著者
中村 郁美 Nakamura Ikumi 田村 文子 Tamura Fumiko 大澤 真奈美 Osawa Manami
出版者
群馬県立県民健康科学大学
雑誌
群馬県立県民健康科学大学紀要 (ISSN:18810691)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.45-56, 2017-03

目的:統合失調症患者が地域生活において対処できない問題とその対処に向けた訪問看護師の支援を明らかにする.方法:A県内の精神科病院および訪問看護ステーションにおいて統合失調症患者を支援している訪問看護師を対象として面接調査を行い,Berelson,B.の内容分析を参考にして分析した.結果:訪問看護師が語った統合失調症患者が地域生活において対処できない問題は,【服薬自己管理ができないため薬を正しく飲めない】【入浴・洗髪・行為をできないため清潔が保てない】など11コアカテゴリが抽出された.統合失調症患者が地域生活において対処できない問題の対処に向けた訪問看護師の支援は,《服薬自己管理ができるように服薬確認や声かけを行う》など17コアカテゴリであった.結論:訪問看護師は,患者が地域生活において対処できない服薬,清潔,金銭管理,熱中症予防などの問題に対して,患者の状態に合わせて段階的に継続的な支援を行っていた.
著者
中村 泰久 朝倉 起己 新宮 尚人 Yasuhisa Nakamura Tatsumi Asakura Naoto Shingu
雑誌
日本福祉大学健康科学論集 = Journal of health sciences, Nihon Fukushi University
巻号頁・発行日
vol.18, pp.49-56, 2015-03-30

We conducted a study to evaluate factor(s) which influence frequencies of job separation of schizophrenic employees with 31 patients. We collected background information on the subjects such as age, sex, medical history, and then evaluated the subjects' cognitive function by the Global Assessment of Functioning (GAF), Schizophrenia Cognition Rating Scale Japanese Version (SCoRS-J). Correlation analyses revealed that job separation for working had significant correlations with age, medical history and Attention, Social Cognition. In addition, multiple regression analyses suggested that job separation were influenced by medical history, and Attention rate.
著者
武田 穣 小泉 淳一 中村 以正 倉根 隆一郎
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.15, no.9, pp.621-625, 1992-09-10 (Released:2008-04-21)
参考文献数
10

The effect of carbon sources on the growth of an actinomycete Nocardia amarae isolated from scum were investigated. Neutral fat medium allowed faster proliferation and greater cell yield of the actinomycete than glucose and organic acid media : polyester granules were intracellularly stored in the neutral fat medium. More than 7 days of lag were required for growth when hydrocarbon was used. Long chain fatty acids did not afford the cell growth.The hydrophobic carbon sources brought about the floatation of the actinomycete, while the hydrophilic carbon sources allowed dispersive growth. Surface proteins of N. amarae exhibited affinity to hydrophobic substances. It was likely that hydrophobic property of cell exterior constructed by the surface proteins caused the capture of the actinomycete at the gas-liquid and oil-water interfaces together with that of cell wall.
著者
福山 大地 田中 伸治 中村 文彦 有吉 亮 三浦 詩乃
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.A_161-A_166, 2019-02-01 (Released:2019-02-06)
参考文献数
8

我が国では自転車の信号制御に関して議論が少ない。車道を走行する自転車は車両用信号に従うものとされているが、車両用信号のクリアランス時間は自動車の速度で決められているため、自動車よりも速度の遅い自転車には十分な時間が確保されておらず、信号切り替え時に交差点に残存するおそれがある。本研究では、信号交差点観測調査を実施し、信号切り替え時の自転車のクリアランスに関する問題の把握を行った。その結果、交差点の信号制御や幾何構造等様々な要因によって残存の起こる割合が異なることがわかった。また、交差点ごとに観測した自転車の速度で算出したクリアランス時間は現在設定されている車両用信号の値より長く必要であることが示された。以上の観測調査の結果を踏まえ、自転車を考慮した信号制御の指針作成のための知見を述べた。
著者
中村 俊之 植田 邦彦
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類,地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.125-137, 1991 (Released:2017-09-25)

