著者
植田 和利 伊東 和彦 上原 誠一郎 佐藤 博樹
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.39-45, 2016 (Released:2016-04-05)
参考文献数
7
被引用文献数
1

We produced a pure Si substance directly from a SiO2-Mg system using the solar furnace in the air. After the reagent of SiO2-Mg system was melting for 2–3 minutes under the solar furnace, Si grains (~1–3 mm) surrounded by forsterite (Mg2SiO4) were produced as the reaction product. From the phase diagram of MgO-SiO2 system, it is considered that the reaction, 2 SiO2 + 2 Mg → Si + Mg2SiO4, occurred. In this reaction, the existence of Mg2SiO4 melt might have protected Si reduced from SiO2 against O2 in the air, and might have made Si grain grow larger in the melt. In the reduction of SiO2 by Mg, we could have obtained Si grains visible to the naked eye within a few minutes under the solar furnace. Being a simple and short experiment this experiment is suitable for science students.
著者
澤田 晶子 佐藤 博俊 井上 英治 大谷 洋介 半谷 吾郎
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第28回日本霊長類学会大会
巻号頁・発行日
pp.108, 2012 (Released:2013-11-01)

ニホンザルの主要食物である植物と異なり、単独で点在するキノコは絶対量が少なく、あっという間に食べ尽くされてしまうため、学習のチャンスが極めて少ない食物である。菌類相の多様性が高い屋久島において、ニホンザル (Macaca fuscata yakui) は何らかの手段で毒キノコを識別して忌避しているのだろうか。本研究では、ニホンザルが食べたキノコ・食べなかったキノコの分子種同定結果を基に、ニホンザルのキノコに対する選択・忌避の傾向とその基準について解明した。 調査は屋久島に生息する野生ニホンザルAT群を対象とし、2009年8月から2010年9月にかけて実施した。キノコはニホンザルの採食時間のわずか2.2%を占めるにしかすぎなかったが、年間を通じてニホンザルは少なくとも67種 (31属) という非常に多様なキノコを食べていたことが判明した。採食時の行動に着目したところ、ニホンザルは手に取ったキノコに対してにおいを確認する、かじって吐き出すという検査行動を取ることがあった。そこで、採食時の行動パターンを、ニホンザルがキノコに遭遇したとき・手に取ったとき・検査行動を見せたとき・食べたときと4段階に分けて分析した。結果は、ニホンザルが検査行動なしですぐに食べるキノコは毒キノコである割合が低く、ニホンザルが途中で採食を止めたキノコは毒キノコである割合が高いことを示すものであった。これらのことから、ニホンザルはキノコに対してある程度事前の知識を有しており、味覚とあわせて毒キノコ回避において重要な役割を果たしている可能性が示唆された。 さらに、キノコの属性や系統について詳細な解析をおこない、ニホンザルのキノコに対する選択・忌避の傾向との関連性を検証する。
著者
佐藤 博志
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.331-339, 2007 (Released:2007-08-18)
参考文献数
6
被引用文献数
1

神経学的障害を持つ患者が機能的活動を再獲得するための過程において,患者が持つ潜在能力を適正に捉え,その顕在化を阻害している因子を改善することは,その評価と治療的アプローチにおける課題である。これらの患者の多くは姿勢制御不全を来たし,機能的活動の阻害因子となっている。随意運動としての行動の発現には姿勢制御が先行すること,姿勢制御のためには異なる種類の多くの感覚入力が必要である事などを考慮すると,姿勢制御を獲得する過程が適応行動の神経基盤として重要であると考える。本稿では臨床的な視点での姿勢制御の構成要素に注目し,神経学的障害を持つ患者の評価と治療的アプローチについて述べる。
著者
村田 弥栄子 相馬 淳 鈴木 健弘 宮田 正弘 中山 恵輔 城田 裕子 佐藤 博 佐藤 寿伸 伊藤 貞嘉
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.67-71, 2003-01-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
10

