著者
木造 利徳 近藤 邦雄 佐藤 尚 島田 静雄
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.44, pp.317-318, 1992-02-24
被引用文献数
1

人間の感性を表現したデザイン画は、人間の価値観や個性によって、多次元的な意味も含んでいる。デザイン画の持つ感性を失うことなく分類整理し、デザイン画作成時に再利用できる画像データベースを構築することが、大量の画像を利用するために望まれている。埼玉県繊維工業試験場には、保有する昔からのデザイン画が、約3000以上も存在する。これらをこれからのデザインの作業に生かすために、デザイン画の分類法を確立し、検索システムを構築することが求められている。デザイン画に対するイメージというのは千差万別であり、一概にこれと決めつけることができない。しかしながら、詳細は違っても大局的な部分で、類似した印象・イメージを感じることができる。本研究では、感性言語とデザイン画の関係を明らかにし、人によって感じ方が異なる曖昧性を持った感性言語による画像検索法を提案する。これによって、多くのデザイン画の中から、イメージにあったものを容易に抽出することができ、デザインの支援になると考えられる。
著者
足立 吉隆 森戸 茂一 佐藤 尚
出版者
独立行政法人物質・材料研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

マルテンサイトパケットは互いに複雑に入り組んでいること、その界面は特定の晶癖面を持っていること、またブロックも入り組んだ構造を持っていることが明らかとなった。すべてのブロックは旧オーステナイト粒界に接していた。さらに、三次元像の定量化を位相幾何学および微分幾何学の観点から行うに当たって、種数、オイラー評数、ガウス曲率、平均曲率といったパラメータを導入して、形態の定量化への可能性を検証した。その結果、これらのパラメータを使うことによって、複雑な実際の金属組織形態の定量化が可能であることを示し、今後の新しい3D定量材料組織学構築への布石となるものと期待される。
著者
諸原 雄大 黒田 章裕 近藤 邦雄 佐藤 尚
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.48, pp.267-268, 1994-03-07

人は装飾品や服などのデザインから、さまざまな印象を受け取る。その印象は、デザインにおける物理的な特徴によるところが大きい。人が印象を受けるときの、その基準となる物理的特徴は大きく分けると色と形の2つになる。この2つの特徴の印象が重なり合い、総合的な印象を決定づけると考えられる。感性工学の分野においては、この物理的特徴と印象との関係を求めることが一つの課題となっている。本研究の目標は、デザイン画における配色と、その印象を表すイメージ語との関係を求めることである。イメージ語はアンケート調査を行なうことにより求めた。デザイン画像の配色は、イメージ・カラーとして画像から抽出した。このイメージ・カラーとは、デザインにおいて用いられている色のうち、特に印象に影響の与える度合が強い色とその組合わせのことである。この2つの結果からデザイン画におけるイメージ・カラーとイメージ語グループとの関係について考察を行なった。以下、本論文では、第2章でアンケート調査について、第3章でデザイン画像からのイメージ・カラーの抽出法を提案する。第4章で配色とイメージ語の関係について考察を行なう。
著者
児玉 安正 佐藤 尚毅 二宮 洸三 川村 隆一 二宮 洸三 川村 隆一 吉兼 隆生
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

亜熱帯域には3つの顕著な降水帯(亜熱帯収束帯)があり,梅雨前線帯はそのひとつである.本研究では,各収束帯の生成メカニズムについて研究した.SACZ(南大西洋収束帯)について,ブラジル高原の影響をデータ解析と数値実験の両面から調べた.亜熱帯ジェット気流の役割に関連して,ジェット気流に伴う対流圏中層の暖気移流と降水の関係を論じたSampe and Xie(2010)仮説が梅雨前線帯だけでなく,SACZとSPCZ(南太平洋収束帯)にも当てはまることを示した.梅雨前線帯が南半球の収束帯に比べて向きや緯度が異なることについて,黒潮の影響を論じた.
著者
尾形 薫 八代 将慶 佐藤 尚 倉橋 明宏 近藤 邦雄
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.48, pp.1-2, 1994-03-07

我々は分散環境下でのオプジェクト指向言語の実装についての研究を行なっている。これはCSCWやグループウェア、CGなどの研究環境の整備を目的として行なわれており、この環境に対しては、ネットワークに関する深い知識なしに分散プログラムを記述できること、という要求があった。ORCHESTRAはSCORE言語とその実行系からなるシステムである。SCORE言語はクラスオブジェクトとメメソッドを記述することができるオブジェクト指向言語で、単一継承を許している。ORCHESTRAではメソッドは並行に動作でき、メッセージはブロックされることがない。クラスツリーは分散環境全体で唯一つしか存在しない。また、ORCHESTRAは複数者利用を前提にしているため、オブジェクトやメソッドに所有者と権限の概念が導入されている。類似する分散オブジェクト環境としてはArgus、分散化したSmalltalk-80などがあげられるが、Argusは弱い意味でのオブジェクト指向言語であり継承などの機能を備えておらず、また、Smalltalk-80は基本的に単一利用者での使用が前提になっているため、複数利用者が使用した場合の所有権の問題が生じる、などの点でORCHESTRAと異なっている。
著者
望月 義典 近藤 邦雄 佐藤尚
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.1148-1155, 1999-03-15
被引用文献数
2

