著者
倉沢 愛子
出版者
慶應義塾経済学会
雑誌
三田学会雑誌 (ISSN:00266760)
巻号頁・発行日
vol.94, no.4, pp.645-664, 2002-01

はじめに第一章 9・30事件第二章 殺戮の背景 : 対立の構造第三章 「ジハド」の名における殺戮おわりに小特集 : マス・キリングの社会史
著者
鈴木 宜之 薄倉 淳子
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.54, no.11, pp.884-887, 1999-11-05

少数多体系は粒子の種類, 相互作用によって個性豊かな性質を示す. ランダムに抽出されたサンプル(基底関数)の中から最適なものを選ぶ, 即ちくじ引で当たりくじを拾うstochasticな変分計算によって, 少数系の束縛解を高精度で得ることができる. この簡単な処方箋を紹介し, 回転運動を表すグローバルベクトルと組み合わせた相関ガウス基底を用いた応用例や, ポジトロニウム分子の励起状態に関する新たな結果について報告する.
著者
輪倉 一広
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.82, no.1, pp.119-142, 2008-06-30

岩下壮一(一八八九-一九四〇)はカトリック思想家であり、一九三〇年からl九四〇年までの約一〇年間へ神山復生病院の第六代院長(邦人初)として救癩事業に従事した。本稿は、患者と国民国家との関係をおもに権力論でとらえた既往の近代日本救癩史研究の知見を踏まえつつも、その副次的な位置にある患者の日常生活における直接的で対他的な関係史の視座から、岩下に投影された患者像を探ろうとしたものである。岩下は、恩師ヒューゲルが示した対立概念の相関的把握という中世哲学がもつパースペクティヴの有用性を、全体主義が強まる一九三〇年代の現実社会の中で検証しようとしたのである。つまり、「癩」ゆえに喪失した患者の<主体>を再生させるべく、患者の主体形成の観点-すなわちへ自ら宗教的・倫理的に<内的権威>をつくること-から患者-国民国家の関係を根拠づける哲学を構築していったのである。それゆえ、岩下を再評価すれば、国家主義的な救癩政策に加担していたとする従来の評価は妥当ではないといえよう。
著者
倉持 秀敏 崔 基仁 大迫 政浩 前田 光治 中村 一夫 酒井 伸一
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第18回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.175, 2007 (Released:2007-11-23)

トラップグリースのような低品質な廃油脂類をBDF原料として利用するには、既存のBDF製造ラインに投入する前に原料の脱水および遊離脂肪酸(FFA)の除去が必要である。そこで、本研究では、脱水方法として莫大な水の蒸発潜熱の投入を回避でき、かつ、後段の反応系への展開が容易な溶媒抽出法に着目し、溶媒抽出による脱水の可能性を検討するとともに、新規BDF製造法として抽出剤を含む抽出物をFFAの除去およびBDF製造プロセスに直接導入した場合を想定し、抽出剤がFFAの除去および油脂のBDF化に与える影響を調べた。
著者
乃木 章子 塩飽 邦憲 北島 桂子 山崎 雅之 アヌーラド エルデンビレグ エンヘマー ビャンバ 米山 敏美 橋本 道男 木原 勇夫 矢倉 千昭 花岡 秀明 井山 ゆり 三原 聖子 山根 洋右
出版者
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.649-659, 2004-11-30
被引用文献数
1 3

農村地域で肥満, インスリン抵抗性, 脂質異常, 高血圧を合併した代謝症候群が増加している。代謝症候群に対しては体重減少が有効とされているが, 白人と日本人では肥満と代謝症候群の関係に差異が見られる。日本人での体重減少と生活習慣変容, 体重減少と代謝症候群の改善についての実証的な研究は少ないため, 体重減少に寄与する要因, 体重減少と代謝症候群改善との関係を研究した。2000~2003年に健康教育介入による3か月間の肥満改善プログラムに参加した住民188名を対象とした。参加者の平均体重減少は1.3kgであり, BMI, ウエスト囲, 血圧,総コレステロール, LDLコレステロール, 中性脂肪の減少, HDLコレステロールの増加を認めた。相関および回帰分析により, 摂取熱量減少, 消費熱量増加が体重減少に寄与していることが明らかになった。一方, 体重変化との有意な相関が認められたのは, 各種肥満指標, 総コレステロール, 中性脂肪, HDLコレステロールであり, 血圧とLDLコレステロールでは有意な相関を認めなかった。体重変化量と有意な相関が認められた血液生化学的検査値の変化量との相関係数は比較的低く, 体重変化量は中性脂肪や総コレステロールの変動の10%以下しか説明しなかった。代謝症候群の改善における体重減少の有効性について, アジア人の民族差に着目した体重減少の有効性に関する実証的な研究が重要と考えられる。
著者
板倉 則衣
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究
巻号頁・発行日
vol.42, pp.123-167, 2010-09-30

