著者
本田 公韶 佐々木 博司 長田 稔 真恵原 悟 横瀬 宏
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌B(電力・エネルギー部門誌) (ISSN:03854213)
巻号頁・発行日
vol.115, no.12, pp.1432-1437, 1995-11-20 (Released:2008-12-19)
参考文献数
4

The demand-supply imbalance on electric power system is absorbed by system frequency variations, before the LFC controls. Since frequency fluctuations are common in all linked blocks, demand-supply imbalance of one block is absorbed by another block too. Demand-supply imbalance arises in another block simultaneously, and is absorbed by the former block. These mutual supports have a direct effect on linkage power fluctuations. The size of this self-regulation is regarded as proportional to the size of frequency fluctuation and the ratio of the former to the latter is nearly proportional to the block capacity. But, at a short period variation range, there is a fear that such a proportional relation will be biased by linkage position. We analyze this point, and reached the following conclusions. First, we can prove the existence of self-regulation bias theoretically and point out that the bias has some effect on linkage power fluctuations at short period variation range. Second, we apply this analytical method to 4 blocks-linked system of Japan, and compare the theoretical value with measured one. The result indicates no correlation among demand fluctuations of those blocks which are presupposed for calculation of the theoretical values; among several blocks is found some ununiformity of the smallest unit size of demand power variations.
著者
佐々木 三公子 川端 康弘
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.27, 2018-01-01 (Released:2018-02-07)
参考文献数
15

本研究では,カテゴリ境界色を色典型性の高い物体または低い物体の画像に着色し,典型色の知識が色記憶の変化方向に与える影響を検証した.実験1の結果,同じ境界色を着色した場合でも,物体によって色相の変化方向が異なり,色典型性の高い物体条件では呈示されたそれぞれの物体の典型色方向に近づくことが分かった.また,実験2では実験1の結果が色カテゴリよりも典型色の影響を強く受けたことを示すために,実験1で用いた呈示色をカラーチップ画像にして色カテゴリ分類課題を行った.実験2で分類したカテゴリが,実験1で呈示した物体の典型色と異なった場合,記憶の変化方向がカテゴリのフォーカル色と典型色のどちらに近づいたか集計した結果,物体の典型色方向に変化した割合が有意に多かった.一方,色典型性の低い物体の場合にはフォーカル色方向に近づく割合が多かった.このことから,色典型性が高い場合,物体色の記憶は物体の典型色の影響を受けて典型色方向に変化することが示唆された.
著者
佐々木 則夫
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1623, pp.90-93, 2012-01-09

2011年は「なでしこジャパン」一色に染まった年だった。2011FIFA女子ワールドカップで初優勝を果たし、今年は、ロンドンオリンピックでの活躍が期待される。なぜ、佐々木則夫監督は女子サッカーを世界の頂点に導くことができたのか。 女子チームをまとめ上げるそのマネジメント手法は、企業経営にも生かせるものだ(日本イノベーター大賞特別賞の受賞談話などを基に構成)。
著者
佐々木 靖
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. 第4部門, 教育科学 = Memoirs of Osaka Kyoiku University (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.137-145, 2015-09

小学校での1学期の始業式における児童の関心事は,「だれが担任になるのか」「だれと同じ学級になるのか」である。「どの学級も均等」となるように教師集団がいかに知恵をしぼろうとも,少しずつ学級の雰囲気が「均等」ではなくなり,いろいろな特徴が見えてくる。だからこそ,「だれが担任になるのか」「だれと同じクラスになるのか」に関心が集まるのである。このような特徴は,一般的に「クラスカラー」と呼ばれるが,良い意味で使われるとは限らない。本研究は,「ことわざの好み」という一点にしぼって,教師の教育観と子供の価値観,そしてその関係がもたらす学級の雰囲気および教師と子供の相性といった漠然としたものを数値化して考察を加えようとするものである。At the beginning of each new academic year, students are concerned with who will be their homeroom teachers and also who will be their classmates. Teachers make every effort to minimise the discrepancy between classes. Despite this, students are gradually influenced by their homeroom teacher's characteristics. And it is seen how homeroom teachers unintentionally make distinctions between other classes. For this reason, students can't help being concerned about who will be their home room teachers and also who will be their classmates. This characteristic of classes is called "class colour". However it is not only limited to positive aspects. This study quantifies the relationship between teachers' educational outlook and students' sense of value by comparing students' and teachers' preference of proverbs. In addition, the study aims to find out how the relationship affects class atmosphere and chemistry between students and their homeroom teachers and discuss it.
著者
北川 裕子 小塩 靖崇 股村 美里 佐々木 司 東郷 史治
出版者
日本不安障害学会
雑誌
不安障害研究 (ISSN:18835619)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.31-38, 2013-08-31 (Released:2014-01-31)
参考文献数
35

