著者
古賀 靖啓 十川 英 齋藤 靖生 三浦 直樹 野口 亜季 藏元 智英 藤木 誠
出版者
Japanese Society of Veterinary Anesthesia and Surgery
雑誌
日本獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:21896623)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.53-58, 2023 (Released:2023-10-17)
参考文献数
16

体壁の悪性腫瘍は肋骨を含めた広範囲な切除が必要な場合がある。肋骨切除による主な合併症はフレイルチェストの発生であり、6本以上の肋骨切除は推奨されていない。犬の胸壁に発生した脂肪肉腫に対して6本の肋骨を含めた切除を行った後、チタンプレートで頭側2本の肋骨再建を実施した。術後フレイルチェストの発生はなく、呼吸状態も安定していた。プレートによる肋骨再建により機能的な胸壁再建を可能にすると考えられた。
著者
三浦 彩子
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.1-12, 2001-05-01 (Released:2010-06-15)
参考文献数
29

I chose five temples in Kamakura city, and mentioned about the historic backgrounds of the time those gardens were constructed. I especially emphasize the unique topographies, emergence of samurai, and Zen. As the first step, I refer to documents about the construction of the garden, and consider of them with the civil engineering point of view.As a result, the following points were made clear. One is that the Kencho-ji temple had realized the garden that was contrary to the main-stream methods of that period. They had managed to create several viewing-points in the narrow site. The other is that we can find several aspects between Kamakura garden and contemporary Kyoto garden such as “karesansui.” And, finally, the Kencho-ji garden is the first example where the concept of classification of the space was applied, which was already common in architecture.I had tried to capture the general ideas of how the conceptual aspects of Japanese zen garden was imported from China in this essay.
著者
平原 佐斗司 山口 泰弘 山中 崇 平川 仁尚 三浦 久幸
出版者
一般社団法人 日本在宅医療連合学会
雑誌
日本在宅医療連合学会誌 (ISSN:24354007)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.60-67, 2022 (Released:2022-02-17)
参考文献数
17

目的:末期認知症高齢者の肺炎に対する抗菌薬の予後と苦痛の改善効果を検討する.方法:国内外のデータベースから検索式を用い,末期認知症の肺炎の抗菌薬治療の予後と苦痛の改善効果についての2つ の CQs を含む5つの CQs に該当する 604 論文を抽出,最終的に採用した 17 論文のうちこれらの CQ に該当する6論文を解析した.結果:末期認知症高齢者の肺炎の抗菌薬治療は予後を改善する可能性があり,とりわけ短期の予後の改善が期待できる.抗菌薬治療の予後改善効果は認知症や嚥下障害の重症度や過去の肺炎回数と関連していた.また,抗菌薬治療が肺炎による死亡前の苦痛を軽減する可能性が示唆された.
著者
三浦 まり
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.1_96-1_118, 2022 (Released:2023-06-16)
参考文献数
37

コロナ禍において顕在化した新たなケアの危機に焦点を当て、妊婦/母親/労働者の三領域における日本の政策対応の特色とその要因を分析する。雇用の危機と比べるとケアの危機への対応は鈍く、ケア提供者は二次的依存のために職や賃金を奪われ、ケアニーズもまた充足されなかった。このような事態となったのは、ケアの代表が不十分であり、行政による恣意的なニーズ解釈を許すことになったからである。それを防ぐにはケアの権利及びセクシュアルリプロダクティブ・ヘルス/ライツの保障が必要であることを指摘する。リプロの面では政策の前進も見られたが、これまでの政策基調であった「新自由主義的母性」―新自由主義的な女性労働力の活用と国家家族主義的な母性活用の結合―は、自己決定権の選択的拡大と異性愛規範の強化という新たなかたちで維持された。新自由主義の政策基調は強いものの、保守主義の強い影響力を理解することが、日本の政策対応の正確な把握には必要であることを明らかにする。
著者
廣田 曄子 松田 鈴夫 方 泓 星山 佳治 三浦 宜彦 川口 毅
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.228-247, 1998-06-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
33

