著者
片山 紀生 佐藤 真一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-コンピュータ (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.80, no.8, pp.703-717, 1997-08-25
被引用文献数
38

画像データに対する内容検索の実現法として, 特徴ベクトルを類似検索する方法が広く使われており, その高速化のためのインデックス構造が求められている. これまでにR^*-treeを用いる方法や, 新たに考案されたSS-treeを用いる方法が提案されているが, 本研究では, これらのインデックスよりも更に高速なインデックスとしてSR-tree (Sphere/Rectangle-Tree)を提案する. SR-treeの特徴は, 包囲球(bounding sphere)と包囲長方形(bounding rectangle)を併用する点にある. これまでにも, 包囲球はSS-treeで, 包囲長方形はR^*-treeで使われている. しかし, 本研究が行った実験によると, 次元が高くなった場合, 包囲長方形を用いる方法では1辺の長さと対角線の長さの差が大きくなるという問題があり, 包囲球を用いる方法では包囲長方形よりも体積が大きくなるという問題があることがわかった. そこで, SR-treeではこれらを同時に使用することによって, 高次元空間をR^*-treeやSS-treeよりもより効果的に分割することを可能にする. 評価実験を行った結果, CPU時間, ディスクアクセス回数, いずれの面についても, SR-treeがR^*-treeならびにSS-treeを上回ることが確認された.
著者
佐藤 真実 江口 雅美 丸山 悦子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.27-32, 2007-02-20

若年層が白飯のおいしさを評価するために重視している要素として,白飯自体がもつ要素と評価する側がもつ心理的,社会的影響をうけたおいしい白飯に関するイメージについて調査を試みた。白飯自体がもつおいしさの要素は,15項目の項目をあげ,それぞれの項目の必要度の高さをSheffeの1対比較法を用いて解析を行った。評価する側がもつおいしい白飯に抱いているイメージの調査は,20項目の項目をあげ,SD法を,さらに因子分析を行い,イメージ因子の抽出をおこなった。自飯自体がもつおいしさの要素はうま味,甘味,飯粒がやわらかいが必要度が高くなった。とくに女子は噛んだときの粘り,つや,透明感などの味以外の食感や外観の必要度も高くなる傾向がみられた。おいしい白飯に必要な要素を化学的,物理的要素に分類したところ,化学的要素は39.6%,物理的要素は60.4%となった。おいしい白飯のイメージ因子は4つ抽出された。第1因子は健康,第2因子は親近感,第3因子は郷愁感,第4因子は環境が抽出された。
著者
振津 かつみ BERTELL Rosalie LAURENCE Glen BEIVERSTOCK Keith MOHR Manfred JAWAD Al-ali OMRAN Habib DOUG Weier RIA Verjauw GRETEL Munroe 佐藤 真紀 豊田 直己
出版者
兵庫医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

「非人道的無差別殺傷兵器」のひとつである劣化ウラン兵器の国際規制について、国際社会が進むべき方向性を決めるための根拠となる、同兵器の環境・健康影響の科学的知見と社会学的論点について、調査研究を行った。以下がその成果である。(1)劣化ウラン兵器が使用されたイラク南部バスラの医師らによる癌登録の整備と疫学調査に協力した。また、現時点での同地域の癌の特徴と動向を確認した。(2)劣化ウラン兵器に関する「国連決議」の議論を調査し、国際規制における意義を確認した。(3)劣化ウランの健康影響に関する科学論文のレビューを行い、広く国際社会が共有できる資料としてまとめた。(4)予防原則の軍縮分野での適用について、文献調査を行い、劣化ウラン問題に即した予防原則のあり方について考察を行った。
著者
佐藤 真行
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