カンサイガタコモウセンゴケDorosera spathulata ssp, tokaiensisの分類学的再検討を行った結果,コモウセンゴケD. spathulataとモウセンゴケD. rotundifoliaの雑種起源の分類群であり,独立種として認識されるべきものであるとの結論に達した。従って,学名をDrossera tokaiensis (Komiya & C. Shibata) T. Nakamura & Uedaとし,通称名であったカンサイガタ(関西型)コモウセンゴケを改め,標準和名としてトウカイコモウセンゴケを提唱する。トウカイコモウセンゴケは種子の形態,大きさ,腺毛の発達する部分の葉長に対する比,托葉の形態,裂片数においてコモウセンゴケとモウセンゴケの中間型を示す。また核型は,トウカイコモウセンゴケが2n=60=20L+40Sであり,モウセンゴケの2n=20=20Lとコモウセンゴケの2n=40=40Sの双方のゲノムを有している。なお,これまで葉形についてコモウセンゴケはヘラ型,トウカイコモウセンゴケはスプーン型とされてきた。東海地方では通常確かにそうであるが,近畿地方の集団に顕著にみられるように後者にもヘラ型的な個体が多く,両者の識別点にはならない。形態上の識別点として有効なのは托葉の形態である(Fig. 10)。さらに,トウカイコモウセンゴケは核型と托葉の形態を除けば,東海地方と近畿地方の集団では形態上かなりの点で異なっていることが判明した。この差異がトウカイコモウセンゴケが分類群として成立してからの分化なのか,異なった起源によるのかは今後の課題である。トウカイコモウセンゴケがコモウセンゴケの関西型として認識されだしたのは1950年代後半ごろからのようであり,新分類群として記載されたのは1978年である。しかし,東海,近畿地方の植物誌などでは本種には言及されず,どちらもコモウセンゴケとして扱われてきた。現在の分布状況から判断すると,そのほとんどはトウカイコモウセンゴケであると思われるが,判断は不可能である。湿地が急速に失われていく現状では標本が保管されていない産地にどちらの種が生育していたのか調べようがなく,不明のままであることが多い。改めて,公的機関での永続性のある標本の蓄積の重要性を認識した次第である。
著者
岡留 有哉 阿多 健史郎 石黒 浩 中村 泰
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.B-M43_1-13, 2022-11-01 (Released:2022-11-01)
参考文献数
30

Developing a communication agent that can mutually interact with a human has been expected. To realize the agent, real-time situation recognition and motion generation are necessary. The human-human interaction data is utilized to develop the recognition and the generation model. However, a cost of giving a certain label to the data is expensive, i.e., the number of labeled data becomes small. To cope with the small dataset problem, one of the approaches is to obtain the pre-trained weight by self-supervised learning. In this research, we propose estimating the amount of time-shift by “lag operation” as a task for self-supervised learning. The observed data is not isolated during the interaction between two people, and using both observed information from two people makes an estimation model reduce the uncertainty of situation detection. By exploiting these properties of interaction data, the time index of data of one person is shifted, i.e., the entrainment of two data is broken. This operation is called a “lag operation”, and estimating the amount of time-shift is defined as the pre-training task. We apply this pre-training to the prediction experiment that estimates near-future laughing during a conversation. The result shows the accuracy of the laughing prediction is improved by 1.3 points, and the lag operation is an effect for predicting the change of interaction situation.
著者
伊藤 亘輝 中村 健二
出版者
公益社団法人 日本磁気学会
雑誌
日本磁気学会論文特集号 (ISSN:24320471)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.86-90, 2020-05-01 (Released:2020-05-01)
参考文献数
10

This paper deals with an influence of current phase angle on a stall torque of magnetic-geared motor. First, a relationship between the current phase angle and the stall torque of the magnetic-geared motor is indicated in experiment. Next, the experimental results are deeply investigated by comparing an SPM-type magnetic-geared motor with an IPM-type one by using three-dimensional finite element method (3D-FEM). As a result, in the case of the IPM-type, it is clear that the modulated magnetic flux of the inner rotor magnet includes the armature flux. Furthermore, the influence of the modulated magnet flux from the outer rotor magnets is also investigated.
著者
呉 益明 Tristan Carsault 中村 栄太 吉井 和佳
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2019-MUS-124, no.5, pp.1-6, 2019-08-20

本稿では,正解コードラベル付きの音楽音響信号 (教師ありデータ) に加えて,ラベルが付与されていない音響信号 (教師なしデータ) を同時に利用するための,深層ニューラルネットワーク (DNN) に基づくコード推定法について述べる.従来の DNN に基づく識別的アプローチは,大量の教師ありデータを用いることで優れた推定精度を達成できるが,コードラベルの付与には多大な労力が必要であり,精度向上には限界があった.一方,隠れマルコフモデルなどの確率モデルに基づく生成的アプローチは,原理的に半教師あり学習が可能であるものの,モデルの表現力の貧弱さから,推定精度の面で劣っていた.これらの問題を解決するため,本研究では,高い表現力を持つ DNN に基づく深層生成モデルと,償却型変分推論法に基づく半教師あり学習法を提案する.具体的には,まず,コードラベル系列と音響テクスチャ系列を潜在変数とし,音響的特徴量を観測変数とする生成モデルを定式化する.観測変数が与えられた際に,潜在変数の事後分布を推定するため,音響的特徴量からコードラベル系列を推定する識別モデルと,音響的特徴量とコードラベル系列から音響テクスチャ系列を抽出する推論モデルを導入する.与えられた音楽音響信号に対して,教師ラベルの有無に関わらず,変分自己符号化器の枠組みでこれら三つの深層モデルを同時最適化することができる.実験の結果,教師なしデータに対しても,コードラベル情報と音響テクスチャ情報が適切に分離された表現学習を行うことができること,半教師あり学習を行った識別モデルが,教師ありデータのみで学習した識別モデルよりも高い認識精度を実現できることを確認した.
著者
大田垣 洋子 米澤 治文 志和 資朗 斎藤 浩 中村 研
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.225-231, 2005-03-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
22
被引用文献数
1

