著者
中川 佳子 望月 登志子 田中 泉 河内 十郎
出版者
日本健康行動科学会
雑誌
Health and Behavior Sciences (ISSN:13480898)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.35-41, 2003 (Released:2020-07-22)
参考文献数
22

Near-infrared red spectroscopy (NIRS) is a noninvasive method that uses changes in cerebral blood volume (CBV) to measure relative changes in tissue concentration of oxygenated, deoxygenated and total hemoglobin. We used this technique to determine the cortical activation area during Japanese grammatical processing. To assess the relative changes in total hemoglobin, local changes in near-infrared absorption were measured simultaneously from seven points in both hemispheres. Nine subjects were presented target stimuli, and were asked to decide whether the attendant particle was “ga” or “wo” in Japanese grammatical tasks (experimental conditions), and whether the relative position was “front” or “back” in positioning tasks (baseline and control conditions). To control subvocal rehearsal and conceptual driven processing, the same Kanji character was presented visually as a target in the experimental and control conditions. Total hemoglobin increased in Broca's area when subjects made judgments in Japanese grammatical tasks, compared to positioning tasks. These results suggested that the task of deciding particles in Japanese grammatical processing might be an effective and objective method to assess language disorders.
著者
中川 究也 中林 磨耶 Pramote Khuwijitjaru Busarakorn Mahayothee 西村 晃一 安信 淑子
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
pp.NSKKK-D-23-00043, (Released:2023-05-24)

凍結乾燥は脱水原理の一つとして昇華を利用することを特徴とする乾燥方法である. 本稿では, 真空状態を用いない凍結乾燥である常圧凍結乾燥の技術について概説する. 常圧凍結乾燥によって作製した乾燥食品の特徴を, ビタミン保持率, 抗酸化活性, 脂質酸化などの諸特性から紹介する. 筆者らが実施した試験結果より, 適切な乾燥条件を適用することでこれらの特性を高く保持できることが示唆された. 常圧で凍結乾燥実施するプロセスの意義を明らかにすることで, 食品製造技術としての技術的優位性を示唆し, 高品質な製品を省力的に製造する技術として提案したい.
著者
福利 崇 渋谷 佳樹 中川 慧 青景 遵之 橋詰 顕 栗栖 薫 河原 裕美 大鶴 直史 弓削 類
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48100979, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに】我々は,日常生活の中で無意識に他者の姿や行動を観察していることが多い.他者が行っている動作の模倣やイメージをする際は,他者の視点に立って,姿や動作の特徴を注意深く捉える必要があるが,これはリハビリテーションの臨床現場においても共通している.神経心理学において,他者の視点に立つことを意味する視点取得(perspective-taking)という概念があり,この概念に関して様々な観点から研究されている.脳イメージング研究では,fMRIを用いて脳活動部位を同定した研究は数多くみられるものの,時間的な側面から検討した研究は少ない.そこで本研究では,時間・空間分解能力に優れた脳磁図を用いて,部位と時間の両側面から,視点取得における脳神経活動を検討した.【方法】対象は,視覚に異常のない右利きの健常者13 名とした.スクリーン上にランダムに呈示される,左右どちらか一側の上肢または下肢を拳上した全身像の視覚刺激に対する誘発脳磁場活動を,306ch全頭型脳磁計(ELEKTA社, Neuromag System)を使用し,記録した.全身像は,対象者に正面を向けた像(正面像)と背面を向けた像(背面像)から構成し,それぞれ一側の上肢または下肢を挙上した像を作成した.課題は,スクリーン上に呈示された全身像がどちらの上肢または下肢を挙上しているかを解答する本課題と,全身像が挙上している上肢または下肢がスクリーンの右側か左側かを解答するコントロール課題とした.解答は両側示指のタッピングとし,LEDセンサーを用いて各課題および条件の反応時間を計測した.対象者には,各課題において解答に該当する側の示指をできるだけ速くタッピングし,かつ正確に解答するよう指示した.脳磁場測定は,サンプリング周波数を1001Hz,バンドパスフィルターを0.5 ‐30Hzにそれぞれ設定し,実施した.各課題において,正面像と背面像に対する脳活動をそれぞれ約80 回加算した.解析には,グラジオメーターを用い,後頭領域(20ch)と左右の後頭頂領域(各30ch)において各センサー位置におけるRMS(root mean square)を算出し,各領域におけるareal meanを算出した.得られたareal mean波形のピーク値と潜時を,領域別に算出し,課題間で比較した.また,空間フィルター法(sLORETA)を用いて,課題ごとのピーク潜時における各格子点での電流値を算出し,MRI上に空間的に分布表示した.【倫理的配慮、説明と同意】対象者には,本研究の趣旨や目的,方法について説明を行い,同意を得た上で実施した.なお,本研究はヘルシンキ宣言に基づき,広島大学大学院保健学研究科心身機能生活制御科学講座倫理委員会の承認を得て行った(承認番号:1139)【結果】課題間での平均反応時間は,正面像,背面像ともに,コントロール課題と比較して本課題で有意に延長した(p<0.01).脳磁場活動は,全身像呈示後100ms付近で後頭領域に,さらに200ms付近で右後側頭頂領域において,正面像,背面像ともに明瞭な活動が認められた.100ms付近の成分は,正面像および背面像ともに課題間で活動の有意差はみられなかったのに対し,200ms 付近の右後側頭頂領域における活動は,正面像において,コントロール課題と比較し,本課題で振幅の有意な増加が認められた(p<0.05).また,背面像においても,有意には至らなかったものの本課題において200ms付近の活動が増加する傾向が認められた.【考察】本課題における反応時間がコントロール課題に対して有意に延長したことは,視点取得に際し,より複雑なプロセスを踏んでいることを示している.本課題の全身像の視点取得において,fMRIを用いて右後側頭頂領域が活動したとの報告がある.本研究においても視覚刺激後200ms付近で右後側頭領域に明瞭な反応が認められ,その活動は複雑な視点取得を必要とする本課題で有意に増加した.脳波を用いた先行研究では,視覚刺激後約300ms付近で頭頂付近で観察されるP300 が物体認知や判断を表す成分といわれているが,本研究でみられた右側頭頂領域の200ms付近の成分も,全身像の左右弁別に関与する可能性が示唆された.【理学療法学研究としての意義】本研究の結果は,他者の視点に立って全身像の特徴を捉えようとしている際の脳活動の経時的変化に関連した,部分的な基礎的知見を与えるものである.
著者
中川 正悦郎
出版者
日本商業学会
雑誌
JSMDレビュー (ISSN:24327174)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.41-50, 2021 (Released:2021-09-29)
参考文献数
53