症例は26歳男性. 1998年11月, 海外でのハーフマラソンに出場し熱中症を生じて, 横紋筋融解症による急性腎不全を合併した. 現地にて2回の血液透析施行後帰国. 空港近くの高次救命救急センターに収容され血液透析を受け, 2日後当院へ転入院した. 当院入院時, 依然乏尿状態にあり, BUN 104mg/dL, Cr 8.1mg/dL, CPK 2,128IU/L, 血中ミオグロビン11,700ng/mLであったためさらに3回の血液濾過透析を行った. その後利尿期 (回復期) に至ったが, 高カルシウム血症 (血清Ca 16.2mg/dL) が出現した. 高カルシウム血症に対し, prednisolone (40mg/日静脈内投与), elcatonin (40単位筋肉注射) と生理食塩水の補液の投与を行ったところ10日後には血清カルシウム値 (血清Ca 10.1mg/dL) は正常化した. これまでの本邦での報告例は少ないが, 横紋筋融解症による急性腎不全の利尿期に時として高カルシウム血症を生じることがあり, 十分な注意が必要である.
著者
中村 圭介 石田 浩 佐藤 博樹 仁田 道夫 石田 光男 本田 由紀
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

1.ホワイトカラーの業績管理の方法には三種類ある。第一の方法は売上高、利益率・高、費用など経営指標を部、課レベルに分割し、その達成状況を定期的にモニターし、進捗の遅れを発見した場合にその原因を探り、対策を講ずるというものである。第二の方法は経験的に割り出された目標値(たとえば開発にかかる時間等)を実績値と常に比較し、乖離が発見された場合にその原因を探り、対策を講じるというものである。第三の方法は、スタッフ部門などでみられるが、具体的な数字目標なしに定性的目標(定性的な年度計画など)の達成状況を定期的にモニターするというもので、もっとも緩やかな方法である。これらの方法で部門の成果を定期的に測定し、計画の遅れや乖離を発見し、対策を考案、実施している。これが部門別業績管理の仕組みと実際である。いわゆる成果主義的人事管理は、こうした部門別業績管理のありようを前提として設計され、目標達成に責任を負える立場にいる者(課長以上の管理職)を対象にしている場合にのみ、順調に機能する。もっとも、部門別業績管理の仕組みがきちんと出来上がっていれば、それと別の論理によって人事管理制度をつくりあげることは可能であり、私たちの事例でもそうしたケースはみられた。2.成果主義的人事管理はホワイトカラー個々人を評価することにつながり、これに呼応するように自らのキャリアを自らが開拓するホワイトカラーも増えつつある。社会人大学院は彼らにとって貴重なステップをなす。社会人大学院修了者の半数以上が外部労働市場への志向をもち、定着志向の者であっても企業内でのキャリア展開に大学院教育の経験が反映されていることを認めている。3.今後、本を2冊程度、刊行する予定である。
著者
佐藤 博 田原 英樹
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.661-665, 2017-10-31 (Released:2017-10-31)
参考文献数
5

目的:マンパワーの少ない施設における院内急変対応システムRapid Response System(以下,RRS)導入後5年間の経過について報告すること。対象と方法:対象はRRS導入前の2011年度とRRS導入後の,2012〜2016年の当院の全入院患者。RRS導入前後の変化を検証するため,各年度の新入院患者1,000人当たりのコードブルー件数,死亡退院数および予想しない死亡退院数の推移を調べた。予想しない死亡退院は「死亡前に状態悪化の説明が無い場合」と定義した。結果:RRS導入でコードブルー件数,死亡退院数の減少は認められなかったが,予想しない死亡退院数は有意な減少(RRS導入前56.1→RRS導入1年目24.6,2年目18.5,3年目17.6,4年目14.8,5年目9.1)を認めた(p<0.01)。結論:マンパワーの少ない施設においても,RRS導入により予想しない死亡退院数を減らす可能性が示唆された。
著者
武田 清賢 濱田 靖弘 本間 富士夫 小川 まどか 佐藤 博紀 花野 翔眞 板野 愉朋 熊本 功 佐藤 英男 相馬 英明 佐伯 英樹
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.73-77, 2016

<p>This study aims to develop an operation control method for residential CHP (Combined Heat and Power) systems with BD (Buffer Device) and PV (Photovoltaics). Energy saving and operation properties of SH (Smart House) were analyzed through demonstration experiments.</p>
著者
森杉 壽芳 小池 淳司 佐藤 博信
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.131-140, 1995

近年、国会・中央省庁等の首都機能移転に関心がもたれ、政府をはじめとする各種研究機関等で多数の提言, 提案がなされてきた。このような首都機能移転の社会的意味を判断するためには、その効果を把握する必要がある。そのため、本研究では、首都機能移転によって影響を受ける主体を東京, 新首都, その他の地域及び移転する政府自身に分類し、それぞれの主体に帰着する効果を一覧表にして示す「地域間帰着便益構成表」を提案する。この表では、東京だけでなく、新首都や他の地域を便益を享受する主体としてとりあげることで、首都機能移転に関する個別の効果を国土及び国民全体の観点から総合的に見ることができる。また、必要に応じて、さらに細かい便益の帰着構造を把握し、表の中に位置づけることができる。
著者
佐藤 博明
出版者
特定非営利活動法人日本火山学会
雑誌
火山. 第2集 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.S173-S188, 1986-03-31

