著者
久保 一雄 李 承諭 内野 雅人 佐藤 孝嗣 石田 繁巳 田頭 茂明 福田 晃
雑誌
第81回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, no.1, pp.339-340, 2019-02-28

高度道路交通システムにおいて道路を走行する車両を検出することは重要なタスクの1つである.筆者らは,ウェイクアップ機構を有する音響車両検出システムを開発してる.超低消費電力マイコンを用いた省リソース車両検出モジュールで車両を検出した上で,同時通過車両の検出や車両進行方向の推定を可能とする高精度音響車両検出モジュールをウェイクアップさせて車両を検出する.本システムの実現に向け,超省電力マイコン上に実装可能な省リソース車両検出機構をこれまでに報告した.本稿では,省リソース車両検出モジュールの実証評価及びそれに基づくウェイクアップ型音響車両検出システムの消費電力評価について述べる.
著者
佐藤 孝雄
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
no.48, pp.p107-134, 1993-03

アイヌ文化の「クマ送り」について系統を論じる時,考古学ではこれまで,オホーツク文化期のヒグマ儀礼との関係のみが重視される傾向にあった。なぜならば,「アイヌ文化期」と直接的な連続性をもつ擦文文化期には,従来,ヒグマ儀礼の存在を明確に示し,かつその内容を検討するに足る資料が得られていなかったからである。ところが,最近,知床半島南岸の羅臼町オタフク岩洞窟において,擦文文化終末期におけるヒグマ儀礼の存在を明確に裏付ける資料が出土した。本稿では,まずこの資料を観察・分析することにより,当洞窟を利用した擦文文化の人々がヒグマ儀礼を行うに際し慣習としていたと考えられる6つの行為を指摘し,次いで,各行為について,オホーツク文化の考古学的事例とアイヌの民俗事例に照らして順次検討を行った。その結果,指摘し得た諸行為は,オホーツク文化のヒグマ儀礼よりも,むしろ北海道アイヌの「クマ送り」,特に狩猟先で行う「狩猟グマ送り」に共通するものであることが明らかとなった。このことは,擦文文化のヒグマ儀礼が,系統上,オホーツク文化のヒグマ儀礼に比べ,アイヌの「クマ送り」により近い関係にあったことを示唆する。発生に際し,オホーツク文化のヒグマ儀礼からいくらかの影響を受けたにせよ,今日民族誌に知られる北海道アイヌの「クマ送り」は,あくまでも北海道在地文化の担い手である擦文文化の人々によってその基本形態が形成されたと考えるべきである。Discussing the tradition of "Iwomante" (the Bear Ritual in Ainu Culture), archaeologists have attracted much attention to the brown bear ritual of Okhotsk Culture than that of Satsumon Culture which was directly prior to Ainu Culture in Hokkaidō. This was affected by the fact that there was poor evidence of the brown bear ritual in Satsumon Culture, which restricted the comparison of cultural continuity on the ritual between the Ainu and Satsumon Culture. Recent Archaeological research of Otafuku-iwa Cave in Rausu, Hokkaidō, however, cleared existence of the brown bear ritual in Satumon Culture. And zoo-archaeological analysis of the findings enabled to compare the brown bear ritual with "Iwomante" of the Ainu.In this paper, firstly, I pointed out six features of acts included in the ritual were reconstructed from the excavated faunal remains. Then I compare each of these with archaeological evidence of Okhotsk Culture and ethnographical evidence of the Ainu. As a result, it becomes clear that these acts are much closer not to the brown bear ritual of Okhotsk Culture but to the Ainu in Hokkaidō.It is conceivable that brown bear ritual of Okhotsk Culture gave some influence to the formation of "Iwomante" of the Ainu, but the major body of "Iwomante" which was ethnographically known has been organized by Satsumon people, the natives of the land of Hokkaidō.
著者
橋本 燎 亀山 宗彦 佐藤 孝紀 小川 浩史
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.67, 2020