本稿の目的は,動画配信サブスクリプションサービスを対象に,コンテンツの知覚多様性が同サービスに対する消費者のロイヤルティを高めることに寄与するかを検証することである。検証にあたり日本における主な動画配信サービスの利用者を対象に調査を行った。分析の結果,コンテンツの知覚多様性は,サービスの知覚された有用性および知覚された楽しさを介して,ロイヤルティに正の影響を及ぼすことが確認された。ただし,知覚された有用性および知覚された楽しさがロイヤルティに及ぼす影響は,知覚された使用容易性によって調整されることも確認された。この結果は,知覚された使用容易性の高まりに伴い,ロイヤルティ形成において重要な先行要因が知覚された有用性という功利的ベネフィットから知覚された楽しさという快楽的ベネフィットへとシフトするものと解釈できる。
著者
中川 良尚
出版者
日本神経心理学会
雑誌
神経心理学 (ISSN:09111085)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.251-261, 2021-12-25 (Released:2022-01-12)
参考文献数
57

言語機能(失語症)の改善は損傷部位や発症年齢によって経過は大きく異なるが,少なくとも6カ月以上の長期にわたって改善を認める症例が多いことや,言語訓練後に改善を示した機能は脆弱である可能性が高いことが明らかとなっている.しかし,どのような訓練が,どのような言語機能の改善に適しているのかという点については,まだ結論は出ていない.近年,rTMSやCI療法が失語症の治療にも応用されるようになった.一方,言語訓練では直接的言語刺激の付与が重要なことは普遍的であると思われる.今後,言語刺激の質や量の充実を考慮した上で,さらにrTMSやCI療法などとの併用が可能となれば,言語機能の改善がより期待できるのではないかと考える.
著者
中川 善兵衛 小坂 丈予 浦部 和順 山田 久夫
出版者
Japan Association of Mineralogical Sciences
雑誌
岩石鉱物鉱床学会誌 (ISSN:00214825)
巻号頁・発行日
vol.67, no.9, pp.283-290, 1972-09-05 (Released:2008-08-07)
参考文献数
12
被引用文献数
1 2

