著者
及川 由紀子 吉田 彰英 森岡 尚 沈 蘭花 清野 幸男 三浦 廣行
出版者
The Dental Society of Iwate Medical University
雑誌
岩手医科大学歯学雑誌 (ISSN:03851311)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.93-102, 2004-04-26 (Released:2017-03-21)
参考文献数
16

歯科矯正治療についての知識や情報が一般的に知られ,歯の健康に対する意識や審美的意識の向上により,なかでも成人女性の矯正治療を希望する割合は年々増加する傾向にある。しかし,女性は40歳をさかいに骨密度が減少すると言われている。骨粗鬆症と歯槽骨の関係に関してはいくつかの報告があるが,歯の移動に関する報告はほとんどない。本研究では,12週齢の正常ラットと骨粗鬆症ラットの臼歯部に,矯正治療用ゴムリングを挿入し歯の移動を行った。歯槽骨の組織学的観察は一次抗体にTGF-β1抗体を用いた免疫組織染色法にて行った.その結果,骨粗鬆症であっても矯正力でTGF-β1は誘導され,歯槽骨骨梁の骨芽細胞ならびに破骨細胞に作用し,骨形成と骨吸収の両作用を活性化することにより歯槽骨の改造を引き起こすが,骨粗鬆症群では骨吸収の亢進と骨形成開始の遅延が生じている可能性が示唆された。
著者
武田 雅彩 三浦 和仁 新井 絵理 松下 貴恵 山崎 裕
出版者
北海道歯学会
雑誌
北海道歯学雑誌 (ISSN:09147063)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.122-126, 2020-04

苦味の自発性異常味覚を訴える症例に対し,漢方薬の五苓散を投与したところさまざまな効能が得られた症例を経験したので報告する. 70 代の女性.初診の1か月前,突然,安静時に右舌縁の苦味を自覚し,その後も症状に改善傾向なくかかりつけの歯科からの紹介にて当科受診した.下肢のむくみ,頬粘膜の咬傷痕が認められ,血清亜鉛値は61 μg/dl と軽度低値ではあったが他の各種検査では異常を認めなかった.味覚障害の原因として亜鉛欠乏性が疑われたが,まずベンゾジアゼピン系の抗不安薬であるロフラゼプ酸エチルの投与を開始した.すぐに苦味は軽快傾向を示したが,3週頃から改善が認められなくなった.そこで水滞の所見を参考に五苓散5 g/ 日を投与すると苦味が軽快した他に下肢のむくみや頬粘膜の咬傷がなくなった。結果的に亜鉛の補充は行わずに味覚異常は完治した
著者
三浦 崇寛 浅谷 公威 宮本 由美 清水 愛織 坂田 一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022)
巻号頁・発行日
pp.3K4GS1002, 2022 (Released:2022-07-11)

持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けて、環境や人体に危険性のある物質をいち早く検知し対応への取り組みに繋げることは、規制の整備を行う国だけでなく化学物質を利用する企業や研究者にとっても求められている。これまで化学物質のリスクはQSARなどを用いた物性が着目されていたが、環境問題に繋がる環境蓄積性などはマイクロプラスチックを筆頭として物性から推定することが難しい。そこで本研究では、規制内容が近い物質は学術コミュニティにおいて類似の文脈で議論されているという仮定に基づき、有害性のある化学物質に関する論文の引用情報と文書情報を機械学習により分類することで危険度の高い物質について議論している論文とその物質名を抽出する手法を提案する。4つの有害性/環境対応に関するカテゴリに対して実験を行った結果、書誌情報を用いることで有害性に関する論文を網羅的に取得することが可能であり、特に引用表現が物質の危険性予測に有効であることを示した。評価実験では抽出された論文を目視により評価を分類精度の検証を行なった上で、有害性関連論文の数から有害性のある物質推定を行い提案手法が有効であることを示した。
著者
大庭 卓也 荒河 一渡 三浦 哲也 秋重 幸邦
出版者
特定非営利活動法人 産学連携学会
雑誌
産学連携学 (ISSN:13496913)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.1_17-1_23, 2021-01-31 (Released:2021-03-15)
参考文献数
1