<p>雷放電は大気中では窒素の酸化を促し、自然起源の窒素酸化物の主要な生成要因となる(Wang et al., 1998)。雷放電は積乱雲を形成しやすい陸域で多く発生するが、海洋域でも定常的に見られていることが分かっており、気候変動等による将来の雷放電の増加が予想されている(Romps et al., 2014、Thornton et al., 2017)。本研究では、気相中・液相表面において、プラズマ放電を人工的に起こすことで、自然界における雷放電や海面への落雷を模擬し、窒素酸化物の生成・消費とその質の変化について定量的に評価する事を目的とした。本研究では、雷放電による窒素酸化物の生成を定性的に評価するための項目と定量的に評価するための項目に分けて、実験を行った。実験には、北太平洋亜熱帯域で採水されたキャリア海水を用いた。その結果、窒素酸化物は主に気相で生成され、それらの生成量は湿度、パルス長、電圧、気圧等によって変化することが分かった。</p>
著者
嶋本 康広 佐藤 孝義 池内 義弘 西田 元之 松野 一郎
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.79-91, 2021 (Released:2021-04-14)
参考文献数
53

ビタミンKは緑色野菜や発酵食品に多く含まれており, ヒトの血液の凝固や骨の代謝に関与している機能性分子である。身近な食品において植物油にはフィロキノン (ビタミンK1) が主に含まれ, 牛乳にはフィロキノンに比べメナキノン-4 (ビタミンK2) が多く含まれている。また育児用調製粉乳や液状乳には乳児の生育を補助するためフィロキノンとメナキノン-4が添加されている。ビタミンKの分析を行う上では脂質抽出液からシリカゲルカラムを用いてビタミンKと夾雑物の分離を行う必要があるが, 多量のシリカゲルや有機溶媒を使用する点や処理時間が長くかかる点など作業効率や環境負荷の面に課題があった。本報ではシリカゲル粒径の微細化による前処理系のダウンサイジングを目的とした検討を行い, 作業時間を短縮し環境負荷を低減した効率的な改良法の開発を行った。
著者
真坂 一彦 佐藤 孝弘 棚橋 生子
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.124, 2013

養蜂業による北海道での蜜源植物の利用実態について,北海道養蜂協会が毎年集計している「みつ源等調査報告書」をもとに分析した。主要な蜜源植物は,蜂蜜生産量が多い順に,ニセアカシア,シナノキ,クローバー,キハダ,アザミ,ソバ,そしてトチノキの7種である。これら7種の蜂蜜生産量に占める樹木蜜源の割合は約70%で,これに森林植生であるアザミを加えると80%弱にのぼり,森林が蜜源域として大きく貢献していた。地域性を評価するため,振興局(支庁)ごとに蜜源植物の利用状況についてクラスター分析したところ,太平洋型,オホーツク型,道北型,道央型,そして道南型と,北海道の地理的区分に対応した5群に分類された。シナノキとキハダについて,各樹種の蓄積とそれらを対象にした蜂群数の関係をみたところ,蓄積が多い地域ほど蜂群数も多い傾向が認められた。各地域の主要7蜜源植物の多様性と全蜂群数のあいだには有意な相関関係があり,蜜源植物が多様な地域ほど生産性が高いことが示唆された。
著者
真坂 一彦 佐藤 孝弘 棚橋 生子
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.95, no.1, pp.15-22, 2013
被引用文献数
3

養蜂業による北海道での蜜源植物の利用実態について, 北海道養蜂協会が毎年集計している「みつ源等調査報告書」をもとに分析した。主要な蜜源植物は, 蜂蜜生産量が多い順に, ニセアカシア, シナノキ, クローバー, キハダ, アザミ, ソバ, そしてトチノキの7種である。これら7種の蜂蜜生産量に占める樹木蜜源の割合は約70%で, これに森林植生であるアザミを加えると80%弱にのぼり, 森林が蜜源域として大きく貢献していた。地域性を評価するため, 振興局 (支庁) ごとに蜜源植物の利用状況についてクラスター分析したところ, 太平洋型, オホーツク型, 道北型, 道央型, そして道南型と, 北海道の地理的区分に対応した5群に分類された。シナノキとキハダについて, 各樹種の蓄積とそれらを対象にした蜂群数の関係をみたところ, 蓄積が多い地域ほど蜂群数も多い傾向が認められた。各地域の主要7蜜源植物の多様性と全蜂群数の間には有意な相関関係があり, 蜜源植物が多様な地域ほど生産性が高いことが示唆された。
著者
石川 慎太郎 久保 哲也 砂川 正隆 俵積田 ゆかり 佐藤 孝雄 石野 尚吾 久光 正
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.337-346, 2011 (Released:2011-09-15)
参考文献数
49
被引用文献数
11 9

