著者
佐藤 孝 善本 さゆり 渡邉 俊一 金田 吉弘 佐藤 敦
出版者
日本土壌肥料學會
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.53-60, 2007
参考文献数
24
被引用文献数
2

重粘土水田転換畑では,土壌の物理性(通気性,排水性)が悪いために,畑作物の生育が抑制され,生産性が著しく劣る場合が多い.本報では,マメ科カバークロップのヘアリーベッチによる重粘土の物理性改善効果と,ダイズの初期生育に及ぼす影響について検討した.秋田県八郎潟干拓地内の水田転換畑にヘアリーベッチを水稲立毛間に播種した.ヘアリーベッチは旺盛に生長し,根は深度約45cmまで達していた.HV区では土壌構造が発達し,特に亀裂構造が深度50cmまで形成されており,圃場の排水性は向上していた.また,HV区ではダイズの生育初期において根の吸収活性および根粒の窒素固定活性が高く維持され,生育も良くなっていた.以上の結果から,転換畑においてヘアリーベッチを前作に植栽することで,ヘアリーベッチの蒸散作用により土壌の乾燥化を促進させるとともに,根の伸長により土壌の亀裂構造(粗孔隙)および毛管孔隙が発達し,土壌の物理性が大きく改善されて,ダイズの初期生育が促進されることが明らかになった.
著者
新良 力也 西田 瑞彦 森泉 美穂子 赤羽 幾子 棚橋 寿彦 佐藤 孝 鳥山 和伸 木村 武 矢内 純太
出版者
日本土壌肥料學會
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.73-80, 2010
参考文献数
30
被引用文献数
1

我が国の水田ではコメの生産調整のために1969年から転作が開始され、1978年に水田利用再編対策が開始されてからは、連作の回避、地力回復、村落内の負担の公平性等の理由から田畑輪換が広く実施されている。1980年以降は水田面積約2,900,000haのうち調整面積は500,000haを超え、2009年度には作物の作付けされた水田面積2,330,000haの約3分の1(710,000ha)が畑地利用されているとみられる。このような状況の中でダイズ等の収量低下が顕在化し、土壌有機物含量等の肥沃度の低下が懸念されている。しかし、連作水田とは異なり、湛水・還元環境と落水・酸化環境の繰り返しが、有機物の蓄積や分解にどのような影響を及ぼし、土壌窒素給源等をどのように変化させているか、あるいは土壌リン酸の可給性が連作水田とどのように異なっているのか等についての知見は十分整理されていない。このため、田畑輪換条件での肥沃度変動の法則性やメカニズムの解明が必要である。一方、肥沃度維持対策では、家畜ふん堆肥や緑肥等の資材施用の有効性や適正施用量についての知見が必要であり、土壌からの養分供給や土壌への蓄積を踏まえた施用方法の確立が求められている。そこで、土壌肥沃度部門と肥料・資材部門が共同で、田畑輪換水田における肥沃度の現状と関連研究の到達点を共有し、今後の展望を明らかにするため、1.田畑輪換水田の現状と土壌管理についての問題提起、2.田畑輪換水田の土壌窒素と施用有機物の挙動、3.土壌有機態窒素の実体について、4.田畑輪換土壌におけるリン酸の挙動と各種資材による供給、5.家畜ふん堆肥を利用した肥培管理、6.緑肥を利用した肥培管理の6課題でシンポジウムを開催したので概要を報告する。
著者
佐藤 孝司
出版者
医用画像情報学会
雑誌
放射線像研究 (ISSN:21870233)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.152-157, 1980 (Released:2012-08-27)
参考文献数
5
著者
間藤 正美 工藤 寛子 山形 敦子 佐藤 孝夫 柴田 浩
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.201-208, 2009-04-15