Recent progress of the study of volcanoes in oceanic areas is reviewed. Major advance of the study has been brought about through the development of the following lines of researches; (1) narrow-beam echo sounding investigation with the aid of precise navigation systems to determine detailed sea bottom topography. (2) deep sea drilling for the determination of stratigraphy of oceanic basement. (3) direct observation and sampling of oceanic basement by submersibles. (4) development of isotope systematics such as Sr-Nd-Pb and He-Ar. (5) increase of accuracy as well as production rate of routine analyses of volcanic rocks; i.e. petrography, mineralogy, major and trace element compositions. Precise high-pressure phase equilibrium studies also afforded important constraints on the modelling of magma genesis in oceanic areas. Geological, petrological and geochemical characteristics of the volcanoes in oceanic areas are described according to the following classification scheme; [A] Monogenetic volcano (a) Oceanic ridge volcano, (b) Back-arc basin volcano, [B] Polygenetic volcano (c) Seamount near oceanic ridge, (d) Seamount near spreading center of back-arc basin, (e) Hot spot seamount, (f) Abyssal plateau, (g) Oceanic island arc volcano. Genetic models of these volcanoes are discussed, and it is shown that the mantle diapir model of SAKUYAMA (1983) can be applied to polygenetic volcanoes in oceanic areas. Generation and uprise of mantle diapir (or blob), and intrusion of mantle diapir into lithosphere may determine the essential features of polygenetic volcanoes; i.e. volume, duration of activity, evolutional history, major and trace element compositions, and isotopic ratios.
著者
佐藤 倫広 松本 章裕 原 梓 岩森 紗希 小原 拓 菊谷 昌浩 目時 弘仁 保坂 実樹 淺山 敬 高橋 信行 佐藤 博 眞野 成康 今井 潤 大久保 孝義
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.134, no.12, pp.1347-1355, 2014 (Released:2014-12-01)
参考文献数
18
被引用文献数
1 5

Encouraging self-medication is expected to reduce healthcare costs. To assess the current situation of self-medication practices in the general population, we conducted a questionnaire survey regarding the use of over-the-counter (OTC) medications or dietary supplements in 1008 participants (37% men; mean age, 64±13 years) from Ohasama, a rural Japanese community. A total of 519 (52%) participants used OTC medications or dietary supplements, with common cold medication (36%) and supplements (28%) such as shark cartilage products representing the most common choices. Stepwise logistic regression showed female gender, a higher frequency of visits from a household medicine kit distributor, dyslipidemia, and lower home systolic blood pressure levels as predictors for the use of such materials (chi-square values: 25.3, 12.6, 7.0, and 4.6, respectively; all p<0.03). Stratifying the participants according to the use of antihypertensive treatment showed a negative association between systolic blood pressure and the use of OTC medications or supplements only in participants being treated for hypertension. These results suggest that although the adoption rate of self-medication in Japan can be increased in rural areas, it may remain lower in urban areas. The present study clarifies the factors associated with the use of OTC medications or dietary supplements and indicates that appropriate self-medication practices might improve the control of hypertension, particularly in patients undergoing antihypertensive treatment.
著者
村田 弥栄子 山本 多恵 大場 郁子 中道 崇 中山 恵輔 太田 一成 宮澤 恵実子 清元 秀泰 上野 誠司 大友 浩志 佐藤 博 伊藤 貞嘉 宮崎 真理子
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.357-362, 2012-04-28 (Released:2012-05-29)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

2011年3月11日に発生した東日本大震災では,宮城県の広い範囲,特に東部沿岸地域は津波による市街地の流失,電気,上水の供給停止,通信の途絶など,大きな被害を受け,災害拠点病院への救急患者集中,通院手段の確保困難,生活環境の悪化が生じ,被災地外での支援透析を要した.災害支援透析において,被害が大きい依頼側に,通常の臨時透析と同レベルの情報提供を求めることは,災害支援の基本概念に沿わない.また,支援側は,業務増大の中で初診の多数の透析患者の診療を行わなければならないが,過酷な環境から避難してきた透析患者への対応は,平時とは異なる視点が必要となる.そこで,われわれは震災後に多人数の入院支援透析を行うにあたり,災害時透析入院クリニカルパスを作成し使用した.クリニカルパスの運用によって,避難患者の容態把握を共通化,標準化することが可能で,二次避難先への引継ぎにも利用した.過去に例をみない大災害であったが,このクリニカルパスの活用は災害時入院支援透析における診療に有用であったので,ここに報告する.
著者
守川 雅雄 廖 梓〓 清水 稔弘 安元 和雄 豊田 静夫 小園 凱夫 佐藤 博信
出版者
九州歯科学会
雑誌
九州齒科學會雜誌 : Kyushu-Shika-Gakkai-zasshi (ISSN:03686833)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.945-963, 1983-10-25
被引用文献数
4

