著者
佐藤 真紀
出版者
慶應義塾大学大学院法務研究科
雑誌
慶應法学 = Keio law journal (ISSN:18800750)
巻号頁・発行日
no.35, pp.205-231, 2016-08

論説1 はじめに2 分野特殊的な規制と競争法3 「よりよい規制」(Better regulation) (1) アクセスにかかる規制 (2) 対称規制(電子通信事業者一般に課される義務) (3) 非対称規制(SMP事業者に課される義務)4 電子通信市場における競争法の適用 (1) マージン・スクイーズ (2) 不可欠施設の法理とアクセス義務5 競争法による電子通信規制の見直し6 競争促進政策としての電子通信規制 (1) NGA(次世代アクセスネットワーク)政策 (2) 新たな対称規制(フランスの「建物事業者」に課される義務)7 おわりに
著者
佐藤 真治 横井 豊彦 都竹 茂樹 大槻 伸吾
出版者
大阪産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

【目的】人口減少社会の到来による社会保障制度の劣化を回避する処方箋の一つがソーシャルキャピタル(人のつながり、地域への信頼、社会参加)の向上である。我々は地域に歩く人が増えると、社会参加する人が増えることを確認した。一方で、身体活動増進の地域介入に経済的インセンティブを用いた戦略は、効果が限定的であった。そこで、本研究ではソーシャルネットワーク・インセンティブ(おつき合いやお互いさまの規範)を活用して、地域に歩く人が増え、ソーシャルキャピタルを向上するかどうか検証した。【方法】対象者は、65歳以上の女性44名(平均年齢72±6歳)とした。対象を無作為に割付し、経済的インセンティブのみの経済的インセンティブ群23名とソーシャルネットワーク・インセンティブに経済的インセンティブを加えたSNWインセンティブ群21名に分けた。介入期間は3ヵ月間であった。経済的インセンティブ群は、一カ月ごとの歩数が平均8,000歩以上の場合は700円/月分、1日の歩数が平均5,000歩以上の場合は500円/月分のクオカードと引き換えられるようにした。SNWインセンティブ群は、3人1組でウォーキングを実施した。最低週に1回は3人で歩く機会を持ちお互いの歩数を確認する。クオカードに関しては、経済的インセンティブ群と同様とし、チームのうち1名が目標歩数を達成すれば他のメンバーにも報酬がもたらされるようにした。【結論】地域における身体活動増進の介入として経済的インセンティブにソーシャルネットワーク・インセンティブ(おつき合いやお互いさまの規範)を加えると、身体活動量のみならず地域への信頼を高める可能性が示唆された。
著者
宗形 敦樹 佐藤 真平 中原 啓貴
雑誌
研究報告システムとLSIの設計技術(SLDM) (ISSN:21888639)
巻号頁・発行日
vol.2019-SLDM-186, no.4, pp.1-6, 2019-01-23

画像認識の分野で広く利用されている畳込みニューラルネットワーク (CNN : Convolutional Neural Network) は重みの数や乗算数が多いという問題がある.これらを解決するため,本論文では雑音付加と point-wise (1 x 1) 畳込みを組み合わせた雑音畳込み層を用いる.既存研究の解析から,雑音畳込み層だけでは入力データは偏っているため認識精度が低下することが判明している.本論文では,k 層までを既存の畳込み層で実現し,k +1 層以降を雑音畳込み層で実現する Noise Convolutional Neural Network (NCNN) を提案する.これにより,大部分の畳込み層を 1 x 1 畳込み層に換えることで重みの数と乗算数を削減しつつ,雑音を加えることで認識精度劣化を抑えることができる.NCNN と既存 CNN の認識精度とパラメータ (重み) 量の比較を行った.CIFAR-100 データセットに関して,AlexNet ではパラメータを 88%,ResNet - 18 では 96.2% 削減できた一方,認識精度に関しては AlexNet では 2.2%,ResNet - 18 では 1.8% に抑えることができた.また,本論文では提案する NCNN を効率よく実行するアーキテクチャについて述べる.NCNN では k + 1 層以降は point-wise 畳込みのみ行われるため,複雑なメモリアクセスアーキテクチャは不要であり,単純かつ高速なアーキテクチャで実現可能である.提案 NCNN を Xilinx 社 ZCU102 FPGA 評価ボード上に実装した結果,クラス分類タスクに関しては Binary CNN と比較して同程度の速度を達成しつつ,認識精度が約 10% 優れていた.
著者
佐藤 真樹 小山 一直 鈴木 康吏
出版者
一般社団法人 火力原子力発電技術協会
雑誌
火力原子力発電大会論文集 (ISSN:2187929X)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.1-5, 2017 (Released:2017-06-12)
参考文献数
4