本論文では 三次元形状の理解を容易にする画像を生成するエッジ強調描画手法について述べる. 形状特徴の誇張や陰影の強調など 画像に対するさまざまな強調によって 従来のリアリティの高い画像の生成方法に比べて 対象物の形状や質感などの情報を分かりやすく表現することができる. 特にエッジは 形状把握のうえで重要な存在である. 本研究では 三次元形状モデルに対して エッジをその構造的な特徴ごとに分類し 特徴に合わせてエッジの幅や色の情報を指定して描画する方法を提案する. 従来のエッジ描画手法では エッジの幅や色を自由に指定して描画することは困難であったが 提案手法により短時間で容易に描画を行うことができるようになった.We introduce a series of graphics algorithms which generate images so as to emphasize their three dimensional characteristics. Compared with photorealistic rendering, shape features can be readily understood if certain geometric properties are enhanced. Especially, edge enhancement is an important technique to understand shape features. We propose a new edge drawing technique for 3-D shapes that classifies edge by structural features and can specify properties of edges such as width and color. In traditional way of drawing egdes, it is difficult to specify properties of edges. Our method can draw edges more quickly and easily.
著者
山口 正隆 畑田 佳男 佐藤 尚
出版者
日本自然災害学会
雑誌
自然災害科学 (ISSN:02866021)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.255-270, 1995-01-31
被引用文献数
3

Waves in the Western Pacific Ocean and at selected points along the Pacific coast of Japan are hindcasted for 118 typhoons from 1940 to 1991 by use of two kinds of spectral wave prediction models. The maximum wave height at each point is estimated during a typhoon. These new maximum wave height data are added to those in the concerned area for 125 typhoons from 1934 to 1983 obtained by Yamaguchi et al. to make a longer data set of maximum wave heights caused by a total of 243 typhoons from 1934 to 1991. Spatial distribution in the Western Pacific Ocean of the most extreme wave height and wave height for return period of 1OO years, and their variations along the Pacific coast of Japan, are re-estimated on the basis of statistical analysis of the data and compared with the results of Yamaguchi et al. By adding the new data, the main conclusions obtained by Yamaguchi et al. are still valid except for the data in the Western Kyushu coast.
著者
川上 彰二郎 花泉 修 佐藤 尚 大寺 康夫 川嶋 貴之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-I, エレクトロニクス, I-光・波動 (ISSN:09151893)
巻号頁・発行日
vol.80, no.6, pp.296-297, 1997-06-25
被引用文献数
20

2種類の透明媒質からなるサブミクロン周期3次元構造を初めて作製し, 光学的に観察した結果について報告する. 材料系はSi(n=3.26) とSiO_2(n=1.46) であり, バイアススパッタリング法によって凹凸パターンを保存しながら積層することができた. 3次元周期構造部分のパスバンドとストップバンドが1次元のみの周期構造部分に対して大きく変化している様子が確認された.
著者
大谷 眞二 山本 直子 佐藤 尚喜 松波 馨士 岡本 幹三 黒沢 洋一
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.185-191, 2012 (Released:2012-07-18)
参考文献数
12

終末期がん患者における輸液量と呼吸困難・気道分泌との関連性を明らかにすることを目的として後ろ向き研究を行った. 悪性新生物により死亡した138例を対象とし, 死亡前1週の輸液量1,000 ml/日以下の少量群85例と1,001 ml/日以上の多量群53例に分けて呼吸困難と気道分泌の有無を比較した. また, これらの症状に影響のある因子を多変量解析で求めた. 呼吸困難と気道分泌は多量群の64.2%, 52.8%にみられ, 少量群(32.9%, 15.3%)と比較して有意に高値であった. 呼吸困難に関連していたのは肺病変(オッズ比3.55), 輸液1,001 ml/日以上(3.54), オピオイド投与(0.40)で, 気道分泌では肺病変(7.29), 輸液1,001 ml/日以上(4.43), 食事摂取(0.31)であった. 過量な輸液が呼吸器症状に影響を及ぼすことが示唆され, 1,000 mlを超えない輸液が1つの目安と考えられた.
著者
鈴木 英二 島田 静雄 近藤 邦雄 佐藤 尚
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.50, pp.185-186, 1995-03-15
被引用文献数
3

