著者
佐藤 真央 井上 裕太 溝脇 一輝 小林 大純 松尾 怜 外山 太一郎 日比野 友亮
出版者
一般社団法人 日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.17-22, 2021

<p>Twelve specimens (71.5–89.9 mm standard length) of the genus <i>Lutjanus</i> (Lutjanidae), collected from Ishigaki-jima Island, Ryukyu Archipelago, southern Japan, were identified as <i>Lutjanus biguttatus</i> (Valenciennes in Cuvier and Valenciennes, 1830), being characterized by the following combination of characters: dorsal fin XI, 12; anal fin III, 8; pectoral rays 15–16; body depth 3.5–3.8 in standard length; preorbital depth 10.8– 16.3 in head length; tongue smooth, without patch of fine granular teeth; a dark longitudinal band from snout to caudal fin base; and two white spots above the lateral line. Dentition of the premaxilla and dentary, including several canine-like (one being long and curved) and many small conical teeth, is illustrated. The collected specimens were determined to be juveniles, due to their coloration matching that of juveniles previously described, in addition to their small body size. Although the coloration of <i>L. biguttatus</i> is similar to that of <i>L. vitta</i> during the juvenile stage, the latter species is distinguished by greater body and preorbital depths. The specimens of the former had been caught in a significantly localized area (in ca. 4 m depth) over several days, indicating the likelihood of their having been schooling, as observed in previous studies of the species. <i>Lutjanus biguttatus</i> is distributed in the Indo-western Pacific, from the Maldives to the Solomon Islands, but had not previously been recorded from Japanese waters. The new standard Japanese name "Futahoshi-fuedai", given in reference to the two white spots above the lateral line in the collected specimens, is proposed.</p>
著者
西原 一秀 後藤 尊広 宮本 昇 佐藤 範幸
出版者
一般社団法人 日本口蓋裂学会
雑誌
日本口蓋裂学会雑誌 (ISSN:03865185)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.33-40, 2021

2011年から2019年までの9年間に琉球大学病院歯科口腔外科を受診した口唇裂・口蓋裂一次症例183名について臨床統計学的解析を行った。また,2014年から開始した産科の往診システムの効果を検討し,以下の結果を得た。<br>1.9年間に当科を受診した一次症例は183名であった。<br>2.裂型別患者数では183名中,口唇(顎)裂が82名(44.8%),口唇口蓋裂が59名(32.2%),口蓋裂が42名(23.0%)であった。<br>3.男女比は,男性92名,女性91名で1.01:1とほぼ同数であった。<br>4.初診時年齢は,61名(33.3%)が生後7日未満に受診していた。<br>5.出生時体重は,平均2,978.4gで,3,000g〜3,499gが71名(39.4%)と最も多かった。<br>6.母親の出産時年齢は,平均31.5歳で,30歳から34歳が49名(29.3%)と最も多かった。<br>7.先天異常を合併した患者は,22名(12.0%)に認められた。<br>8.手術総件数は554件で,手術内訳は口唇形成術が130件(22.3%)と最も多かった。<br>9.2014年から開始した往診数は45件で,その活動は患者家族の精神的負担を軽減できた。
著者
佐藤 琢三
出版者
学習院女子大学
雑誌
学習院女子大学紀要 (ISSN:13447378)
巻号頁・発行日
no.15, pp.45-56, 2013

日本語は外来語の数が豊かであり、語彙全体における比重が高く、重要な役割を果たしている。外来語に関する先行研究も非常に活発になされてきたが、特に心理・社会的側面等から論じられることが多かった。しかし、外来語の研究が語彙の研究である以上、意味論的考察も重要な位置を占めなくてはならない。意味論的にみると、外来語とは必ずしもそれ以前から日本語の語彙の中に存在していた和語や漢語の単純な置き換えではない。本稿は外来語の意味的研究の一事例として、外来語「ムード」の意味特徴を漢語「雰囲気」との対比において明確にする。分析の結果、両語はそれぞれ次のような意味特徴を有していることを明らかにした。\ 「雰 囲気」の意味特徴:ある対象の、その部分の総和に還元できない全体から感じとられる性質。\ 「ム ード」の意味特徴:ある対象の、その部分の総和に還元できない全体から感じとられる、人間の情緒や感情に由来する性質。\ すなわち、外来語「ムード」は他とは決して同一ではない独自の意味特徴を有し、その点に語彙における存在意義があることがわかる。
著者
宮澤 隆仁 宮岡 誠 佐藤 潔
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.124-128, 1995