東北電力(株)新仙台火力発電所は,経年化が進んだ既設1・2号機を廃止し,新たに3号系列として高効率コンバインドサイクル発電設備へリプレースを行った。本工事では,当社がこれまで培ってきた技術を活かした更なる高効率化を図り,熱効率60.9%(LHV基準)を達成した。また,東日本大震災における被災経験を踏まえて自然災害に強い発電所づくりを進めた。
著者
山川 肇 佐藤 真行 杉浦 淳吉 福岡 雅子
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.2-2, 2010

本稿では、販売包装に関する小売事業者の2Rの取り組みとして肉の袋入り販売を取り上げ、その先進事例の実態と容器包装の発生抑制効果について考察した。その結果、1)袋売りの対象となる肉はさまざまであり、袋の種類も事業者により違いがある、2)手間の増加があるという店舗もあったが大きな問題となっておらず、一方、コスト減や顧客増のメリットも見られる、3)鶏・モモ肉の場合、袋入りの売上割合は15~30%であり、すでに一定程度、消費者に受容されている、4)買うことはあるが毎回は購入しない主な理由は、安売りのときだけ買う、まとめ買いのときのみ買う、売り切れが多い、などであることがわかった。また5)今回の測定サンプルでは、真空パックを除き、袋包装の包装資材重量は2g前後、トレイ包装では6g前後となり、さらにごみ処理される包装ごみの削減率を試算したところ、1パックあたり6~52%となった。
著者
佐藤 真理子 伊豆 南諸美 熊谷 伸子 小出 治都子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.219, 2015 (Released:2015-07-15)

【目的】袴は、前後2枚の台形状の布を縫製した構造で、古くは神代における“穿裳(はきも)”から転じたとされ、日本書紀にも記載のある、和服の一種である。本研究では、伝統的所作時に袴着装の果たす役割を、生体データより検討し、運動機能性の観点から袴の再評価を目指す。【方法】実験1:被験者は健康な若年男子6名(20.0±1.2才、体育会剣道部所属)。実験着は袴、現代パンツ、下着(ブランク)の3条件とし、剣道の礼法に基づく所作時の重心動揺を計測した。実験2:被験者は健康な若年女子8名(22.6±1.8才、書道歴平均9年)。実験着は短パン、袴の2条件とし、正座及び椅座で、毛筆書字を行わせた。同一文字を同一スピードで書かせた際の、体幹と上肢の筋電図を計測した。【結果】実験1:剣道の試合前の姿勢として定められている蹲踞の際、袴着用時の重心動揺総軌跡長が小さい傾向を示した。実験2:毛筆書字における筋電図測定では、袴着用時の筋活動量が、脊柱起立筋で有意に小さかった。実験1,2より、伝統的所作時における袴着用が、身体の動揺を抑え、姿勢保持を補助する役割を果たしていると明らかになった。ウエストから腰にかけて締める前紐と後紐、腰部を後方から圧する腰板が寄与していると考えられる。なお本研究は、科研費26350082(基盤C:袴の機能性研究-世界に発信する”Hakama is cool”-)の助成を受けて行った。
著者
野牧央 佐藤真 藤波香織
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.89-90, 2014-03-11

