著者
西山 貴史 伊藤 香織 丹羽 由佳理
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.48-54, 2017
被引用文献数
1

近年,市民ロードランナーの拠点であるランニングステーションが増加している.本研究では,皇居周辺の5施設の利用者へのアンケート調査によりランニングステーションの利用実態を把握し,利用満足度を構成する要因を明らかにする.因子分析によって[イベント],[快適性],[利用満足度],[機能性],[交流],[ショップ],[交通利便性]の構成因子が抽出され,共分散構造分析によって6つの因子がどのように[利用満足度]を構成するのかを明らかにした.得られた主要な結果は,(1)[快適性]が[利用満足度]と最も関連が強い,(2)[イベント]は[交流]を介して間接的に[利用満足度]を構成する,(3)自宅アクセスは施設利用者の満足度評価との関連が弱い,(4)利用頻度の高い利用者,若い世代,同伴者のいる利用者では[交流]が[利用満足度]を構成する重要な要素である.
著者
伊藤 敞敏
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

Lactobacillus acidophilusグループ乳酸菌は、ヒト腸管の中から見出される乳酸桿菌の中の主要なものであり、プロバイオティク系の乳酸菌として、発酵乳の製造に使用されることが多くなってきている。しかしこの菌は一般的に牛乳中での生育が緩慢であるため、発酵に長時間を要する。そこでその原因解明と対策法の構築を目的として研究を行った。ヒト腸管由来のアシドフィルスグループ菌株の中から、L.acidophilus6株およびL.gasseri4株を用いて牛乳中での生育性を比較した。乳中での生育性と菌体外プロテアーゼの発現を追跡したところ、菌体外に作り出すプロテアーゼの活性の高い菌が乳中での生育性の良いことことが認められた。牛乳中では低分子窒素化合物が不足しているため、L.acidophilusは自らのプロテアーゼによって乳タンパク質を分解することが必要であり、このようなプロテアーゼ活性の強い菌株が牛乳中での生育も良好であるものと考えられた。そこで低分子窒素化合物として、カゼインを食品添加物グレードのタンパク分解酵素である、プロテアーゼP,プロテアーゼNおよびデビトラーゼの3種のプロテアーゼで分解し、牛乳に添加した結果、いずれの分解物も有効であったが、特にプロテアーゼPによる分解物を牛乳に添加することによって、アシドフィルス菌の生育を大幅に向上させることが出来た。このことから、牛乳に少量の低分子窒素化合物を追加することによって、プロバイオティクとしてのアシドフィルスを含む発酵乳の製造時間を短縮することができることが示された。一方、ヨーグルト製造の主要菌であるStreptococcus thermophilusとL.acidophilusを混合して培養することによって、菌株によってはL.acidophilusの生育が促進されるもののあることを見出した。そこで山羊乳及び牛乳の両方についてL.acidophillus5菌株とS.thermophilus1菌株について各個に混合培養を行ったところ、特に生育の促進される組み合わせのあることを見出した。この両菌株は相互に補い合って生育を助長し合っていることが考えられ、このような組み合わせによって、発酵乳製造を容易にすることが可能となった。
著者
淺野 敏久 金 枓哲 伊藤 達也 平井 幸弘
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.139, 2007