ニュートラルゾーンテクニックは, ニュートラルゾーン(以後, N・Zと記す)内に適切に人工歯が排列され, さらに義歯床辺縁および研磨面からの周囲組織の動態と緊密に適合することによって, はじめて効果的な義歯の維持安定が確保されるという基本的理論に基づいた術式であり, その成果は術者および患者の両者によって大きく評価されている.しかしながら, N・Zは歯牙の喪失および歯槽骨の吸収によって生じた空隙であるために, それ自体が口腔内で占める領域, 形態は, 一定であろうという既成概念があり, その再現性つまり定形性等について行った根本的な研究は見当らない.この研究では, 同一条件下で, 同一術者が繰返えし記録した場合のN・Zの部位および形態の動向と, さらに条件を変えた場合について, 仮想咬合平面上で検討した.当術式によるN・Z記録の再現性は予期していたよりはるかに小さく, 同一患者におけるN・Z中点の記録間で統計学的に有意差の出る割合いは, 切歯部で55.4%, 臼歯部では66.4%であり, 幅については切歯部では41.8%, 臼歯部では49.1%であった.N・Z記録における頬舌的中央線はほとんどの症例で歯槽頂より唇頬側に位置しており, その平均値は切歯部で4.66mm, 臼歯部で1.87mmであった.また繰返えしによる中点のバラツキは臼歯部より切歯部で大きく, 逆に幅については切歯部より臼歯部が大きかった.切歯部と臼歯部の中点間ならびに幅間には正の相関関係がみられたが, 各それぞれ基準点における中点・幅間には認められなかった.他方, 異った条件下でN・Z記録を採得すると従来のものとの間にかなりの変化がみられたが, 術者が代わっただけの条件の変化では著明な変化はみられなかった.このことはN・Zは主として患者自身の機能運動によって記録されるものであり, ある程度の経験さえあれば術者の巧拙にはよらないということを示唆していると考える.
著者
佐藤 博明
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.46, pp.115-125, 1996-09-20
被引用文献数
4

雲仙普賢岳の1991年噴出物の岩石組織の3つの側面(斜長石斑晶の累帯構造, 気泡組織, 石基結晶度)について記述し, ドームを形成するデイサイトマグマの噴火の引き金, 脱ガス過程, 結晶作用についての制約条件について議論した。1つ目の側面は斜長石斑晶の累帯構造であり, それは逆累帯構造を呈するリムでMgO, FeO^*量が増加しており, 噴火直前に珪長質の斑状マグマとより苦鉄質な無斑晶質マグマの混合が生じたことを示している。雲仙普賢岳は南北張力場の地溝帯中にあり, 火山下のマグマポケットは東西方向に伸びた割れ目状の形態をとっていると考えられる。これまでに知られている室内実験によると, マグマで充たされた2つの割れ目が接近すると互いに近づいて合体する傾向があり, いったん合体すると割れ目の上昇速度は急増する。雲仙普賢岳1991年噴火の場合もマグマで充たされた割れ目の合体が, マグマポケットの上昇のきっかけとなり5月20日の溶岩ドーム出現に至ったと考えると, 1989年の地震発生-マグマ混合現象-ドーム噴出のタイミングやマグマ混合現象がうまく説明される。雲仙普賢岳ではドーム噴火が爆発的なプリニー式噴火に伴っておらず, 上部地殻でマグマの上昇速度が小さく, マグマが地表に至る前に揮発性成分の脱ガスが効果的に生じていると考えられる。雲仙普賢岳の1991年噴出物の気泡組織は多様な変形構造を呈しており, 粘性の高い溶岩の流動により気泡の変形が生じている。溶岩の含水量は気泡の変形度と関係があり, 火道中での粘性の高い溶岩の脱ガスが, 溶岩の流動により気泡の連結が促進され見掛けのガス透過率が高まったために生じた可能性が考えられる。1991年噴出物の含水量は全岩で0.2-0.5wt%であり, 1気圧での飽和含水量(0.1wt%)よりも大きい。一方, 火砕流発生を伴わなかった1792年, 1663年溶岩の含水量は0.1wt%以下である。溶岩の石基の結晶度についてみると, 1991年溶岩は20-30Vol%であり, 1792年溶岩1663年溶岩では結晶度が約50%と明瞭な違いが認められた。1991年溶岩は1792年溶岩よりも粘性が高く, 脱ガスが不十分であったために石基ガラス中の高い含水量を生じ, 結晶作用が不十分にしか進行しなかった。粘性の高い溶岩の不完全な脱ガスが溶岩の自爆性, ひいては火砕流発生の条件となっていることが考えられる。
著者
佐藤 博信
出版者
関西学院大学
雑誌
スポーツ科学・健康科学研究 (ISSN:13440349)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.19-24, 2008-03