近年普及しているスマートフォンは,従来の携帯電話と違い,画面を見ながらタッチして操作するので,ユーザが画面を注視し続けてしまう.それにより,駅ホーム上で歩きながらスマートフォンを操作することで線路へ転落する事故も発生している.線路への転落の防止策としてホームドアが挙げられるが,コストがかかることや,車両扉位置の相違による技術的課題から,未だ十分に普及していない.本研究ではユーザの線路への転落を防止するため,ホーム上の点字ブロックを用いて転落危険場面の検出を行う.スマートフォンのカメラから点字ブロックを認識し,端末の傾きを用いてユーザが立っている位置を推定し,転落危険場面にあるか判定する.
著者
津野田 賢伸 高田 雅士 秋田 庸平 田中 博志 佐藤 真琴 伊藤 雅樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RECONF, リコンフィギャラブルシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.451, pp.37-41, 2005-11-24
被引用文献数
31 7

動的に機能を変更可能なALUを二次元配列状に接続した演算セルアレイをベースとし, 各種ホストCPUと接続可能なディジタルメディア処理向け動的再構成プロセッサであるフレキシブルエンジン(Flexible Engine/Generic ALU array, FE-GA)を開発した.FE-GAは, 自由度の高い内部データ転送を可能とするクロスバネットワーク, 多バンクの演算用ローカルメモリに加え, コンフィギュレーションデータの効率的な2レベルの階層記憶とバックグラウンド転送, および自律的に動作するシーケンス制御を可能とする周辺機能モジュールを備え, 独立性の高いサブシステムとして動作することを特徴とする.
著者
佐藤 真基子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
哲學 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
vol.116, pp.41-55, 2006-03

投稿論文The terminology of anima and animus in Augustine seems to be floating. G. O'Daly says that anima and animus can apply without distinction of meaning to human soul, and he concludes that the two terms are employed interchangeably. But in "Soliloquia", Augustine distinguishes between these terms. In this dialogue, he first declares that he wants to seize animus by the intellect, but afterwards, what he investigates is not animus but anima. In this paper, I would like to point out that Augustine's use of animus contains the meaning of self, and this self is the subject that uses rational soul. Rational soul can be used both in good and bad way. According to Augustine, the good use of it leads the soul to the vision of God. Man can uses rational soul in good way when he searches only for God and himself. Searching for himself is a preparatory condition for knowing God. That can be furnished with fides, spes and charitas. Thus, these virtues are considered to be something divine in anima. Augustine distinguishes two sides of the soul by using the words animus and anima, the rational soul as the searching subject and the soul as a place where the searching subject can find God.
著者
佐藤 真人
出版者
関西大学
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.515-527, 2006-03-10

完全雇用の制約を受けず、投資需要が主要に状況を決定する成長過程について「賃金主導型成長」(wage-led growth)が資本主義の一形態として注目され、また教科書でも大きな扱いを受けている。賃金主導型成長の第一印象は逆説的である。そこで基本的なカレツキー型モデルに拠って賃金主導型成長とは何か、なぜそういうことが起るのかを考察する。賃金主導型成長が起る条件として投資関数の形は重要であるが、より重要なのは分析の基礎にある、いわゆる「費用の逆説」である。この逆説にとって投資関数のパラメタが時間的に変化しないという分析便宜上の仮定の役割は大きい。したがって「費用の逆説」の問題性が浮上する。「費用の逆説」の経済的メカニズム、さらにカレツキー・モデルの検討が必要である。
著者
佐藤 真理恵
出版者
美学会
雑誌
美學 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.44-57, 2008-12-31

A classical Greek noun, prosopon originally means both face and mask. This paper takes advantage of the reason why this term connotes both of them, which seem directly-opposed ideas by our means. Prosopon is consisted of prefix pros and noun ops, and signifies the thing towards etes literally. It is, to sum up, appearance as surface-front, and dislocates structure of binomial confrontation between face and mask. Nevertheless, it is also impossible to disregard the rest of prosopon which is beyond description in just an aspect above-mentioned of it. Because, prosopon which need the others and is given by the exterior, is fated to be read by someone confront, for indeed its character it is open for and exists in the exterior. And, from a point of view of the watching it, these surface prosopon is a field presence and absence crossing. However, in the other side, in the ancient Greek texts, the action that restores its primary mean as appearance has applied to a moment for conquer a fear of death. Anyway, different from a modern concept, prosopon in the ancient Greek is heteronomous, the face that could not but start from the character of surface-front.
著者
佐藤 真久 岡本 弥彦 五島 政一
出版者
日本環境教育学会
雑誌
環境教育 = Environmental education (ISSN:09172866)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.48-57, 2010-08-31
被引用文献数
1

