著者
中村 彰宏
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.75-80, 2021-08-31 (Released:2021-12-29)
参考文献数
33
被引用文献数
1 1

台風による都市緑化樹木の被害特性解明のため,2018年第21号台風が樹木に与えた影響を約22 haの都市緑地で調査した。台風前には3,122個体の樹木が生育し,台風によって幹折れが145個体,根返りが58個体,傾斜が23個体で発生した。外来種と栽培品種の根と幹の被害比率は,自生種に比べて有意に高く,外来・栽培品種は台風の被害を受けやすいことが明らかとなった。幹被害割合(幹被害数/被害総数)と既報の生材の曲げ強度との間に有意なロジスティック回帰式が得られた。曲げ強度の小さな樹種では幹の被害割合が高くなり,曲げ強度が強風時の幹被害を説明する重要なパラメータと考えられた。
著者
古田 吉史 丸岡 生行 中村 彰宏 大森 俊郎 園元 謙二
出版者
公益財団法人 日本醸造協会・日本醸造学会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.104, no.8, pp.579-586, 2009 (Released:2016-02-09)
参考文献数
27

焼酎製造の副産物である蒸留粕の有効活用は,依然として焼酎業界が抱える重要な課題の一つである。本稿では,焼酎蒸留粕の新規用途開発を目指して大麦焼酎粕から得られる上清液:醗酵大麦エキスFBEを乳酸菌の増殖培地素材として乳酸菌バクテリオシンの一種である抗菌物質ナイシンAを生産し,FBEの有効物質生産への応用及び大麦焼酎粕の高付加価値化の取組みについて概説していただいた。
著者
早瀬 真弓 今西 純一 中村 彰宏
出版者
日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.812-816, 2010-03

名勝清風荘庭園は明治44年頃から数年かけて七代目小川治兵衛(植治)によって作られた庭園であり、昭和26年に文化財保護法の規定により名勝指定されている。本庭園は京都市左京区田中関田町に位置し、植治による庭園の特徴のひとつである京都東山の借景、すなわち五山の送り火で有名な大文字山やその周辺の山並みを庭園の風景に取り込む工夫のなされた名庭である。しかし、近年成長しすぎた樹木によって大文字山が見えない状態となるなど維持管理は十分と言えず、作庭当初の風趣が失われつつある。現在は所有者である京都大学を中心に庭園の修復整備事業が進められているが、成長しすぎた樹木を切り下げる際には、作庭当初は存在しなかった近隣の高い建築物への視線を遮蔽しつつ借景の復元をする必要がある。本件のような場合、事前に様々な視点や角度からの景観に配慮した植栽管理を検討するために景観シミュレーションを行うことが有用であると考えられる。本研究では地上型レーザースキャナを用いて、清風荘庭園における借景復元に関する景観シミュレーションを行い、その実用性について考察することを目的とした。さらに、地上型レーザースキャナによって得られたデータを用いて、庭園周辺に現在の京都市の都市計画で許容されている高さの建築物が建てられた場合、庭園からの眺望景観にどのような影響があるかを検討した。
著者
中村 彰宏 大林 千尋 柴田 智広
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.10, pp.1-6, 2011-05-06

