著者
松倉 隆一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.48, pp.1-8, 2014-03-06

ホームネットワークに接続される家電や蓄電池などの機器を制御する HEMS やスマートハウスが注目されている.ホームネットワークは,白物家電の通信規格である ECHONET Lite など分野毎に通信規格が存在し,通信媒体も様々であることから構成が複雑になっている.この複雑さはアプリケーション開発の障壁となるため,機器とアプリケーションとの間の共通機能を整理し,統一的なインタフェースを持つプラットフォームを実現した.また,実際に住宅,店舗,校舎を含む 24 施設での検証を行っている.本稿では,実現したサービスプラットフォームの構成とその評価についてのべる.The Smart House and HEMS have gained the public attention, after it became available to monitor and control the home devices such as the home appliances and storage batteries. However, the home network is much complex. There are some communication protocol for each field of the devices and some communication media such as Ethernet, WiFi, PLC, and 920MHz wireless in the home network. Since this situation makes barrier for the developers, we studied and implemented the service platform providing the unified application interface that hides the complex home network. In this paper, we describe the architecture of the platform and the application to 24 buildings such as houses, shops, and school houses.
著者
秋坂 真史 尾尻 義彦 高倉 実
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.375-381, 1997-08-01
被引用文献数
8 1

In order to obtain the basic data for the relationship between factors related to sports and bone density of high school girls, bone densities of a heel were measured, and physical characteristics and living backgrounds on exercises were surveyed.The subjects were one-hundred and forty two girls (15〜18years, mean±SD=16.5±0.84years)of a high school in Nagano prefecture, accepted our visiting bone health check.Bone density was measured by ultrasound bone-densitometer 'Achilles'(Lunar).As for the data, we obtained the stiffness index(Stiffness)with a self-registered questionnaire for the items of physical and exercise factors for the girls in puberty.High school girls who belong to a sport club have significantly higher bone density than other girls.In detail, those who do the sports which consist of mainly running or jumpping, have significantly higher bone density than others who do no sports.There also were significants on the kinds of sports, on the frequency of sports and on the duration of sports.Moreover, those who had the regular sports history have higher bone density than those who had no regular sports history, and the mean Stiffness of the group that care to do physical exersises daily was higher than those who do not care to do exercises.These results suggest that there are many kinds of factors related to sports which favourably contribute to obtain sufficient bone mass of high school girls who are in a developmental stage.
著者
板倉 登 工藤 政明 仲宗根 盛徳
出版者
Japanese Society for Tropical Agriculture
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.47-51, 1981-06-01 (Released:2010-03-19)
参考文献数
3

サトウキビ種子の発芽適温を知るために, 定温器内発芽試験ならびに温室内発芽試験を実施した.試験の結果, サトウキビ種子の発芽適温は35℃であり, 同最低温度は25℃, 最高温度は40℃以上と推定された.また, 明発芽性の傾向が認められた.温室内発芽試験では, 実生育苗における温室管理の実用的な指針が明瞭となり, 最高40℃を限度としてできるだけ高温条件とするように管理することで, 揃いの良い健全実生苗の得られることが明らかとなった.また, 播種時の覆土は有害であった.
著者
中村 洋 山本 景子 倉本 到 辻野 嘉宏 水口 充
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:18840930)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.2, pp.1-8, 2011-01-14

