著者
伊藤 伸一
出版者
大阪大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2013-04-01

粉体-水混合ペーストなどを乾燥させてできる乾燥破壊パターンは、乾燥のさせ方の履歴に依存して時間発展し、その統計的性質である平均破片サイズや破片サイズ分布などは時間に依存して変化する。特に、時間変化する破片サイズ分布は、平均サイズでスケールする事で時間に依らない分布形へ収束していく事(動的スケーリング則)が知られている。我々は乾燥破壊パターンの時間発展を連続体モデルや確率モデルを使って調べ、破片サイズ分布の時間発展の性質を調べた。本年度はこれらの成果を纏めた論文を2報投稿しそれぞれ受理された。そしてさらなる研究として、確率モデルの詳しい解析と実際に乾燥破壊実験を行なって、理論と実験のそれぞれの破片サイズ分布を比較し、理論の妥当性を議論した。我々はGibratの確率モデルを拡張した確率モデルを考案し、そこに連続体モデルから計算される破片の寿命を取り入れ、乾燥破壊パターンの破片サイズ分布の時間発展を表現するモデルを構築した。そして、その確率モデルのマスター方程式を詳しく解析し、モデルパラメーターと破片サイズ分布関数形の定量的な関係付けを行なった。そのパラメーターと分布形の関係が実際の乾燥破壊実験での亀裂パターンでもあわられるかどうかを検証する為、炭酸水酸化マグネシウム粉体と純水の混合ペーストを用いた乾燥破壊実験を行なった。結果として、実験で得られた破片サイズ分布の関数形は理論が予測する関係を部分的に満たし、乾燥履歴は破片サイズ分布の関数形に残される事が分かった。我々の現段階までの結果は、実測においてパターンの時間発展を追う事が出来なくても、動的スケーリング則と合わせて考える事で、破片サイズ分布の関数形から乾燥履歴を読み取る事ができる事を示唆している。この成果は論文に投稿する予定である。
著者
伊藤 慎吾 高崎 裕治
出版者
秋田大学
雑誌
秋田大学教育文化学部研究紀要. 人文科学・社会科学自然科学 (ISSN:1348527X)
巻号頁・発行日
vol.70, pp.83-87, 2015-03-01

To assess physical load of doubles soft tennis match, heart rate was measured in male college students. Sixteen softtennis players belonging to the college sports club, aged 19 to 22 years, took part in the measurement. They were at a levelof competing for the top of local tournaments. A bracelet type receiver was mounted on the wrist of the subject and theheart rate sensor was attached to the chest using the strap as a transmitter. A total of 13 matches were held in the outdoorcourt through September to October. As a result, exercise intensity during the doubles soft tennis match was between 140and 150 beats/min with an average heart rate, corresponding to approximately 60% of Vo2max. Soft tennis was consideredto be a little stronger in exercise intensity than tennis played with a hard ball. Multiple times of the matches showed thatthere was no difference in exercise intensity between forward and back players. Comparing service and return games, it wasfound that significantly higher heart rate values during service than in return games, especially the trend was clear in backplayers. Heart rate during tennis match would be also somewhat influenced by other conditions such as competition level,tactics, sex, and age.
著者
田野辺 浩一 末廣 渉 伊藤 昌和 タノベ コウイチ スエヒロ ショウ イトウ マサカズ TANOBE Koichi SUEHIRO Sho ITO Masakazu
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学理学部紀要=Reports of the Faculty of Science, Kagoshima University
巻号頁・発行日
vol.49, pp.23-30, 2016-12-30

Scientific experiences make children aware of the relations between science and a usual life. Therefore, it is important to evaluate the science class focused on the experiences in the elementary education. We report the special science class which adopted the "create works", carried out at 3rd-grade class in the Hinatayama-elementary school of Kirishima. The students invented crafts with electric characteristics by own original ideas and enjoyed the whole class time. We carried out a survey after the class and almost students have the motivation of spontaneous science learning. We concluded that the scientific class with "create works" has highly educational effects to make the ability to use the learned things, and enhances the interest in advanced science.
著者
尾縣 貢 安井 年文 大山〓 圭悟 山崎 一彦 苅部 俊二 高本 恵美 伊藤 穣 森田 正利 関岡 康雄
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.422-432, 2000-05-10 (Released:2017-09-27)
被引用文献数
1