我が国の小児科領域の疾病に対する治療の変遷を麻疹, 傷寒, 臍風ならびに驚の4疾患について, 中世 (西暦900年代) から近世 (西暦1800年代) にかけてその間に出版された医学書をもとに, 疾病の概念や治療の変遷について研究を行なった.その結果, これら4疾患についてはいずれもかなり古くから疾病の定義・概念が確立しており, 本研究を行なった約900年の間においてもそれぞれの概念に含まれる疾病の範囲はあまり大きな変化はみられなかった.我が国において最も古く900年代の治療方法を代表する「医心方」において, 傷寒や驚に用いられた構成生薬数は後の時代に比較して著しく少ないものとなっている.1300年代の代表的な医書である「万安方」について構成生薬数をみると, 麻疹, 傷寒, 驚のいずれも1処方当たり平均3ないし4種類の生薬が処方されている.これは中国との情報の交流が当時からすでに活発に行なわれ, 我が国の医療も急速に普及発達し, 治療に用いられる構成生薬数も次第に増加してきたものと考えられる.なお, 臍風については1種類しか処方されていないが, 当時においても臍破傷風は死病とされ, 患者に対する効果的な治療方法がなかったことから, 甘草を処方する程度で無理に多くの生薬を用いないという考え方によるものである.1500年代から1700年代にかけて特徴的なことは「小児諸病門」や「遐齢小児方」のような小児科専門の医書が著され, 当時の中国医学の影響を強く受けながらも, わが国独自の考え方での処方が上乗せされてきており, このことが構成生薬数の多い原因の一つと考えられる.1600年代の平均構成生薬数を見ると麻疹, 傷寒, 驚において平均8程度の生薬が処方されており, その処方された生薬の内容を見ると, 当該疾患に対して用いられているいろいろな処方から出来るだけ多く取入れている観がある.当時としては治療方法のない臍風 (臍破傷風) においてすらも平均3.9となって, 以前に比較して構成生薬数が増加している.1700年代にはいると, 我が国独自の風土や環境に適した医学をめざして吉益東洞は古典的な「傷寒論」を見直し, これに注釈をつけた新たな運用を提唱し, また安藤昌益のように「傷寒論」にとらわれず, まったく独自の処方を編み出す等多くの医学者が輩出した.両者とも我が国独自の処方の確立を目指しており, 処方は従来のものよりも簡潔なものが多い.この傾向は1800年代にも顕著で4疾患全てに共通して観察されたが, これは日本人の質素倹約を旨とする現実主義的性格が関与しているかもしれない.
著者
富岡 美恵 来間 弘展 尾池 純太 三浦 祐介
出版者
Japanese Society for Electrophysical Agents in Physical Therapy
雑誌
物理療法科学 (ISSN:21889805)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.59-64, 2017 (Released:2022-09-03)
参考文献数
11

スポーツ現場やリハビリテーションにおいて,運動後に起こる遅発性筋痛の回復を促進するために,マイクロカレント療法やストレッチングを行う.これらの治療が,運動後の筋にどのような影響を及ぼすかを検討した.健常成人30名に対し,30%MVCのダンベルにて肘関節の屈曲・伸展運動10回5セット行った.運動後に,MCRとセルフストレッチングを組み合わせて施行する群(MCR群),セルフストレッチングのみを施行する群(Stretch群),コントロール群(Control群)に分け治療介入を行った.運動負荷前・運動負荷直後・24時間後・48時間後・72時間後に,筋硬度・疼痛閾値・最大筋力を測定した.筋硬度は,MCR群では48時間後以降で24時間後と比較し優位な低下を認めた.疼痛閾値は,24時間後において全ての群で優位な低下を認め,MCR群とStretch群は72時間後において24時間後と比較して優位な上昇を認めた.マイクロカレント療法とセルフストレッチングの併用は筋硬度や疼痛閾値を早期に改善させ,遅発性筋痛に対し効果的であることが示された.
著者
村田 大紀 三浦 直樹 松元 光春 三好 宣彰 藤木 誠 三角 一浩
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.703-707, 2011-09-20 (Released:2017-05-26)
参考文献数
7