ユーザが携帯電話を所持していても,実際に相手と通話できるか否かは相手の物理的・社会的状況に依存する.そのため,相手の無事を知るために通話をしたいと感じても,相手が通話に応じてくれるかどうかわからないため,漠然とした不安が生じてしまう.そこで本研究では,相手の携帯電話に付与したセンサにより相手の状況を自動的に判別し,相手が通話できかつ電話に出てもよいと考えているかどうかという通話是非情報を通知する手法を提案する.それにより,「相手の無事による安心感」,「相手に自分を助けてもらえることによる安心感」,「相手の意思・意図」の 3 つの感覚が伝達でき,その結果として安心感の拡大や行動を決定する上での判断の助けとなる.アンケート評価の結果,安心感を拡大することができ,行動を決定する上での判断の助けとなることがわかった.さらに試作システムによる携帯電話所有者の通話是非状態の判別精度を評価し,高い精度で判別できることを確認した.Whether a person with mobile phone can receive someone's call is dependent on the physical and social situation of him/her. Therefore, when we want to communicate with our partner to know his/her safety, we feel insecure because we cannot know whether he/she can accept our call or not. To solve the problem of insecurity feeling, we propose a method which helps to emphasize our sense of security by notifying the partner's acceptability of receiving our call. The acceptability is estimated with several sensors attached to mobile phone. The method aims to transmit three senses ― "sense of security about the partner's safety", "relief by the partner's help", "intention of the partner". From the result of questionnaire about the proposed method, it is found that the method can enhance sense of security so that we can decide what to do. In addition, it is found that the prototype can estimate participants' acceptability with high accuracy.
著者
小倉 敏裕
出版者
公益社団法人日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術學會雜誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.49, no.12, pp.2052-2057, 1993-12-01
被引用文献数
4

1.解像特性は, 同一インチモードにおいてもアイリス径とピクセル値がそれぞれ大きくなると低下することがわかった.このことは, I.I.への入射線量の増減により解像特性が変化することを意味する.aアイリス径を一定に保ち, 入射線量を増すとピクセル値が上昇し解像特性が低下する.bピクセル値を一定に保つためにアイリス径を広くし, 入射線量を減ずると解像特性が低下する.すなわち, 高い解像特性の画像を得るためには, アイリス径を絞り, 低いピクセル値となるような線量で撮影する.逆にあまり高い解像特性を必要としない場合, アイリス径を広くすることによって被曝低減が可能である.2.低線量撮影により, ルーチンに小焦点(0.2mm)撮影が可能である.このため, 小焦点拡大撮影の技法が応用でき, S/Fに匹敵する解像特性の有する画像が得られる.3.ノイズに関して, 線量の低減によって量子モトルが増加し, ディジタルWSは上昇した.そして, 同時に低コントラスト被写体検出能の低下も顕著であった.また, ノイズ特性は, 解像特性と密接な関係があるため, アイリス径や, ピクセル値によっても異なる.このように, I.I./TV-DRの場合, 入射線量と解像特性とノイズ特性の間には, 複雑な関係があり, これらの特性を熟知したうえで撮影目的にあったDR装置のパラメータの設定, 線量, 撮影方法を決定する必要がある.
著者
倉田白峯 著
出版者
大洋社
巻号頁・発行日
1938
著者
ピョ ユンソク 辻 徳生 橋口 優香 倉爪 亮
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp."1A1-N07(1)"-"1A1-N07(3)", 2015-05-17

This paper presents a new human-robot interface for the informationally structured environment consisting of an immersive VR display (Oculus Rift DK2), a stereo camera (Ovrvision), an optical tracking system (Bonita, Vicon) and an environmental simulator (Choreonoid).
著者
内藤 博愛 朝倉 淳 神山 貴弥 須本 良夫 樽谷 秀幸
出版者
広島大学学部・附属学校共同研究機構
雑誌
学部・附属学校共同研究紀要 (ISSN:13465104)
巻号頁・発行日
no.37, pp.325-330, 2008

本年度は, これまでに蓄積されてきた研究成果を踏まえて, 生活科学習において「キャリア」という視点からの単元開発の可能性について研究を進めた。そのために, これまで同様, 提案授業を基に協議・考察をしていった。本年度は広島大学附属東雲小学校の須本良夫教諭の実践「小さな先生登場」を基にしたキャリアを視点とした生活科の単元開発の可能性について協議した。須本実践では, 「見て分かる」だけではなくて「実際にさせて分からせる」という過程を大切にすることがその特徴であり, 大いに示唆に富むものであった。実際に先生の仕事をさせることで, 子ども達は嬉々として活動に取り組みながらも, 目には見えない先生達の仕事(大変さや喜び等)に気付くことができた。具体的な活動を通して思考するという発達の過程にある低学年の子ども達との学習において, この単元作りの視点は, 生活科の他の学習内容においても今後, ますます大切にされなければならないということが協議において明らかになった。
著者
戸倉 猛 奥 久司 塚本 有記
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.134, no.2, pp.97-104, 2009 (Released:2009-08-12)
参考文献数
37
被引用文献数
2 3