瘀血の状態では,血液が鬱滞することから腫脹や疼痛などの障害が現れる。瘀血は循環障害と捉えられ,血管抵抗性と血液流動性の側面から研究されてきた。血液流動性の変動要因には血球および血漿成分があり,その変動に活性酸素が深く関わっていると考えられている。今回,ラットに漢方薬(当帰芍薬散,柴胡加竜骨牡蛎湯,桃核承気湯,桂枝茯苓丸,十全大補湯)を投与して活性酸素動態と血液流動性への影響を観察した。その結果,これらの漢方薬投与群では,抗酸化力が上昇し,血液流動性が亢進した。また,当帰芍薬散・桃核承気湯・桂枝茯苓丸は血小板凝集を減少させた。さらに赤血球浮遊液の流動性は,抗酸化力との間に負の相関を認め,漢方薬の抗酸化作用が赤血球の変形能あるいは粘着性に影響したと推察された。血栓症や塞栓症などの誘因である血液流動性の低下を予防する可能性が示唆された。
著者
市村 智康 平社 信人 佐々木 信雄 宮越 俊一 先村 律雄 佐藤 孝之 大岡 久子 高橋 徹 鶴見 智
出版者
公益社団法人 日本工学教育協会
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.2_76-2_80, 2020 (Released:2020-03-27)
参考文献数
6

IoT has been getting a lot of attention in the global industry. Recent education programs also adopt information technologies such as IoT and ICT to improve the teaching method. However, education of KOSEN is desired to teach how to realize IoT and ICT, not only to utilize information technology. In this education program, we gave lectures about social needs of IoT and the management method of a project first. Based on the lecture, students investigated real information applications and then proposed their new technical seeds of information applications independently. Some projects were launched to realize the technical seeds. To move their project forward, they were able to use a virtual workshop in National Institute of Technology, Gunma College. Finally, students discussed their final products within the projects, and then we evaluated deliverables and processes of their projects. The virtual workshop includes visualization of existing equipment, which is placed in laboratories and facilities of our college, by network management. We connected the hardware and software resources to our college network and rebuilt the resources to the virtual workshop which was shared across our college. Moreover, we introduced new network-compatible IoT products other than existing equipment. This paper describes our education program to nurture IoT engineers in Gunma College.
著者
加藤 博文 佐藤 孝雄 米田 穣 安達 登 石田 肇 蓑島 栄紀
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

昨年度に引き続き、礼文島に所在する浜中2遺跡の調査を継続し、アイヌ民族文化形成過程を考古学的に検証できる資料の蓄積に取り組んだ。特に調査区南側においては、遺跡上層部の堆積層が撹乱されずに良好に残されていることが判明した。層位的にオホーツク文化終末期の元地式土器、擦文式土器が出土している。その上層では、アワビ貝集積遺構が確認された。このアワビ貝集積遺構からは、人為的に変形されたマキリやマレック、船釘など鉄製品が出土している。年代的には、近世江戸期から明治初頭に遡ることが出土資料から推定される。集積されたアワビ貝には、金属製のヤスで刺突した際に開けられた断面四角形の穴が確認できる。アワビ貝の集積遺構は、層位差があることが確認でき、アワビ貝の採集がかなりの幅の持って連続的に行われたことが確認できた。2017年度に出土したオホーツク文化期初頭に属する墓から出土した女性遺体については、形質人類学的な初見が得られ、古代DNA解析も進められている。今後は、DNAの解析を進め、集団系統論からもアイヌ民族の形成過程や、オホーツク文化集団との関係を明らかにする資料の蓄積を図る予定である。民族形成過程に関する理論的考察としては、同時期のヨーロッパにおける集団移住と文化的統合がその後の民族形成に果たした影響について海外の研究者との意見交換を進め、議論を深めた。北海道においても歴史的アイヌ文化に先行するオホーツク文化や擦文文化の成立の背景に集団移住や隣接集団との接触があることが指摘されてきた。本研究では、移住・適応・文化的統合を具体的な事例に即して、理論的検証を進めている。地域集団の動態の背景には、隣接する国家などの政治社会的な動きや、経済交流の影響も大きく、今後検証していく必要がある。
著者
小野 光徳 佐藤 孝雄 黒河 忠市 杉谷 成美 佐藤 尚也 入江 春雄
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.27-31, 1969-04-25 (Released:2011-08-11)