7月下旬咲き小ギク'小雨'、'みちのく'、'やよい'の生育に及ぼす気温とエセフォン処理の影響について調査した。開花期は、各年の気温によって大きく変動した。変動の要因は、花芽分化期の低温や花芽発達期の高温であり、特に後者の影響が大きかった。'小雨'は、これらの時期の高温や低温によって発蕾後の花芽発達が抑制されて、開花が遅延しやすい品種であった。'みちのく'は、花芽分化期の低温により花芽分化および発蕾前の花芽発達のみが抑制され、開花の年次変動の小さい品種であった。'やよい'は、花芽発達期の高温で発蕾後の花芽発達が抑制され、開花の年次変動が供試3品種中で中位の品種であった。7月下旬咲き小ギクの開花は、エセフォン処理によって遅くなるが、その程度も品種間差があった。供試3品種において、エセフォン処理は、主に花芽分化および発蕾前の花芽発達を抑制した。しかし、'小雨'および'やよい'に対するエセフォン処理では、気温によって発蕾後の花芽発達の抑制程度に大きな変動が見られた。7月下旬咲き品種のエセフォン散布処理による盆出荷作型の開発において、'みちのく'の様に気温による開花の年次変動が小さい有望な品種があることが判明した。今後、適応する品種を選抜して、盆出荷のための適正な散布方法を開発する必要があると考えられた。
著者
坪井 誠司 園田 朗 華房 康憲 石川 洋一 長谷 英昭 齋藤 秀亮 佐藤 孝子 福田 和代 田中 克彦 五十嵐 弘道 丸山 正 今脇 資郎
出版者
国立研究開発法人海洋研究開発機構
雑誌
JAMSTEC Report of Research and Development (ISSN:18801153)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.43-51, 2014 (Released:2014-11-18)
参考文献数
13
被引用文献数
1

2009年の海洋研究開発機構第2期中期計画開始に伴って新設された地球情報研究センター(DrC)は,海洋研究開発機構の研究調査船等で取得された様々な海洋地球観測データおよび生物や岩石試料等のサンプルの公開・流通を実施してきた.これらのデータ・サンプルについては,2007年に制定された「データ・サンプルの取り扱いに関する基本方針」が,その取り扱いの基本となっている.本稿では,データ・サンプルの公開状況を概観し,第2期中期計画期間に構築されてきた,これらのデータ・サンプルを管理・公開するためのDrCのデータベースシステムの中から,JAMSTEC航海・潜航データ探索システム,深海映像・画像アーカイブス,および海洋生物多様性情報システム(BISMaL)を紹介する.さらに,教育・社会経済分野等のニーズに対応するための取り組みについて解説する.
著者
山口 徹 棚橋 訓 吉田 俊爾 朽木 量 深山 直子 佐藤 孝雄 王 在〓 下田 健太郎 小林 竜太
出版者
慶應義塾大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2008

今みる景観を自然の営力と人間の営為の絡み合いの歴史的産物と位置づけ、オセアニア環礁(低い島)と八重山諸島石垣島(高い島)のホーリスティックな景観史を、ジオ考古学、形質人類学、歴史人類学、文化人類学の諸学の協働によって明らかにし、その中で人とサンゴ(礁)のかかわり合いを遠い過去から現在まで見とおした。立場や系譜が必ずしも同じではない人々のあいだに、サンゴ(礁)とのこれからの「共存」のあり方への共通関心を喚起する目的で、研究成果を活用したアウトリーチに積極的に取り組んだ。
著者
大河 正志 佐藤 孝 新國 広幸
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

共振周波数の高周波数化を目的に,共振周波数のダイヤフラムサイズ依存性について考察を行った。理論どおり,ダイヤフラム厚に比例し,辺長の二乗に反比例する結果が得られた。パルス時間幅特性については,時定数が数ms程度であることが分かり,音圧特性については,最大出力電圧が音圧に比例することを確認した。また,高次共振モードの利用による高周波数化についても,その有効性を確認した。AE特徴量の推定・算出システムに関しては,「雑音処理」と「AE特徴量算出」の2つの機能からなるアプリケーションを製作した。本システムに振幅,時間幅,雑音が異なる模擬信号を入力して,AE特徴量を算出できる条件を明らかにした。
著者
千種 雄一 松本 淳 桐木 雅史 川合 覚 松田 肇 及川 暁 佐藤 孝
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.125-127, 1998
被引用文献数
4 16

アルコール症と痴呆症の60歳の女性患者が自宅で転倒しガラス窓に頭部を突っ込み同部に弁状創をおった。しかし患者は何ら創傷部の手当をしないで放置した。10日後に精神科を受診した折, 医師が創部に60匹余りのヒロズキンバエの3齢幼虫を見い出した。従来言われているハエ症を惹起しやすい状態, 病態にアルコール依存症と痴呆症を加えることを提唱する。
著者
園部 太郎 佐藤 孝宏 奥村 与志弘 広田 勲 津田 冴子 小石 和成 大村 善治
出版者
京都大学東南アジア研究所
雑誌
Kyoto Working Papers on Area Studies: G-COE Series
巻号頁・発行日
vol.36, pp.1-15, 2009-03