調教中に転倒し,後肢の腰フラ様蹌踉(よろめき)を伴う混跛を呈した馬の症例に対して画像検査を実施した.脊髄造影検査では,第6頸椎と第7 頸椎の間(C6-C7)において造影剤の拡散が背側方向から障害されている所見が得られた.剖検時に行った頸椎及び胸椎(T)のコンピューター断層撮影(CT)検査では,C6-T2におけるすべての左側前後関節突起間隙に開大の所見が確認された.また,第1胸椎(T1)の左側前関節突起の変形と骨折片も確認された.さらに,C6-C7 において背側から軟部組織と思われる領域が脊髄を圧迫している所見が得られた.脊髄の病理組織学的検査では,C6-C7 における左側の側索から背索にかけて脊髄症の所見が得られた.以上より本症例は,転倒による頸胸弯曲部の外傷性椎骨骨折及び骨変化による椎骨列の異常に伴い軟部組織が脊柱管へと押し出された結果,圧迫性脊髄症を呈したと考えられた.
著者
三浦 真弘 内野 哲哉 山田 茂樹
出版者
日本自律神経学会
雑誌
自律神経 (ISSN:02889250)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.110-124, 2022 (Released:2022-04-23)
参考文献数
50

最近,産生機序が混在する髄液・間質液はまとめてneurofluidと呼ばれている.Neurofluidの循環動態を理解することは臨床上重要である.中枢神経ではリンパ管が欠如する.脳領域では微小血管,glymphaticシステムとintramural peri–arterial drainage pathwayを介して髄膜リンパ管からneurofluidや代謝物が排出され.一方,脊髄領域では,epidural lymphatic vesselsを介する吸収システムが髄液圧調節に働いており,リンパ管吸収には篩状斑が不可欠である.通常,各神経根において髄液が自然浸潤することから,同部は広義のくも膜下腔であると共に髄液の生理的貯留槽と考えられる.中枢神経系の水収支バランスは,prelymphatic channelの構造特徴と連関するepidural lymphatic networksの生後発達・加齢退縮に影響される.
著者
栗栖 薫子 三浦 聡 小川 裕子 政所 大輔 赤星 聖 宇治 梓紗
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2023-04-01

近年、グロ―バル・ガバナンス(GG)構造の複雑性が増している。国連気候変動枠組み条約の下で排出権取引に関わる様々な実施枠組みが普及し、企業のサステナビリティやESG投資に関わる取組が林立し、持続可能な開発目標(SDGs)の実施に関わる取組は全体像の把握が難しいほどである。この構造の複雑性は、①問題領域の複雑化、②ガバナンスの手段の多様化、③アクターの多様化(権威の多元化)という3次元での「密度」の増加によって特色づけられる。本研究はSDGsにかかわる主要な問題領域(気候変動、人道、難民、保健等)を事例として「GGの複雑化とアクターとの間にどのような相互作用が見られるか」という問いに取り組む。
著者
三島 修治 平林 耕一 清水 公裕 江口 隆 三浦 健太郎 松岡 峻一郎 濱中 一敏 原 大輔
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2023-04-01

本研究では、主に肺腺癌に対する新たな治療戦略の一つとしての新規キメラ抗原受容体発現遺伝子改変T細胞療法(CAR-T療法)の開発を目的とします。私たちはすでに、このCAR-T細胞が新たに標的とする抗原を特定し、この標的に対して特異的に結合しうるタンパク質の遺伝子配列を複数同定しています。本研究では、肺腺癌の腫瘍細胞株を用いた実験に加え、マウスを使った動物実験により、この新規CAR-T細胞の有効性を検証します。
著者
三浦 靖
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.9, pp.484-489, 2012-09-15 (Released:2012-10-31)
参考文献数
9