近年の日本では,いじめが原因と考えられる児童生徒の自殺が社会的に大きな波紋を起こしている。いじめは,被害側だけでなく加害側の児童生徒でも,不安・抑うつ,社会不適応,そして自殺問題と関連すると言われている。このような状況に鑑みて,効果的ないじめ対策教育の実施は喫緊の課題である。しかし,日本ではいじめ対策が各学校に任されたままであり,全国的な系統的いじめ対策プログラムが存在しない。また,効果検証がなされていない。そこで本研究では,日本におけるいじめ予防介入教育の構築に向けた一資料として,フィンランドの全国的ないじめ対策プログラムであり,その効果が大規模なRandomized Controlled Trial (RCT)により評価されている「KiVaプログラム」について紹介した。KiVaプログラムの効果として,いじめの減少,さらには児童生徒の不安・抑うつの低下,対人関係の改善などが確認されている。
著者
佐々木 隆治
出版者
一橋大学
雑誌
一橋社会科学 (ISSN:18814956)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.129-152, 2009-08

マルクスの物象化概念については、「人間と人間の社会的関係が物象と物象の社会的関係として表れる」という定義が定着している。だが、この定義が一面的にとらえられ、物象化がたんなる認識論的「錯視」として理解される場合も少なくない。本来、物象化概念は「錯視」という次元に収斂できるものではない。物象化概念においては、生産物が物象として「主体」となり、逆に生産者が「客体」となるという事態が実践において存立することが含意されているはずだからである。「錯視」はこの実践的関係の結果として生じるにすぎない。本論文は、このような物象化論の核心を、価値形態論における「商品語」の比喩をつうじて明らかにするものである。価値形態論においては形態ばかりに目が奪われがちであるが、同時にその形態においてどのような実践的関係が存立しているかが問われなければならない。このことを明らかにすることによってこそ、商品自身が自分だけに通じる言葉で語るという、「商品語」の比喩も明らかになる。労働生産物を商品として交換しあう社会においては、それぞれの具体的な私的労働は物象の関係をつうじて人間的労働として確証され、そういうものとして実際に編成される。もちろん、この事態がその意識に物象をつうじてしか現象しえない人間たちは、この「商品世界」固有の論理を「知らない」。しかし、にもかかわらずこのメカニズムの中でそれを支える実践を日々「行う」のである。このような意味で、商品語の比喩は、人間の行為をつうじて無意識的に人間の実践を規制する必然的メカニズムが成立するという実践的な転倒を表現するものに他ならない。いわゆる「取り違え」や「錯視」はこの実践的な転倒の基礎のうえに起こるのであって、その逆ではない。それゆえ、『資本論』の物象化論を総体として把握しようとするならば、商品語の比喩で述べられた論理を決して見落としてはならないのである。
著者
岡村 貞夫 佐々木 政一 勝見 正治 谷口 勝俊 田伏 洋治
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.113-118, 1984-02-25 (Released:2009-02-10)
参考文献数
22

当科及び和歌山県並びに周辺地区の関連16施設において手術を受けた消化性潰瘍患者2,175名について血液型と潰瘍の関係を調査し,和歌山県の昭和56年度献血者69,097名の血液型分布を対照に検討した. 調査項目は個人的背景に重点をおき,手術適応別,潰瘍家族歴及び初発年齢別に分類し調査した. その結果,対照群ではA型37%, B型23%, AB型10%, O型30%であるのに対し,潰瘍2,175例では, A型33%, B型21%, AB型8%, O型38%とA-O型分布の逆転がみられた(p<0.01). この傾向は胃潰瘍(GU)及び十二指腸潰瘍(DU)いずれにおいても認められ,手術適応別では出血性GUにおけるO型の頻度が47%と最も著明に増加していた(p<0.01). 家族歴を有する潰瘍患者は平均初発年齢が約10歳若く, GUでは家族歴のない潰瘍群と異り対照群と殆ど同様のA型優位の分布を示した. 又初発年齢別の検討でも30歳以下の年齢で発症したGU 116例は家族歴を有するGUと同様にA-O型分布の逆転がみられず,対照群との間に殆ど差を認めなかった. O型頻度の有意な増加はDU及び31歳以後に発症するGUのみに明らかであり, early onset typeのGUは血液型以外の因子が発症に関与している事が示唆された.
著者
佐々木 啓子 松岡 耕二
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.61-67, 2012-02-28