A possibility of sustainable biomass power generation from rice fields in Thailand has been investigated from view points of potential power generation, their chemical properties, current status of power generation using rice production residue and the field survey at the rice husk power plant and rice mill of Chainat in Thailand. It is found that rice husk has been mostly used in this region for power generation mostly because of its easiness of collection and transportation as compared with rice straw. With comparison of chemical properties of rice husk and rice straw, it is also suggested that rice husk can be converted to heat relatively easier compared with rice straw. In order to supply the electricity from biomass power plant steadily in Thailand, it can be suggested to increase the fuel variation by utilization of other biomass resources such as rice straw.
著者
井上 宣子 大草 知子 名尾 朋子 李 鍾国 松本 奉 久松 裕二 佐藤 孝志 矢野 雅文 安井 健二 児玉 逸雄 松崎 益徳
出版者
山口大学医学会
雑誌
山口医学 (ISSN:05131731)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.109-115, 2005-08-31
被引用文献数
2

心筋細胞間のギャップ結合の発現・分布はコネキシン蛋白の半減期が短いことにより様々な病態において直ちに変化しうる.高頻度電気刺激(RES)によるギャップ結合リモデリングへの効果はいまだ明らかにされていない.培養5日目のラット心室筋細胞に120分間3HzのRESを負荷した.RESによりCx43蛋白質および遺伝子発現量は60分後には有意に増加した.免疫染色においても同様の結果であった.心筋細胞中のangiotensin II (AngII)は15分後に約2倍に上昇した.MAPK系のリン酸化型ERKは2峰性に5分と60分で, またリン酸化型JNKも15分と60分で著明に活性化された.リン酸化型p38 MAPKは5分後に1峰性に活性化された.細胞外電位記録法により心筋細胞の興奮伝播特性の変化を解析したところ, RESにより伝導速度は有意に増加した.これらの変化はlosartanにより抑制された.RESによるCx43の発現増加はまたERK, p38の特異的阻害剤にても抑制された.RESは, 早期より心筋細胞内のAng II産生を増加し, MAPK系を活性化することによりCx43発現量を増加させた.その結果, 細胞間の刺激伝播異常を引き起こし, 不整脈基質の一つとなる可能性が示された.
著者
斎藤 晶 佐藤 孝夫
出版者
北海道立林業試験場
雑誌
光珠内季報 (ISSN:09132430)
巻号頁・発行日
no.48, pp.6-16, 1981-04 (Released:2011-03-05)
著者
佐藤 孝則 丹後 輝人 芳賀 良一
出版者
帯広畜産大学
雑誌
帯広畜産大学学術研究報告. 第I部 (ISSN:0470925X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.149-157, 1981-05-15

繁殖に関する研究のなかで,現在あまり知られていないエゾシカの分娩生態について調査を行った。分娩の徴候として観察された外観の変化と行動は,腹部の下垂,乳房の肥大,外陰部の腫張と弛緩,尾の上げ下げ,速歩行動,呻き声,著しい威嚇であった。また1日あたりの脱糞と排尿の頻度は,分娩が近づくにしたがって増加を示し,特に分娩の前日で一番高い値を示した。分娩の順序は以下のとおりで,娩出陣痛,羊膜の突出と破裂,胎児の前肢と頭頸部の出現,出産,臍帯の摂取,後陣痛,粘液の流出,後産の排出と摂取とつづいた。3頭の雌ジカは林に隣接する牧草地内で出産を完了した。出産するとすぐ母ジカは新生児を絶えまなく,かつ力強くなめ始めた。新生児の最初の動きは頭部を振ることであった。
著者
佐藤 孝
出版者
聖徳大学
雑誌
紀要 (ISSN:02863332)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.105-133, 1977
著者
佐藤 孝治
出版者
神奈川大学
雑誌
商経論叢 (ISSN:02868342)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.163-204, 1996-03
被引用文献数
1

This case presents a leading company Nestle Japan challenged in the RTE (ready to eat) cereal market and faced with the decision of status quo, adding the new product line, withdraw the market and so on. Together with his management team, Mr. M. Gyaretto