The weathering process of quartz-diorite mass in Senmaya district, Iwate Prefecture, was studied from chemical and mineralogical angles. Especially the relationship between the compositional changes of the weathered rocks and their main constituent minerals was detailedly discussed. The non-altered quartz-diorite is chiefly composed of quartz, plagioclase, hornblende and biotite, together with few apatite and magnetite. As weathering proceeds, most of the primary minerals, plaigoclase, hornblende and biotite, are gradually eliminated and secondary minerals such as vermiculite, kaolin etc. appear in stead. The change in chemical composition of the weathered rocks is almost controlled by the solubility of each chemical component under netural conditions. Among the primary minerals, biotite is most sensitive for weathering, the sequence of the alteration being as follows:biotite-hydrobiotite-vermiculite-kaolin mineral In the earlier stage of the weathering, the alteration process of biotite was mostly affected by its original crystallographic structure, so that the change in chemical composition of that mineral differs markedly from that of the host rock. But it is also controlled by the solubility of each chemical component, thus the compositional change becomes to be similar to that of the host rock in the later stage.
著者
西谷 光広 米谷 麻美 円城 真衣 村田 千春 中川 和将 鎌口 美穂子 北本 貴弥 東 祐伽 森内 則子 保志場 紀子 澤﨑 真由美 上田 律子 大門 正一郎
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.271-279, 2019 (Released:2019-05-28)
参考文献数
18

乳酸菌やビフィズス菌が3価鉄によって増加し, 腸管での鉄吸収が亢進したとの報告がある. 血液透析患者4例に乳酸菌製剤のビオスリー®配合OD錠を1回2錠, 1日3回内服させ, 腸内細菌の変化によって鉄代謝と貧血指標に与える影響を検討した. 腸内細菌の変化に関して, 症例1, 2, 3においてビオスリー®配合OD錠内服1か月後でFirmicutes門の割合が増加した. 鉄代謝の影響に関して, 症例1, 2, 4において内服1か月後でトランスフェリン飽和度が上昇した. また症例1, 4において, 内服3か月後で血清ヘプシジン-25値が減少した. 貧血指標に関しては, いずれの症例もビオスリー®配合OD錠内服によってヘモグロビン値への影響は小さかった. 腸内細菌および鉄代謝の変化は同一症例で生じたわけではないが, ビオスリー®配合OD錠内服によって腸内細菌が鉄還元作用を促進し, 鉄吸収が亢進したことが示唆された.
著者
肥田 光正 出口 祐子 宮口 和也 中園 雅子 平田 直希 中川 理恵 北山 淳 浜岡 克伺
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.529-533, 2018 (Released:2018-07-06)
参考文献数
26
被引用文献数
2

〔目的〕本研究の目的は,大腿骨頸部骨折を受傷し,人工骨頭置換術を施行した患者を対象に歩行動作能力の回復を予測する因子として,急性期術後痛の強度と下肢筋力を調査することである.〔対象と方法〕対象者は,外傷による大腿骨頸部骨折後に人工骨頭置換術を施行した48名のうち除外基準の該当者を除く31名とした.術後の急性痛は,Verbal Rating Scaleを用いて術後7日目に患側の最大荷重時の疼痛を測定した.下肢筋力は,術後7日目の等尺性膝伸展筋力体重比を測定した.〔結果〕早期歩行自立群と歩行自立群は,疼痛は中等度の荷重時痛で,両下肢等尺性膝関節伸展筋力は筋力体重比16.8%で一定の判別精度を示した.〔結語〕歩行動作自立に必要な日数は,急性期術後痛強度および膝伸展筋力に一定の影響を受けることが示唆された.
著者
山田 ルミ 稲垣 美智子 北出 優華子 古屋 圭介 津田 真一 伊藤 弘樹 西澤 誠 中川 淳 中野 茂 古家 大祐
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.392-397, 2012 (Released:2012-07-20)
参考文献数
19
被引用文献数
2