ピルフェニドンは新規の抗線維化薬である.動物実験では各種線維化疾患モデルで各臓器における明らかな線維化の減少と機能低下の抑制が認められている.ブレオマイシン誘発肺線維症モデルでは,ステロイドであるプレドニゾロンとの比較により,プレドニゾロンは抗炎症作用のみを示したのに対し,本薬は抗炎症作用と抗線維化作用の両方を示した.種々の検討からピルフェニドンは,炎症性サイトカイン(TNF-α,IL-1,IL-6等)の産生抑制と抗炎症性サイトカイン(IL-10)の産生亢進を示し,Th1/2バランスの修正につながるIFN-γの低下の抑制,線維化形成に関与する増殖因子(TGF-β1,b-FGF,PDGF)の産生抑制を示すなど,各種サイトカインおよび増殖因子に対する産生調節作用を有することが示されている.また,線維芽細胞増殖抑制作用やコラーゲン産生抑制作用も有しており,これらの複合的な作用に基づき抗線維化作用を示すと考えられる.本邦において実施された特発性肺線維症(IPF:Idiopathic Pulmonary Fibrosis)患者を対象とした第III相試験の結果,ピルフェニドン投与によりプラセボ群に比べ有意に肺機能検査VC(肺活量)値の悪化を抑制し無増悪生存期間の延長に寄与していたことから,特発性肺線維症の進行を抑制することが示された.一方,本薬投与による特徴的な副作用は,光線過敏症,胃腸障害(食欲不振,食欲減退),γ-GTP上昇等であった.ピルフェニドンが特発性肺線維症患者に対して一定の効果を示したことにより,副作用の発現はプラセボ群に比べ高かったものの,減量・休薬等で副作用をコントロールし治療を継続することで,病態の進行を抑制し生命予後の改善にも寄与することが期待される.
著者
アハメド モハメド 木村 和弘 ソリマン モハメド 山地 大介 岡松(小倉) 優子 マコンド ケネディ 稲波 修 斉藤 昌之
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.125-131, 2007-02-25

脂肪細胞から分泌されるレプチンは摂食調節やエネルギー消費を調節するだけでなく,直接あるいは腫瘍壊死因子(TNF-α)を介して間接的にヒト好中球機能を修飾する.ウシ好中球はfMLP受容体を持たないなどヒト好中球とは異なる特徴を持つ.そこで本研究ではホルスタイン牛好中球の脱顆粒応答および活性酸素産生能に村するレプチンとTNF-αの作用を調べた.なおウシ好中球には活性型レプチン受容体Ob-RbとTNF-α受容体(TNF-R1)の発現が確認された.ヒトレプチン,ヒトTNF-α,活性型ホルボールエステル(PMA)とオプソニン化したザイモザン(OZP)は脱顆粒を惹起しなかった.一方,アナフィラトキシンを含むザイモザン活性化血清は(ZAS)は脱顆粒を誘導した.しかし,レプチンやTNF-αはZASによる脱顆粒反応にも影響しなかった.レプチンを除く,TNF-α, PMA, OZPとZASは活性酸素の産生を異なる強度で誘導した.さらにTNF-αはOZPとZASによる活性酸素産生能を増強し,この活性増大作用の一部分はNADPHオキシダーゼの細胞質コンポーネントであるp47^<phox>の膜移行の増加で説明された.レプチンはいずれの刺激に対しても影響を示さなかった.これらの結果よりヒト好中球とは異なりレプチンはウシ好中球の脱顆粒応答および活性酸素産生能に村して直接的な作用を示さないことが明らかとなった.
著者
アハメド モハメド シャバン ゼイン 山地 大介 岡松(小倉) 優子 ソリマン モハメド アブエルダイム マブルク 石岡 克己 マコンド ケネディ 斉藤 昌之 木村 和弘
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.509-514, 2007-05-25
被引用文献数
11

