著者
木下 奈緒子 大月 友 五十嵐 友里 久保 絢子 高橋 稔 嶋田 洋徳 武藤 崇
出版者
一般社団法人日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.65-75, 2011-05-31
被引用文献数
2

本稿の目的は、精神病理の理解や治療という観点から、人問の言語や認知に対して、今後どのような行動分析的研究が必要とされるか、その方向性を示すことであった。人間の言語や認知に対する現代の行動分析的説明は、関係フレーム理論として体系化されている。関係フレーム理論によれば、派生的刺激関係と刺激機能の変換が、人間の高次な精神活動を説明する上で中核的な現象であるとされている。刺激機能の変換に関する先行研究について概観したところ、関係フレームづけの獲得に関する研究、刺激機能の変換の成立に関する研究、刺激機能の変換に対する文脈制御に関する研究の3種類に分類可能であった。これらの分類は、関係フレーム理論における派生的刺激関係と刺激機能の変換の主要な三つの特徴と対応していた。各領域においてこれまでに実証されている知見を整理し、精神病理の理解や治療という観点から、今後の方向性と課題について考察した。
著者
五十嵐 立青
巻号頁・発行日
2007

筑波大学博士 (国際政治経済学) 学位論文・平成19年3月23日授与 (甲第4214号)
著者
五十嵐 大悟
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.200-205, 2015-05-01

成長産業として捉えられている「コンテンツ」を地域振興に活用しようという動きが見られるが,本論ではコンテンツの語彙を精確に定義し,かつそれに包含され得ない生の体験を,エクスペリエンスという語を以って定義することで,健全な議論の基礎を構築する。更に情報の社会的性質を示し俯瞰的に論じる。その上で筆者が学術的フィールドワーク及び,アニメーション製作の実務経験を元に,コンテンツを用いる地域振興においてはコンテンツとエクスペリエンスの双方の視点から実践,研究する必要性とアイディアを示す。本論は,地域における情報のハブを構築する実務にてプラクティカルに活用できる知見の提供を行う。
著者
澤田 聡 渡邉 直行 五十嵐 均
出版者
群馬県立県民健康科学大学
雑誌
群馬県立県民健康科学大学紀要 (ISSN:18810691)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.73-76, 2011-03

目的:2004年にLANCETに掲載された論文"Risk of Cancer from Diagnostic X-rays : estimates for the UK and 14 other countries"(英国を含む14か国における診断用X線検査による発がんリスクを推定したもの)を教育的にレビューし,診療放射線技師による放射線防護の視点より,Computed Tomography(CT)検査の妥当性について考察する.方法:論文を読み,そのデータや結論をレビューし,関連文献検索を加えた.結果:示されたがん発生リスクのデータには疑問の余地がある.しかしながら,医療被ばくにおいて本邦のCT検査が大きな比重を占めているということは事実である.結論:医療被ばくの低減には,CTによるX線検査の頻度を下げること,装置間,施設間による線量のバラツキを最小化することがかかせない.
著者
五十嵐 修 イガラシ オサム Osamu IGARASHI
雑誌
人文・社会科学論集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.1-22, 2004-03

Die tatsachliche Kaisererhebung Karls des Groβen bereitete dem frankischen Hof groβe Schwierigkeiten. Das 800 in Rom geschaffene Kaisertum entsprach nicht der Vorstellungen des frankischen Hofs. Die Ideen Alkuins und anderer frankischer Kleriker zielten eigentlich auf eine spirituelle Uberhohung des frankischen Konigtums zum imperium Christianum. Aber der romische Ursprung in Karls Kaisertum trat weiter in den Vordergrund. Deshalb bedurfte es viel Zeit, um diese Schwierigkeiten zu uberwinden. Karls Titel nach seiner Kaiserkronung unterstutzt diese Interpretation. Zum neuen Titel wahlte Karl der Groβe eine sehr komplizierte Form. Der neue Titel behielt auch wie bisher den frankischen und langobardischen Konigstitel bei. Der Kaisertitel war nur ein Bestandteil seines neues Titels. Wahrscheinlich konnte der frankische Hof erst 802 eine bestimmte Richtung geben. Vielleicht zeigt es auch die Schwache der Idee des Kaisertums. Der Begriff des Kaisertums, dessen Titel Karl endlich erwerben konnte, war zu kompliziert fur das langere Bestehen des Kaiserreiches Karls des Groβen.
著者
五十嵐 治一 森岡 祐一 山本 一将
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI)
巻号頁・発行日
vol.2013-GI-30, no.6, pp.1-8, 2013-06-21

