著者
五十嵐 靖博 平尾 元尚 中村 延江
出版者
山野美容芸術短期大学
雑誌
山野研究紀要 (ISSN:09196323)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.71-77, 2001-02-25
被引用文献数
3

本研究では化粧品使用量の操作が,被験者(女性33名,男性27名)によるモデルの化粧品使用度や魅力度の認知にどのような影響を与えるかを検討した。女性群,男性群ともに化粧品使用度の認知に関する評定は,化粧品使用量の操作に対応して変化しており,化粧品非使用条件では評定値が低く,多くの化粧品を用いた条件では評定値が高かった。ファンデーションや口紅,アイブローペンシル,アイシャドウを用いた化粧が女性群,男性群ともに魅力度が高かった。一方,化粧品使用量をさらに増し,頬紅やマスカラ,アイライナーを加えた条件の化粧品使用度の評定値が最も高く,魅力度の評定値はもっとも低かった。また化粧品非使用条件に対する魅力度の評定値も低かった。
著者
十倉 淳紀 斎藤 彰一 安江 千尋 井出 大資 千野 晶子 五十嵐 正広 河内 洋
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1179-1183, 2020-08-25

臨床経過 患者は50歳代,女性. 肛門痛を主訴に近医を受診し,病変を指摘されたため当院に紹介され受診となった.既往歴に特記事項はなかった.当院の下部消化管内視鏡検査(total colonoscopy ; TCS,Fig.1)では,肛門縁から脱出する巨大な黒色腫瘤を認めた(Fig.1a〜c).また,盲腸(Fig.1d),上行結腸(Fig.1e),上部直腸(Fig.1f)にも黒色の隆起性病変や,色素沈着が散在性に認められた.さらに,上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy ; EGD)(Fig.2)では,胃角部後壁(Fig.2a),胃体中部大彎(Fig.2b)にびらんを伴う黒色の色素沈着を認めた. その他,CTにて両側鼠径リンパ節の腫大を認めた.以上より直腸肛門部原発の悪性黒色腫(anorectal malignant melanoma ; AMM)を考え,皮膚悪性黒色腫に準じたstaging(第7版AJCC皮膚メラノーマ病期分類)で,cT4bN0M1,cStage IVと診断した.肛門の疼痛,また出血のコントロール不良のため,AMMに対して経肛門的局所切除術が施行された.
著者
山﨑 明 斎藤 彰一 高松 学 河内 洋 西川 雄祐 堀江 義政 安江 千尋 山本 安則 井出 大資 千野 晶子 五十嵐 正広
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1000-1003, 2018-06-25

疾患の概念 直腸肛門部に発生する悪性黒色腫は,直腸肛門移行部の上皮基底層に存在するメラノサイト由来と考えられている1).消化管原発の悪性黒色腫はまれであるが,直腸肛門部は食道と並び好発部位とされ,本邦における頻度は全悪性黒色腫の4.6%2),直腸肛門部悪性腫瘍の0.38%3)と報告されている.直腸肛門部悪性黒色腫の平均生存期間は8〜25か月,5年生存率は4.6〜15%と報告されており,予後不良な疾患である4).色調はメラニン色素を反映した黒色調を呈するものが多いが,肉眼的に黒色調を呈さない低色素性あるいは無色素性のamelanotic病変が6.6〜26.4%と報告されており2)3)5),診断が困難な場合がある.
著者
柳澤 敦広 乾 健彦 生井 良幸 高梨 潤一 藤井 克則 水口 雅 関根 孝司 五十嵐 隆
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.161-165, 2009-11-15 (Released:2010-05-31)
参考文献数
23
被引用文献数
2 2