【目的】糖尿病足壊疽などの重症足病変を予防するためには,壊疽の前駆所見のひとつである皮膚病変(乾燥や亀裂などの軽微な異常)への対策が重要である.そこで,保湿剤を自己塗布させる手法を用いたフットケア教育が患者の足に対する認識(意欲・関心)と行動を改善させることができるかどうかを検証することを目的とした. 【方法】糖尿病神経障害を有する糖尿病患者を対象に清潔ケアに加え保湿剤を自己塗布する実験群と清潔ケアのみを指導する対照群に群分けした.認識と行動は,質問紙による面接を行ない,介入前と比較し3か月後に改善がみられた患者を「向上」と判定し両群を比較した. 【結果】両群の性別,年齢,糖尿病罹病期間に有意差はなかった.行動は実験群で有意に改善し(p<0.01),意欲は向上傾向を示した.しかし,関心には有意差はなかった. 【考察】本研究において,保湿剤を用いた教育は糖尿病患者のフットケア行動を向上させたことが示された.この結果は,保湿教育が軽微な皮膚病変を有する時期における糖尿病患者のフットケアに役立つことを示唆している.
著者
井筒 雄介 中川 歩 笠間 俊夫
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.FIN-029, pp.61-66, 2022-10-08 (Released:2022-10-01)

不動産価格の一つである土地の価格は,実勢価格,公示地価,路線価,固定資産税評価額の 4 種類が存在し,公示地価を起点として他の価格が形成されている.しかし,公示地価として公示されるのは標準地として選定された地点のみであり,標準地と離れた場所では,土地取引時や固定資産税の算出時に,適切な価値として評価することができない可能性を孕んでいる.また近年では,機械学習を用いて土地の価格単体や建物込みの取引価格,賃料等を予測する研究が盛んに行われているが,公示地価を予測対象とした研究や,モデルの入力として周囲の標準地の価格を適用した研究の事例は少ない.そこで本研究では,標準地ではない地点の公示地価に資する価格(土地価格)を予測可能とすることを目的に,モデルの構築および検証を行った.予測対象地点の土地に関する属性情報に加え,周囲の標準地の件数を一定数で取得し,その標準地の属性情報を説明変数とした機械学習モデルを構築,検証した.この結果,一定の精度で任意の地点の土地価格を予測可能なモデルを構築できた.
著者
中村 皖一 中川 明彦 田中 実 増田 裕 林 康之 西園 寺克
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.83, no.2, pp.183-191, 1984 (Released:2007-03-07)
参考文献数
33
被引用文献数
11 7

3位にmethyltetrazolylthiomethyl基を有するセフェム系抗生物質によるジスルフィラム様作用の発現機構を追求するために以下の実験を行った.1)cefetazole(CMZ),cefoperazone(CPZ),latamoxef(LMOX)をヒト,サル,イヌ,ラットに静脈内投与後の原薬物ならびに3位置換基由来のmercaptomethyltetrazole(Me-TZ)の累積尿中排泄率(0~24時間)を求めた.ヒトにおけるMe-TZの尿中排泄率はCPZ(39%)>LMOX(14%)>CMZ(3% of dose)となり,同様の傾向はラット,サルでも見られた.2)ラットにCMZ,CPZ,LMOX,Me-TZを静脈内に単回投与し,一定時間後ethanolを経口負荷したところ,血中アセトアルデヒド値は用量依存的に上昇した.その傾向はMe-TZの尿中排泄率に比例し,CPZ>LMOX>CMZとなった.またサルの2回静脈内投与群においてもCPZ>CMZの傾向が見られた.以上の結果からMe-TZがジスルフィラム様作用の原因物質と推測できたが,本作用発現の強弱に種差,抗生物質問の差異が見られた.それらはこれまでに報告されている各抗生物質の胆汁移行率の大小および組織液中での安定性に起因していると考えられた.