我々は,自動掃除機 TMRoomba とのダンスを通じて部屋を掃除する社交ダンスシステムを提案する.本システムは,実時間で深度情報を得られるマイクロソフト社の TMKinect とオープンソースライブラリ OpenNI を用いて人間の動作を認識し,それに応じて Roomba の動作を制御する.制御に必要な Roomba の位置・姿勢は ARToolkit のマーカーを用いて計測する.動作として社交ダンスを採用することで,Roomba での掃除にエンターテイメント性を付加する.社交ダンスの振付は,パートナとの位置関係と男性の動作で示されるリードによって決定されるため,ユーザーがリードに関する知識を持つことで,Roomba をパートナーとしたダンスによる掃除が可能となる.本稿では,まずシステム構成及びダンス認識による掃除制御アルゴリズムを述べ,次に予備的な実験結果によりシステムの有効性を示す.This paper proposes a novel and entertaining room cleaning system using TMRoomba. In this system, a Roomba is controlled by its user through a ballroom dance, Rumba. The user's motion is captured by Microsoft's TMKinect, analyzed by OpenNI, and recognized as a dance partner's motion which leads the Roomba's motion, as a lady's motion. The position and the posture of the Roomba is measured by ARToolkit using a marker attached on the Roomba. This paper first presents the system overview, and then describes the algorithms for dance recognition and Roomba control. We demonstrate the feasibility of the proposed system with a preliminary result, and finally perspectives on this study are mentioned
著者
中村 彰宏
出版者
総務省情報通信政策研究所
雑誌
情報通信政策レビュー (ISSN:24356921)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.13-24, 2015-11-30 (Released:2020-09-05)

わが国では、1985 年に電気通信事業法が施行され、電電公社による独占の廃止と市場原理の導入がはかられた。本稿では、わが国の電気通信市場に競争が導入されて以降、その時々に行われた実証分析を概観しながら、電気通信分野の自由化 30 年の振り返りを行っている。本稿は網羅的な先行研究のサーベイではないが、制度変更とその際の市場を捉えた実証分析を振り返ることで、わが国の電気通信市場の評価に実証分析が取り入れられ、より客観的な制度構築につながってきた歴史が明らかとなる。実証分析の系譜から見ても、わが国の電気通信市場が自由化 30 年を経て、NTT と他の競争事業者が一部を除いてある程度対等に競争する環境が整ってきていることが示される。
著者
李 相太 野口 延由 龍見 重信 潮崎 裕也 中村 彰宏
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.624-632, 2022-10-25 (Released:2022-10-25)
参考文献数
14

新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより,核酸増幅検査(NAAT)は多くの施設に普及した。NAATの結果は社会全体に大きな影響を与えるため,高い正確性および精確性が求められる。このため奈良県臨床検査技師会は,2021年7月にSARS-CoV-2 RNAのNAATの外部品質評価(EQA)を行った。EQA試料は,3つの陽性試料と1つの陰性試料で構成した。陽性試料は患者検体を用いて作成した低コピー試料(Sample 1)と高コピー試料(Sample 3)および市販の陽性コントロール(Sample 4)を,陰性試料は核酸分解酵素を含まない精製水(Sample 2)を用いた.評価は定性結果に基づいて行い,一部の試薬は,販売メーカーに依頼した測定結果を参考データとした。本EQAには,26施設が参加し,12種類の試薬,40テスト数が含まれた。各試料の正解率は,Sample 1が62.5%(25/40),Sample 2が100%(40/40),Sample 3が95.0%(38/40),Sample 4が67.5%(27/40)であった.不正解例は販売メーカーの参考データと一致していたため,試薬の検出感度や試料との相性などが要因と考えられた。参加施設の結果は試料や試薬の特性を反映しており,本事業の妥当性が示された。本EQAは,参加施設における継続的な検査品質の維持管理に貢献できるものと考える。
著者
近藤 勝則 中村 彰宏 三友 仁志
出版者
公益財団法人 情報通信学会
雑誌
情報通信学会誌 (ISSN:02894513)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.35-44, 2015