本年度は環境の価値の経済学的定式化とその測定手法の開発にとりくみ、それら環境評価手法に基いた環境政策に関する研究を行った。本年度は研究計画の最終年度にあたるため、これまでの研究蓄積を総括し、本研究課題の成果を論文にまとめ、学術雑誌等に投稿し掲載された。第一に、離散選択モデルを環境問題とりわけ建築廃棄物問題に応用した研究「建築廃棄物問題と住宅政策」が査読を経て『経済政策ジャーナル』に掲載された。これは昨年度の研究に基づくものであるが、今年度の改訂の際に住宅選択時の環境負荷にかんする消費者選好の多様性を分析するために、計量モデル(Random Parameter Logit Model)を選好パラメタの相関を含めるかたちに展開し、そうした選好の多様性をふまえて建築廃棄物問題と現状の住宅政策にかんする考察を行った。第二に、とりわけ情報の不完全性と繰り返される消費者行動と環境の認識を分析するための研究「環境・品質情報の信頼性と消費者行動」が査読を経て『国民経済雑誌』に掲載された。本研究では離散選択モデルと計数データモデルを併用することで、繰り返し選択と環境認識の関係を分析した。また、先の研究とあわせて、消費者選択の頻度によって情報の影響の差異があり、環境評価手法における注意点をあわせて整理した。第三に、情報の質と量が消費者行動に影響することが定量的に示した以上の研究を発展させ、情報の受け手側の性質に注目して情報過負荷現象の発生と抑制のメカニズムを分析する研究に着手した。本年度は、消費者への情報提供や教育・啓蒙活動の影響を分析する研究を行った。知識や関心が高くなければ環境情報は適切に処理されず選択における混乱(行動誤差)の原因になること、そして知識の提供や専門家とのコミュニケーションはそうした誤差を抑制する作用があることを示した。
著者
八木 秀司 謝 敏カク 佐藤 真
出版者
福井大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

中枢神経系の発生において神経細胞の移動と増殖に関与すると考えられたFilip分子とFilip相同分子の機能解析を通じ、神経発生における新たな調節系を明らかにすることを目的として本研究を行った。その結果、細胞骨格関連分子がFilip分子とFilip相同分子に結合することを見いだした。この結合を通じてFilip分子が結合分子の機能を調節していることを見いだし、神経細胞におけるFilip分子の新たな機能を同定した。
著者
六鹿 茂夫 廣瀬 陽子 黛 秋津 佐藤 真千子 小窪 千早 梅本 哲也 吉川 元 上垣 彰 大西 富士夫 西山 克典 小久保 康之 吉村 貴之 中島 崇文 末澤 恵美 服部 倫卓 木村 真
出版者
静岡県立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

黒海地域の国際関係を歴史、経済、域内国際関係、域外国際関係の4次元から分析し、国際会議をボアジチ大学(イスタンブール)と静岡県立大学にて開催して学際的総合化に努めた。その結果、1.黒海としての地域性、2.地政学的重要性、3.黒海地域の特殊性と地域特有のイシュー(エネルギー、民主化、凍結された紛争)、4.黒海地域の構造とその変動、5.黒海地域と広域ヨーロッパおよび世界政治との相互連関性が明らかにされた。
著者
六鹿 茂夫 渡邊 啓貴 小久保 康之 廣瀬 陽子 佐藤 真千子
出版者
静岡県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究では、欧州近隣諸国政策(ENP)のイースタン・ディメンション、すなわち西部新独立国家(WNIS:ウクライナ、ベラルシ、モルドヴァ)および南コーカサス(グルジア、アルメニア、アゼルバイジャン)をめぐる政治過程について海外調査研究をした結果、以下の結論を得た。1.EUは、ENPの二国間関係に加え、黒海シナジーという多国間協力を展開し始めた。2.ENPのアクション・プランは南コーカサスにも適用されるに至った。3.EU=ロシア関係において貿易は増大したものの、深刻な問題が露呈した。エネルギー問題の解決は困難を極め、「4つの空間」ロードマップも、人権やマスメディアの自由および凍結された紛争をめぐる溝を埋められないでいる。4.凍結された紛争をめぐるOSCEとEUの関係は、前者が主要アクター、後者がそれを後方支援する関係にあり、OSCEの紛争解決における重要性が増している。5.とはいえ、凍結された紛争におけるロシアの影響は依然として重要であり、その役割は極めて大きい。(6)EUはモルドヴァのトランスニストリア紛争解決にも一層積極的となり、問題を残しつつもEUBAM(国境支援使節)氏遣で同地の闇経済摘発と民主化に貢献し始めた。(7)米国の対黒海地域政策としては、ポーランドの米系NGOへの支援を通したウクライナの民主化支援や、チェコおよびポーランドへのレーダー基地の設置計画が重要課題である。だがロシアはその代替案として、アゼルバイジャンのレーダー基地を提示している。これは米露関係が中欧と南コーカサスという二つの広範な地域に展開されている証左であり、広域ヨーロッパを見る際の重な分析視角を提示するものである。ENPを通してWNISや南コーカサス諸国の民主化と市場経済化が推進され、それに伴い黒海地域諸国全体の地政学的戦略的重要性が一層高まった結果、今や黒海地域の安全保障環境が劇的な変化を見せている。
著者
奥村 慎吾 初田 健 須永 智 佐藤 真一 野村 勝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SAT, 衛星通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.189, pp.7-10, 2005-07-14

