著者
倉持 裕子 長谷川 啓子 山本 弘美 河村 満
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.188-196, 1996

Wernicke 野 (左上側頭回後部) の梗塞性病変により典型的 Wernicke 失語を呈した2症例の読字・書字障害を検討した。小学校1~3年生で学習する教育漢字一文字およびそれに対応する仮名語,ならびに仮名一文字 (清音46字) の音読と書き取り検査を施行した結果,2症例とも,漢字・仮名のいずれにおいても音読のほうが書き取りより良好であった。漢字・仮名語の音読・書き取りいずれにおいても,課題字 (正答字) と音韻が類似した誤りが多く認められた。これは, Wernicke 失語の口頭言語における特徴である "音韻の選択障害" と "音韻の聴覚的処理障害" が,文字言語においてもみられたものと考えられた。仮名一文字の書き取りにおいても2症例は類似した傾向を示し,正答字に余分な文字を付け加えて書く反応 (付加反応) が多くみられた。書き取りにおける付加反応は, Wernicke 失語の口頭言語での特徴である, "流暢な多弁傾向" を反映しているものと考えられた。
著者
倉田 尚美
出版者
母語・継承語・バイリンガル教育(MHB)研究会
雑誌
母語・継承語・バイリンガル教育(MHB)研究 (ISSN:21868379)
巻号頁・発行日
no.8, pp.57-76, 2012-03-31

オーストラリアでは近年の日本人永住者数の上昇にともない、永住者の子女を対象とした継承日本語教育への関心が高まりつつある。本稿ではメルボルン在住の高校・大学レベルの継承日本語話者11名を対象に行ったアンケート結果を主な資料として、彼らの学習ニーズ分析を行った。その結果、4技能の中で特に読み書きの力を伸ばし、また将来、語学力を生かした専門職につけるよう日本語能力を伸ばす必要性があることが明らかになった。また、どの技能においても、フォーマルな場面にふさわしい言語的知識を含めた年齢相応の日本語をマスターし、自信を待って家庭でもアカデミックな場面でも日本語を使えるようになることが期待されていることがわかった。この様なニーズに応えるべく筆者の所属する大学で行ったコースデザイン、またこのコース一期生のコース内容に対する評価を紹介する。
著者
倉元 信行 谷口 人文 沼田 吉彦 麻生 功
出版者
公益社団法人日本セラミックス協会
雑誌
窯業協會誌 (ISSN:18842127)
巻号頁・発行日
vol.93, no.1081, pp.517-522, 1985-09-01
被引用文献数
11 34

AlN-Ca(NO<sub>3</sub>)<sub>2</sub>系を常圧焼結して透光性焼結体ができる過程を調べた. 1800℃で3時間焼結の各過程の試料について密度, Ca濃度, 熱伝導率の測定及び走査型電子顕微鏡観察を行った結果, 焼結は典型的な液相焼結であり, (1) 粒子の再配列 (1300°-1600℃), (2) 溶解-析出によるち密化 (1600°-1800℃), (3) AlNの粒成長 (1800℃) の各過程が観測された. 1800℃で3時間焼結後の透光体試料のCa含有量は120ppmで, 焼結中にアルミン酸カルシウム相の揮散が生じていることが分った. 一方, AlNの熱伝導率に及ぼす酸素含有量及び金属不純物含有量の影響を調べた. 広い酸素含有量の範囲 (0.26-7.3wt%) で熱伝導率は酸素含有量の対数値に反比例し, 熱伝導率の最高値131W/mKは酸素量0.26wt%の常圧焼結体で得られた. またSi, Fe, Mgなどの金属不純物の添加効果を調べ, これらの金属の各々約200ppmの添加によってAlNの熱伝導率の初期値, 140W/mKはそれぞれ105W/mK, 114W/mK, 122W/mKまで急激に低下することが分った. これらの結果から高熱伝導性のAlN焼結体を作製する条件として, 低い酸素含有量と低い金属不純物含有量の両条件が重要であることが明らかになった.
著者
角倉 敏彦
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会誌 (ISSN:03864812)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.264-269, 1981-10-15