伊勢神宮は、天皇の即位ごとに天皇の皇女(内親王)または女王が選ばれ、伊勢神宮に奉仕した。こうした斎宮制度は、天武天皇の大来皇女がはじまりとされ、中断される時期はあるが、後醍醐天皇の祥子内親王までの六六一年間続けられた。
著者
増本 英男 飯干 宏俊 脇坂 ありさ 谷口 治子 芦谷 淳一 伊井 敏彦 迎 寛 松倉 茂
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.34, no.11, pp.1277-1282, 1996-11-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
14

症例は52歳, 女性. 急に咳嗽, 高熱, 喘鳴, 呼吸困難が出現. ペニシリンやセフェム系抗生剤に反応なく, 緊急入院となった. 室内空気下でPaO249.8Torr. 胸部X線では小粒状影, 胸部CTではびまん性に小葉中心性の微少結節と気管支壁の肥厚を認めた. マイコプラズマによる急性細気管支炎を疑い, ミノサイクリンを開始後, 胸部CT上の小結節は消失した. その後血清学的にマイコプラズマ感染症と診断できたが, 低酸素血症が遷延し, 閉塞性換気障害の存在 (1秒率62.8%), 換気血流シンチの異常などより, 閉塞性細気管支炎への進展を疑った. TBLBや気管支造影では確診は得られなかったが, メチルプレドニゾロン1g 3日間, その後プレドニゾロン40mg/日投与により低酸素血症, 肺機能, 換気血流シンチは改善した. 閉塞性細気管支炎への移行が疑われ, 早期のステロイド投与が有効であったマイコプラズマ急性細気管支炎の1例を報告した.
著者
高倉 実
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.239-244, 2016 (Released:2016-11-30)
参考文献数
29

目的:平成28年6月11日~12日に沖縄科学技術大学院大学で開催された第25回日本健康教育学会学術大会における学会長講演の内容を報告する.内容:はじめに沖縄の健康状況の現状と推移について触れ,平均寿命の延びが鈍化していることや生産年齢層の死亡率が高いことを示した.そして,その背景要因について,ライフスタイルが直接的な決定要因であること,その根本的原因と考えられる社会的決定要因の状況がきわめて悪いことを紹介した.次いで,健康の社会的決定要因の観点から,沖縄の「ゆいまーる」に代表される特徴的な社会的文脈と健康との関係について焦点を当て,沖縄の社会関係が健康悪化をバッファするかもしれないことについて考察した.これに関して,これまでの沖縄における高齢者および青少年の社会関係と健康に関するいくつかの知見を紹介した.結論:これらの知見を勘案して,人々の社会関係を活かした健康教育・ヘルスプロモーションがきわめて重要であることを強調した.
著者
小倉 英敬 Ogura Hidetaka
出版者
神奈川大学人文学研究所
雑誌
人文学研究所報 (ISSN:02877082)
巻号頁・発行日
no.50, pp.93-114, 2013-08