摂食障害患者103例について自尊感情と摂食態度,感情状態,罹病期間,BMIとの関連をローゼンバーグの自尊感情尺度,EAT,BITE,POMSを用いて検討し,さらに病型間の自尊感情の比較を行った.摂食障害患者の自尊感情は,摂食態度や感情状態との関連を認めたが,罹病期間やBMIとの関連は認めなかった.また重回帰分析において,自尊感情と摂食態度との関連が確認された.病型間の比較では,ANではむちゃ食い/排出行動のある群,BNでは排出行動のない群で自尊感情が低かった.摂食障害の本質として自己同一性の確立を巡る葛藤があり,この葛藤をうまく解決できないため自立が困難となり自己評価が低下し,その無力感や絶望感を体重のコンロトールによって処理し達成感を得ようとしていることはよく知られている.自己評価の基準は一般的な社会の中でコンセンサスが得られている価値よりも,むしろ自分自身がもっている価値ないし理想とされる.
著者
中村 修平
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2017-04-01

細胞内外の様々な要因で損傷を受けたリソソームは有害となることが知られているが、細胞がどのようにこれに対処するかは不明であった。我々は、オートファジー・リソソーム生合成のマスター転写因子であるTFEBの活性化が損傷リソソーム修復に必須の働きをすることを見出した。さらにこの活性化はオートファゴソームマーカーとして知られるLC3タンパク質のnon-canonicalな機能に依存していることを明らかにした。また、マウスを用いた動物実験からこのLC3によるTFEB活性化がリソソーム損傷を伴うシュウ酸カルシウム腎症の病態悪化を防いでいることが示唆された(中村ら 投稿中)。
著者
中村 羊一郎 Nakamura Yoichiro
出版者
神奈川大学
巻号頁・発行日
pp.i-320, 2014
著者
中村 友紀 天野 ともみ 松井 奈津子 蔵前 仁 中村 清忠 伊藤 誠
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.186-191, 2019-01-25 (Released:2019-01-25)
参考文献数
11

血液培養よりAerococcus urinaeを分離した重症感染性心内膜炎の1症例を経験した。患者は大動脈弁閉鎖不全症による大動脈弁置換術,慢性膀胱炎の既往のある70歳代の男性。来院時の血液培養よりCluster状のグラム陽性球菌を認めた。分離培養を行ったところ血液寒天培地に小型のα溶血性レンサ球菌様のコロニーが発育し,質量分析装置による同定を実施したところA. urinaeと同定された。心エコー検査によって感染性心内膜炎と診断され,VCMやSBT/ABPC,カルバペネム系抗菌薬などによる加療を行ったが,心原性脳梗塞を合併し第26病日に死亡した。A. urinaeはGram染色ではブドウ球菌様の形態を示すのに対し,血液寒天培地上ではα溶血を呈するレンサ球菌様のコロニーとして発育するため,Staphylococcus属やStreptococcus属と誤同定されやすい。高齢者の尿路感染症の原因となりうるほか,稀に敗血症や感染性心内膜炎を引き起こす。本菌による感染性心内膜炎は臨床経過の急激な悪化をたどり,重症化しやすいとの報告がある。血液培養にて本菌を疑う所見を得た際は迅速に同定し,早期に適切な治療を開始することが重要である。その点で質量分析装置による同定は非常に有用であると思われた。
著者
三輪 美樹 鴻池 菜保 勝山 成美 中村 克樹
出版者
一般社団法人 日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 (ISSN:09124047)
巻号頁・発行日
pp.38.018, (Released:2022-10-27)
参考文献数
48

Over the past two decades, a number of biomedical studies have been conducted in Japan using common marmosets (Callithrix jacchus). Common marmosets are highly promising experimental animals because of their high fertility, which is noteworthy among primates. Here, based on our breeding experience at Kyoto University, we have compiled a simplified manual that outlines how to breed and raise robust common marmosets, defined as those achieving over 350g in weight, in a captive environment. The manual covers selection of appropriate breeding individuals, effective pairing methods, perinatal management including birth control, feeding and housing management, and precautionary health status monitoring.
著者
平野 葉一 河村 勝久 中村 義作 秋山 仁 板井 昌典
出版者
東海大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1997