腸管出血性大腸菌 (enterohemorrhagic E. coli: EHEC) 感染症を契機に発症した溶血性尿毒症症候群 (hemolytic uremic syndrome: HUS) の重篤な合併症として,脳症がある。脳症の臨床像・病態生理は複雑である。今回われわれが経験したHUSに合併した脳症は,急性壊死性脳症 (acute necrotizing encephalopathy of childhood: ANE) に特徴的な画像所見を示していた。 こういった例はHUSに合併した脳症のなかでも,特に重篤な経過をたどりやすいようだ。また,サイトカインの関与も示唆された。HUSに対する既存の治療法では不十分であり,発症機序,管理・治療法に関するさらなる検討が必要と思われる。
著者
熊谷 麻紀 五十嵐 久人
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.67, no.12, pp.850-859, 2020-12-15 (Released:2020-12-31)
参考文献数
48

目的 本研究は,国内の中小企業雇用者のWFCは生活習慣や就労状況とどのような関係があるのか明らかにすることとした。方法 研究協力の得られた中小企業4社294人の従業員を対象に,自記式質問紙調査を実施した。調査項目は基本属性,就労状況,生活習慣,多次元的ワーク・ファミリー・コンフリクト尺度日本語版(WFCS),主観的健康感,主観的ストレス度とした。WFCの下位尺度であるWork Interference with Family(仕事から家庭への葛藤:WIF)とFamily Interference with Work(家庭から仕事への葛藤:FIW)スコアを高低で2群化し,これらを従属変数にロジスティック回帰分析を行い,関連する要因を検討した。結果 227人から回答を得て,欠損のない185人を分析対象とした。男性146人(78.9%),女性39人(21.1%),平均年齢43.6±11.2歳,配偶者および子がいる者の割合は6割弱で,WIF・FIWそれぞれの中央値は3.0,2.3であった。 WIFの2群間では平均労働時間(h/日),休暇取得のしやすさ,欠食の有無等に有意差があり,FIWの2群間では休暇取得のしやすさ,主観的健康感,主観的ストレス度に有意差が認められた。 ロジスティック回帰分析の結果,WIFには「欠食の有無」,「主観的ストレス度」,「平均労働時間(h/日)」,「年齢」,「主観的健康感」,「休暇取得のしやすさ」との関連が認められ,FIWには「主観的健康感」のみ関連がみられ,異なる要因が抽出された。結論 中小企業雇用者のWFCに関連する要因を検討した結果,仕事から家庭への葛藤(WIF)を低下させるためには,適切な生活習慣を送ること,長時間労働の短縮や雇用者が休暇を取得しやすい職場環境の改善を要し,家庭から仕事への葛藤(FIW)を低下させるためには,ストレスとうまく向き合い,精神的安定を図り,主観的健康感を高めていくことが必要となる可能性が示された。
著者
菱沼 利彰 五十嵐 亮 寺村 俊紀 森田 直樹 井原 遊
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:21888841)
巻号頁・発行日
vol.2021-HPC-180, no.3, pp.1-11, 2021-07-13

近年,プロセッサアーキテクチャの多様化が進んでいる.数値シミュレーションを様々なアーキテクチャで行うことを考えたとき,CPU では BLAS や LAPACK を用いれば密行列に対する演算が統一された API で利用できるが,アクセラレータでは多くの場合データ通信の制御や API の変更が必要になる.疎行列に対する演算は,一部のハードウェアベンダ製ライブラリが疎行列に対する演算を備えているが,全てのアーキテクチャで動作はせず,統一された API は定義されていない.著者らは,真に有用な線形代数ライブラリは実用されているすべてのアーキテクチャで動く必要があるとの考えから,各ベンダやライブラリのデータ型,行列格納形式,データ通信 API などを扱うための統一された API を定義し,すべてのアーキテクチャで動作する可搬性の高いオープンソースライブラリ monolish を提案する.本研究ではこの第一段階として,シングルノード,シングルデバイス向けに開発した提案ライブラリの性能を評価した.行列行列積,LU 分解,共役勾配法のプログラムを 8 つの環境で実行し,提案したライブラリを用いることですべての環境でプログラムを変更せずに動作する高性能かつ可搬性の高いプログラムを実現できることを示した.
著者
鈴木 正昭 テップンポン マリーワン モラクン ポンレック 五十嵐 孝典
出版者
Japanese Society for Tropical Agriculture
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.55-62, 1982-06-01 (Released:2010-03-19)
参考文献数
7

