著者
内田 早紀子 松村 敦
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2018-CE-147, no.9, pp.1-5, 2018-11-24

2020 年度から小学校でプログラミング教育が必修化される.暗記型のプログラミング教育では,小学生がプログラミング的思考を習得することは困難とされている.そこで,小学生にとって身近な日常の活動を題材としたプログラミング的思考育成ツールを開発した.小学校 2 校で利用実験と評価を行ったところ,プログラミング的思考の向上の効果が異なった.これは,プログラミング的思考の評価方法の違いが大きく影響している可能性がある.また,ファシリテーターの教え方に差があったため統制された評価になっていないことも一因と考えられる.アンケートでは,参加者の約 8 割の子供から楽しく学習でき,ツールは使いやすかったと回答があり,本ツールは小学生が利用するのに適している事がわかったが,約 3 割が難しいと感じていた.子供たちの理解に合わせた動きや事象と問題のレベルの設定については,再度検討する余地がある.
著者
藤原 佳典 西 真理子 渡辺 直紀 李 相侖 井上 かず子 吉田 裕人 佐久間 尚子 呉田 陽一 石井 賢二 内田 勇人 角野 文彦 新開 省二
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 = JAPANESE JOURNAL OF PUBLIC HEALTH (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.702-714, 2006-09-15
参考文献数
29
被引用文献数
16

<b>目的</b>&emsp;高齢者の高次生活機能である社会的役割と知的能動性を継続的に必要とする知的ボランティア活動&mdash;子供への絵本の読み聞かせ&mdash;による介入研究&ldquo;REPRINTS&rdquo;を開始した。その 1 年間にわたる取り組みから得られた知見と課題を整理し,高齢者による社会活動の有効性と活動継続に向けた方策を明らかにする。<br/><b>方法</b>&emsp;&ldquo;REPRINTS&rdquo;プログラムの基本コンセプトは高齢者による「社会貢献」,「生涯学習」,「グループ活動」である。対象地域は都心部(東京都中央区),住宅地(川崎市多摩区),地方小都市(滋賀県長浜市)を選び,2004年 6 月一般公募による60歳以上ボランティア群67人と対照群74人にベースライン健診を行った。3 か月間(週 1 回 2 時間)のボランティア養成セミナーを修了後,6~10人単位のグループに分かれ地域の公立小学校,幼稚園,児童館への定期的な訪問・交流活動(主な内容は絵本の読み聞かせ)を開始し,2005年 3 月に第二回健康診査を行った。<br/><b>結果</b>&emsp;ベースライン健診において,孫のいない者の割合(41.8% vs. 20.3%,<i>P</i>=0.006),就学年数(13.4&plusmn;2.5 vs. 12.3&plusmn;2.5年,<i>P</i>=0.008),過去のボランティア経験あり(79.1% vs. 52.7%, <i>P</i>=0.001),通常歩行速度(86.7&plusmn;12.3 vs. 81.3&plusmn;12.9 m/分,<i>P</i>=0.012)で,ボランティア群は対照群に比べそれぞれ有意に高かったが,他の諸変数では両群に有意差はなかった。第二回健診時点での活動継続者56人は社会的ネットワーク得点で,孫,近隣以外の子供との交流頻度および近隣以外の友人・知人の数が対照群に比べて有意に増加した。社会的サポート得点でボランティア群は対照群に比べて友人・近隣の人からの受領サポート得点は有意に減少したが,提供サポート得点は有意に増加した。ボランティア群は対照群に比べて「地域への愛着と誇り」,健康度自己評価,および握力において有意な改善または低下の抑制がみられた。<br/><b>結論</b>&emsp;9 か月間の世代間交流を通した知的ボランティア活動により健常高齢者の主観的健康感や社会的サポート・ネットワークが増進し,地域共生意識および体力の一部に効果がみられた。自治体との協働により,新たな地域高齢者のヘルスプロモーションプログラムを構築しうることが示唆された。
著者
浦木 梨江 山内 敏子 内田 史絵 大川 咲子 岡村 浩子 奥田 真美 谷本 智香 中山 和子 安房田 司郎
出版者
高知学園短期大学
雑誌
高知学園短期大学紀要 (ISSN:03894088)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.67-73, 2001-12-25

Recently, there are many books written about many kinds of diet methods. Many of them seem to be injurious to the health or not to get enough effect. We examined whether it is possible or not to propose a better method for diet. We concluded that it is important for the subject to know an elementary knowledge about nutrition and physiology and to lead an active life always taking the seven items into consideration.
著者
田上 恵子 内田 滋夫 菊池 洋好 小暮 則和
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.67, no.7, pp.405-411, 2018-07-05 (Released:2018-08-08)
参考文献数
20
被引用文献数
5

希土類元素の工業利用の増加に伴い,その環境負荷が増える可能性がある.将来,人への希土類元素の移行を推定するためには,土壌から農作物への移行係数(TF=可食部中濃度[mg kg−1-dry]/土壌中濃度[mg kg−1-dry])を求めておくことが有用である.本研究では特に水田土壌から玄米への移行に着目し,希土類元素としてLa,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,LuについてTFを求めた.日本全国から98地点の水田土壌-玄米試料を収集し,土壌,玄米及び糠の元素濃度測定を誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)で行った.その結果,土壌から玄米への希土類元素のTFの幾何平均値の範囲は(0.42〜6.9) × 10−4であり大きな差は見られなかった.玄米中においては,軽希土類元素の方が糠に多く分布する傾向があることがわかった.
著者
平山 高嗣 岩井 儀雄 谷内田 正彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.1625-1634, 2003-06-15
被引用文献数
5