<BR>1.はじめに<BR> 2006年4月に韓国・セマングム干拓事業の防潮堤がつながった。2箇所の水門はまだ開放されているものの,約33kmの堤防により干拓事業地は外海から締め切られた。事業はまだこれからが肝心の部分であるが,ここに至るまで,世界的な巨大開発事業に対して,環境への影響を懸念した反対運動が全韓国的に展開されてきた。<BR> 報告者らは,セマングム問題に関する調査を,2003年度より共同研究として続けてきた。2006年度は,科研費は切れていたが,締め切り後の状況を知るために現地を訪れた。今回は,セマングム問題の現状を報告するとともに,断片的に状況を把握したレベルではあるが,この間のセマングム問題をめぐる環境運動の変化について,運動体の支持層・参加層の空間的な違いに注目しつつ指摘することを目的とする。<BR>2.セマングム問題の経緯<BR> 韓国西南海岸では,1970年代に干潟の開発が注目され,西南海岸干拓農地開発事業基本計画が策定された。セマングムはその10分の1を占める巨大開発で,閉め切り面積は約4万ha,干拓面積は28,300haに及ぶ。セマングム開発は1991年に起工されるが,1996年に同様の干拓地であるシファ地区での水質悪化が社会問題化し,これをきっかけに,セマングム開発への懸念が全羅北道の環境団体から投げかけられると,全国的な注目を集めることになった。<BR> 全羅北道が強く要望する産業・都市開発に対して,1998年末に用途変更は認めないと農林部が表明,セマングム開発は建前上,農地開発を行うものとして進むことになる。水質問題が争点になり,環境影響評価を行うための民・官共同調査団が組織され工事が一時中断した。この間,反対運動は全国的に広がり,環境団体,労働・社会団体などが抗議行動を次々に起こしていった。<BR> 一方,高まる事業反対世論に抗して,全羅北道の有識者らが環境に配慮した事業の推進を求め,全道的な事業推進運動に発展していく。農地だけではない産業・都市開発が提案され,「親環境的な開発」がキーワードになっていく。 <BR> 2003年3月,キリスト教や仏教の宗教指導者が,三歩一拝デモを始めると,賛否双方の運動はますます過熱化し,社会的混乱が生じ,同年7月にソウル行政法院が,反対派の求めた本訴判決までのセマングム工事執行停止を命じると,それはピークに達した。翌年1月に,ソウル高裁はこの仮処分決定を取り消し,2005年2月にソウル行政裁判所が事実上の原告(反対派)勝訴判決を下すものの,進行中の防潮堤補強工事と残る区間の防水工事の工事中止決定を出さなかったために工事は進み,さらに控訴審で原告敗訴の判決が下ると一気に防潮堤工事が進んで,2006年4月にはセマングムは水門部分を除いて外海から隔てられることになった。<BR>3.ケファの変化<BR> ところで,筆者らは,地元の反対運動の拠点となったケファ地区を2003年から2006年まで毎年訪れ,この問題に翻弄されたこの集落の変化を見た。初めての時は,過激な行動を辞さない抵抗運動が行われ,ソウルから若い「活動家」が住み込んでいたが,工事が再開した2005年には彼らはいなくなり,絶対反対のこの地区と親環境的な開発を視野に入れた方針転換を図りつつあった全国的環境団体との温度差がみられるようになった。2006年にはこの地区の干潟は消失(陸化)して,砂地がどこまでも広がる景観が現れ,この地区では干潟の恵みを生活の糧にすることはできなくなっていた。絶望感が漂う一方で,これからどうするかというアイディアが,反対を続けてきた住民の中から出されてもいて,この土地で生き続けてきた人のしぶとさも感じられた。<BR>4.環境運動の変化<BR> この問題について調べる中で,韓国と日本の環境運動の違い,例えば,民主化運動とのつながり,大衆的な運動スタイル,運動団体の規模・人員の充実度,労組や宗教団体などとの幅広い連帯,運動の舞台となるソウルの重要性といったことや,セマングム問題を理解する上で重要な全国レベル・道レベル・地区レベルそれぞれの空間的な枠組み,例えば,運動がこの空間ごとに異なる様相を示し,それぞれでの利害関係が問題の社会的な側面を構成していることなどに気づかされた。本報告では,この環境運動の空間構造について論じるつもりである。
著者
伊藤 純子
出版者
新潟大学
雑誌
創造的な知性を培う
巻号頁・発行日
vol.1, pp.123-130, 2005-01-24

本研究では、歌詞や曲趣から感受した情感と表現技法の習得とをかかわらせながら自分の表現を自ら練り上げていく姿を求めた。そのために、「歌詞や曲趣をとらえ直し、思いめぐらす力」(感性)と「歌声の響きを聴きわけて旋律、リズム、楽曲の構成と情感を関係づける力」(科学的なものの見方・考え方)に着目した。そのことにより、歌い方を工夫したり学び方を意味づけたりしながら、自分の表現をつくっていく子どもの姿をつくりだすことができた。
著者
穐山 富太郎 伊藤 信之 鈴木 良平 川口 幸義
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.460-464, 1975-12-10 (Released:2010-02-25)
参考文献数
25