Retrogradation is a general term for the behavior of recrystallization of gelatinized starches on cooling and storage. This retrogradation is often enhanced when subjected to freezing and thawing treatment. However, few reports have dealt with the effect of additives on the freeze-thaw stability of starch. Therefore, the effects of polyols and emulsifiers on the freeze-thaw stability of starch were investigated using. The polyols and emulsifiers were added at concentrations of 5.0% (w/w) and 0.01% (w/w), respectively, to starch paste (potato starch content, 5.5% (w/w)). The temperature in the chamber was maintained at 30°C for 2 hours. Then, the chamber was cooled to -20°C at a cooling rate of -1.3°C · min-1, and the sample was frozen and stored at the same temperature for 24 hours. The sample was thawed in the chamber at a heating rate of 1.3°C · min-1 to 30°C, and thereafter maintained for 3 hours. The use of the two food additives was successful in improving the freeze-thaw stability of starch. It follows that these effects might be attributed to the water-structure formation effect of polyols and the complexation of starch chains with emulsifier molecules. Demulsification occurs by freeze-thaw processing, and fats and oils tend to separate from oil-in-water (O/W) emulsions. It is necessary to improve the freeze-thaw tolerance of emulsifications for the production of frozen emulsified foods. Therefore, the effects of polyols and emulsifiers on the freeze-thaw stability of O/W emulsions were studied. To clearly understand the influence of freeze-thaw processing on the emulsification stability of O/W emulsions (mass ratio: 0.099 oil, 0.896 water, 0.005 emulsifier), emulsions were prepared using fully hydrogenated palm oil, which has proven difficult in preparing emulsions with excellent emulsification stability. The temperature in the chamber was maintained at 25°C for 1.5 hours. Then, the chamber was cooled to -30°C at a cooling rate of -2.0°C · min-1, and the sample was frozen and stored at the same temperature for 24 hours. The sample was thawed in the chamber at a heating rate of 2.0°C · min-1 to 10°C, and thereafter maintained for 4.5 hours. Lipophilic sucrose esters of stearic acid (SES) produced a more stable emulsion. The monoester in SES might migrate to the oil-water interface from the oil phase, and be adsorbed. Di-/tri-esters in SES might penetrate into the oil phase and form tightly packed interfacial layers with monoesters. Polyesters in SES may act to accelerate crystallization and hinder the polymorphic transformation of oil. It appears that the content ratio of monoester/di- and tri-esters/polyesters in SES plays an important role in improving the freeze-thaw tolerance of O/W emulsions. Polyols enhanced the freeze-thaw stability of a soft-serve ice cream mix. This effect might be attributed to the water-structure formation effect of polyols.
著者
福井 里美 広瀬 寛子 米村 法子 坂元 敦子 新井 敏子 三浦 里織
出版者
一般社団法人 日本がん看護学会
雑誌
日本がん看護学会誌 (ISSN:09146423)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.37_60_fukui, 2023-04-05 (Released:2023-04-05)
参考文献数
25

目的:本研究の目的はがん終末期ケアに携わる看護師が経験するやりがい感の実態調査の過程で作成された尺度の信頼性と妥当性を検討することである.方法:先行研究および第1調査の実態調査データから5因子37項目の「がん終末期看護のやりがい感尺度(SMEEN)」を作成し,170施設のがん診療連携拠点病院の看護師1,304名の自記式質問紙調査のデータを用いて検討した.結果:因子分析により【ともに居るケアの意味と役割の実感】【さまざまな人生観に触れる学びと感動】【患者家族と医療チームの一体感】【苦痛軽減へ貢献した実感】【その人をより理解するケアの追求】の5因子構造が同定された.尺度全体のCronbach’s αは0.95であり,各下位領域も 0.80~0.92と十分な内的一貫性が示された.Multitrait Scaling分析の結果,構成概念妥当性が認められ,また終末期看護に携わる看護師の満足度尺度およびPOMS短縮版の活気との正相関が認められた.さらに既知集団では,緩和ケア病棟経験者および緩和ケアチームの経験者の得点が有意に高かった.考察:SMEEN37項目版が十分な信頼性と妥当性を有することが確認された.本尺度の活用により,終末期看護経験における肯定的側面に着目した実態把握や教育支援の評価が可能と考えられた.
著者
川名 はつ子 三浦 悌二
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.57-62, 1989-04-01 (Released:2010-10-13)
参考文献数
5

各国とも人口動態統計の整備される以前には月別出生の統計はなく, 長期の変動を観察するための資料に乏しい.このたび信頼できると思われる朝鮮の族譜の記録から1399~1980年生まれで出生年月の明らかな13, 004人について調べ, 従来知られていなかった朝鮮での月別出生数を明らかにした.その結果, 15~18世紀には春と秋の2つの山がみられたが, 19世紀以降はその傾向が弱まり, さらに20世紀中ごろになると春の山のみが高くなり, 20世紀前半の日本と共通のパターンが見られた.その後, 日本では1964年から一年中ほぼ平坦となったが, 朝鮮では1970~1980年代に入っても, まだ早生まれの多いパターンを残していた.本研究の20世紀に入ってからの動向は, 朝鮮総督府統計年報や韓国人口動態統計から調べた一般人口の結果とほぼ一致した.
著者
若井 俊文 坂田 純 三浦 宏平 堅田 朋大 廣瀬 雄己 滝沢 一泰
出版者
一般社団法人 日本胆道学会
雑誌
胆道 (ISSN:09140077)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.54-59, 2019-03-25 (Released:2019-04-08)
参考文献数
30
被引用文献数
1