右中頭蓋窩底部より発生, 右側頭葉に埋没するように発育し, CT上神経膠腫との鑑別が困難であった46歳男性の脳内神経鞘腫の一症例を報告する. 術中所見より本腫瘍は中頭蓋窩底部硬膜内三叉神経硬膜枝より発生したと考えられた. 脳神経との関係をもたない脳内神経鞘腫15例について文献的考察を加える.
著者
中牟田 麻弥 佐藤 優
出版者
一般社団法人 芸術工学会
雑誌
芸術工学会誌 (ISSN:13423061)
巻号頁・発行日
vol.76, pp.34-41, 2017 (Released:2019-02-01)

屋外広告物による景観の悪化を阻止する方法のひとつとして規制や誘導が進んでいるが、派手に突出する屋外広告物は後を絶たない。さらに、屋外広告物の規制を受けた店舗では、規制対象外ののぼり旗や貼り紙等を大量に掲出するなど新たな課題も生じている。このような状況の要因として、景観を視点とした屋外広告物の表示や色彩、大きさ等の視覚効果による規制や誘導に限界があるのではないか。また、広告主の広告媒体としての屋外広告物に対する認識や景観に対する理解が不足しているのではないかと考えた。 そこで、受け手が期待する受容効果に着目し、広告効果が高い屋外広告物のデザイン要素を明らかにすることで、広告主の自主的な屋外広告物の改善につながるのではないかと仮説をたて、本研究において、見る人が期待する屋外広告物のデザイン要素を明らかにし、広告主にとっての屋外広告物のデザインのあり方をまとめる。 本論文は、見る人が期待する屋外広告物のデザイン要素を明らかにすることを目的としている。研究の方法としては、 屋外広告物を見る人が期待する屋外広告物のデザイン要素の抽出を目的として、SD 法による印象評価を行った。まず、見る人に受け入れられる広告要素を分析し、受け入れられる広告の要素を抽出した。次いで、抽出された要素について、イラストや写真等の絵や文字、色彩、面積量等のデザイン要素を分析し、最終的に調査を通して明らかになった見る人が屋外広告物に期待するデザイン要素の考察を行った。 その結果、見る人は「上品で趣があり、興味を引かれる面白さ=interest」のイメージを持つ広告で、モノトーンや寒色系の落ち着いた色彩、文字は控えめでありながら独自性が高いものを期待していることが分かった。一方、「楽しくユーモアがある面白さ= fun」のイメージを持つ広告で、安全や安心、親しみやすさを伝える緑や、元気さや楽しさを伝えるオレンジ、可愛さを伝える黄色などの明るい色彩を、単色画法に限り使用することは好まれ、立体的な表現や、広告物形態に個性がある広告を期待することが確認できた。反対に、情報過多で一瞬では焦点が定まらない広告や、業態や商品以外を表現した曖昧な絵などの表示は期待していない。店主の絵の掲載は、見る人に不快な印象を与える可能性が高いことが確認できた。
著者
早川 崇 片岡 俊一 宮腰 淳一 佐藤 俊明 横田 治彦
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
no.650, 2010-04

We estimated the fault of the 1924 Tanzawa earthquake (<i>M</i>j7.3), which was the largest aftershock of the 1923 Kanto earthquake (<i>M</i>s8.2). We could successfully reproduce the observed waveforms in central of Tokyo based on the estimated fault model. This is very important to investigate the characteristics of ground motions by M7 events occurring in the Tokyo Metropolitan area because we only have a few observed waveforms of such events in central Tokyo. Finally, we calculated ground motions around Tokyo metropolitan area by the estimated fault model. The simulated ground motions do not exceed the design spectra around the area but in west of Kanagawa Pref.
著者
佐藤 安貴 正木 慎也 梅本 萌李 山本 浩貴 小山田 正人
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.90-102, 2021-04-01 (Released:2021-05-15)
参考文献数
35