タイ国の河川に繁茂するホテイアオイ (Eichhornia cyassipes, Solms) の実用的な堆肥化方法を検討した.すなわち, ホテイアオイ, 野草, 稲わら, 水牛糞などを主な材料とした各種の堆肥を製造し, その性状を経時的に調べて, 品質や熟度等を論じた.得られた結果は以下のように要約される.1.ホテイアオイだけを材料として堆肥を製造すると, 品温は42℃に達しただけであったが, 水牛糞や稲わらを混じて堆肥を製造すると容易に50℃以上の高温を得ることができた.2.ホテイアオイは窒素, リン酸, カリ等の養分に富むため, これを他の資材と混用することにより堆肥の品質が向上した.3.稲わらを堆肥化する場合にホテイアオイを混用すると, 水牛糞や石灰窒素を用いるのと同等の効果を発揮した.4.ホテイアオイは堆肥資材として良好であり, タイ国の農民に勧めうる.また, その適切な製造法について述べた.5. (付録) タイの中央平原と東北部で集めたホテイアオイを比較すると, 前者は後者よりも植物養分の含量が高い傾向を示した.茎葉部と根部について養分含量を比較すると, 茎葉部では窒素, リン酸, カリ, カルシウム, マグネシウム, 銅などが根部よりも高かったが, マンガンや亜鉛は根部の方が高かった.
著者
石丸 伸司 山口 隆義 川崎 まり子 柿木 梨沙 管家 鉄平 五十嵐 正 岡林 宏明 古谷 純吾 華岡 慶一
出版者
日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
雑誌
日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌 (ISSN:18831273)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1_2, pp.41-44, 2018-10-25 (Released:2019-04-02)
参考文献数
15

2016年に公開された心臓サルコイドーシスの診断指針では,造影MRIによる心筋の遅延造影所見(Late Gadolinium Enhancement:LGE)が主徴候の一つとして挙げられているが,CT画像での異常所見については触れられていない.今回,我々はCTでの心筋遅延造影(Late Iodine Enhancement:LIE)が診断の契機となった心臓限局性サルコイドーシスの一例を経験した.本症例では,心臓CTでのLIEは心臓MRIでのLGEの部位と一致しており,また18F-FDG-PETでも同部に強い集積を認めた.サルコイドーシスの心病変診断において,CTはMRIと同等の診断能を持つ可能性があると考え報告する.
著者
五十嵐 大介
出版者
東洋史研究会
雑誌
東洋史研究 (ISSN:03869059)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.505-475, 2007-12

With the implementation of the highly systematic and well organized Iqta system, which depended on the completion of the cadastral survey (1313-25), referred to as al-rawk al-Nasiri, in Mamluk ruled Egypt and Syria (1250-1517), the Mamluk state and political system were constructed on this foundation. In this manner, the regimes of foreign military rulers, which were based on the Iqta system, which had been developed in the Arab-Muslim world since the latter half of the tenth century, reached an apex in the highly systematized Mamluk regime. As the fundamental land system of the period, the Iqta system served as the axis of political, military and governmental systems and formed the system that was the core of the ruling structure in which the Mamluks, who comprised the ruling class, controlled rural areas through possession of the Iqta lands and thereby held a grip on the supply of food, public works, economic and religious activities of the cities through the redistribution of the wealth obtained from the rural areas, and this influence reached throughout the entire society. However, the rapid expansion of the amount of land designated as waqf (religious endowment) following the latter half of the fourteenth century had a great influence on the Mamluk regime. This was not limited to the fact that due to the transformation of the state's land (amlak bayt ai-mal) into the waqf, the amount of land that could be distributed for the Iqta's was decreased and the economic foundation of the Mamluks continued to shrink. The increasing importance of the waqf, which was fundamentally independent from state control, as a self-regulating system for the redistribution of wealth that linked the cities and rural areas is thought to be link to the problem of relativizing and reduction of the social role of the Iqta system. From this point of view, I employ narrative and archival sources in this study to consider the sudden expansion of the waqf, whose social role from the late fourteenth century to the early sixteenth century in Egypt and Syria reached a stage that could not be ignored, the influence of the expansion of the waqf on the Mamluk regime, and amidst these factors, how the Mamluk military ruling class maintained the ruling structure, particularly in regard to the economic aspect. As a result, I make clear that they were involved at various levels in the waqf system as donators and beneficiaries, as administrators, and as leaseholders of waqf land, and thereby they were able to obtain wealth and social influence and were also able to maintain the Mamluk regime of ruling structure by incorporating the waqf system within it.
著者
豊浦 正広 五十嵐 哲也 齋藤 豪 寺田 貴雅 茅 暁陽
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:21888949)
巻号頁・発行日
vol.2016-CG-162, no.1, pp.1-7, 2016-02-01