近年、Ku帯(14/12GHz)を用いたVSAT(超小型アンテナ端末)局によるデータ伝送などのサービスが多く用いられている。10GHzを超える周波数帯においては、降雨、降雪による衛星からの信号減衰が大きな問題となっている。特に、降雪によるアンテナ鏡面への着雪は、シャープなアンテナビームをずらす結果となり、大きな減衰が生ずる。これを回避するための無着雪アンテナを衛星ネットワーク(株)で試作し、降雪の多い北海道工業大学に設置して特性測定を行った。この結果、降雪時において、着雪がほとんど無いことを確認でき、無着雪アンテナ機能のついていないアンテナと比較して、信号劣化量の統計値のデータが獲得することができ。さらに、機械的強度の面では、2004年9月の台風18号の風速52m/sにも耐えることを確認でき、実用的なアンテナであることを証明できた。
著者
武 小萌 瀧本 政雄 佐藤 真一 安達 淳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.92, no.8, pp.1153-1165, 2009-08-01
被引用文献数
4

本研究では,放送映像における同一場面映像のアーカイブからの発見・検索を目標とする.本研究において解決すべき最大の問題は,同一場面映像間の視点の違いによる視覚的な差異にかかわらず照合を行うことである.本研究は,撮影対象の動きに着目し,特徴点軌跡が時間的に変化するInconsistencyシーケンスに基づいた照合手法を提案する.このInconsistencyシーケンスから派生される,特徴的な事象の発生を示すDiscontinuityシーケンスに基づき,同一場面映像検出における計算量を激減させる高速化アルゴリズムも提案した.また,ローカル特徴量を用いた既存の映像照合手法との精度比較,並びにそれを用いた速度・精度の向上の評価を新たに加えた.更に,提案手法を実際の映像アーカイブに適用し,提案手法の有効性を実証した.
著者
佐藤 真一 中村 裕一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.207, pp.77-80, 2003-07-10
被引用文献数
2

映像処理は,近年特にその発展や応用が期待されている情報処理分野であり,パターン認識・メディア理解にたずさわる多くの研究者が挑戦してきている研究テーマである.その10年あまりの歴史を振り返ってみると,多くの成果が得られたものの,社会的に求められている要請に対しこたえられるのか,映像処理の提示する将来展望は何なのか,などに対する回答を明確にしなければならない時期に来ていると考えられる.本パネルでは,映像処理に関係する気鋭のパネリストを迎え,映像処理の意義を明確にするべく討論を行う.
著者
片山 紀生 孟 洋 佐藤真一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.41, pp.17-24, 2002-05-21
被引用文献数
7