【目的】摂食障害は,若年女子に好発する難治性の疾患で,治療の優先事項は栄養改善である。摂食障害の10~20%に自閉スペクトラム症が合併し,合併例は予後不良例が多く,治療では自閉スペクトラム症の特性に着目した対応が必要となる。摂食障害を発症し入院した自閉スペクトラム症女児2症例に,チーム医療の一環として自閉スペクトラム症の特性に着目した栄養指導を実施したので,報告する。【方法】対象は,摂食障害治療を目的に精神科病院へ入院した自閉スペクトラム症の15歳女児2名である。症例1は,体重管理の厳しい審美系スポーツの選手で,過剰な運動と食事制限から低体重となり入院した。症例2は,ストレス時に拒食反応を示す病態で,拒食による急激な体重減少で入院した。管理栄養士は,自閉スペクトラム症の特性に着目し,1)褒めて労う,2)視覚情報の利用,3)具体的説明の繰り返しを基本に栄養指導を行った。【結果】症例1は,1週間毎に増加する食事を全量摂取するとともに,活動量を減少させることにより,目標体重を達成した。症例2は,拒食が消失し目標体重を達成した。【結論】摂食障害と自閉スペクトラム症合併2症例において,自閉スペクトラム症の特性に着目した1)褒めて労う,2)視覚情報の利用,3)具体的説明の繰り返しを基本とした栄養指導の有用性が示唆された。
著者
原田 勇彦 加我 君孝 水野 正浩 奥野 妙子 飯沼 寿孝 堀口 利之 船井 洋光 井上 憲文 安倍 治彦 大西 信治郎 牛嶋 達次郎 宮川 晃一 伊藤 修 佐久間 信行 北原 伸郎 土田 みね子 飯塚 啓介 小林 武夫 杉本 正弘 佐藤 恒正 岩村 忍 矢野 純 山岨 達也 広田 佳治 仙波 哲雄 横小路 雅文 鈴木 光也
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.380-387, 1994-06-15 (Released:2011-08-10)
参考文献数
15

鼓膜炎, 慢性化膿性中耳炎, 真珠腫性中耳炎の感染時, 中耳術後の再感染症例を対象として, オフロキサシン (OFLX) 耳用液の有用性と耳浴時間に関する臨床的研究を行った。研究参加施設を無作為に2群に分け, 1群では1回6-10滴, 1日2回, 7日間以上の点耳を行い, 毎回点耳後約10分間の耳浴を行うよう, II群では同様の点耳後に2-3分間の耳浴を行うよう患者に指示した。総投与症例は258例で, 全体では83.3%の改善率, 86.7%の菌消失率 (143例中) が得られた。副作用は1例もなく, 全体としては82.9%の有用率であった。統計学的検定により1群とII群の比較を行ったところ, すべての項目で両群間に有意の差はみられなかった。以上の結果から, OFLX耳用液は鼓膜, 中耳の炎症性疾患に対して極めて有用かつ安全なものであり, その点耳後の耳浴時間は2-3分でも十分な効果が得られるものと考えられる。
著者
菅原勝也 佐藤永欣 高山毅 村田嘉利
雑誌
第75回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.587-588, 2013-03-06

近年、大学での講義の評価方法において出席率を重視する傾向にある。しかしながら、現在の大学での出席確認の手法では、「代返」や「途中退席」といった不正行為に対処しておらず出席確認の手法が確立しているとは言い難い。そこで我々は、前述の不正行為を抑止するために学生証のFeliCaカードとKinectセンサのユーザ検出機能を用いた出席管理システムの開発を行った。講義室にFeliCaリーダと複数のKinectセンサを設置し、Kinectセンサにより検出された学生が学生証をFeliCaリーダに読み取らせることで個人の識別を行い、学生の位置情報をKinectセンサが接続されているPC間で通信することで、学生を継続して追跡する。本論文では、出席管理システムの概要と評価を述べる。
著者
佐々木 正子 佐藤 香苗
出版者
日本生理人類学会
雑誌
日本生理人類学会誌 (ISSN:13423215)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.25-35, 2017 (Released:2017-10-31)