カラー写真などの任意の画像から多色織ジャカード織物パターンを生成する.ジャカード織物は数百本から数千本の並列化された経糸と緯糸が交差して構成され,各格子点での経糸と緯糸の上下を定義することで模様を作り出すことができる.多色織パターンは,各行各列の経糸色・緯糸色と格子点での上下関係を示す二値画像によって表現できる.従来法ではグレースケール画像のみを対象にしたり,カラーチャンネルごとに独立に処理したりしていたために,入力画像が持つ色調や陰影を十分に保つことができなかった.本研究では多色織パターンの生成のために (1) 任意色の経糸・緯糸による画像二値化,(2) 入力画像に適切な糸色の自動選択を提案する.実験では,生成されたパターンから製織した結果を示し,提案手法の有効性を示す.
著者
宮腰 淑子 五十嵐 修一 永尾 侑平 井上 重宏 佐藤 朋江 関谷 可奈子 新保 淳輔 佐治 越爾 森田 健一 佐々木 修 岡本 浩一郎 佐藤 晶 山崎 元義
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.8-15, 2012-01-25 (Released:2012-01-27)
参考文献数
19
被引用文献数
1

【背景および目的】可逆性脳血管攣縮症候群(reversible cerebral vasoconstriction syndrome; RCVS)は,雷鳴頭痛を主徴とし,脳血管に可逆性の分節状攣縮を認める疾患である.本疾患の臨床経過と画像所見の経過の検討を目的とした.【方法】2004年6月から2010年12月までに当科にRCVSの診断で加療を行った6例について検討した.【結果】発症年齢は39-53歳(平均44歳)で,女性が4例,男性が2例であった.全例に雷鳴様頭痛を認めた.3例が脳卒中を発症し,全例が女性であった.脳出血が1例,くも膜下出血と脳出血との合併例が2例であった.ベラパミルが5例に投与され,症状改善がみられたが,1例に片麻痺の後遺症を残した.【結論】突然の激しい頭痛を訴える患者を診察する際には,RCVSを鑑別に含める必要がある.
著者
萩野 翼 富山 眞吾 五十嵐 敏文
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
Journal of MMIJ (ISSN:18816118)
巻号頁・発行日
vol.137, no.2, pp.24-35, 2021-02-28 (Released:2021-02-26)
参考文献数
46
被引用文献数
2

This study involved a mine in Akita Prefecture, Japan, which was closed in the 1970s and from which acid mine drainage (AMD) flows directly into a nearby river. Local residents use river water downstream of the mine, at a point-of-use, for agricultural purposes. In selecting factors to be used as a contribution index, the flow rate at multiple points including tributaries, and the concentrations of dissolved ions and heavy metals, were measured periodically and their trends evaluated. The river flow rate increases with rainfall, the AMD flow increases during the snowmelt season. These two periods and the river low-flow period were selected for study. Mine drainage is acidic (pH 3.0-3.6), and comprises Mg-SO4 type water quality throughout the year, with higher concentrations of SO42-, S-Fe, Cu, and Zn than those of river water. Downstream of the mine, where the AMD merges, the concentrations of heavy metals gradually decreased with increasing distance downstream, particularly during the low-flow period. The SO42- fluxes did not change from above to below the AMD merge-point, and the heavy metals fluxes decreased after merging in the order S-Fe > Cu > Zn. As for the factors that decrease the concentration and fluxes, the possibility is considered that S-Fe has an effect of oxidizing and precipitating Fe2+ due to the increase in pH by the mixing with river water and dissolved oxygen. And Cu, Zn has an effect of adsorption accompanying the formation of surface complex of iron precipitates. The AMD contains high concentrations (320-400 mg L-1) of SO42- due to the acidification of pyrite, and no precipitation of heavy metals was observed in the stream. Since precipitation phenomena such as heavy metals are not recognized in SO42-, an index indicating the degree of impact of AMD on the water quality of the point-of-use was calculated using SO42- as a contribution ratio; CR. The CR of the AMD to water quality at the point-of-use is in the range of 2%-12%.
著者
五十嵐 由里子
出版者
日本人類学会
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.100, no.3, pp.311-319, 1992
被引用文献数
4