イチョウ葉エキス(EGb761)は、1950年代から薬理研究が始められ、現在では、アルツハイマー病や認知症の治療に利用されている。フラボノイド24%、テルペノイド6%を含有する標準化されたエキスは、めまいや耳鳴り、記憶力減退、不安などの精神神経症状の改善に効果が報告されている。EGb761のこれらの作用には、活性成分と考えられているフラボノイドやテルペノイドの抗酸化作用や神経保護作用が、関係すると考えられている。ここでは、薬理学的根拠とされるフラボノイドやテルペノイドの中枢神経系における生理活性と、近年報告されているEGb761の臨床効果に対する評価について述べる。
著者
佐々木 孝浩
出版者
慶應義塾大学藝文学会
雑誌
藝文研究 (ISSN:04351630)
巻号頁・発行日
no.95, pp.177-198, 2008

岩松研吉郎教授高宮利行教授退任記念論文集はじめに一、『為忠後度百首』の「蹴鞠」題詠二、『正治後度百首』の蹴鞠歌三、鞠道師範家の蹴鞠歌四、成通影供の和歌おわりに
著者
車谷 麻緒 佐々木 浩武
出版者
一般社団法人 日本計算工学会
雑誌
日本計算工学会論文集 (ISSN:13478826)
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.20180008-20180008, 2018-05-17 (Released:2018-05-17)
参考文献数
22

鉄筋コンクリートには,大小様々なひび割れが発生する.大きいひび割れは構造物の力学性能を低下させ,たとえ目に見えない小さなひび割れであっても,水やイオンの移動経路となり,鉄筋を腐食させるため,構造物の耐久性を低下させる.鉄筋コンクリートに生じるひび割れは3次元的に発生・進展を繰り返すため,実験的にも,解析的にも,精度よく捉えるのが困難という問題がある.鉄筋コンクリートに発生・進展するひび割れの3次元幾何形状を精度よく再現し,その結果をわかりやすく可視化することができれば,損傷状態の直観的な理解や,複雑な力学機構の解明に役立つと考えられる. 本論文では,物理シミュレーションを用いて,鉄筋コンクリート内部に形成するひび割れ進展挙動を3次元で詳細に再現し,その3次元幾何形状を3Dプリンタを用いて立体的に造形化する方法を提案する.物理シミュレーションには,破壊力学に基づく損傷モデルを用いて,著者らが既往の研究で開発した手法を用いる.本研究の新規性および可視化の特徴は,空気の部分に当たるひび割れを立体的に具現化し,通常は見えない部材内部のひび割れ進展挙動まで3次元で詳細に造形化する点にある. 第2節では,本研究で用いる物理シミュレーションの定式化について示す.第3節では,鉄筋コンクリートの引張と曲げに関する問題を対象に,部材内部および鉄筋まわりに進展するひび割れを再現し,3Dプリンタを用いてひび割れの3次元幾何形状を造形化した例を示す.最後に,本研究の総括を行い,課題と今後の予定について述べる.
著者
花里 俊廣 佐々木 誠 温井 達也
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住総研研究論文集 (ISSN:21878188)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.89-100, 2012 (Released:2017-08-10)

本稿は,別荘地「普賢山落」の人間関係の豊かなコミュニティの形成に関して,1)別荘の所有者に「ものづくり」志向を持った人が多くおりコミュニティとして成立しやすかったこと,2)コミュニティの運営方法のルールやイベント等に特徴がみられたこと,3)別荘地特有の現象として滞在の時期が重なっていること,4)いくつかの出来事や事件などが偶然にコミュニティ形成にプラスに働いたこと,5)最小限で開放的な別荘建築がコミュニティ形成に好影響を与えたこと,という5点に基づき議論し,また,写真等で別荘建築について紹介するものである。
著者
佐々木 亮
出版者
特定非営利活動法人 日本評価学会
雑誌
日本評価研究 (ISSN:13466151)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.1_63-1_73, 2010 (Released:2014-05-21)
参考文献数
42

貧困アクションラボがリードする「エビデンスに基づく開発援助評価」には、少なくとも3つの起源がある。それらは、ランダム化実験デザインの是非を議論してきた評価研究の系譜、独自の発展を遂げてきた開発援助評価の系譜、そして新しく当該分野をリードし始めた経済学の系譜である。それぞれの歴史的背景および現状を論じたうえで、ランダム化実験デザインの優位性と制約に関するスクリヴェンとバナージェの考え方の比較を行う。結論は、開発援助評価において、独占的というわけにはいかないが、ランダム化実験デザインが利用できるし利用すべき余地が確かに存在すると言うことである。そしてランダム化実験デザインを適用することにより、すべてというわけにはいかないが「機能する援助」が確かに存在することが証明されてきており、今後は、効果が証明された援助活動に対してより多くの資源を投入していくことが求められていくであろう。