A study was conducted to examine the relationship between the physical characteristics and race patterns of 400-m running in three elite 400-m runners.The experiments were composed of a physical fitness test and an analysis of 400-m race patterns.Maximal O_2 intake, maximal anaerobic power, isokinetic muscular endurance and isokinetic maximum muscular power were evaluated in a laboratory.Final 400-m races in the Japan Championship and the National Sports Festival were filmed using video cameras, and analyzed to calculate the changes in running speed during the 400-m distance.In accordance with the race analysis results, the three 400-m runners were divided into two types.One was the "even pace"type, which showed a tendency to maintain a higher running speed until the finish of the race.The other was the "first half"type, which showed the highest speed from the start until the 190-m point.The even pace type had a higher maximal O_2 intake and isokinetic muscular endurance of the lower limbs.The first half type was a good record holder over 100-m and 200-m distances.These results indicate that physical characteristics influence the race pattern of 400-m running.
著者
西村 典子 伊藤 栄治 恩田 哲也 中村 豊
出版者
東海大学
雑誌
東海大学紀要. 体育学部 (ISSN:03892026)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.185-190, 2006

The purpose of this study is to report "the circulatory disturbances in the fingers of baseball players", and to analyze those of the tendency and the rate of incidences as each area by the administration of a questionnaire. It also researches the influences of external environments of the position, the practice, and the temperature and so on. The questionnaires were conducted on 274 players belong to the baseball club of 6 high school attached to Tokai University. According to questionnaires, 76 players (27.7%) were aware of circulatory disturbances in their fingers. The circulatory disturbances in the fingers is caused by the hyperextension of the throwing fingers as the repetition of throwing performance and the mechanical stress of catching the ball as the repetition of catching performance. As a characteristic of positions, the catchers and the infielders tend to be aware a tingling and numbness in their catching index fingers, the pitchers throw with index and middle fingers. The various factors such as their position, practice time, teaching technique seem to be relative causing the appearances of circulatory disturbances in the fingers, but air temperature didn't seem to be related.
著者
橋本 貴幸 中安 健 吉田 幸代 立石 智彦 岡田 恒夫 杉原 勝宣 岡安 利夫 伊藤 万理 大西 弓恵 豊田 和典 村野 勇
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.213, 2003

