著者
須田 果穂 山勢 博彰 井上 真美 南原 桃子 藤村 夏音
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.687-693, 2023-12-28 (Released:2023-12-28)
参考文献数
11

目的:本研究の目的は,直近のBLS訓練の経験によって,心理的準備のない状況におけるBLSの手技の質が維持されるかを検証することである。方法:同一対象者に2つの方法を行う前後比較試験で実施した。大学生21名を対象に,心理的準備のある状況とない状況でのBLSの手技の質を比較した。結果:BLS開始後5秒間の胸骨圧迫のテンポは,心理的準備のある状況ではmd 120(IQR 108-126)回/分に対し,心理的準備のない状況では96(90-120)回/分と有意に減少しており(p<0.05),推奨されているテンポより遅くなっていた。また,人工呼吸の手技の質も有意に低下していた(p<0.05)。結論:直近のBLS訓練の経験によって,心理的準備のない状況におけるBLSの手技の質は心理的準備のある状況と比較して部分的に維持できるが,BLS開始直後の胸骨圧迫のテンポ,人工呼吸の手技の質は低下することが示唆された。
著者
井上 真理子 川上 正浩
出版者
北陸心理学会
雑誌
心理学の諸領域 (ISSN:2186764X)
巻号頁・発行日
pp.2023-05, (Released:2023-11-10)
参考文献数
25

This study examined how university students’ self-control and attitude toward delay relate to their smartphone usage time. The study focuses on both subjective and objective smartphone usage time. Participants were 74 university students who use iPhones. First, we conducted a correlation analysis by measuring subjective and objective usage time for online use such as SNS, online video viewing, and games. Next, participants’ personal characteristics, such as self-control and attitude toward delay, were measured using a 6-item method and a 5-item method, respectively. Consequently, the study found a positive correlation between subjective and objective usage time for "SNS" and "games" during 24 hours. However, no correlation was found between "videos and the Internet" or "total time ". Additionally, a positive correlation was found with external control and a negative correlation with reformative self-control scores in subjective time spent on "video and Internet". Conversely, the score of reformative self-control negatively correlated with subjective time for "video and Internet", but no correlation was found with objective time for "video and internet." The findings suggest that self-control and smartphone use differ regarding subjective and objective measures, including the purpose of use.
著者
松平 浩 笠原 諭 酒井 美枝 井上 真輔 鉄永 倫子 高橋 紀代 高槻 梢 二瓶 健司 矢吹 省司 髙橋 直人
出版者
一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会
雑誌
Journal of Spine Research (ISSN:18847137)
巻号頁・発行日
vol.14, no.6, pp.858-868, 2023-06-20 (Released:2023-06-20)
参考文献数
12

慢性非特異的腰痛患者には,心理社会的要因が関与している症例が多く,その場合はそれらの要因を的確に評価し,それに応じた適切かつ合理的な認知行動的アプローチが求められる.就労に支障をきたしている患者に対しては,社会的支援も必要である.これらと運動療法を併せることが主軸といえる慢性腰痛に対する集学的治療は,本邦の慢性疼痛診療ガイドラインにおいて最高位の“施行することを強く推奨する”1A判定である.一方,筋骨格系疼痛に対する「心理社会的フラッグシステム」が,世界の有識者による会議を経て英国で開発され,欧州では各国の診療ガイドラインで推奨されている.我々は,令和3年度厚生労働省慢性の痛み政策研究事業(慢性の痛み患者への就労支援/仕事と治療の両立支援および労働生産性の向上に寄与するマニュアルの開発と普及・啓発)の中で,意欲ある治療者のOperation Systemとなる合理的な手法を目指した「新心理社会的フラッグシステム日本版」を開発した.本稿では,心理社会的要因であるイエローフラッグ(認知行動療法の選択・実施に向けた心理社会的要因と具体的なアプローチ)を中心に解説する.
著者
井上 真由美
出版者
合成樹脂工業協会
雑誌
熱硬化性樹脂 (ISSN:03884384)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.39-50, 1992-03-10 (Released:2012-08-20)
参考文献数
5

プラスチック材料は物理的にも化学的にも非常に安定した材料であるため, 材料の表面にカビや細菌が繁殖して変形・腐食が起こることは全くないと言うのが一般の常識かも知れない。しかしながら, 約40年にわたり極めて広範囲におよぶ各種材料の微生物災害研究を実施した結果, 40年間に研究を実施した約400件の項目のうち, その95%がプラスチック製品および材料に, カビや細菌が繁殖し, 微生物の生きた作用によって変形・腐食が発生することが確認された。従って, プラスチックの微生物による変形と腐食は極めて重要な研究課題ということができる。プラスチックが使用中に微生物の作用を受けるか否かを客観的に評価する方法を確立するとともに, 微生物に対する抵抗性を向上させるための研究の具体的な内容について述べる。
著者
大井 瞳 中島 俊 宮崎 友里 井上 真里 堀越 勝
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.119-126, 2021-05-31 (Released:2021-11-17)
参考文献数
35
被引用文献数
1