本研究の目的は句読点、特に読点の最適な配置ルールを提案し、それを計算機上で実現することである。わかち書きをしない日本語文章にとって、句読点の役割は大きい。しかし、句読点の用法、特に読点の用法は著者に一任されているのが現状である。熊野らは、英日機械翻訳システムで自然な日本語を生成するための句読点の挿入基準を提案した。しかし、この方法では英文中の単語数を利用するため、基本となる英文が必要である。本研究では、従来の句読点の用法を改めて調査した。そして、読点と読点で区切られる文字列の長さに注目した読点の挿入規則を提案する。なお研究対象を漢字仮名混じりの科学技術論文に限定した。また、なるべく簡単な形態素解析で処理を進めていくことを目標としている。
著者
佐藤 尚毅
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2002

日本周辺での気圧偏差場の解析によって抽出された,盛夏期の天候と関係する偏差パターンである,「亜熱帯ジェット上の定常ロスビー波列」と「オホーツク海高気圧の出現に関連する偏差パターン」の2つについてその力学的な特性を調べた.このうち亜熱帯ジェット上の定常ロスビー波列は,これまで日本の南海上での対流活動に対応して現われるとされてきた北太平洋上のロスビー波列を含んでいるが,統計的にはむしろヨーロッパ付近から日本を経て北アメリカまで伝播する一連の定常ロスビー波列として認識できることが分かった.ヨーロッパ付近での出現には,基本場から偏差場への順圧的運動エネルギー変換が関係していることを確かめるとともに、日本の南海上での対流活動に対応した出現に関しては,線形化されたプリミティブモデルを用いることにより,基本場の東西非一様性が応答の符号や形状を決めるうえで本質的な役割を果たしていることを明らかにした.「オホーツク海高気圧の出現に関連する偏差パターン」については,気侯場を基本場として線形化した順圧モデルを作成し,線形定常応答問題を解いた.各々独立で北半球に一様に分布する渦度強制について応答パターンをそれぞれ計算したところ,オホーツク海高気圧に関連する偏差パターンが統計的に現われやすいことが分かったこの結果は,必ずしも特定の強い励起源が存在しなくても,ある特定の形をした偏差パターンが生じやすいということを示している.より狭い空間スケールでの陸面過程,海面過程とに関連の例として,関東平野における海陸風循環に対する人工排熱の影響と,熱帯域での対流活動に対する力学的応答として生じる盛夏期の北太平洋上での亜熱帯前線帯について調べた.前者に関しては,大規模場が特定の形になっている場合に限って人工排熱の大気への影響が極端に大きくなることを,数値実験によって明らかにした.これはこれまでに報告されている経験的事実と整合的である.後者に関しては,これまでの梅雨前線帯を亜熱帯前線帯とみなす考え方に対して,むしろ梅雨明け後に日本の南海上に前線帯が見られ,この前線帯の力学的構造が典型的な亜熱帯前線帯を一致することを観測データの解析によって確かめた.相当温位の勾配が逆転している点が特徴的であるが,このことは逆に,相当温位の勾配の方向と関係なく,熱帯域での対流活動に対する力学的応答として亜熱帯での降水帯が形成されることを示している.
著者
川上 彰二郎 大寺 康夫 佐藤 尚 花泉 修 ペンドリー J.B. ラッセル P.st.J.
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

1.偏光分離素子の高性能化単位セル構造の最適化により,消光比,動作波長域,斜入射特性を改善した。また,ARコートにより反射損失を低減させることにより,挿入損失を低減した。2.可視域フォトニック結晶の創生TiO_2/SiO_2を用いた可視域フォトニック結晶を作製した。さらに,これを用いて,複屈折性を利用した波長板や回折格子型偏光分離素子を試作し,動作を確認した。3.バンドギャップ拡大の研究自己クローニング法による変調杉綾と垂直孔形成により,完全バンドギャップが得られることを理論的に示した。さらに,これを実現するために反応性エッチングを含んだプロセスを提案し,原理的に可能であることを実験により示した。4.新しい導波路構造の提案・設計・解析新たに,格子定数・格子方位変調型の導波路構造を提案し,設計、解析を行い,その構造の有効性を確認した。これらは,自己クローニングのみで面内導波路が形成できるという利点を持つ。5.機能性材料とフォトニック結晶の複合技術の開発研究II VI族及びIII V族化合物半導体として,それぞれCdS,InGaAlAs系半導体を自己クローニング型フォトニック結晶と複合させるプロセスを開発し,発光特性の評価を行った。
著者
佐藤 尚弘
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2001

