著者
佐藤 真人
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.81, no.2, pp.359-383, 2007-09-30 (Released:2017-07-14)

神仏隔離の意識ははやく『日本書紀』の中にも認められており律令神祇制度の形成期から神道の独自性を支える要素であったと推測される。神仏習合が頂点に達した称徳朝に道鏡による宇佐八幡宮託宣事件が王権の危機を招いたことにより神仏隔離は一層進展した。天皇および貴族の存立の宗教的根拠である天皇の祭祀の場において仏教に関する事物を接触させることは、仏教的な国王観の受容を許すことになる。そこに神仏隔離の進展の大きな要因があった。さらに九世紀には『貞観式』において、朝廷祭祀、とりわけ天皇祭祀における隔離の制度化が達成された。この段階では平安仏教の発達によって仏教が宮中深く浸透したことや、対外危機に起因する神国思想が作用したと考えられる。平安時代中期以降は、神仏習合の進展にもかかわらず、神仏隔離はさらにその領域を広げていった。後世の展開を見ると神仏隔離は天皇祭祀の領域に限られるものではなく、貴族社会に広く浸透しさらには一般社会にも規範として定着していき今日の神道を形作る大きな要因となった。
著者
上田 鼓 藤田 悟郎 栁田 多美 貝瀬 千里 佐藤 真奈美
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究
巻号頁・発行日
vol.87, no.6, pp.569-578, 2018
被引用文献数
6

<p>This study examined the risk factors for mental health problems and complicated grief in bereaved families using a nationwide sample of 453 Japanese adults who had lost a family member to a motor vehicle accident within three years. The results indicate that 31.0% of participants had K6 scores > 13 and 61.0% had ICG (Inventory of Complicated Grief) scores > 26. A higher K6 score was associated with secondary victimization and support seeking, whereas a higher ICG score was associated with the death of a child. Dispute over the liability for the accident and the resulting anxiety, measured by the Japanese version of ECR (Experiences in Close Relationships), were common predictors of higher K6 and ICG scores. The results suggest that complicated grief is more dependent on the circumstances of the death, whereas mental health problems are more affected by a participant's coping after the death, implying that effective support and interventions are necessary for mental health problems and complicated grief after a violent death.</p>
著者
佐藤 真海 高島 三幸
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネスassocie (ISSN:13472844)
巻号頁・発行日
vol.7, no.18, pp.70-75, 2008-08-19

1982年宮城県生まれ。サントリー キッズプログラム推進室所属。陸上競技走り幅跳びパラリンピック選手。仙台育英学園高校から早稲田大学商学部を経て、2004年同社に入社。早稲田大学応援部チアリーダーズで活躍していた2002年に骨肉腫のために右足膝下を切断。退院後、走り幅跳びを始める。2004年アテネパラリンピックで自己ベストを記録し、9位(3m95)。
著者
佐藤 真理子 熊谷 伸子 小出 治都子
出版者
文化学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

袴は,前後2枚の台形状の布を縫製した構造で,腰部と脚部を覆い,前布の襞,後布の腰板,前後二重に締める紐を特徴とする和服の一種である.本研究では,袴を,日本発のクールなファッションとして広く世界に発信することを目指し,市場に関する現状調査,マンガにおけるイメージ分析,日本と海外での意識調査,機能性・快適性評価,伝統的所作における役割分析を行った.その結果,袴は,新しい和のモードとしての可能性を有する.着心地の良い機能的な民族衣装であることが明らかとなった.
著者
佐藤 真理子 齋藤 紘野 田村 照子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 63回大会(2011年)
巻号頁・発行日
pp.124, 2011 (Released:2011-09-03)

【目的】日本舞踊の伝統的所作である「振(ふり)」は,日本舞踊特有の身体動作であり,舞踊表現の基本的要素として伝承されてきた.本研究では,「振」のポーズと動きにおいて,男舞と女舞の所作の違いが,和服と人体の関係性にいかなる影響を及ぼすか,明らかにすることを目的とした.【方法】被験者は現代日本舞踊T流師範を持つ22歳の女性2名.着装条件は通常の稽古時と同様,浴衣・半幅帯・足袋・下着(キャミソール・スパッツ・和装用ブラジャー・ショーツ).測定動作は,(1)「束(そく)」;両足を揃えてまっすぐに立つ,(2)「座り」;片膝を付いて座る,(3)「入れ込み」;片足の爪先の前に反対の足を入れ込んで置く,(4)「姿見」;袖を胸に当て自分の姿を見る,(5)「振り返り」;片方の肩を引いて振り返る,(6)「かけ回り」;片足を軸足にかけるようにして身体の向きを変える,(7)「すり足」;足をするように前に出し歩く,の7種の「振」とし,男舞と女舞で踊り分けた.測定項目は,(1)~(5)の静止時の衣服圧と重心動揺,及び(1)~(7)の動作時の筋電とした.【結果】重心動揺では,「姿見」において女舞の総軌跡長の値が大であった.女舞は,男舞に比べ腰を落とし膝を曲げるため,姿勢の保持が難しいと考えられる.筋放電量では,男舞で前脛骨筋と大腿直筋,女舞で腓腹筋と大腿二頭筋の値が大であり,女舞で脚部の背面の筋をより使う傾向が明らかとなった.衣服圧では,女舞の所作において,身体をねじる,腰を落とす等,女らしさを強調する曲線的な動きをとるため,総じて値の大きい傾向が示された.
著者
佐藤 真人
出版者
關西大学經済學會
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.105-128, 2011-03-10