We studied on the relation between primitive reflexes and motor development by means of taking movie.Primitive reflexes (Moro reflex, Asymmetrical tonic neck reflex, Crossed extension reflex. Babinshi reflex ete) activate all kinds of automatic movement integrated by higher brainstem, and furthermore these reflexes activate development of righting reaction, parachute reaction, balance reaction and voluntarity.Namely, primitive reflexes activate mainly automatic movement but these reflexes exert too promotive influence on the development in the early stage learning anti-gravitic posture and normal sensori-motor pattern in each motordevelopmental stage.
著者
大木 典雄 望月 茂喜 伊藤 昭浩 阿部 文昭 小川 修 保坂 陽之助 秋山 稔 持田 泰秀
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.4, no.6, pp.19-22, 1998-10-20 (Released:2017-01-25)
参考文献数
5
被引用文献数
2 2

The seismic isolation retrofit of the main building of the National Museum of Western Art required excavating the foundation ground under the existent building and installing isolation devices beneath the existing footings. Before the installation of isolation devices, it was necessary to construct piles beneath the existing footings in order to support the weight of the building temporarily during excavation process. The piles were made of steel pipe segments, and were driven by oil jacks utilizing the weight of the building for reaction force. During the retrofitting process, the subsidence of the building supported by the piles were monitored and controlled to avoid causing damage to the superstructure.
著者
伊藤 竜生 山崎 宏樹 船水 尚行
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
環境工学研究論文集 (ISSN:13415115)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.481-486, 2008

製造、運転コストの小さいコンポスト型トイレの試作行い、その運転性能およびコストについての検討を行った。トイレの仕様として、水分負荷を小さくできるし尿分離型で、動力を必要としない手動撹拌とした。その結果次のことがわかった。糞便の総投入量の増大につれておが屑マトリックスの重量が増大したが、約50%の有機物が分解した。含水率は約55%で安定した。条機酸の生成は反応初期に見られたが、開始後約2週間で条機酸の生成は認められなくなった。4人家族が使用することを想定した糞便の負荷でも好気的なコンポスト化が行われた。大腸菌数や大腸菌群数はこれまでの加温型のトイレに比べ高かったため、何らかの不活化処理が必要と考えられる。撹拌に要する力は使用期間が長くなるにつれて大きくなったが、減速器の使用などにより必要な力を小さくすることが可能である。しかしながら、撹拌の回転数やスクリューの強度についての検討が必要である。このスクリューにおける撹拌に必要な力は、撹拌されるマトリックスの重量の増加およびスクリューと反応槽の壁面との距離の減少に伴い増加した。材料のコストは約22万円であったが、その大部分はスクリューであった。インドネシアでは約Rp.10, 000, 000 (約100, 000円) であり、トイレの総建設費用を上回った。また、材料費は反応槽用の壁面用塩ビがコストの66%を占めた。

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著者
伊藤圭介 編
出版者
巻号頁・発行日
vol.[9],
著者
矢島 安朝 伊藤 太一 古谷 義隆 本間 慎也 佐々木 穂高 鈴木 憲久
出版者
東京歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

近年、インプラント治療患者の年齢層が高齢化により口腔癌の好発年齢に一致してきている。「field cancerization」という概念より、常に慢性炎症の環境下にあるインプラント周囲上皮は、発癌のリスクが高いと考えられる。この仮説をもとに我々は、4NQOを用いた自然発癌モデルラットを使用し、インプラント周囲口腔粘膜と癌の相関性について検討した。6ヶ月間の4NQO投与によってインプラント周囲上皮の発癌は認められなかったが、対象群と比較して、N/C比の増大や異型核分裂などの細胞異型が多く見られた。この結果から、インプラント周囲上皮は発癌リスクが高い可能性が示唆され、さらに長期的な観察によって明らかになると考えられた。
著者
小林 和弘 織田 範一 伊藤 磯雄
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.101, no.9, pp.806-813, 1981-09-25 (Released:2008-05-30)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