近年、インターネットを利用すると同時に、テレビやラジオも視聴する、あるいは音楽も聞く、といった他の消費行動も同時に行う「インターネットのながら利用」が増加している。このようなインターネットのながら利用は、時間を多重的に使っている点に特徴があり、予算制約式に時間を含めて効用最大化行動を分析する枠組みでは、その便益を推計することは困難である。本研究では、その推計の1つの手法として、技術の進歩によってインターネットのながら利用ができるようになった点を新サービスの市場への投入と捉え、新サービスの登場による消費者便益の増加を推計する手法を援用して、インターネットのながら利用による便益の推計を試みた(推計の対象は「ながら利用ができること(機能)」ではなく、「インターネットをながら利用すること(利用実績)」)。<br>推計の結果、インターネットのながら利用による消費者余剰は平均的な利用者において約3,500円/日程度となっており、こうした新サービスは相応の便益を生じていることが示唆される。<br>また、本研究では利用できるデータの制約上スマホ普及前の時点でのインターネットのながら利用の便益を推計したが、現在のスマホの利用環境下ではさらに大きな便益が生じていることが推測される。
著者
北島 宣 山本 雅史 伊藤 謙 米森 敬三 深尾 葉子 安冨 歩 中崎 鉄也 山崎 安津 清水 徳朗 中野 道治 岳 修平 林 維真 鐘 國芳 中野 道治 長田 俊樹 渡邉 和男 河瀬 真琴 山下 満智子 前山 和範 中村 彰宏
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

ウンシュウミカン、カボス、などの両親が明らかとなり、多くの日本在来カンキツは、キシュウミカン、ユズ、タチバナに起源していることが明らかとなった。キシュウミカンは中国江西省の「南豊蜜橘」に由来することが示された。タチバナは台湾に起源し、沖縄を経て本土に伝播したと考えられ、タチバナの沖縄系統はシークワーサーとの交雑によって生じたことが示唆された。田中長三郎のカンキツ標本を整理してデジタル入力を行い、検索機能も付加してアーカイブ化を行った。田中長三郎の自筆スケッチなどの資料を蒐集・整理してデジタル化を行うとともに、和歌山県橘本神社のカンキツ博物館「常世館」に展示し、広く一般に公開した。
著者
中村 彰宏 森本 幸裕
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.539-542, 1998-05-25 (Released:2011-07-19)
参考文献数
21
被引用文献数
1

阪神・淡路大震災の液状化, 火災の影響が樹木の成長に与える影響を, 年輪解析から明らかにした。成長錐で被災した神戸市内に生育する樹木の, また震災の影響のなかった大阪府堺市に生育する同一樹種のコアサンプルを採取し, 年輪幅の比較を行った。その結果, 液状化の生じた場所に生育するクスノキ, クロマツ, アキニレには, 液状化による長期的な成長量低下の影響はなかった。また火災によって被災したクスノキには肥大成長量低下がみられたが, ケヤキにはみられなかった。しかし被災の翌年に成長量の低下した樹木も, 2年後から成長量の増加がみられ, 震災の影響は短期的であったと考えられた。
著者
中村 彰宏 加藤 一誠 眞中 今日子
出版者
日本交通学会
雑誌
交通学研究 (ISSN:03873137)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.167-174, 2017 (Released:2019-05-27)
参考文献数
4

本研究では、交通事故につながる違反運転を繰り返す運転者には、構造的に違反運転をしてしまう理由があるのではないかという仮説を立て、2014年に実施したアンケート個票データをもとに繰り返し違反運転者の違反運転理由について分析した。分析の結果、繰り返し違反運転者の半数が、「自分自身(運転者)以外にも、仕事など、違反の理由がある」と考えている点が明らかとなった。この分析結果から、彼らの違反を削減するためには、運転者個人への指導以外の方法も合わせて講じることも必要である点、「運転者個人を対象とした指導施策」の効果を評価する際には、仕事など、運転者個人の意識改善以外の要因を考慮して、その効果を測定する必要がある点などの政策含意が導かれる。
著者
中村 彰宏
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.11, pp.559-566, 2011-11-15 (Released:2011-12-31)
参考文献数
23
被引用文献数
3 3

