著者
佐々木 宣介 飯田 弘之
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.10, pp.2990-2997, 2002-10-15
被引用文献数
6

本研究では,ゲームのルール変遷の根底にあるゲームの性質の変化に着目し,将棋の歴史的変種を比較する.最初に,ゲームの性質に関する比較を行うための2つの指標を提案する.これらの指標はそれぞれ,ゲームの面白さとゲームの決定複雑性を表すもので,平均可能手数,平均終了手数に基づいて算出される.すでに廃れてしまった将棋種に関しては,コンピュータプレイヤを用意し,それらのデータを採取した.本研究で用いたコンピュータプログラムは駒価値をベースにした評価関数を持ち,先読み探索を行う.各将棋種に対して駒価値を自動学習するために,Temporal Difference学習法を適用した自動対戦の実験を行い,各将棋種に対するデータを採取し,比較を行った.重要な知見として,大駒付加よりも持ち駒使用ルールがルール変遷の過程でより大きなインパクトを与えていること,そして,あまり難しくなりすぎないようにルールが洗練されてきたことが分かった.This study explores how the evolutionary changes of the rules affect the characteristics of the games in the Shogi species from the viewpoint of evolutionary selection.For this purpose,we propose two measures based on the average number of possible moves and the average game length:(1) measure for entertainment, and (2) measure for decision complexity.For games where no grandmaster games are available, the statistics of specific features,such as the average number of possible moves and the average game length,are obtained by the method of self-play experiments.Then we made computer programs that performed lookahead search using an evaluation function based simply on piece-material balance.To obtain the appropriate piece values of Shogi variants,we apply Temporal Difference Learning method.Based on the data obtained by the above self-play experiments,Shogi variants including the modern Shogi and ancient Shogi variants are analyzed and compared.Through the analysis,we observed that the inclusion of the reuse rule was more important step than the inclusion of the major pieces in the course of evolutionary changes from Heian Shogi toward modern Shogi.We believe that the proposed measures are useful tools for building a genealogical tree of chess-like games.
著者
花里 俊廣 佐々木 誠 木川 剛志
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.76, no.668, pp.1771-1780, 2011-10-30 (Released:2012-01-25)
参考文献数
9
被引用文献数
2

In this paper, we would like to clarify the way of differentiation among the dwelling unit plans by their spatial configuration in super-highrise condominiums developed in Tokyo Metropolitan Area. In the former part, through the interview to the architects, we illustrate their understanding toward the livingroom-connected type, which is used as relatively compact units, and corridor-connected type, which is used as larger and more privacy-secured units, is structured. In the latter part, we analyze that the variation among the livingroom-connected, intermediate and corridor-connected type is used for the ordering of unit plans, and that the order of the three unit plan types form an axis of values. We also point out that there are a few patterns of strategic unit arrangement in an apartment building and discuss that the architects use the axis to fulfill the various request from their clients.
著者
小須田 優介 佐々木 良一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.21, pp.297-302, 2008-03-07

ウェブアプリケーションにデスクトップアプリケーションに迫る機能や操作性をもたらす Ajax という技術がある.本研究ではこの Ajax を用いて,OS などの環境に依存しない SSH クライアントシステムの提案と実装を行う.JavaScript により,ウェブブラウザ上で SSH パケットを生成し,ウェブサーバに SSH サーバへの TCP 通信を代理してもらうことで,エンドツーエンドの SSH 通信を実現する.動作実験により,複数のウェブブラウザと携帯電話で動作することを確認した.Ajax is used to make web applications behave as if they are desktop applications. In this paper, we propose and implement SSH client system using Ajax which is independent from OS. In our system, SSH packets are generated by JavaScript on a web browser, and a web server acts as proxy to send the packets to SSH server. Thus end-to-end SSH communication is realized by achieving above function. The result of experiment shows that the system is working correctly on web browsers in PCs and mobile-phones.
著者
佐々木 剛二
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.148-148, 2010

本発表では、ブラジルの人類学者エドゥアルド・ヴィヴェイロス=デ=カストロの略歴、及びその仕事の概要を紹介した後、彼の理論の核心となっている「ペルスペクティヴィズモ(perspectivismo)」の考え方について詳しく論じることによって、その思想的背景や理論的射程に言及し、関心を持つ日本語話者の研究者たちの議論の発展に資することを目指す。
著者
城ケ原 貴道 小倉 剛 佐々木 健志 嵩原 建二 川島 由次
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.29-37, 2003-06-30
被引用文献数
6 3