映像インデクシング研究のさらなる発展のためには,実用規模での映像アーカイブを対象とすることが求められる.そこで,我々のグループでは,テラバイトオーダの放送映像アーカイブシステムを設計,試作したので,その概要について報告する.このシステムの特徴として,複数の市販製品を緩やかに組み合わせて使っている点があり,メインサーバとしての UNIX ワークステーションに加えて,MPEGキャプチャカードと文字放送デコーダカードを装備したPCを複数台使うことでシステムを構築している.また,我々は,保存された映像にアクセスするためのツールとして,Java によるビデオブラウザを試作した.このブラウザは,映像インデクシング研究のためのソフトウェアプラットフォームとして利用することを狙っており,応用プログラムのプロトタイピングや,映像インデクシング,映像解析のツールとして有用であると考えている.本稿では,この映像アーカイブシステムの設計上,実装上の考察事項,ならびに,今後の展望について論じる.It is desired to build the realistic scale video archive system for further advancement of video indexing research. Based on this idea, we designed and are constructing a broadcast video archive system. The system is composed of commodities as key components, such as unix workstations, RAID disk arrays, and MPEG capture cards and closed-caption decoder cards installed in PCs. We also developed the experimental video browser system which is intended to be used as the software platform of the system aiming at rapid prototyping of video applications and video analysis software. This paper discusses designing issues, implementation issues, and future directions of the broadcast video archive system.
著者
山岸 史典 佐藤 真一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.207, pp.47-52, 2003-07-10
被引用文献数
3

ハードディスクに映像を録画するハードディスクビデオレコーダーが盛んに販売されるようになった現在、映像の取り扱いが急速に容易になってきている。ストレージ技術の進歩により、ごく近い将来に個人で数千時間を越える映像を蓄積可能となる。そのような状況下ではより高度な映像アーカイブの利用手法が切実に求められ、さまざまな観点からのアーカイブの構造化や映像データマイニングが盛んに行われるであろう。その手法として同一映像断片探索が有望であることを示すために、ニュース映像アーカイブに対して同一映像断片探索を行い、探索結果を閲覧、検討するためのニュース映像ブラウザを実装した。ニュース映像アーカイブ上での同一映像断片探索結果を例示しつつ、同一映像断片探索のアーカイブ構造化・データマイニングへの利用可能性を論じる。
著者
佐野 雅規 八木 伸行 片山 紀生 佐藤 真一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.229, pp.89-96, 2006-09-01
被引用文献数
2

本稿では,大量に蓄積されたニュース番組から,映像(画像)付きクイズを自動生成する手法について提案する.クイズの形式には多種多様なものが存在するが,本稿で対象とするのは,映像とそれに関連する説明文とのマッチングを問うクイズである.このようなクイズを生成するためには,映像または説明文同士の「似て非なる」関係を見つけ出す必要がある.また,通常の文字だけのクイズと違い,映像がクイズとして適切である必要があり,どのような画像も利用できる訳ではない.本稿では,これら映像クイズを自動生成する際の問題点を整理し,表層的な解析だけで生成する手法を提案する.また,その実験結果についても報告する.
著者
高山 賢路 齋藤 千鶴子 佐藤 真貴子 熊谷 ナミコ 浅沼 義博 久保田 均 皆川 洋至 渡部 亘 井樋 栄二
出版者
秋田大学
雑誌
秋田大学医学部保健学科紀要 (ISSN:13478664)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.34-39, 2005-03-31

クリニカルパスを使用することで処置,介助,リハビリテーション(以下,リハビリ)のケア実施日が早くなったか,さらに入院日数がどれくらい短縮したかを明らかにする目的で,クリニカルパスを使用していない人工股関節全置換術(total hi parthroplasty ; THA)患者15例(以下,コントロール群)とクリニカルパスを使用した8例(以下,パス群)とを比較検討した.処置項目では,パス群の抗生剤投与期間が平均7日有意に短縮した.介助項目では,ヘッドアップ30度開始日が平均1日,ヘッドアップ自由開始日が平均3日,端座位開始日が平均2日有意に短縮した.リハビリ項目では,リハビリ室訓練が平均9日,全荷重立位が平均15日,松葉杖歩行が平均11日有意に開始日が早まった.平均入院日数は,術前14日,術後11日,全体で26日,パス群で有意に短縮していた.パス群8例の術後経過はすべて良好で,入院日数の短縮が術後成績に影響することはなかった.セメントTHAを行う患者にクリニカルパスを適用すれば,介助,リハビリの開始時期が早くなり,結果として入院日数短縮につながった