脂肪細胞分泌因子,レプチンは摂食やエネルギー消費のみならず,免疫細胞機能を修飾することが知られる.ウシ単核球(PBMC)をレプチン単独あるいはT細胞マイトージェンCon Aと同時に刺激すると,レプチンはPBMCの増殖を10-40%増大させた.一方,PBMCからTリンパ球を分離し,同様に刺激すると,レプチンはTリンパ球の増殖を抑制したので,レプチンはPBMCに含まれる単球マクロファージなどに作用してTリンパ球増殖因子を産生させる可能性を示した.次に単球マクロファージを分離してサイトカイン遺伝子の発現を調べたところ,多寡はあるものの腫瘍壊死因子TNF-α,インターロイキン(IL)-1β,IL-12p35,IL-12p40,IL-18遺伝子の恒常的な発現が見られた.レプチンを作用させるとTNF-αとIL-12p40mRNAの発現が増大したが,他の遺伝子の発現は変化しなかった.TNF-αの分泌量を調べると,実際に培養液中の濃度が増加した.また培養液中のIL-1β濃度が増大した.そこで伏在性のpro-IL-1βやpro-IL-18を活性型に分解させるタンパク分解酵素caspase-1の発現について調べたところ,レプチンによってその遺伝子の発現が増大した.これらの結果より,レプチンは単球マクロファージに作用しIL-12p35/p40の複合体形成や活性型IL-1β/IL-18を分泌させTリンパ球の増殖を促進すると考えられた.
著者
関根 康人 高野 淑識 矢野 創 船瀬 龍 高井 研 石原 盛男 渋谷 岳造 橘 省吾 倉本 圭 薮田 ひかる 木村 淳 古川 善博
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊・星・人 : 日本惑星科学会誌 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.229-238, 2012-09-25

エンセラダスの南極付近から噴出するプリュームの発見は,氷衛星の内部海の海水や海中の揮発性成分や固体成分の直接サンプリングの可能性を示した大きなブレイクスルーであるといえる.これまでカッシーニ探査によって,プリューム物質は岩石成分と相互作用する液体の内部海に由来していることが明らかになったが,サンプリング時の相対速度が大きいこと,質量分析装置の分解能が低いことなどの問題があり,内部海の化学組成や温度条件,海の存続時間など,生命存在の可能性を制約できる情報は乏しい.本論文では,エンセラダス・プリューム物質の高精度その場質量分析とサンプルリターンによる詳細な物質分析を行うことで,内部海の化学組成の解明,初期太陽系物質進化の制約,そして生命存在可能性を探ることを目的とする探査計画を提案する.本提案は,"宇宙に生命は存在するのか"という根源的な問いに対して,理・工学の様々な分野での次世代を担う若手研究者が惑星探査に参入し結集する点が画期的であり,我が国の科学・技術界全体に対しても極めて大きな波及効果をもつ.
著者
大谷 栄治 倉本 圭 今村 剛 寺田 直樹 渡部 重十 荒川 政彦 伊藤 孝士 圦本 尚義 渡部 潤一 木村 淳 高橋 幸弘 中島 健介 中本 泰史 三好 由純 小林 憲正 山岸 明彦 並木 則行 小林 直樹 出村 裕英 大槻 圭史
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊・星・人 : 日本惑星科学会誌 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.349-365, 2011-12-25
被引用文献数
1

「月惑星探査の来たる10年」検討では第一段階で5つのパネルの各分野に於ける第一級の科学について議論した.そのとりまとめを報告する.地球型惑星固体探査パネルでは,月惑星内部構造の解明,年代学・物質科学の展開による月惑星進化の解明,固体部分と結合した表層環境の変動性の解明,が挙げられた.地球型惑星大気・磁気圏探査パネルは複数学会に跨がる学際性を考慮して,提案内容に学会間で齟齬が生じないように現在も摺り合わせを進めている.本稿では主たる対象天体を火星にしぼって第一級の科学を論じる.小天体パネルでは始原的・より未分化な天体への段階的な探査と,発見段階から理解段階へ進むための同一小天体の再探査が提案された.木星型惑星・氷衛星・系外惑星パネルは広範な科学テーマの中から,木星の大気と磁気圏探査,氷衛星でのハビタブル環境の探査,系外惑星でも生命存在可能環境と生命兆候の発見について具体的な議論を行った.アストロバイオロジーパネルでは現実的な近未来の目標として火星生命探査を,長期的な目標として氷衛星・小天体生命探査を目指した観測装置開発が検討された.これらのまとめを元に「月惑星探査の来たる10年」検討は2011年7月より第二段階に移行し,ミッション提案・観測機器提案の応募を受け付けた.
著者
倉元 綾子 高橋 桂子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集 第56回大会・2013例会
巻号頁・発行日
pp.58, 2013 (Released:2014-01-25)