沖縄島北部やんばる地域におけるノネコ(Felis catus)および集落におけるネコの食性と在来種への影響を把握するために,糞分析による食性調査を実施した.その結果,ノネコおよびネコの餌動物は多くの分類群にわたっていた.林道においてノネコは,昆虫,哺乳類,鳥類および爬虫類を主要な餌資源としていることが推察され,集落においては,人工物および昆虫が主な餌資源となっていることが推察された.ノネコの餌動物には多くの在来の希少動物が含まれており,沖縄島固有種で国指定特別天然記念物であるノグチゲラ(Sapheopipo noguchii)をはじめ8種の希少種がノネコの糞より検出された.やんばる地域に生息するノネコおよび集落に生息しているネコは,沖縄島の生態系において陸棲動物のほとんどを捕食できる高次捕食者として位置づけられると考えられた.今後,やんばる地域の生態系を維持するためには,ノネコの排除が必要であり,さらに供給源としての飼いネコの遺棄を防ぐ県民への啓蒙普及活動が不可欠である.
著者
佐々木 宏夫
出版者
早稲田大学産業経営研究所
雑誌
産研アカデミック・フォーラム (ISSN:13439561)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.47-59, 2017-02-20

2017年5月13日(土) 於:早稲田大学 大隈記念講堂小講堂
著者
佐々木 光俊 Mitsutoshi Sasaki 千葉経済大学 CHIBA KEIZAI UNIVERSITY
出版者
千葉経済大学
雑誌
千葉経済論叢 = The Chiba-Keizai ronso (ISSN:0915972X)
巻号頁・発行日
no.45, pp.29-64,

古代メソポタミアの代表的な物語の一つである「エタナ物語」を採り上げ、その背後にある<ワシの力>という観念の重要性に注目した。そして、この観念がシュメール文化の最初期から確認され、変容・変化を遂げながら新アッシリア時代の物語にまで引き継がれていることを、この物語の再読と他の物語との連関を探ることによって明らかにすることを試みた。この観念がもつ主権性との近縁性のために生じる他の諸神との競合として「アンズー物語」をとらえる。またニヌルタ神をワシの力や樹のイメージという「エタナ物語」の表象を通して、この神格の特性を捉えかえす。最後にもう一つの代表的な物語である「ギルガメシュ叙事詩」とこの物語にみられる共通性とその意味について検討した。
著者
船木 洋晃 佐々木 彬 岡崎 直観 乾 健太郎 深田 陽介 竹下 隆一郎 田森 秀明 野澤 博
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第28回全国大会(2014)
巻号頁・発行日
pp.1K32, 2014 (Released:2018-07-30)

本研究では2013年の参議院議員選挙より解禁されたインターネット選挙を受け、 ツイッター上での選挙運動を分析し、実際の選挙結果との相関を考察する。さら に,特定の候補者に対する当選・落選を期待する言語表現から当選運動・落選運 動を予測する分類器を生成し、各候補者に関する運動の盛り上がりを分析する。
著者
佐々木 陽子 ササキ ヨウコ Sasaki Yoko
出版者
鹿児島国際大学福祉社会学部
雑誌
福祉社会学部論集 (ISSN:13466321)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.17-28, 2016-12-01

本稿は、「老いと死をめぐる想像力」をテーマとする拙稿を集成した論文の序章の前半にあたる。本稿は、まず、文学者の優れた想像力・洞察力・表現力によって、老いや死の問題を現前化させる力に着目し、文学との「領域横断性」に触れる。主に、旧約聖書の「ヨブ記』とM,ヴェーバーの『プロテスタンテイズムの倫理と資本主義の精神」を中心に据え、その後、論文が抱えている4つの課題を提示する。第1の課題、すなわち「なぜ民俗学の素材を使用するのか」が最も重要な位置を占める。というのは、この部分が論文の構成にストレートに関わるからである。他の課題とは、第2に「文学的想像力と社会学的想像力の架橋可能性とは」、第3に「死者と生者の関係性に着目するとは」、第4に「ジェンダーの視点では何を具体的に考察するのか」であるが、本稿は第一の民俗学に関わる課題のみを扱う。This document will serve as the first half of the preface to "Discussion," a collection of my work that addresses the theme of "the power of imagination regarding old age and death." This piece will focus on the power possessed by writers—through outstanding imagination, insight, and expression—to introduce the issues of old age and death to the public and allude to the "cross-disciplinary nature" of literature. Primarily centered on the Old Testament's Book of Job and M. Weber's The Protestant Ethic and the Spirit of Capitalism (Die protestantische Ethik und der 'Geist' desKapitalismus), I present four questions with which the works in "Discussion" engage with. The first question is "Why usefolkloristic materials?" This question occupies the primary position because it is directly related to the structure of thesubsequent studies. The other questions include the following: "What is the potential for bridge-building between theliterary and sociological power of imagination?" "What does it mean to focus on the relation between the living and thedead?" and "What is specifically considered from the perspective of gender?" However, this document will only concern itself with the first question, which is regarding the study of folklore.
著者
佐々木 孝浩
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.63, no.7, pp.12-20, 2014-07-10 (Released:2019-07-20)