本研究の目的は高校数学教育における数学史活用のための教員用マニュアルおよびCD-ROM作成であるが、平成11年度においては、研究最終年を迎えて具体的な実践を含めたまとめに向けての研究を行った。特に、東海大学付属高校の数学教員の協力もあり、作成資料(テキスト)の検討、実際の授業での活用を踏まえた共同授業なども試みた。研究活動および成果以下の通りである。1.数学史に関する教員用マニュアルに関しては、特に2003年からの高校数学教育改訂を念頭におき、授業での生徒たちの作業的・実践的活動が可能になる事例の収集を行った。特に新しい数学基礎との関連を考えた「黄金比」に関しての資料の充実、科学実験との関連をも考えた「指数・対数関数」が中心であった。また、ブールを中心とした集合・論理に関する研究、数学パズルに関する歴史的考察も行った。2.CD-ROM制作に関しては、Internetの普及を考慮してホームページ形式(htlm形式)とすることにした。特に、ピタゴラスからケプラーまでの数学と音楽の歴史展開を基礎とした内容の作品は、高校教員と担当の生徒たちの協力もあり、現場に即したものとなった。3.データベースの作成では、数学史関連項目を約100点選び、その歴史関連文献(約1500件)を収集した。現状では文献リストの形だが、今後内容を含めてデータベース化する予定である。具体的な成果に関する口頭発表は以下の通りである。平成11年12月3日・4日 数学史および数学教育に関するWorkshop開催(発表論文集作成中)論文報告:「数学史の通時と共時:本Workshopへの問題提起として」「ブールの『思考の法則』についての研究」など3件平成12年1月13日 韓国・ソウル、団体Mathlove主催のMath-Festivalでの招待講演「数学博物館と数学教育-数学史的視点からの考察を含めて」
著者
中村 康則 大木 浩司
出版者
公益財団法人 腸内細菌学会
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.259-264, 2010 (Released:2010-11-25)
参考文献数
20

乳酸菌Lactobacillus helveticusは,発酵中に乳蛋白質を分解し,潜在するペプチドvalyl-prolyl-proline,isoleucyl-prolyl-prolineを産生する.両ペプチドは,アンジオテンシン変換酵素阻害活性を有する.この酵素は,アンジオテンシンIに作用し,強力な血圧上昇物質アンジオテンシンIIを産生することで知られる.動物実験および in vitro試験の結果は,経口摂取された両ペプチドの一部が,インタクトな形で消化管より吸収され,組織レニン・アンジオテンシン系に作用し,血圧を降下させることを示唆している.我々が実施したヒト飲用試験では,両ペプチドを含有する発酵乳の摂取により,高血圧者の収縮期および拡張期血圧が有意に降下することを確認した.アンジオテンシン変換酵素は,NO産生を促進するブラジキニンを分解・失活する酵素でもある.従って,両ペプチドには,NOによる血管内皮機能の維持,動脈硬化予防の可能性が期待される.NO合成酵素阻害剤NG-nitro-L-arginine methyl ester hydrochlorideを投与したラットの胸部大動脈を摘出し,アセチルコリンに対する内皮応答性を調べた結果,いずれのペプチドも阻害剤と同時摂取させたとき,阻害剤による応答性低下の改善を認めた.また,我々が実施したヒト試験では,両ペプチドの摂取により,プレスティモグラフィーにおける上腕の駆血解放後の血流量の増大が認められ,このとき,血圧に変化はなかったため,両ペプチドによる,血管内皮機能の改善が示唆された.以上のことから,両ペプチドは,血圧降下という作用のみならず血管内皮機能改善作用によってメタボリックシンドロームの予防,改善に寄与するものと考えられる.
著者
福岡 範恭 山田 広行 安心院 康彦 池田 尚人 尾方 純一 杉田 学 髙松 純平 中村 光伸 溝端 康光
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.580-586, 2019-08-31 (Released:2019-08-31)
参考文献数
5

救急隊員による病院前救護における疾病の観察・処置の標準化として『PEMECガイドブック2017』が出版されて以降,PEMECコースが開催されている。本稿ではコース概要と開催状況,参加者より得た意識調査結果から今後の課題について考察し報告する。2018年10月までに行われたコース受講者196名に意識調査を実施した結果,184名から有効な回答が得られた。全体的な評価で「よい」と回答した75名(40.7%)を高評価群,「まあよい」「普通」「あまりよくない」と回答した109名(59.2%)を低評価群に分類し,全体の評価に強く影響を与えたコースプログラムの各項目をロジスティック解析により分類した。その結果「アルゴリズムの理解」「インストラクターの知識」「インストラクターの解説」が評価に関連する主要な因子として明らかになった(p<0.05)。コース内容は,概ねよい支持を得ているが,インストラクターの教育技能を向上させること,アルゴリズムの理解を深める指導の必要性が示された。