1.光硬化型ペースト陶材の開発本研究のスタートは,光硬化性のリキッド(マージンポーセレンPLC、(株)ジーシー)をペースト陶材に混和して用いる方法であったが,これではペーストの稠度が変化し、賦形性が悪くなった。また,この液を大量に用いた場合には焼成後の灰分残留が大きな問題となった。ペースト陶材は元々焼成時に有機成分の抜けが悪く、その分灰分残留に一層の拍車をかける結果となった。以上の理由から、新たに光硬化型ペースト陶材そのものを開発する方向に転換し,現在試作ペーストを作製して実験を行っているが、操作性の優れたペーストの完成にはいま少し時間が必要である。2.ペースト陶材とオールセラミックスを用いた審美修復法の開発金属焼付ポーセレン用に開発したペースト陶材を,オールセラミックスに応用できれば審美性に優れた修復物の簡便な作製が可能となる.そこで,2種類のオールセラミック試片(In-Ceram Alumina.In-Ceram Spinell)にペースト陶材をレヤリングし,その強度を粉末陶材でレヤリングしたものと比較検討した.ISO 6872:1995 Dental Ceramicsに準じて3点曲げ試験を行った結果,ペースト陶材は従来型の粉末陶材よりもわずかに高い値を示した.このことからペースト陶材がオールセラミックスのレヤリングに有効である事が示唆され,2003年6月にスウェーデン・イエテボリのIADRにおいて,Flexural Strength of All Ceramics Layered with Paste Porcelainの題名で発表した。現実的な審美修復法としてメタルフリーのオールセラミックスにペースト陶材をレヤリングするのが適切であると結論されたが、光硬化性ペースト陶材も開発の可能性が十分確認されたことから、引き続き本研究を継続する予定である。
著者
辻 延浩 佐藤 尚武 宮崎 総一郎 大川 匡子
出版者
滋賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

小学校の系統的な睡眠学習カリキュラムを構築することを目指して, 教材を開発するとともに, 睡眠学習プログラムを作成して実践化を試み, その有効性について検討した。さらに, 開発した睡眠学習教材をデジタルコンテンツ化し, 学校園の授業や校内研究会等で活用できるようにすることを目的とした。得られた結果の大要は以下のとおりである。(1) 現行の小学校体育科の保健領域(3~6年生)の指導内容に沿って睡眠の科学的知見を位置づけ, 発達段階をふまえた系統的な睡眠学習教材を作成した。睡眠学習における児童の評価は, 3年生と4年生では, 授業の楽しさ, 内容の理解度,生活への活用度,教具の適切度ついてほぼ全員から「大いにある」または「まあまあある」の評価が得られた。5年生と6年生では, 中学年に比べて「あまりない」あるいは「まったくない」とする児童の数が多少増えているものの, 多くの児童から高い評価が得られた。授業者および授業観察者の評価では, 提示した資料の説明の仕方でいくつかの改善点が指摘されたが, いずれの学年の授業においても, 児童が睡眠の科学的知見を通して, 自分の睡眠生活を見直したり, 再発見したりしていたことが高く評価された。これらの結果から, 開発した教材およびプログラムは, 児童に睡眠の大切さに気づかせるとともに, 睡眠に関する知識を深めることができると考えられた。(2) Web教材は, 「睡眠科学の基礎」, 「健やかな体をつくる睡眠6か条」, 「快眠に向けて補足6か条」で構成させた。Web教材に対して質問紙調査(5段階評価)を実施した結果, 画像等に関わる項目の平均得点は3.9~4.3の範囲にあり, 内容等に関わる項目の平均得点は3.8~4.5の範囲にあった。Web教材の改善に向けては56件の具体的な指摘を受けた。これらをふまえて, リンクのはり方, 図の色調, 図中の文字, カット図の挿入について改善を加えた。
著者
田瀬 和浩 佐藤 尚親 田村 健一 眞田 康治 小松 敏憲
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.249-256, 2008-10-15
被引用文献数
1

海外で育成されたフェストロリウム13品種の越冬性を,多雪・非土壌凍結の北農研と寡雪・上壌凍結の根釧農試で2か年評価したところ,「Prior」はメドウフェスクの「ハルサカエ」と同程度に,「Felina」はペレニアルライグラスの「ポコロ」と同程度に越冬性に優れた。それ以外の品種は「ポコロ」よりも越冬性が劣った。また越冬性に関与する耐凍性と雪腐病抵抗性について自然および人為環境条件下で評価したところ,「Prior」は耐凍性よりも雪腐病抵抗性に優れ,逆に「Felina」は雪腐病抵抗性よりも耐凍性に優れることが明らかになった。既存フェストロリウム品種の中にメドウフェスクと同程度に越冬性あるいは耐凍性に優れる品種が認められたことから,冬期気象条件の厳しい道東でも利用可能なフェストロリウム品種の育成は可能と考えられる。