【目的】家庭科は生活課題を取り扱うことから,問題解決能力(現実の領域横断的な現状に直面した場合に,認知プロセスを用いて,問題に対処し,解決することができる能力。問題解決の道筋が瞬時には明白でなく,応用可能と思われるリテラシー領域あるいはカリキュラム領域が数学,科学,または読解のうちの単一の領域だけには存在していない。PISA)の育成に大きな役割を果たすことが従来から指摘されてきた。また,平成20年度学習指導要領改訂では家庭科に「生活の課題と実践」が加わったことから,問題解決型の授業がますます重要視されてきている。本報告では,韓国・家庭科における実践的推論プロセスにもとづく授業の導入について明らかにする。【方法】ユ・テミョン,イ・スヒ著『実践的問題を中心とする家庭科の授業-理論と実践』(2010年,ブックコリア)および韓国教育課程に関する文献資料などを分析した。【結果】(1)韓国の家庭科では,2007年の教育課程改正以後,問題解決型学習,プロジェクト学習,実習中心学習,特に実践的推論プロセスの本格的導入が進められている。(2)『実践的問題を中心とする家庭科の授業-理論と実践』は,新教育課程に向けて,プログラム開発・実行・評価など家庭科教員の教授能力を高めることを目的としている。(3)同書は,第1部 実践的問題を中心とする家庭科の授業の理解,第2部 実践的問題を中心とする家庭科の授業の設計,第3部 実践的問題を中心とする家庭科の授業の実際から構成されている。(4)第2部 実践的問題を中心とする家庭科の授業の設計は全5章から構成されている。授業の中心的観点の明確化,実践的問題の開発,シナリオ製作,授業における質問の開発,評価のための質問項目の開発などを具体的に扱っている。実際に授業を開発し実施するうえで訓練を必要とする部分についても多様な事例を用いて具体的に説明している。(5)第2部の各章(節)は以下のとおりである。第1章 授業の観点(教育プロセスを重視した授業設計,教師の授業観点,実践的問題を中心とする授業と能力形成を中心とする授業の事例),第2章 実践的問題開発(教育プロセスを基礎とする実践的問題の構成,子どもの個人・家族・家庭生活の実態を基礎とする実践的問題の構成,米国の実践的問題を中心とする教育プロセス),第3章 実践的問題のシナリオ製作(直接製作した実践的問題のシナリオ,新聞資料を活用した実践的問題のシナリオ,写真資料を活用した実践的問題のシナリオ,映像資料を活用した実践的問題のシナリオ),第4章 質問の開発(三つの行動体系と関連した質問,推論段階にともなう質問例,実際の授業での質問の構成例),第5章 評価のための質問項目の開発(評価における二者択一的観点,二者択一的評価ツール)。(6)同書第3部 実践的問題中心家庭科授業の実際は2つの章から構成されている。第2部を基礎にして,実践的問題を中心とする授業の中心的要素が授業過程全体を通してどのような役割を果たしているのか,授業を作る過程を通じて実践的問題を中心とする授業を理解するようにしている。さらに,実際に授業を開発し実施する過程の理解を助けるために事例を通して具体的に説明している。(7)第3部の各章(節)は以下のとおりである。第1章 実践的問題を中心とする授業のプロセス(実践的問題を中心とする授業の準備,実践的問題を中心とする授業の流れ),第2章 実践的問題を中心とする授業の開発と実施(授業の観点,実践的問題の開発,実践的問題を中心とする授業の実施)。(8)『実践的問題を中心とする家庭科の授業-理論と実践』の実践編は豊富な事例と具体的な説明を用いて,実践的推論プロセスにもとづく授業に取り組むことができるようにしている。