水溶性大豆多糖類(SSPS)は, 分離大豆蛋白質を製造する過程で副生するオカラから抽出した水溶性の多糖類である.食物繊維含量が高く, 水溶液は低粘度であり, 酸性下でも熱安定性に優れた特徴を持つ.分散安定性, 乳化性, 結着性, 造膜性に優れることから, 食物繊維強化食品への利用のみならず, 様々な食品の物性改良剤として利用されている.本稿ではSSPSの多糖類としての基本的性質と食品における物性改良機能について紹介する.
著者
森田 裕介 中村 彰宏 室田 高志 瀧川 幸伸 長谷川 秀三 森本 幸裕
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.377-379, 2001-08
参考文献数
14
被引用文献数
2 2

水位変動をともなう冠水, 湛水条件下が近畿地方に分布するヤナギ属8種の成長および生理特性に与える影響評価を行った。冠水, 湛水条件下では, 下流域を中心に分布するカワヤナギ(Salix gilgiana), オオタチヤナギ(Salix pierotii), タチヤナギ(Salix subfragilis)の成長抑制が小さく, 山地に分布するヤマナギ(Salix sieboldiana)は12時間冠水によって枯死した。このように, 分布が氾濫の多い下流域に近いほど, 冠水, 湛水に対する耐性は大きくなることが明らかになった。
著者
中村 彰宏
出版者
茨城大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2017-08-25

本研究は、従来の化学的、物理化学的手法では煩雑な操作と時間を要した多糖類の分子構造を原子間力顕微鏡(AFM: Atomic Force Microscope)を用いて短時間且つ高精度に解析し、同時に多糖類の食品における物性機能を解析することで、分子構造と機能の相関図を作成するものである。本年度の研究では、世界で広く栽培される豆類を入手し、エンドウ豆、インゲン豆、並びにレンズ豆から豆類多糖類を抽出する条件の検討を行った。まず、豆を水浸漬して膨潤し、内皮を除去した後、ホモミキサーで高速撹拌して豆乳を得た。豆乳を遠心分離して多糖類を含む繊維質(細胞壁成分)を回収した。この食物繊維を原料にpH3-9の条件下で多糖類の抽出を行った。多糖類の抽出は、繊維に混在する蛋白質の性質の影響を受けるが、pH4-5, 110-120℃の高温加圧条件下で、繊維あたり30-45%の高収率で抽出できることを見出した。また、AFMを用いて抽出した豆類多糖類の分子構造の解析を行った。本年度は、エンドウ豆多糖類とインゲン豆多糖類のAFMによる構造解析の条件を確立し、分子構造に関する新しい知見を得た。エンドウ豆、インゲン豆ともに大豆と同じく多分岐構造を持つ。エンドウ多糖類は大豆多糖類と同程度の分子サイズであり、直径50nm、推定分子量30万であった。一方、インゲン豆多糖類は直径110nm、推定分子量120万の巨大分子であると推定された。更に、インゲン豆多糖類は巨大な多分岐多糖類に加え、直鎖構造を持つ多糖類も混在し、極めてヘテロな構成を持つことが明らかになった。現在、レンズ豆多糖類のAFMによる構造解析を進める同時に、これら豆類多糖類の物性の解析、並びに、食品での物性機能として乳酸菌飲料の乳蛋白質の凝集抑制と分散機能について解析を進めている。
著者
田中 克典 小杉 緑子 大手 信人 小橋 澄治 中村 彰宏
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.265-286, 1998-12-25
被引用文献数
6 4

