらの成分において、越境大気汚染の割合を特定するまでには至らなかった。
著者
森 俊哉
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究課題では、係留気球を用いた火山噴煙の観測手法の開発めざし、特に、噴煙中の火山ガス組成の測定をターゲットにした開発研究を実施した。気球に搭載できるよう、二酸化硫黄と硫化水素濃度を測定できる装置を小型軽量化し、噴火活動中の阿蘇中岳の噴煙中の火山ガス濃度比を係留気球を用いて観測を行い、観測手法の確立を行った。本研究で得られた知見や技術は、係留気球を用いた観測だけでなく、近年急速に進化した無人飛行機を使用した噴煙測定にも応用できると期待される。
著者
清水 理佳
出版者
大阪市立大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

研究の主題であるひずみ度を用いて,新しい多項式ひずみ多項式を定義しその性質を調べる等,独創的な研究を進めた.また受入研究者である河内明夫教授との共同研究によりひずみ交差多項式を定義して,結び目射影図の研究にもつなげることができ,大変有意義な結果を得ることができた.今年度は当初の計画通り,結び目の射影図についても深く考察し,結び目射影図における局所変形に関する結果も発表した.さらに,結び目図式の領域交差交換に関する研究代表者の結果を応用して,河内明夫教授,岸本健吾氏と研究代表者の共同発明でゲームを発明し特許出願した.研究代表者はアルゴリズム作成,およびコンピュータを用いた実際のゲーム作成等の役割を務めた.平成23年12月にはこのゲームがAndroidスマートフォン用のアプリとなり,世界同時公開され国内外から注目を集めた.日本数学会およびアメリカ数学会の学会を初め,国内外の研究集会や学会での発表も精力的に行った.平成23年度の講演回数は19回(内2回はポスター発表)であり,本予算を出張旅費に多く費やしたがどれも大変有意義な出張であった.出張先での議論や研究打ち合わせにより新しい研究テーマおよび新しい結果を得ることができた.
著者
安梅 勅江 田中 裕 酒井 初恵 宮崎 勝宣 小林 昭雄 天久 薫 枝本 信一郎 伊藤 澄雄 篠原 亮次 杉澤 悠圭 澤田 優子 童 連 田中 笑子 冨崎 悦子 望月 由妃子 渡辺 多恵子 恩田 陽子 徳竹 健太郎 平野 真紀 森田 健太郎 AMARSANAA Gan-Yadam 川島 悠里 難波 麻由美 呉 柏良 丸山 昭子
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

経年的な子どもの発達、社会適応、健康状態、問題行動の発現への影響を踏まえ、科学的な根拠に基づく「気になる子ども支援プログラム」の開発を目的とした。全国の0~6歳児と保護者約36,000組の12年間パネルコホート調査を用い、子どもの特性別に発達の軌跡と関連要因について分析した。その結果、家庭環境要因、子ども特性要因、家族特性要因、地域サポート要因の子どもの発達への影響の大きさと軌跡を明らかにした。
著者
西保 岳 林 恵嗣 本田 靖 近藤 徳彦 小川 剛司 前田 清司
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

体温上昇性の換気亢進による動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)低下が脳血流などの循環反応に及ぼす影響、さらに、意識的な呼吸調節によってPaCO2を増加させることで、脳血流量や血圧反応が改善されるかどうかについて検討した。暑熱下一定負荷運動時及び安静時体温上昇時において、深部体温上昇性の換気亢進反応を意識的な呼吸調節によって抑制できること、さらに,このように意識的に換気亢進を抑えることで、深部体温上昇に伴う脳血流量の低下が抑制されることが初めて示唆された。
著者
渡邊 昭子
出版者
大阪教育大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

19世紀ハンガリーにおける異宗派間の婚姻に関して、現地での研究動向、各宗派の婚姻規定を調査し、さらに、おもにユニテリアン教会文書館史料を用いて、個別研究をおこなった。ユニテリアン教会文書館史料からは、同教会が、異宗派婚裁判の運用とそれをめぐる議論を通して、義務的民事婚法制定に果たした積極的役割を明らかにした。
著者
坂本 貴志
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

ヘルメス的伝統の思想的な核心が、世界、自然、あるいは宇宙全体を唯一神の無限に多様な表出と見る考え方にあることを明らかにした。ルネサンスの末期に起こった宇宙観の革命は、ヘルメス的伝統に新たなる展開の可能性を与えた。その具体的な展開は、もはやヘルメス的伝統の名前で呼ばれることはなかったが、思想的な核心を継承しつつ、ドイツ近代においてもなされた。批判期前のカント、レッシング、ゲーテ、シラー達は、宇宙を含む世界全体とその中に生きる人間存在を総体的に了解しようとして、この伝統を新たに変奏した。