島根県には日本で発達したたたら製鉄と関連のある特殊鋼関連企業の集積がある.島根大学ではキラリと光る地方大学実現と地域の金属産業の活性化に資するため交付金事業を活用し,次世代たたら協創センター(NEXTA)を設立した.オックスフォード大学教授をセンター長に迎え,材料工学の4つの柱をバランスよく配置し,先端金属素材のグローバル拠点の創出を目指している.
著者
三浦 雄一郎
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.41-46, 2005 (Released:2006-01-26)
参考文献数
2
被引用文献数
1

It is difficult to understand the biomechanics of the control and stability of the spine and pelvis. The factors for this are that the orientation of the muscle fibers in the abdominal muscles are diverse and the abdominal muscles are composed of layers. Therapeutic approaches for impairment of the abdomen need the theory of the biomechanics of the spine and pelvis. This paper proposes several theories of the biomechanics of the spine and pelvis. These theories are called: soil function, double ladder structure, air bag function and sacroiliac joint stability. These functions are expained in this paper.
著者
三浦 俊彦
出版者
日本消費者行動研究学会
雑誌
消費者行動研究 (ISSN:13469851)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.101-120, 1993-09-20 (Released:2009-05-29)
参考文献数
29
被引用文献数
1
著者
鶴岡 歩 井上 賀元 三浦 拓郎 河本 晃宏 藤野 高久 木下 千春 神田 千秋
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.351-355, 2016 (Released:2016-05-28)
参考文献数
20

症例は26歳, 女性. 自殺目的に家庭用洗剤を約100mL服毒したが, 嘔気・気分不良が続き当院救急外来を受診した. 服毒した家庭用洗剤には17%の陰イオン系界面活性剤と非イオン系界面活性剤が含まれていた. 来院時, 気道および呼吸に異常を認めたため, まず気管挿管した後に胃洗浄および活性炭と下剤の投与を行った. 大量輸液を継続するも血中乳酸値は上昇し続け, 循環不全が進行しショック状態に至り, ノルアドレナリンを併用した. 活性炭カラムを用いた直接血液灌流 (direct hemoperfusion : DHP) を導入したところ, 速やかに血中乳酸値の低下を認め, ノルアドレナリンを終了することができた. 第3病日に抜管し, 第17病日に精神科医による専門加療目的に転院となった. 急性中毒患者に対する血液浄化療法の適応については意見の分かれるところであるが, 今回界面活性剤中毒に伴う循環不全の改善にDHPが寄与したと考えられた症例を経験したので報告する.
著者
小峰 幸夫 林 美木子 木川 りか 原田 正彦 三浦 定俊 川野邊 渉 石崎 武志
雑誌
保存科学 = Science for conservation
巻号頁・発行日
no.50, pp.133-140, 2011-03-31

Extensive survey of beetles with sticky insect traps (about 27,000 traps) in about seventy historic buildings in Nikko World Heritage site was performed from the end of April to August 2010. Several species of Anobiid were found on the sticky traps: Priobium cylindricum, Trichodesma japonicum, Sculptotheca hilleri, Hadrobregmus pertinax, and Oligomerus japonicus. Some of them had caused severe infestation at certain buildings. There is little information about the anobiid species, but from the sporadic patterns of numbers of anobiids on sticky traps in many buildings over fairly vast areas, it is supposed that these anobiids may inhabit the natural places (forests) around the historic buildings. Nicobium hirtum is a well known anobiid which infests wooden objects and buildings in Japan. But surprisingly, we did not observe the species in the surveys in the Nikko area. Adult insects were most significantly caught on sticky traps from May to July. Since there is little information about these kinds of anobiids, this trapping survey provided important information about the characteristics of the insects and ideas for appropriate countermeasures to protect the buildings from the insects.
著者
三浦 大志 伊東 裕司
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第9回大会
巻号頁・発行日
pp.11, 2011 (Released:2011-10-02)

目撃者が犯人を識別する際、複数の容疑者の中から一人を選択するラインナップ手続きに比べ、単独の容疑者が犯人であるかを判断する単独面通し手続きは誤同定判断が増加すると言われているが、日本では単独面通し手続きを用いた実証研究はほとんどなされていない。本研究では、容疑者は真犯人 である、という思い込みを操作するために、難しい、または簡単な容疑者選定作業を経験した後で、ビデオを見て貰い、それから犯人識別を行って貰った。その結果、単独面通しよりラインナップの方が誤同定判断が多く見られた。またラインナップ群において、簡単な容疑者選定作業を経験した群の方が、難しい作業を経験した群より危険な誤同定判断が多い傾向が見られた。事前の経験が作り出した「写真群の中にきっと犯人はいるだろう」という思い込みが、ラインナップにおける比較判断を増加させ、その結果、誤同定を増加させることが示唆された。
著者
奥井 伸宜 三浦 秀文 前岨 康祐 河合 英直
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.192-197, 2019 (Released:2019-01-26)
参考文献数
7
被引用文献数
1