現代日本人女性の遺体20体にっいて,腸骨耳状面の前下部に認められ,妊娠や出産に関係すると考えられている窪みや溝を観察し,その強さと,妊娠や出産の経験との関係を調べた.遺体の死亡年齢は49歳から99歳にわたり,このうち出産の経験がある者は16体であった.出産や流産にっいての情報は,家族へのアンケートによって得た.これらの窪みや強さは,事前に近代日本人の骨格標本の骨盤を調査して作った三段階の基準(強い,弱い,無し)に従って判定した.<br>その結果,強い窪みや溝は経産婦にのみ現れ,窪みや溝が無いと判定された1例は未産婦であった(Table 1と2).さらに,妊娠と出産の回数がわかった個体にっいて,これらの窪みや溝の出現状況を分析した結果,これらの特徴が出産の際にではなく妊娠の間に形成され,その強さは妊娠の回数とある程度の相関を持っことが示唆できた(Fig. 6).また,最終出産後18年から65年たっても,これらの窪みや溝は消えないことがわかった(Table 1).
著者
村井 邦彦 酒井 大輔 中村 嘉彦 中井 知子 鈴木 英雄 五十嵐 孝 竹内 護 村上 孝 持田 讓治
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
pp.1202020056, (Released:2012-02-16)
参考文献数
49

椎間板ヘルニアに伴う神経痛の病態には,神経根の炎症機序が関与している.その一因に,椎間板髄核が自己の組織として認識されない隔絶抗原であるので,髄核の脱出に伴い自己免疫性炎症が惹起されることが考えられる.一部の髄核細胞の細胞表面には,眼房細胞などの隔絶抗原にみられる膜タンパクFasリガンドが存在し,Fas陽性の免疫細胞のアポトーシスが惹起され,自己免疫反応は抑制されるが,二次的に好中球の浸潤が惹起され,炎症を来す可能性がある.近年,われわれはマクロファージやナチュラルキラー細胞などの細胞免疫反応が,椎間板ヘルニアに伴う痛みの発現に関与することを示した.Fasリガンドや,細胞免疫の初期に発現するToll 様受容体に着目すれば,坐骨神経痛の新たな治療法が開発できる可能性がある.
著者
五十嵐 勝朗
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.235-239, 2007-04-20 (Released:2011-10-07)
参考文献数
6

新生児には出生直後から, 生きていくための力, すなわち反射が備わっていて, すぐにさまざまな動きをする. 原始反射(新生児反射)は健常な新生児に観察される反射的行動で, 健常な新生児では中枢神経系の発達とともに多くは生後4-5ヵ月で消失する.新生児は胎内あるいは母乳を通して母親から闘う力を得ているが, ウイルスや細菌などに対して自ら闘うほどの力は持っていない. 成長過程において, ウイルスや細菌などに対して白血球が増加したり, 抗体をつくってウイルスや細菌などを排除できるように徐々に力をつけていく.新生児は3-4時間の授乳リズムで寝たり起きたりして過ごし, 昼夜の区別はあまりなく, 1日20時間近く眠る. 睡眠と覚醒が昼夜の周期に同期するようになるのは生後2-3ヵ月頃からである.