本論文では強化学習の一手法である方策勾配法をコンピュータ将棋に適用する方法を考察した.方策勾配法は,報酬や方策にマルコフ性の制限なく自由に設計することができるという大きなメリットがある.本論文では,最初に全 leaf 局面の局面評価値をその局面への遷移確率値で重み付けた期待値を用いた指し手評価方式を提案する.これをベースに,探索木の各ノードにおける指し手の選択法として Boltzmann 分布に基づくソフトマックス戦略を採用した場合の局面評価関数に含まれるパラメータの学習則を導出した.しかし,探索や学習時の計算量が膨大となるため,3 つの近似計算法を考案した.次に,探索時にシミュレーション方策を用いてモンテカルロ探索を行う場合や,探索の深さを制御する場合のために,局面評価関数とシミュレーション方策の両者を同時に学習する学習則を方策勾配法により導出した.さらに,この方策勾配の計算法を利用すると,局面ごとに正解手が既知の場合の教師付学習も可能であることを示し,実際に学習則を導出した.
著者
五十嵐 治一 森岡 祐一 山本 一将
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.90-94, 2014-10-31

コンピュータ将棋において探索木の枝を成長させる際に,その枝までの探索経路に沿った指し手の累積的な選択確率の値を基に探索制御を行う方法を提案する.このときの指し手の選択には,将棋の指し手に関するヒューリスティクスを組み込んだシミュレーション方策を使用する.この際,枝成長を決定論的に行う場合と確率的に行う2つの場合を考えた.さらに,本手法ではこのシミュレーション方策中のパラメータを強化学習の一手法である方策勾配法により学習する.
著者
武田 達弥 五十嵐 健夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.11, pp.93-98, 2008-01-31
被引用文献数
1

本論文では、グループにおける検索活動を支援するシステムについて提案する。グループ内のユーザの間では興味・関心が共有されているため、検索活動の重複が大きい。そのため、グループのメンバがそれまでに行った検索履歴を利用することで、次に他のメンバが同じような検索を行ったときに目的となる情報にたどり着くまでの時間と労力を省くことが出来ると考えられる。本稿では、一つの実現例として、検索クエリが入力されたときに、過去に同じクエリで検索され有用と判断されたページを提示するシステムについて説明し、実際にユーザに使用してもらった結果について報告する。When searching a web using a keyword, the search engine returns many results and the user needs to pick desired one manually by visiting the returned many pages one by one. We try to reduce this burden by reusing the result of this task by other group members. Our basic assumption is that group members are expected to share general interest. For example, if one member picks page A as an appropriate search result for search query X after examining many search results, it is likely that another group member also wants to get page A when submitting search query X. This paper proposes search history sharing system that allows the users to get page A immediately when the second group member submit query X to save the user from checking many search results. Finally, we discuss our preliminary test.
著者
五十嵐 沙千子
出版者
東海大学
雑誌
東海大学紀要 文学部 (ISSN:05636760)
巻号頁・発行日
vol.84, pp.176-155, 2005