Aiming to clarify the mechanism and prediction of CO_2 exchange between a plant community and the atmosphere, a multilayer model of CO_2 exchange having a feedback function is proposed. This model can calculate not only the profile of CO_2 flux within and above a canopy, but also the profile of meteorological elements such as solar radiation, long-wave radiation, air temperature, specific humidity, wind velocity and CO_2 concentration. The profiles are calculated using information on the canopy structure, leaf characteristics, and meteorological elements observed over the plant community. In order to validate the reproducibility of CO_2 flux over the plant community by this model, we observed CO_2, latent heat and sensible heat flux over aplanted forest, albedo and the profile of relative wind velocity, downward diffuse solar radiation and CO_2 concentration within the canopy. By applying this model, we found that it could successfully reproduce not only CO_2 flux, but also latent heat and sensible heat flux, over the canopy and reproduce the profile of these meteorological elements. Moreover, numerical experiments on CO_2 flux were carried out using this model to investigate the influence of the characteristics of canopy structure on SO_2 flux. As a result, we found the followings: (1) When the values of LAI arc 6 and 8, the fluctuations of CO_2 fluxes over a canopy are more sensitive to the meteorological elements over the canopy than when the values are 1 and 3. (2) CO_2 absorption by a community is not always greater during high solar elevation, as the average value of leaf inclination is greater. (3) Among the three canopies studied in the numerical experiments, one whose distribution of leaf area density is almost even absorbs CO_2 gas the most.
著者
中村 彰宏 小杉 緑子 森本 幸裕
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.507-518, 2002-02-28
被引用文献数
2 2 2

関西旅客ターミナルビルのアトリウム空間を対象に,アトリウムの構造,トップライトの透過特性,太陽位置,屋外の光量子量の推定値を用いて,快晴日の透過光量子量を算出するモデルを作成した。算出値は,アトリウム内で得られた実測値の日および季節変化を良好に再現した。アトリウム植栽樹木,屋外の植栽樹木,室内に生育する観葉植物の光合成,呼吸速度の実測値と,このモデルによる透過光量子量から,アトリウムへ導入した植物の生育特性評価を行うために,成長量の指標となるCO_2収支を個葉レベルで算出した。またアトリウムの天井高,植栽場所を変化させた場合の透過光量子量およびCO_2収支も算出した。観葉植物のCO_2収支は,植栽場所やアトリウムの構造から受ける影響が少なく,低光量条件下での植栽利用が容易と考えられた。いっぽう,低光量条件下で順化したモッコク,カラタネオガタマでは,CO_2収支の変化が大きいため,アトリウム構造や植栽場所を十分検討してから,緑化に用いる必要があると考えられた。
著者
中村 彰宏 衣笠 斗基子 陣門 泰輔 谷口 伸二 佐藤 治雄 森本 幸裕
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.79-84, 2002-08-31
被引用文献数
12 15 17

関西地方の18箇所の森林から表土を採取し,撒き出し施工および実験を行った。多くの森林に生育していたコナラ,アベマキの実生出現頻度は小さかったが,ヒサカキの群落および実生出現頻度はともに大きかった。群落での出現頻度の小さかったアカメガシワ,ヌルデなどの実生出現頻度は大きく,平均埋土種子密度も7個/m^2以上と大きく,表土撒き出し緑化によって,これらの先駆種からなる群落形成の可能性が示された。複数のサブプロットの組み合わせで算出した種数,多様度指数-面積曲線によって,異なる面積のプロット間での多様性の比較が可能となった。低密度出現種の多いプロットでは,出現種数は面積の影響を大きく受けるため,種多様性評価を行う場合には大面積の調査が必要であることが明らかとなった。
著者
中村 彰宏 大林 千尋 柴田 智広
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.38, pp.51-56, 2011-05-06

我々は,自動掃除機^<TM>Roombaとのダンスを通じて部屋を掃除する社交ダンスシステムを提案する.本システムは,実時間で深度情報を得られるマイクロソフト社の^<TM>KinectとオープンソースライブラリOpenNIを用いて人間の動作を認識し,それに応じてRoombaの動作を制御する.制御に必要なRoombaの位置・姿勢はARToolkitのマーカーを用いて計測する.動作として社交ダンスを採用することで,Roombaでの掃除にエンターテイメント性を付加する.社交ダンスの振付は,パートナとの位置関係と男性の動作で示されるリードによって決定されるため,ユーザーがリードに関する知識を持つことで,Roombaをパートナーとしたダンスによる掃除が可能となる.本稿では,まずシステム構成及びダンス認識による掃除制御アルゴリズムを述べ,次に予備的な実験結果によりシステムの有効性を示す.