和歌一首をどこで改行し何行で記すかという書式は平安末期には成立しており、定家も『下官集(げかんしゆう)』に関連する記述を遺している。三大手鑑に収載される『新古今集』以降の勅撰集の古筆切八〇葉五七種を対象として、装訂や書形とも関連させつつ、和歌の書式を確認し、行数の違いによる差異のあり方やその意味について考察し、特に一般的な二行書から一行書になる際に起こる、漢字表記の増大化傾向について具体的な検討を行った。
著者
佐々木 暢子 京極 重智 ササキ ミチコ キョウゴク シゲトモ Sasaki Michiko Kyogoku Shigetomo
出版者
大阪大学大学院人間科学研究科教育学系
雑誌
大阪大学教育学年報 (ISSN:13419595)
巻号頁・発行日
no.19, pp.17-30, 2014

本研究の目的は、大阪大学人間科学研究科・教育人間学研究分野を中心に教育と福祉の理論家と実践家によって行ってきた共同研究、「教育と福祉のドラマトゥルギー」のこれまでの研究成果と課題を考察することによって、今後の共同研究のあり方を展望することにある。その際、本共同研究の共通の観点として用いた「舞台」概念に着目し、その概念が持つ意味の射程を明らかにすることを目指した。そのためにまず、本共同研究の理論的基盤であるゴッフマン理論から見た「集まり」の輪郭を明らかにする。次いで、本共同研究の成果の一つを事例として、これまでの共同研究において曖昧なままであった「舞台」概念を四つの層に分類・整理し、「舞台」概念の再定義を行う。そこから、ゴッフマンが「集まり」とその外部の関係を考察の対象とはしていなかったのに対し、本共同研究では「舞台」間の関係を動的に捉えるとともに、物理的・可視的空間だけでなく、仮想的空間をも射程に収めるという点に特質があることを明らかにする。以上の考察から、今後の我々の共同研究の中で、様々な位相に属する「舞台」同士がどのように影響を与え合い、それらがどのように変容していくのかを具体的な事例の中から明らかにしていく必要があることを示す。This article discusses the objectives and results of our joint research, entitled "The Dramaturgy of Education and Welfare" focusing on "the stage." This constitutes a key concept of this study because of its originality and employability as an analytical concept. However, because the stage has not been fully considered in our studies, its use remains ambiguous. Therefore, we fi rst clarify the implications of "gathering" in Erving Goff man's "Dramaturgy", which forms our theoretical base. Originally, Goff man's primary concern was to reveal orders of gathering, so his "Dramaturgy" did not consider the relational aspect of gathering that is the relationship between a stage and the outside world. However, our study regards the gathering concept as possessing a dynamic relation with the outside world. Second, we extend and classify the stage concept into four categories ranging in density, from abstract to concrete, by using one case study. This categorization is termed "Multilayered Structure of Stage", a concept that spans not only the physical and visible spaces but also the virtual and imaginary. Finally, we indicate that the problem of this joint research is to clarify on the basis of particular cases how stages in their diff erent phases interact and transform.

3 0 0 0 OA トム君サム君

著者
佐々木邦 著
出版者
講談社
巻号頁・発行日
1939
著者
倉本 圭 川勝 康弘 藤本 正樹 玄田 英典 平田 成 今村 剛 亀田 真吾 松本 晃治 宮本 英昭 諸田 智克 長岡 央 中川 広務 中村 智樹 小川 和律 大嶽 久志 尾崎 正伸 佐々木 晶 千秋 博紀 橘 省吾 寺田 直樹 臼井 寛裕 和田 浩二 渡邊 誠一郎 MMX study team
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会誌遊星人 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.207-215, 2018-09-25 (Released:2018-12-21)

火星衛星Phobosからのサンプルリターンに挑む火星衛星探査計画 (Martian Moons eXploration: MMX) は,現在,宇宙航空研究開発機構 (JAXA) プリプロジェクトとして,2024年の打ち上げと5年の往還期間を設定し,精力的な検討・初期開発が進められている.MMXは,サンプル分析,Deimosを加えた火星衛星の近接観測,そして火星大気および火星圏のモニタリング観測を組み合わせることにより,惑星に寄りそう衛星という切り口と視座から,太陽系における大気と水を湛えたハビタブル惑星の形成と進化の解明に迫ろうとしている.