【はじめに】骨化性筋炎は、骨や関節周囲の軟部組織に外傷などの刺激が加わって起こる異常骨化現象である。主な症状は、疼痛と可動域制限で、症例によっては骨切除術を行うこともある。今回、外傷性左大腿血腫後、骨化性筋炎を呈し、膝関節屈曲可動域制限を生じた症例の理学療法を行う機会を得たので考察を踏まえ報告する。【症例紹介】17歳、男性、高校2年生、空手部所属現病歴:平成14年8月24日、部活動練習中、相手方のローキックを左大腿外側部に強打し受傷した。練習を継続していたが疼痛が強くなり8月31日近医受診し、関節穿刺にて4mlの血腫を認めた。同年9月18日紹介にて当院整形外科受診し、外傷性左大腿血腫後骨化性筋炎と診断された。x-p所見は、左大腿骨外側部に紡錘状の骨化像を認めた。CT所見では、左外側広筋に骨化像を認めた。【初診時理学的所見】跛行にて治療室来室、視診・触診では、大腿外側中央に熱感、腫脹、筋硬結、大腿全体に筋スパズムを認めた。疼痛検査では、屈曲、伸展時の運動時痛および大腿外側中央に圧痛を認めた。大腿周計は、膝上15cm、47.0/48.5cmで、膝上10cmでは、43.0/44.5cmと患側の筋萎縮を認めた。膝関節可動域(以下ROM)は、屈曲70°p、伸展0°、lag10°であった。徒手筋力検査は、可動範囲内で、屈曲3+、伸展4-であった。【経過】平成14年9月18日当院受診し、理学療法を開始した。頻度は週2回から3回の指示であった。9月20日ROM屈曲120°、9月24日部活動での筋力トレーニング中に再度受傷部に疼痛を伴いROM屈曲90°と逆戻りとなった。10月19日ROM屈曲155°、正座可能となり理学療法終了となった。【理学療法】I、水平面での股関節・内外転運動、II、外側広筋を狙った軽微抵抗運動、III、大腿直筋ストレッチング、IV、外側広筋クライオストレッチングを施行した。更に運動前には、icingを運動後には、RICE処置を徹底した。【考察】骨化性筋炎の治療は、薬物療法及び局所の熱感と炎症時期が治まる頃より理学療法を開始することが一般的であり、疼痛を伴う可動域訓練は、症状を悪化させる危険がある。今回、治療手順として、受傷周辺の軟部組織、主に二関節筋の軽い収縮とストレッチングを施行し、柔軟性を引き出した。これは、受傷部の疼痛に伴う周辺組織の防御性収縮に伴う二次的な可動域制限を排除する目的である。次に、CT所見で受傷が確認された外側広筋にクライオストレッチングを施行した。これは、冷却による無感覚化に伴う疼痛緩和、筋スパズムの軽減の効果が期待され、実際の可動域制限因子である外側広筋の伸張性を獲得する目的である。これら治療により、関節可動域の二次的制限因子を排除することで、一次的制限因子の治療が効果的に行えたこと、運動後のRICE処置による炎症反応を軽減できたことが加わり、骨化を助長することなく、早期に正常可動域に回復することができたと考えられた。
著者
矢箆原 隆造 伊藤 慎英 平野 哲 才藤 栄一 田辺 茂雄 林 美帆 加藤 翼 海藤 大将 石川 裕果 澤田 雄矢 宮田 恵里 山田 唯 藤範 洋一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【目的】我々は,立ち乗り型パーソナル移動支援ロボットとテレビゲームを組み合わせたバランス練習アシストロボット(Balance Exercise Assistant robot:以下,BEAR)を考案した。BEARで使用しているロボットは,搭乗者が前後に重心を移動するとその移動に合わせてロボットが前後移動し,左右に重心を移動するとロボットが旋回する装置である。従来のバランス練習には,適切な難易度が存在しない,動きが少ないためフィードバックが得にくい,退屈な練習内容,またバランス戦略への転移性が乏しいという問題点があった。一方でBEARを用いたバランス練習では,ロボット制御による練習者に適した難易度設定,実際の移動という形での重心移動のフィードバック,ゲーム感覚で飽きずに楽しく継続できる練習内容,ankle/hip strategyのバランス戦略に対して高い転移性を持つ類似課題,と改善が図られている。本研究では,中枢神経疾患患者に対しBEARを用いたバランス練習を行い,そのバランス能力の改善効果について検討を行った。【方法】対象は,当大学病院リハビリテーション科の通院歴があり,屋内歩行が監視以上の中枢神経疾患患者9名(脳出血3名,脳梗塞2名,脳腫瘍1名,頭部外傷1名,脊髄損傷2名)とした。対象の詳細は,年齢60±18歳,男性7名,女性2名,発症後35±27ヶ月,Berg Balance Scaleは47±8点であった。BEARのゲーム内容は,ターゲットに合わせて前後方向に能動的な重心移動を行う「テニスゲーム」,ターゲットに合わせて左右方向に能動的な重心移動を行う「スキーゲーム」,組み込まれた多様な外乱に抗してゲーム開始位置を保つ「ロデオゲーム」の3種類を実施した。1回の練習は各ゲームを4施行ずつ,予備練習を含めた合計20分間で構成されており,週2回の頻度で6週間あるいは8週間実施した。練習期間の前後には,バランス能力の改善指標としてTimed Up and Go Test(以下,TUG)および安静立位時の重心動揺を計測した。重心動揺計測はアニマ社製のツイングラビコーダ(G-6100)を用い,30秒間の安静立位から矩形面積を算出した。加えて,下肢の筋力も併せて計測を行った。測定筋は腸腰筋,中殿筋,大腿四頭筋,ハムストリングス,前脛骨筋,下腿三頭筋の6筋とし,アニマ社製ハンドヘルドダイナモメータを用いて等尺性で計測を行い,その最大値を採用した。統計解析にはWilcoxonの符号付順位検定を用い,各評価について練習期間前後の比較を行った。【結果】TUGは,練習期間前後の平均値が21.5秒から17.4秒と有意な改善を認めた(p<.05)。安静立位時の重心動揺は,練習期間前後の矩形面積の平均値が3.3cm<sup>2</sup>から2.7cm<sup>2</sup>と有意な改善を認めた(p<.05)。下肢の筋力においては,練習期間前後の中殿筋の平均値が20.8kgから24.2kgと有意な改善を認め(p<.01),下腿三頭筋の平均値が44.0kgから47.7kgと有意な改善を認めた(p<.05)。一方で,その他の4筋については変化量が小さく有意差は認められなかった。【考察】本研究ではBEARを用いたバランス練習の効果を検討した。BEARの練習において前後方向の重心移動を行うテニス・ロデオゲームでは下腿三頭筋が,左右方向の重心移動を行うスキー・ロデオゲームでは中殿筋がそれぞれ求心性・遠心性収縮を繰り返し行う必要がある。このことが筋力増強に必要な条件を満たし,効果を発揮したと考えられた。このようにBEARの練習が3つのゲームにより構成されていることが,前後・左右方向どちらの制御の改善にも効果を示すため,安静立位時の重心動揺の改善にも効果的であったと考えられた。またTUGは総合的なバランス能力を表す指標であるため,この改善には筋力や姿勢制御の改善が反映されていると考えられた。TUGは転倒リスクに関連するとされていることから,BEARの練習には転倒予防の効果もあるのではないかと期待される。今後は,中枢神経疾患のうち特に効果を認めやすい対象を明確にしていくとともに,従来バランス練習群との比較を行う必要があると考えられる。【理学療法学研究としての意義】バランス能力低下を認め,日常生活活動能力が低下している中枢神経疾患患者は非常に多い。したがって,効果の高いバランス練習を考案し,転倒による二次的な障害を予防していくことは理学療法研究として大変意義のあるものである。