国連サミットで掲げられた持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)の保健分野においてはあらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進することが目標に掲げられている。SDGsで重視されている「誰一人取り残さない」という点においては、遠隔での認知行動療法(Cognitive Behavior Therapy: CBT)が有効な手段となりうる。遠隔CBTは、感染症の拡大、セラピストの不足といった理由で対面のCBTを受けることが困難な場合にもCBTの提供が可能となる手段である。一方で、遠隔CBTが主流となることによって、心理療法提供の適用から外れてしまう人、すなわち、取り残される人が生じるおそれがある。本稿では、遠隔CBTの適用が難しいケースとその支援について、(1)デジタルデバイド、(2)クライエントの病態や障害、(3)緊急対応、の3点から述べた。遠隔CBTの役割と限界を認識したうえで、「誰一人取り残さない」よう心理的援助を提供することの重要性が示唆された。
著者
井上 真
出版者
京都大学東南アジア研究センター
雑誌
東南アジア研究 (ISSN:05638682)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.222-255, 1990
被引用文献数
1

この論文は国立情報学研究所の学術雑誌公開支援事業により電子化されました。
著者
野村 周平 田淵 貴大 橋爪 真弘 大田 えりか 渋谷 健司 坂元 晴香 鈴木 基 齋藤 英子 米岡 大輔 井上 真奈美 宮田 裕章 西浦 博
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

本研究は、with/postコロナ時代の保健医療政策の課題に対する実証的分析に疾病負荷を活用する我が国で初めての試みである。具体的には、新型コロナウイルス感染症の疾病負荷および関連するリスク要因の寄与割合の推定(将来予測含む)、新型コロナ含む傷病別の疾病負荷の将来シナリオ分析、新型コロナウイルス感染拡大による保健医療ニーズ・保健システムへの影響(健康格差・医療費)の推定を行う。
著者
下林 典正 井上 真治
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会2008年年会
巻号頁・発行日
pp.104, 2008 (Released:2009-04-07)

鳥取県若桜地域から産したヒスイ輝石岩およびその関連岩を横切るヒスイ細脈中から糸魚川石を報告しているが、それらと共存するバリウム鉱物を再度検討した結果、セルシアンとキュムリ石とが共生していることがわかった。この細脈はヒスイ輝石の長柱状結晶が主体となっており、脈中の紋斑部に糸魚川石-パンペリー石のintergrowthした共生体が見られる。セルシアン-キュムリ石の共生はその紋斑部の周縁に沿って分布している。すなわち、セルシアンとキュムリ石の平衡共存とパンペリー石の出現とから、このヒスイ細脈の生成条件を絞り込むことができた。
著者
井上 真澄 Khamhou Saphouvong 児島 孝之
出版者
公益社団法人 日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.1183-1188, 2007
被引用文献数
1

Recently, the concern with acrylic resin as a new repair material has been growing. The acrylic resin is characterized by high quality, low viscosity, highly elongation percentage and so on. Several studies have been made on the crack repair by using acrylic resin, but little is known about the effect of acrylic resin as a crack repair material for concrete.<br>The purpose of this study is to examine the applicability of acrylic resin for using as a crack repair material for the concrete structures. The fundamental mechanical properties of acrylic resin by using super lightweight powder were examined. And the repair effects of acrylic resin as crack repair material were examined by the flexural loading test of the concrete member repaired by crack injection technique. As a result, acrylic resin could adjust the viscosity by using super lightweight powder, and the elongation percentage of acrylic resin was superior to epoxy resin. The crack repair effects of acrylic resin were equivalent to the epoxy resin under drying condition of the crack surface of concrete member.

1 0 0 0 OA 避妊

著者
井上 真智子
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.119-123, 2013 (Released:2013-07-01)
参考文献数
6
被引用文献数
1

要 旨 避妊法の種類は日本ではやや限られるものの, 低用量ピルや子宮内避妊用具 (IUD/IUS) などの選択肢がある. 避妊効果, コスト, 侵襲や簡便さ, 副作用, 可逆性, 医学的条件等をふまえた上で, 女性 (とそのパートナー) が条件に合った適切な方法を選択することができるよう, 十分な情報提供と支援を行う.
著者
井上 真悠子
出版者
日本アフリカ学会
雑誌
アフリカ研究 (ISSN:00654140)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.76, pp.17-30, 2010

東アフリカ・タンザニアの島嶼部ザンジバルには,1980年代から始まった観光化にともない,多くの若者がタンザニア本土部からみやげ物業に従事するために渡ってきている。現在ザンジバルにおいてみやげ物用の絵を描いている画家の多くも,本土部から移動してきた者たちである。これまで,非西洋地域におけるみやげ物芸術に関する研究では,主な消費者である西洋諸国とのかかわりや,観光文化としての文化の再創造といった視点からの研究蓄積がある。しかし,観光化する現代アフリカ社会に生きる人々がどのように技術を共有しながら主体的に観光文化としてのみやげ物を生み出しているのか,その内発的なプロセスは等閑視されがちであった。本稿では,みやげ物絵画をつくる人たちの実践に焦点を当て,特にザンジバルにおける真っ赤な「キス・マサイ」という新しいみやげ物絵画の技法・スタイルの創出と模倣のプロセスに注目する。そして,グローバル化・観光化のなかに生きる人々がどのようにしてつながり,技術を伝達し,新たなみやげ物絵画のスタイルを創り出しているのか,その内発的な創出・拡散の動態を解明することを目的とする。