Das ist bemerkenswert, dass M. J. Sandel, der Vertreter des Kommunitar-ianismus, den Liberalismus von John Rawls sehr hart kritisiert hat. Die Aufgabe der vorliegenden Untersuchung ist, die Moglichkeit der Freiheit im Liberalismus durch Sandels Kritik an Rawls nochmals zu uberprufen, und die Spannungen zwischen >Offentlichkeit< und >Gemeinschaft< klarzumachen. Dem Anschein nach sind >Offentlichkeit< und >Gemeinschaft< einander sehr ahnlich. Diese zwei Begriffe sind aber wirklich ganz widerspruchlich. Ich habe aus den Spannungen erklart, dass der Rahmen der Gerechtigkeit sowohl im Liberalismus als im Kommunitarianismus Grenze hat.
著者
宮下 敏恵 五十嵐 透子 増井 晃
出版者
日本学校メンタルヘルス学会
雑誌
学校メンタルヘルス (ISSN:13445944)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.71-80, 2009-12-01

本研究の目的は教員養成系大学における学生のメンタルヘルスの経年変化を検討することであった。小中高等学校の教師のメンタルヘルス悪化が叫ばれる中,教師を目指す学生の段階において,メンタルヘルスは変化しているのか,23年間にわたるデータをもとに検討を行った。調査対象者は,教員養成系大学に1984年から2006年までに入学した学生4,435名(男性1,775名,女性2,660名)であった。大学生の精神的健康を調べるためにUPI調査用紙(University Personality Inventory)を用いた。本研究の結果から,UPIの自覚症状得点において,大きな変化はみられず,また下位尺度得点においても,大きな経年変化はみられず,一大学の結果ではあるが,教師を目指す学生のメンタルヘルスは悪化していないということが示された。教員養成系ではない他大学においては,自覚症状得点が増加しているという傾向が多数示されていることから,教師を目指す学生のメンタルヘルスは,むしろ維持されている可能性があるだろう。また,進路別にUPI得点を検討したところ,教育関係に就職した学生は,抑うつ得点が低いという有意な差がみられた。これらの結果から,一大学のみの結果で,断定はできないが,教師を目指す学生のメンタルヘルスは近年悪化しているとはいえず,むしろ教育関係に就職している学生のメンタルヘルスは高いという可能性が考えられる。教師のバーンアウト傾向の高さ,メンタルヘルスの悪化は,教師の資質そのものの変化ではなく,制度や仕事内容の悪化が大きな影響を及ぼしていると考えられる。
著者
澤田 肇 五十嵐 太郎 北山 研二 栗田 啓子 南 明日香
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

パリがどのようにフランスの、そしてヨーロッパの首都としての外観と機能とイメージを形成していったのかを多角的に問うことが、本研究の目的である。シンポジウムや研究会における発表と議論の過程で、自らにふさわしいイメージを自己増殖していくかのような都市風景を構築するパリのダイナミズムが、複数の異なる専門分野からのアプローチを組み合わせることで一層浮き彫りになることを確認できた。
著者
五十嵐 沙千子
出版者
東海大学
雑誌
東海大学紀要. 文学部 (ISSN:05636760)
巻号頁・発行日
vol.85, pp.72-60, 2006

Wie ist die Offentlichkeit moglich in der Postmoderne? Das ist das Thema der vorliegenden Arbeit. Das Problem, auf welcher Weise die Offentlichkeit moglich ist, ist sehr wichtig, weil die Offentlichkeit unter der Bedingungen der Postmoderne unmoglich erscheint, sie aber dennoch zugleich sehr notig fur die Postmoderne ist. Das Problem wird im Offentlichkeitsgedanken von Hanna Arendt und in der Kritik der Postmoderne gegen Arendt auftreten. Warum kritisierten die Postmodernisten wie J. Habermas und J.-F. Lyotard Arendt? Im vorliegenden Aufsatz sollen Lyotards Einwande gegen Arendt behandelt werden.
著者
五十嵐 沙千子
出版者
東海大学
雑誌
東海大学紀要. 文学部 (ISSN:05636760)
巻号頁・発行日
vol.86, pp.176-160, 2006