それぞれ納入すべき製品品種, 数量が決まり, かつ, 同一納入の日の, 指定された複数注文に対する経済的生産計画を検討する.前報において明かにした"優先席取り法"の原則を応用するが, 本報では定時生産と残業生産または2直生産を含む生産のやり方について, 経済的な最適解を求める方法を検討し、その際に役立ついくつかの基本的な原則を明らかにするとともに, 最適解を求める方法を明らかにした.
著者
小林 貴 久保 典史 坂倉 建一 高田 宗典 平原 大志 荒尾 憲司郎 宇賀田 祐介 森 将之 船山 大 菅原 養厚 阿古 潤哉 百村 伸一
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.1438-1443, 2010

たこつぼ心筋症(transient left ventricular apical ballooning, takotsubo cardiomyopathy; TTC) では診断時, 冠動脈の有意狭窄を除外基準とすることが多い. しかしながら, 高齢者に多い病気であり, 最近, 冠動脈に有意狭窄のあるたこつぼ心筋症の存在もいわれるようになってきた. 症例は83歳, 女性. 普段から行っているわけではない, 緊張を伴った神社参拝, 豆まきという行事直後の食事, 飲酒をした際に著明な冷汗と意識が遠のく感覚を自覚したため, 救急要請となり当センターに救急搬送された. 急性冠症候群(acute coronary syndrome; ACS)が疑われ, 緊急心臓カテーテル施行. 左冠動脈前下行枝(left anterior descending artery; LAD)#7に90%狭窄を認めたため, 緊急経皮的冠動脈形成術(percutaneous coronary intervention; PCI)を行った. 直後の左室造影(left ventriculography; LVG)では, LADの支配領域に合致しない左心室基部の過収縮と心尖部の無収縮を認め, 高度冠動脈狭窄を合併したTTCと診断された. TTCとLAD病変の関与したACSは最も重要な鑑別点である. ACSとして判断されていた症例の中にも実際には詳細に検討すると, たこつぼ心筋症が潜んでいる可能性があることを示唆している. また, 診断方法の感度を考慮すると, 疾患概念による形体描写に基づかない命名の必要性が指摘されている. 病態解明の進歩が, 今後一層期待される.
著者
常盤 嘉一 倉田 彰 宮坂 佳男 橘 滋国 矢田 賢三 大和田 隆 菅 信一 向野 和雄 高木 宏
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.128-132, 1993
被引用文献数
2

視野障害をきたす特徴的な水頭症の所見を得るために,後頭蓋窩腫瘍にて閉塞性水頭症をきたした28例の画像を検討した.視野障害群(n=6)と視野正常群(n=22)で,計測を含めたCTの検討を行った.第3脳室幅の著明な拡張と,同脳室の著明な下方進展が視野障害をきたす特徴的な所見であった.すなわち,両群間で,側脳室の拡大の程度に有意差はなかった.視野障害群では第3脳室幅(平均12 mm)が有意に嵩値を示した.また第3脳室の著明な下万伸展(トルコ鞍内への陥入)例が視野障害群(4/6例)で有意に多かった. MRIは2例中1例で視交叉と第3脳室および内頚動脈との関係を明瞭に描出した.今後,視野障害の責任病変の把握に有用となることが期待された.
著者
佐藤 宏紀 増渕 迪恵 岩倉 成志
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
交通・物流部門大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2009, no.18, pp.351-354, 2009-12-02

Recently, the designed railway vehicles are expanding in Japan. Odakyu Electric Railway Company has 6 kinds of vehicles "Romancecar"; each of them has different design. Showing the effect of quality designed vehicles for passengers contributes to vehicle development. This study aims to develop the Train-Choice-Model what is able to estimates the effect. This model built by utility function that has some variables of design. The 930 sample data were collected by questionnaire for passengers. As a resi.ilt of analysis, it became clear that the quality designed car increase Train-Choice-Probability