"Sustainable School" in UK prepares young people for a lifetime of sustainable living, through its teaching, structures, and day-to-day practices. It is guided by a commitment to care: (1) for ourselves (our health and well-being); (2) for others, across cultures, distances, and generations; and (3) for the planet, both locally and globally. The school puts a high value on the well-being of its pupils and the school environment. Furthermore, it is also a great place to learn, where pupils can develop self-esteem and achieve higher standards. The DfES developed the National Framework for Sustainable School, with eight doorways (themes), i.e. food and drink, energy and water, travel and traffic, purchasing and waste, school facilities and schoolyards, inclusion and participation, local well-being, and global dimension, through which schools may choose to initiate or extend their activities. Along with this line, the authors introduce the aspects of "Sustainable Schools" led by the UK Government: (1) the implementation strategy and the national framework of UK Government; (2) ESD implications internalized in the activities. This paper describes possibilities and potentialities of Sustainable Schools, thier implications for the area of Formal Education in Japan, and some related research activities conducted by Gayford (2009) and Scott (2003, 2009).
著者
薩摩 雅登 竹内 順一 稲葉 政満 薩摩 雅登 横溝 廣子 古田 亮 佐藤 真実子 松村 智郁子 竹内 順一
出版者
東京芸術大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

東京藝術大学大学美術館では、明治期の音楽録音資料・蝋管を212本所蔵している。しかしながら、経年変化とカビにより保存状態が悪く、音楽資料としての価値を失いつつある。そのため、その保存体制として、アモルデン水溶液による蝋管の洗浄、収納棚やトランクの薫蒸、針接触方式のデジタル再録音機・アーキフォン(Archeophone)により124本の音源の再録音を行った。また、蝋管の基礎調査として、国内や海外の各機関や個人コレクターを対象としたアンケート調査および実地調査にて、収蔵環境や音源のデジタル化、蝋管の公開の手法、関連する最先端の情報を収集した。さらに、明治期の蝋管や蓄音機に関する新聞記事および広告を調査し、当時の社会状況を把握した。現在に至るまで断片的な研究しか行われていなかったが、本研究において、蝋管に関する情報を集約した。
著者
佐藤 真一 LIU HONG 佐藤 真一 LIU HONG
出版者
国立情報学研究所
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2023-03-08

2021年度には、証明可能な深層学習の枠組みについて検討を行う。次いで2022年度は、説明可能かつ頑健な深層学習の枠組みの検討を行う。最終年度である2023年度は、全体を総合し、証明可能・説明可能・効率的・頑健な深層学習の枠組みを構築する。その枠組みの実用性の検証のため、マルチメディア検索並びに人物再同定を対象として、この枠組みが実際に効果的に機能することを示す。
著者
岡 雄一郎 佐藤 真
出版者
大阪大学大学院 大阪大学・金沢大学・浜松医科大学・千葉大学・福井大学連合小児発達学研究科
雑誌
子どものこころと脳の発達 (ISSN:21851417)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.3-9, 2021 (Released:2021-10-14)
参考文献数
16

発達期の脳内において,様々な外的因子の影響を受けつつも,軸索の伸長やシナプスの形成といった過程が調和を保ちながら機能的な神経回路網が形成されることが,健やかなこころの育ちの基盤となる.我々の研究室では基礎的な回路形成の研究と共に,(1)巧緻運動に関わる回路の発達,(2)シナプス部における情報伝達に関わる仕組み,(3)母親のストレスと子どもの脳発達,という臨床とも関連の深い3つのテーマに取り組んでいる.本稿ではそれぞれの概略を冒頭で短く紹介し,残りの紙面で(1)について最近発表した論文の内容を詳しく紹介する.