Wie ist die Offentlichkeit moglich in der Postmoderne? Das ist das Thema der vorliegenden Arbeit. Das Problem, auf welcher Weise die Offentlichkeit moglich ist, ist sehr wichtig, weil die Offentlichkeit unter der Bedingungen der Postmoderne unmoglich erscheint, sie aber dennoch zugleich sehr notig fur die Postmoderne ist. Das Problem wird im Offentlichkeitsgedanken von Hanna Arendt and in der Kritik der Postmoderne gegen Arendt auftreten. Warum kritisierten die Postmodernisten wie J. Habermas and J. -F. Lyotard Arendt? Im vorliegenden Aufsatz sollen Lyotards Einwande gegen Arendt behandelt werden.
著者
木部 暢子 新田 哲夫 日高 水穂 五十嵐 陽介 三井 はるみ 椎名 渉子 田附 敏尚 井上 文子 熊谷 康雄
出版者
大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では以下の2点を実施した。(1) 日本各地の方言の談話音声データを整備し、諸方言を横断的に検索することが可能な「日本語諸方言コーパス(COJADS)」を作成・公開した。COJADSは、文化庁が1977年から1985年にかけて行った「各地方言収集緊急調査」の談話データをソースとし、国語研が開発した検索アプリケーション「中納言」で検索するように設計されている。(2) (1)で構築したCOJADSを使って、「日本語諸方言における主語、目的語の標示形式の地域差に関する研究」や「丁寧形式「デス」の用法の地域差に関する研究」等を行い、データに基づく方言研究の例を提示した。
著者
五十嵐 元道
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.2_271-2_290, 2014 (Released:2018-02-01)

This article will show how the paradigm of development emerged in the British Empire in the 1930s. Some existing works on development seek to describe the power structure of ‘depoliticization’ in developing countries by analyzing development aid policies after decolonization. However, they hardly explain when and how the depoliticization of poverty and development began. This article will demonstrate that when the paradigm of development emerged in the 1930s, poverty and development were depoliticized from the very beginning. In the late 19th and early 20th century, British colonial administration was based mainly on the colonial philosophy of ‘indirect rule.’ However, in the 1930s, poverty was found by new experts such as social anthropologists and biologists in the British colonies. By using scientific methods, they constituted the paradigm of development which required social policies in dependent territories. In this process, the structure of depoliticization was established.
著者
亀上 隆 丸藤 哲 五十嵐 みゆき 牧瀬 博 松原 泉
出版者
The Japanese Society of Intensive Care Medicine
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.215-219, 1997-07-01 (Released:2009-03-27)
参考文献数
15

コルヒチンの大量服用により多臓器不全に陥り,不幸な転帰をとった1症例を経験した。患者は16歳,女性。コルヒチン約1gを内服し,32時間後に当科搬入となった。初診時より代謝性アシドーシス,低酸素血症,肝腎障害をおよび播種性血管内凝固症候群がみられた。ICU入室後,酸素吸入,塩酸ドパミン投与を行ったが乏尿が改善しないため,8時間後に持続濾過透析を施行した。しかし,26時間後,全身痙攣発作を契機に循環動態も不安定となった。28時間後には心停止に陥り,3時間にわたる蘇生術にも反応せず永眠した。大量コルヒチン中毒の症状は激烈でその救命は非常に困難と考えられた。
著者
五十嵐 祐
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.403-417, 2020 (Released:2022-02-05)
参考文献数
108

Tackling loneliness is a challenging task in modern society. Recent research has focused primarily on the physiological nature of loneliness. However, the multifaceted psychological construct is clearly more than just a negative emotion. The virtue of helping each other can be undermined by the process in which loneliness breeds maladaptive social perception and behavior that also facilitate the avoidance of lonely individuals. To cut off the vicious cycle of loneliness, comprehending the dynamic nature of loneliness and social networks through the lens of social information processing is important. After introducing the conceptualization of loneliness, this paper discusses the process by which individuals feel isolated in dyadic/networked social connections, the social selection and influence mechanisms of loneliness, the distinction between loneliness and solitude, the current advances and limitation of loneliness interventions, and the importance of providing opportunities for social interactions for the lonely to deal with this modern disease.