The judo referee rules primarily used in Japan are the International Judo Federation (IJF) Referee Rules and the Kodokan Judo Institute Referee Rules. Since the current Kodokan Rules have been approximated to the International Rules, their significance is unclear. Thus, it is necessary, instead, to formulate and implement rules by focusing on Japan's distinct spirituality and cultural aspects. To do so will require an act of returning to the fundamentals of Japanese judo. In short, the basic essentials of Japanese judo are about "aiming to gain an ippon (full point)" and "valuing one's integrity and proper manners toward others." "Proper manners=the custom of bowing," in particular, has a significant meaning for judo, as we often hear "Everything begins and ends with a bow." The purpose of this study is to examine what the custom of bowing and its practice can achieve by examining the awareness of the custom of bowing among judoka in Japan. We conducted a survey on "manners" targeting mainly college judoka, instructors, and referees. Results and Discussion (1) In response to, "It is appropriate to bow towards the front of the dojo at all times," 345 out of 757 respondents answered "Yes," while 252 said " yes, somewhat." Affirmative responses (78.9%) greatly exceeded negative ones (21.1%). (2) In response to, "It is not rude for a referee to have his back facing the front," Positive responses (76.7%) also greatly exceeded negative ones (23.3%), which reflected the practical aspect of prioritizing the referee's roles. (3) In response to, "It is better for a judoka to adjust his judogi while standing, as prescribed in the International Rules," affirmative responses (77.8%) also exceeded negative ones (22.2%) by a wide margin. This result also reflected practical aspects such as ease of fixing the judogi or reduction in the time needed to fix the judogi. Those findings suggested the following: Most judoka in Japan have little trouble accepting pragmatic aspects such as "a referee having his back to the front" and "fixing judogi while standing as prescribed in the International Rules" since those matters are "directly related to winning or losing." On the other hand, "bowing towards the front" was regarded as "a necessity to practice." Thus, while they strongly aspire to win, many Japanese judoka also feel that they need to preserve traditional customs.
著者
久保 和也 佐藤 博之
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.90, no.10, pp.717-731_3, 1984-10-15 (Released:2008-04-11)
参考文献数
45
被引用文献数
3 1
著者
坂場 成昭 大橋 弘史 佐藤 博之 原 輝夫 加藤 竜馬 國富 一彦
出版者
Atomic Energy Society of Japan
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.242-256, 2008 (Released:2012-03-02)
参考文献数
30
被引用文献数
6 6

Nuclear hydrogen production is necessary in an anticipated hydrogen society that demands a massive quantity of hydrogen without economic disadvantage. Japan Atomic Energy Agency (JAEA) has launched the conceptual design study of a hydrogen production system with a near-term plan to connect it to Japan's first high-temperature gas-cooled reactor HTTR. The candidate hydrogen production system is based on the thermochemical water-splitting iodine sulphur (IS) process. The heat of 10 MWth at approximately 900°C, which can be provided by the secondary helium from the intermediate heat exchanger of the HTTR, is the energy input to the hydrogen production system. In this paper, we describe the recent progresses made in the conceptual design of advanced process heat exchangers of the HTTR-IS hydrogen production system. A new concept of sulphuric acid decomposer is proposed. This involves the integration of three separate functions of sulphuric acid decomposer, sulphur trioxide decomposer, and process heat exchanger. A new mixer-settler type of Bunsen reactor is also designed. This integrates three separate functions of Bunsen reactor, phase separator, and pump. The new concepts are expected to result in improved economics through construction and operation cost reductions because the number of process equipment and complicated connections between the equipment has been substantially reduced.