Japan faces issues associated with a super-aging society. Thus, extension of healthy life expectancy of patients through dietary modification is extremely important. However, the number of registered dietitians is not enough to improve the nutritional health of patients with personalized nutrition care because of the lack of profit from hospital nutrition divisions. We clarified the strategies to gain profit and relevant challenges by using the SWOT analysis to improve the dietary department of hospital subject to intervention. Data gathered indicate that the charge for subsidies for providing therapeutic diet, and nutrition and meal counseling should be increased. The results indicated that the cost of subsidies for providing therapeutic diet and nutrition and meal counseling should be increased. The results also suggested the necessity of reducing tasks with opportunity losses. A hospital with the system newly established has already realized the benefits of the measures implemented through the system. The system supports patients to take in the appropriate nutrients by increasing the number of registered dieticians and calculating the estimated energy requirement from the actual measurements of resting energy expenditure for personalized nutrition care.
著者
福田 豊 畑瀬 卓司 佐藤 彰洋 中村 豊 和田 数字郎
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2021-IOT-53, no.19, pp.1-7, 2021-05-06

IEEE 802.11ax は稠密環境での実効スループット特性の向上が図られており,講義棟など AP (Access Point) 密度が高い環境を含むキャンパス無線 LAN で通信特性の向上が期待できる.一方で安定した運用のためには,総スループット特性を考慮したチャネルボンディングの活用範囲や,後方互換性による旧規格との混在時の通信特性を明らかにする必要がある.そこで本研究では複数台の端末を準備し,異なるチャネル幅や旧規格との混在時におけるスループット特性を iperf3 を用いて計測し,キャンパス無線 LAN で IEEE 802.11ax を効果的に運用していくための知見を明らかにする.実験の結果,チャネルボンディングは同時接続端末数が 2,3 台程度と少なく,電波干渉の影響も低い場合に有効であること,また,IEEE 802.11n 端末が 1 台混在すると総スループット特性は 100 Mb/s 以上低下するため,対策が必要であることがわかった.
著者
佐藤 由佳利 土谷 聡子
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.321-326, 2010-04-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
10
被引用文献数
3

高校生894名を対象に,摂食障害症状評価尺度スクリーニング版Symptom Rating Scale for Eating Disorders Screening test(SRSEDS)を用いて,摂食障害傾向についての調査を実施した.その結果,男女で差があることがわかり,「過食経験」,「食べることの心理的負担」は女子が高く,「やせていることへの周囲からの圧力」は男子のほうが高かった.従来,摂食障害は女性特有の疾病と考えられてきたが,摂食行動やボディイメージなどについて,男子は女子とは違った圧迫やストレスを感じていることが調査からわかり,今後,男女で異なった予防教育や治療が必要になってくると思われた.
著者
佐藤 教男
出版者
Japan Society of Corrosion Engineering
雑誌
防食技術 (ISSN:00109355)
巻号頁・発行日
vol.39, no.9, pp.495-511, 1990-09-15 (Released:2009-10-30)
参考文献数
55
被引用文献数
4 3

A review is given of some simplified concepts that will contribute to a better understanding of corrosion fundamentals. The corrosion process involves not only electrochemical reactions but also acid-base reactions, and it is the acid-base nature that diversifies the corrosion phenomena. Anions either catalyze or inhibit the anodic metal dissolution, and the passivation will result from the hydroxide-catalyzed mechanism of metal dissolution. Corrosion precipitates frequently control the selective mass transport in corrosion processes. Anion-selective precipitates accelerate and cation-selective precipitates decelerate corrosion propagation. A bipolar precipitate film, if anodically polarized, undergoes deprotonation and turns into a passive film. The electrochemical stability of passivated metals is determined by the electron energy band structure of the passive film. The passive film of n-type semiconducting oxides appears electrochemically more stable than the passive film of p-type semiconducting oxides.