本稿は、資本主義的蓄積の敵対的性格の一側面の分析として、戦後日本の資本主義的発展に伴う資本利益率格差の推移に実証面から第一次的に接近する。資本利益率は、経済学において伝統的な利潤率とは区別されるが、企業経営分析では一般的であり、当事者の意識により近い点で独自の意義を持つ。また資本利益率の中では、総資本営業利益率、税引き前当期純利益率、及び自己資本営業利益率に注目する。さらに自己資本営業利益率との関係で登場する自己資本比率(=資本/資産=1-負債/資産)、及びその格差にも触れる。 本稿の設問を直裁に表すと、戦後日本の資本利益率、及びその格差は、どのように推移しているか。またそれらは資本主義的発展と、どの様な相関があるかということである。この観点からの観察と分析の結果、資本利益率(及び格差)と経済全体の資本主義的発展を表す諸変数との間に多少の条件付で強い負の相関関係が確かめられる。その単純化した経済的意味は、経済全体の資本主義的発展が急速な時期は資本金規模別資本利益率 格差が縮小する(逆は逆)ということである。
著者
菊地 敬夫 犬井 正男 佐藤 真知子 吉村 作治 矢澤 健
出版者
東日本国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究課題の対象となったアムドゥアト書は、エジプト・アラブ共和国、王家の谷にあるアメンヘテプ3世王墓の埋葬室の壁面を飾る葬祭文書である。このアムドゥアト書をありのままに示す高精細デジタル画像の作成のための研究を重ね、壁面ごとに高精細デジタル画像としてビューアで表示し、詳細な観察が可能となった。このような画像を利用して、アムドゥアト書の壁面への筆写の手順について解明した。さらに、アメンヘテプ3世王墓のアムドゥアト書の翻字と邦訳を、デジタル画像を参照しつつ、古代エジプト語の章句の構成ルールを踏まえておこなった。同王墓のアムドゥアト書を底本とする翻字と翻訳は、世界初となるものである。
著者
武 小萌 佐藤 真一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.76, pp.119-124, 2011-05-30

近年,記憶装置の大容量化に伴い,大規模の放送映像を蓄積して利用できるようになりつつあり,なかでもCMは,地上波民間放送において全放送時間における20%の比率を保有している.放送映像解析や市場調査等の分野には,蓄積された膨大な放送映像アーカイブからCMを効率的且つ効果的に検出・同定する技術が求められる.本研究は,超高速の二段時間的共起ハッシュアルゴリズムを提案し,CMの大規模放送映像アーカイブからの検出・同定を目指す.1か月間のアーカイブに対する処理時間がわずか42分であった提案手法は,98.1%の検出精度と97.4%の位置特定精度を達成した.また,検出された大量のCMにおける経時分布を可視化することで,広告市場に関する潜在的知識の発見を可能にする新たなアプリケーションを紹介する.本アプリケーションは,4か月間5チャンネルという莫大の量の放送映像へ提案手法を適用した結果をもとにしたもので,提案手法の実用性とその知識発見への高い応用可能性を実証した.
著者
佐藤 真由美 佐藤 禮子
出版者
亀田医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

【目的】婦人科がん患者が,治療後リンパ浮腫予防のためのセルフ・マネジメント(S・M)を促す教育的介入プログラムを開発,評価.【方法】封筒法で無作為比較試験を実施.6ヵ月後1.浮腫状況,2.健康問題対処,3.自己効力感,4.S・M行動を検討.【結果】5施設109名に実施.介入群38名(回収率68%),対症群33名(回収率62%).1.浮腫状況:リンパ浮腫診断者は,対象群が介入群より有意に多かった.2.健康問題対処:対象群が介入群より有意に低かった.3.自己効力感:有意差は無かった.3.S・M行動:対象群が介入群より有意に低かった.【考察】リンパ浮腫予防のS・M効果を顕著に示していた.
著者
佐藤 真治 荒尾 孝 田中 史朗 田城 孝雄 都竹 茂樹 大槻 伸吾
出版者
大阪産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

「歩いて暮らすまちづくり」条例の施行が住民の身体活動量とソーシャルキャピタル(SC)に及ぼす変化を検証した。市内4モデル地区の成人389名を対象に、条例制定直後と1、3年後にアンケートを実施した。身体活動量の測定にはPhysical Activity Indexを用いた。SCとして、付き合っている人の数、地域への信頼、社会参加の程度などを求めた。身体活動量は、1年目に全ての地区で増加したが、3年目には低下傾向を認めた。SCは、地域への信頼(時間の効果:p<0.05)が高まった。
著者
佐藤 真史 穴田 浩一 堤 正義
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2013論文集
巻号頁・発行日
pp.110-113, 2013-11-01

囲碁の局面評価には様々な種類があり,そのために用いる特徴も同様である.一局を通して利用できる評価関数の構築には,それらを同じ形式で表せる必要がある.本論文で提案する評価写像の一般形のモデルである戦術写像は,xy 座標表現や石同士の相対位置,また連のダメ数など多岐にわたる特徴をグラフ理論の価数などを用いることで同一の演算で表現する.さらに,そのモデルの応用の一つとして,特徴の自動生成アルゴリズムを構築し,その有用性を検証する.