As the initial study of variations of skeletons of antitumor antibiotics, simple synthesis of naphtho [2, 3-g] quinolines (IIIa, b, VIII) and naphtho [2, 3-g] quinoxalines (XIIIa, b), which are novel heterocyclic ring systems, was carried out by Diels-Alder reaction of 1, 2-dimethylenecyclohexane with quinoline-5, 8-diones (Ia-c) or quinoxaline-5, 8-diones (IIa, b). Air oxidation of these Diels-Alder adducts gave tetrahydro naphtho [2, 3-g] quinolines (IVa, b, IX) and tetrahydronaphtho [2, 3-g] quinoxalines (XVa, b). The Diels-Alder adducts and aromatized compounds were converted into the corresponding diacetoxynaphtho [2, 3-g] quinolines (VI, VII, X) and diacetoxynaphtho [2, 3-g] quinoxalines (XVII, XVIII).
著者
織田 範一 小林 和弘 植田 泰誠 伊藤 磯雄
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.26, no.8, pp.2578-2581, 1978-08-25 (Released:2008-03-31)
被引用文献数
1 3

Diels-Alder reaction of 5-nitro-1, 4-naphthoquinone (1) and unsymmetrical butadienes was carried out. Reaction of 1 and 2-methyl-1, 3-butadiene gave 1, 4, 4a, 9a-tetrahydro-2-methyl-5-nitro-anthraquinone (2) and its 3-methyl analogue (3) at the ratio of 9.2 : 1. Reaction of 1 and 1, 3-pentadiene gave 1, 4, 4a, 9a-tetrahydro-1-methyl-8-nitroanthraquinone (8) and its 5-nitro analogue (9) at the ratio of 10 : 7. Their structures have been determined by aromatization to methyl-nitroanthraquinones.
著者
伊藤正敏 SINGH Laxmi Narayan 山口 慶一郎 三宅 正泰 鄭 明茎 JEONG Myeong Gi
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.473-479, 2002
被引用文献数
1

ヨガにより、心と肉体の調和と癒合が果たされるとされるが、これがどのような状態なのか脳画像を介して理解することを試みた。8年以上のハタ・ヨガ経験者7人の協力を得て放射性ブドウ糖(FDG)を服用した後、1時間にわたって14の姿勢(Assannas)を順にとってもらった。ヨガ終了の後、PET装置により脳画像を採取し、形態的標準化処理を用いて脳活動の変化部位を検出した。結果は、運動野、運動連合野のふかつと前頭側頭葉、大脳辺縁系、中脳の活動の低下を観察した。前者は、ヨガ姿勢をとることに関係し、後者は、ヨガが辺縁脳と反射脳を沈静化することを意味している。MacLeanの階層脳仮説に従えば、瞑想は、辺縁脳を介して理性脳が反射脳を制御する過程と解釈できる。
著者
三枝 弘育 伊藤 康江 宮崎 則幸
出版者
東京都農林水産振興財団東京都農林総合研究センター
雑誌
東京都農林総合研究センター研究報告 (ISSN:18811744)
巻号頁・発行日
no.8, pp.49-59, 2013-03

伊豆諸島で漁獲される魚(ムロアジ,ゴマサバ,トビウオ)と麹・酵母を使って魚醤油を新たに製造した。麹は麦麹,米麹および豆麹を使った。豆麹は,アミノ酸化率が最も優れていたがアルコールは生成しなかった。麦麹はアミノ酸化率が高く,米麹はアルコール生成に優れていた。麹の種類によるアルコールの生成量の差は,糖を添加することで改善された。また,3種類の麹を混合することで,望まれるアミノ酸化率,遊離アミノ酸量が得られた。検討の結果,配合割合は,重量に対して魚を55%,混合した麹(麦麹,米麹,豆麹)を15%,塩10%,砂糖5%,水15%とした。仕込み後1週間は毎日撹拌し,仕込み2週間後に酵母を添加,その後2週間は週に1回撹拌し,その後8週間は静置することで,風味の良い魚醤油の製造が可能であった。この試作魚醤油の全窒素量は1.85~2.03g/100g,ホルモル窒素量は0.71~0.81g/100g,アルコール量は1.66~2.15g/100g,遊離アミノ酸量は5908.7~6034.3mg/100gであった。