1 0 0 0 OA 錦窠魚譜

著者
伊藤圭介 編
出版者
巻号頁・発行日
vol.[19],
著者
湯澤 泉 川野 信之 鈴木 祥生 藤井 清孝 伊藤 洋一
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.5, pp.364-369, 2000-05-20 (Released:2017-06-02)
参考文献数
29
被引用文献数
2 2

東南アジアなどに渡航歴を有する46歳男性が, 渡航先にて脳腫瘍を指摘されたため, 帰国後, 当院を受診した.主訴は頭重感であり, 神経学的には異常を認めなかった.CTとMRIでは左側頭葉皮質下に孤発性の小嚢胞を認めた.外科的に摘出された嚢胞は有鉤嚢尾虫の特徴を備えていた.近年, 本邦においては孤立性の脳有鉤嚢尾虫症が増加しており, 日常診療において孤立性嚢胞性病変を認めた場合, 本疾患を念頭において鑑別診断する必要がある.
著者
山崎 貴子 伊藤 直子 岩森 大 堀田 康雄 村山 篤子 古田 和浩 金子 慶子 田中 照也
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 創立40周年日本調理科学会平成19年度大会
巻号頁・発行日
pp.105, 2007 (Released:2007-08-30)

【目的】 硬さのために食用としての利用度が低い牛肉の部位について低温スチーミング調理により軟らかく食べやすくなることを報告した。一方、食肉の軟化としてキウイ、パパイヤやショウガなどのプロテアーゼの利用による報告もある。低温スチーミング調理は任意の温度管理が容易のため、種々の内在性および外から添加した酵素を最大限利用することができることが特徴である。そこで、低温スチーミング調理とキノコのプロテアーゼを併用した食肉軟化について検討した。 【方法】 キノコにはカゼイン分解活性の高かったマイタケを用いた。マイタケに2倍量の水を加えてろ過したものを抽出液として牛肉とともに加熱した。比較として、マイタケ抽出液のかわりに水、ショウガ抽出液を用いたものについても同様に行い、加熱後溶出したペプチド・アミノ酸量、遊離グルタミン酸量、肉の物性測定および官能検査により評価した。さらに低温スチーミング調理による効果をみるため、70℃2hスチーミングしたものと茹で10分加熱したものを比較した。 【結果】 肉をマイタケ抽出液とともに加熱すると、水やショウガ抽出液とともに加熱した場合より、溶出したペプチド・アミノ酸量、グルタミン酸量が多かった。また物性測定、官能評価の結果でも肉が軟らかくなっていた。スチーミングしたものと茹でたものではスチーミングしたものの方が全体的に評価が高く、特にマイタケ抽出液とともに低温スチーミングをした肉について高い評価が得られた。