Photographic sensitive layer should produce sufficient density with the least layer thickness. In order to satisf y this demand, gelatin must retain as much silver halide as possible dispersed in the emulsion. The limit of silver halide, dispersed colloidally without sedimentation, in a given quantity of gelatin may vary with gelatins.The authors propose “colloidal retentivity” as a measure of this protective colloid power of gelatin against silver halide in the photographic emulsion. Colloidal retentivity is so defined as to show 100% when emulsion grains are well dispersed without sedimentation, while the more sedimentation, the les colloidal retentivity.Two methods of the measurment of colloidal retentivity are introduced.Colloidal retentivity as depending on the ripening temperature, rotation speed of a stirrer, silverhalidegelatin ratio and gelatin characteristics are studied.Colloidal retentivity brings different information about the ripening as compared with the turbidity measurment. Colloidal retentivity during the ripening passes maximum and minimum points while turbidity increases monotonously.The graingrowth mechanism is discussed on these results.
著者
田村 芳明 柳澤 佳里 佐藤 孝治 盛合 敏
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.13-24, 2010-03-16

インターネット上で提供されるサービスの増加と高機能化に加え,PC サーバの小型化,高速化,低価格化により,企業では多数の PC サーバで構成された複雑なシステムのコスト削減とリソースの有効利用が求められている.この課題を解決するために,仮想マシンを利用して,1 つの物理マシン上に複数のサーバ機能を統合することが検討されている.しかし,ハードウェア障害発生時にサービスを継続するためには,特殊なハードウェア,アプリケーションや OS に依存しない,可用性の高い構成が必要である.本論文では,仮想マシン間の同期による耐故障クラスタリング技術,Kemari について述べる.Kemari は,アプリケーションや OS に依存しないで,障害発生時にサービスを継続することができる.Kemari を仮想マシンモニタである Xen に実装し,実験を行ったところ,運用系の電源断といった障害でも,アプリケーションや OS が待機系で透過的に継続できることを確認した.
著者
佐藤 孝幸 中川 隆雄 仁科 雅良 須賀 弘泰 高橋 春樹 出口 善純 小林 尊志
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.12, pp.941-947, 2009-12-15
参考文献数
19
被引用文献数
1

カフェインは嗜好品の他,感冒薬や眠気予防薬として普及しているため,過剰摂取が容易である。大量服用から致死的中毒を来した2症例を救命した。〈症例1〉34歳の女性。市販感冒薬を大量服用後,心室細動から心静止状態となり救急搬送された。感冒薬成分中の致死量のカフェインが心肺停止の原因と考えられた。〈症例2〉33歳の男性。自殺企図にて市販無水カフェイン(カフェイン量24g)を内服,嘔吐と気分不快のため自らの要請で救急搬送となった。いずれも大量のカフェイン急性中毒例で,薬剤抵抗性の難治性不整脈が特徴であった。早期の胃洗浄,活性炭と下剤の使用,呼吸循環管理により救命することができた。とくに症例2では,早期の血液吸着により血中濃度の減少と症状の劇的な改善を認めた。これは血液吸着の有用性を示す所見と考えられる。