十二指腸乳頭部癌は膵頭十二指腸切除術が標準的治療であり,胆道癌の中で最もR0切除率が高く,治療成績は比較的良好である.粘膜内に留まりOddi筋に達しない癌はリンパ節転移をきたす可能性が非常に低く,理論的には局所的乳頭部切除術が適応可能である.しかし,術前画像診断では癌がOddi筋に達するか否かを正確に診断することは困難であり,基本的には十二指腸乳頭部癌に対しては縮小手術を適応するべきではない.生検で腺腫と診断された場合も局所的乳頭部切除術が適応可能だが,深部に癌を認める可能性もあり,術後の病理学的検索が必須である.膵浸潤は十二指腸乳頭部癌の重要な予後因子であり,癌が膵実質におよぶと神経(周囲)浸潤を高率に認め,浸潤性膵管癌と同様の生物学的悪性度を有するようになる.リンパ節転移も強力な予後因子であり,リンパ節転移個数(0個,1~3個,≥ 4個)は本疾患の予後を良好に層別化する.
著者
三浦 康秀 狩野 竜示 谷口 元樹 谷口 友紀 三沢 翔太郎 大熊 智子
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.59-81, 2019-03-15 (Released:2019-06-15)
参考文献数
42

本稿ではオンライン議論における談話行為を分類するモデルを提案する.提案モデルでは談話行為を分類するために,ニューラルネットワークを用いて議論のパターンを学習する.談話行為の分類において議論のパターンを取り入れる重要性は既存の研究においても確認されているが,対象としている議論に併せたパターン素性を設計する必要があった.提案モデルではパターン素性を用いずに,木構造およびグラフ構造を学習する層を用いて議論のパターンを学習する.提案モデルを Reddit の談話行為を分類するタスクで評価したところ,従来手法と比較して Accuracy で 1.5%,F1 値で 2.2 ポイントの性能向上を確認した.また,提案モデル内の木構造学習層およびグラフ構造学習層間の相互作用を確認するため,提案手法の中間層を注意機構を通じて分析した.
著者
山﨑 正啓 三浦 千明 西村 友秀 矢作 満 山﨑 裕司
出版者
行動リハビリテーション研究会
雑誌
行動リハビリテーション (ISSN:21866449)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.26-28, 2018-03-31 (Released:2023-05-29)
参考文献数
7

看取り目的で入院した重度認知症患者の暴言・拒食行動に対して応用行動分析学的介入を行った.介入前,言語聴覚療法中の平均暴言回数は29回,摂食行動は全く見られなかった.介入では,分化強化の技法を用いた.つまり,患者の暴言は消去し,適切な行動が生起した際には,称賛や身体接触などの強化刺激を付与した.拒食に対しては,食事時の環境調整と摂取した際に注目・称賛などの強化刺激を付与した.その結果,暴言は減少し,フォローアップ期にはほぼ消失した.食事は,徐々に食事摂取量が増加し,フォローアップ期には全量摂取が可能となった.今回の応用行動分析学的介入は,認知症患者の暴言,拒食行動を減少させるうえで有効に機能したものと考えられた.
著者
世古 俊明 隈元 庸夫 小川 峻一 伊藤 俊輔 三浦 紗世 松田 涼 信太 雅洋 伊藤 俊一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.551-554, 2018 (Released:2018-08-21)
参考文献数
15
被引用文献数
2

〔目的〕徒手筋力計で得られた膝伸展筋力に関して,下腿長による補正の必要性を検討した.〔対象と方法〕中高齢者の地域一般住民108名(男性21名,女性87名)を対象とした.測定項目は膝伸展筋力,最大歩行速度,起立テスト,2ステップテストとした.膝伸展筋力は筋力値体重比(N/kg)とトルク値体重比(Nm/kg)を算出し,両者の再現性と相関および,パフォーマンス能力との関連を性別で検討した.〔結果〕男女ともに筋力値体重比とトルク値体重比は,高い再現性と相関を認めた.また男女における両測定値は,各パフォーマンステストとの相関関係に乖離を認めなかった.〔結語〕中高齢者に対する徒手筋力計での膝伸展筋力測定は,下腿長の影響を受けづらく,測定値の用途に留意しながら非補正値での検討が可能と思われる.