En 1968 se han ocurrido los cuatro acontecimientos importantes en Cuba. En enero se ha pruducido la purga contra el Grupo "Microfracción" prosovietico encavezado por Anibal Escalante, en marzo fue declarada la liquidación genaral de los negocios de iniciativas individuales, en agosto fue anunciado por Fidel Castro su apoyo a la invación de las tropas sovietica y de los países del Tratado de Warsovia a Checo- Slovaquía y en nobiembre se ha ocurrido "el caso Padilla" que las autoridades culturales criticaron a su posición del poeta Heberto Padilla que ganó en ese año con su obra "Fuera de Juego" el premio de poema Julian del Casal convocado por la UNEAC(Unión Nacional de Escritores y Artistas de Cuba). En este artículo el autor intenta analizar qué significado tuvo "el Caso Padilla" que ha resurgido en 1971 cauzando la divición de los intelectuales europeos y latinoamericanos que teñian la posición fovorable a la Revolución Cubana en la década de 1960, dentro del contexto del proceso revolucionario en base de analisis del comportamiento de los intelectuales que tenían el origen de las clases burguesa y media.
著者
緒方 信 四倉 達夫 森島 繁生
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.582, pp.53-58, 2000-01-21
被引用文献数
4

感情音声が合成可能となれば、人間と機会とのノンバーバルなコミュニケーションが実現できるのみならず、人間同士の対話も円滑化する新しいコミュニケーションシステムが実現可能となる。しかし自然音声に感情を付加する為には、原音声のクオリティ、発話内容、話者の情報を保ちつつ、韻律情報を制御しなくてはならない。本稿では、音声系列中の各母音を切り出してピッチ制御を行い、文節単位でイントネーションを変化させ、さらに発話速度や音の強弱の制御によって、感情表現付加が可能なシステムを開発した。本手法により無感情音声から原音声のクオリティを保ったまま合成感情音声の作成が可能となった。
著者
入倉 孝次郎 釜江 克宏
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.129-150, 1999-06-30 (Released:2010-03-11)
参考文献数
33
被引用文献数
9

We simulate strong ground motions during the 1948 Fukui earthquake with the JMA magnitude 7.1 based on a heterogeneous source model and the hybrid simulation technique. So far there are no existing source models available for simulating strong ground motions from the 1948 Fukui earthquake. Most of the source models have been assumed to have uniform slip distribution on rectangular fault plane. Such models could generate ground motions only available longer than several seconds, underestimating shorter period motions (<1sec) of engineering interest. The objective of this paper is to construct a heterogeneous source model for simulating strong ground motions in a broad period band during the 1948 Fukui earthquake. We assume two source models to examine: Model 1 is a reverse fault model determined from the analysis of geodetic data by YOSHIOKA (1974) and Model 2 is a normal fault model from strong motion displacement data by KIKUCHI et al. (1999). Heterogeneous slip distribution on fault plane is estimated based on the self-similar scaling relationships of seismic moment versus asperity areas and slips by Somerville et al. (1999). Then we obtained the standardized source model consisting of two asperities to have the average characteristics of asperities for the seismic moment of the Fukui earthquake. Relative locations and rupture times of the asperities on the fault plane are determined following the source model by KIKUCHI et al. (1999). The maximum asperity corresponding to the second event in their model has an area of 12×12km2 and slip of 1.7m and is located under the most heavily damaged area along the buried fault, known as the Fukui earthquake fault. The smaller asperity corresponding to the first event is located north of the maximum asperity. Rupture was initiated at the northern edge of the smaller asperity, propagated toward south, then broke to start the maximum asperity 7 seconds after the initial rupture. Large ground motions from both models, Model 1 and 2, are spread over the Fukui basin, although peak velocity distributions are rather different between the two models. Areas over 30% collapse ratio during the Fukui earthquake correspond to those with peak velocity over 60cm/s for Model 1 and over 80cm/s for Model 2. The level of the peak velocity in the areas with more than 30% collapse ratio are estimated to be over 80cm/s connected with both results by MOROI et al. (1998) and MIYAKOSHI and HAYASHI (1998). Pseudo velocity response spectra in the center of the Fukui basin for Model 2 have almost the same level of the observed ones at Takatori (TKT) and the simulated ones at Fukuike (FKI) within the damage belt during the 1995 Hyogo-ken Nanbu earthquake. We conclude that the damage distribution during the Fukui earthquake is well explained by strong ground motions simulated for Model 2 combined with the normal fault model by KIKUCHI et al.. (1999) and a standardized heterogeneous source model developed by SOMERVILLE et al. (1999).