モード走行時の運転バラつきは、燃費性能や排出ガス特性に影響を与える。そこで、運転バラつきの低減を目的として、ドライブロボットによる車両運転を実施した。ロボットを制御するドライバモデルには、人間の運転動作を実現したロジックを採用し、国連で採用が検討されているドライビングインデックスを用い評価を行った。
著者
神原 早紀 Liliana Villamar Gómez 三浦 純
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集 2022 (ISSN:24243124)
巻号頁・発行日
pp.1A1-T04, 2022 (Released:2022-12-25)

Knowledge and contextual reasoning are essential to provide more efficient service robots that take into account diverse and continuously changing environments. In addition, since robots come into contact with humans, they need to have skills such as interactivity and language skills. In this paper, we propose a system for service robots that combines ontological knowledge reasoning and human-robot interaction to interpret natural language commands and successfully perform household tasks such as finding and delivering objects. We also apply this system to a real robot and verify its operation with commands that receive missing or unclear information, and clarify problems that occur in the real world.
著者
坂本 悠斗 松浦 秀哲 矢田 智規 根岸 巧 鈴木 良佳 松野 貴洋 杉浦 縁 三浦 康生
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.698-703, 2022-10-25 (Released:2022-10-25)
参考文献数
5

クリオプレシピテート(以下,クリオ)はフィブリノゲン(以下,Fib)等の凝固因子を高濃度に含むため,大量出血時に使用することで凝固能を早期に回復させ,出血量や輸血量の減少に繋がるとされている。当院でも心臓血管外科(以下,心外)からの要望でクリオの院内作製を開始したので導入経緯と使用実績及び課題について報告する。対象はクリオを使用した心外の手術51症例(以下,投与群)とクリオ未使用の心外の手術94症例として,術式を大血管手術とそれ以外(以下,非大血管手術)に分けて比較検討した。調査内容は出血量,赤血球液(RBC)・新鮮凍結血漿(FFP)の投与量,濃厚血小板(PC)投与量,RBCとFFPの投与比(R/F比),ICU在室日数とした。クリオ投与患者には投与前後のFib値を測定し,統計学的解析を行った。クリオ投与前後のFib値は有意な上昇を認めた。大血管・非大血管手術の両者ともに投与群の方が非投与群と比較して,出血量が多かった。RBCおよびFFPの投与量は大血管手術の投与群で低い傾向があるが,非大血管手術の投与群では有意に多かった。クリオ導入当初,クリオの投与により血液製剤の使用量が削減できると期待したが現状では明確な輸血量削減効果は得られていない。輸血量を削減するためには,クリオを使用できる環境を整えるだけではなく,クリオを効果的に投与するために使用者の意識を変える必要がある。

1 0 0 0 OA あだ物語

著者
三浦為春
出版者
巻号頁・発行日
vol.[2],
著者
田渕 恵 三浦 麻子
出版者
日本老年社会科学会
雑誌
老年社会科学 (ISSN:03882446)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.322-330, 2019-10-20 (Released:2020-10-23)
参考文献数
21
被引用文献数
1

本研究は,高齢者と若年者という異世代が創造的課題に共同で取り組む際の,世代間相互作用の特徴を明らかにすることを目的としたものである.創造的課題として積み木課題を用い,同世代間・異世代間の相互作用場面の会話内容に着目した.高齢者同士・若年者同士・高齢者と若年者の3群の2名集団により実験を行った.先行研究に従い課題遂行中の会話を4つのカテゴリ(「提案の要求」「新しい提案」「提案に対する反応」「相手の行動に対する評価」)に分類し,各カテゴリに関する発話比率が条件間でどのように異なるかを検討した.その結果,高齢者では相手が若年者である場合のほうが同世代よりも,「提案の要求(相手に提案を促す発話)」の比率が高く,若年者同士ではそのような傾向は認められなかった.異世代間の特徴として,高齢者が若年者に対して目的遂行のための新奇な行動を促す役割を担うという,世代による役割分担が明確に行われている可能性が考えられた.