顔画像を利用したヒューマンインタフェースを構成する場合,システムがユーザに拘束条件を与えないことが理想の形態となる.顔はその姿勢や表情により,その見え方が様々に変化するため,この変化にロバストな認識技術が必要になる.本研究では,入力画像中の顔領域と照合に用いるモデルの大きさが異なる場合でも,顔認識が可能となる照合手法を提案する.これはフレキシブル特徴照合法を拡張した手法で,照合に用いる特徴量が顔の大きさの変化に対して正規化されるため,顔認識の精度を保つことができる.特徴量の正規化には,顔の大きさの確率的な推定手法と効率的な処理を行うために改良したガボールウェーブレット変換を用いる.我々は提案手法に基づいた個人識別システムを構築し,個人識別実験によりその有効性を検証した.Facial recognition technology needs to be robust for arbitrary facial appearances because a face changes according to facial expressions and facial poses. In this paper, we propose a method which automatically performs face recognition for variously scaled facial images. The method performs flexible feature matching using features normalized for facial scale. For normalization, the facial scale is probabilistically estimated and is used as a scale factor of an improved Gabor wavelet transformation. We implement a face recognition system based on the proposed method and demonstrate the advantages of the system through facial recognition experiments.
著者
相澤 隆生 内田 利弘
出版者
社団法人 物理探査学会
雑誌
物理探査 (ISSN:09127984)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.161-171, 2016

福島県いわき市では,2011年3月の東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)に関連して,炭鉱跡地で地鳴り,地下水の噴出,地面の陥没などの異常現象が発生した。それらに関する専門的な知見について,いわき市から物理探査学会に相談が寄せられた。学会では,理事会での議論を経て,緊急現地調査を実施することとなった。当初,調査は炭鉱跡地の災害を対象としていたが,2011年4月11日に福島県浜通りを震源とするマグニチュード (Mj) 7.0の地震(余震)が発生したため,調査対象は余震を発生させた活断層および被災箇所の状況調査へと拡大した。<br> 本稿では,物理探査学会が,今後,大規模自然災害の際に緊急災害対応を行うことを念頭に,2011年東日本大震災の際に,学会が被災地での緊急調査実施を決定したプロセス,現地の状況変化に伴って変更した実施内容とその経過等を整理し,レビューすることとした。また,調査の様々な成果が地元自治体および住民のニーズにどの程度応えることができたか等を評価するため,経済協力開発機構の開発援助委員会が定めた評価5項目に基づく事業評価を行い,成果および課題について明らかにした。さらに,今後,学会が行うことが考えられる緊急災害調査では,その都度,事業評価を行うことの重要性を指摘した。<br>
著者
八幡 浩二 内田 実 尾崎 光伸 中山 愉希江
出版者
福山市立大学都市経営学部
雑誌
都市経営 : 福山市立大学都市経営学部紀要 = Urban management : bulletin of the Faculty of Urban Management, Fukuyama City University (ISSN:2186862X)
巻号頁・発行日
no.10, pp.93-103,105-113, 2018

瀬戸内海のほぼ中央部に浮かぶ宇治島は、広島県福山市に属する周囲4.25km,面積0.52㎢の無人島である.宇治島では1983年(昭和58)と1984年(昭和59)の2回に亘り,広島大学考古学研究室によって発掘調査が行われたところ,島の北側に位置する「北の浜遺跡」からは,縄文時代から中世に及ぶ各時期の遺物が出土するとともに,古代海上交通に関する祭祀遺構が検出されるなど、貴重な成果が得られている.今回,新たな『福山市史 原始から現代まで』(2017年3月刊行)の編さん事業に伴い,遺跡の現状を把握することを目的として,宇治島北の浜遺跡の現地踏査を実施した.本稿では採集した遺物,及び遺跡の現状の報告,併せて今後の課題について記しておきたい.The Uji Island (or Ujishima as it is called in Japan) is located in the middle of the Setouchi Sea (also called Setonaikai). This island, 4.25 kilometers around with an area of 0.52 kilometers, belongs to Fukuyama city, Hiroshima prefecture, Japan.Hiroshima University Graduate School of Letters,Department of Archaeology excavated some parts of the island once in 1983 and once in 1984, from which they found some relics of dating from the Jomon Era to Medieval times. The findings include remnants of old buildings particularly related to archeological sea traffic. These are really valuable findings.A book, titled 'A History of Fukuyama City', was published in March 2017. In the wake of its publicatin this book, excavation work has been conducted in the remains of the Northern Beach of the island (Ujishima Kitanohama Iseki). This article reports on what has been obtained in the remains, its present state, and the tasks still left to be undertaken.
著者
内田 雄基 大橋 一輝 高橋 桂太 藤井 俊彰
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J99-D, no.9, pp.823-835, 2016-09-01

本論文では,代表的なlight field cameraの一つであるLytro Illumを対象とし,カメラの物理的な画素配列を考慮した超解像手法を提案する.Lytro Illumでは,イメージセンサの手前に挿入されたマイクロレンズアレーの働きにより,多視点画像の同等のデータ(light fieldデータ)がイメージセンサ上に多重化されるため,一度の撮影で三次元情報を取得できる.取得データ(RAW画像)に逆多重化を施すことで,多視点画像(sub-aperture image)を取り出せるが,個々の画像の解像度は限られる.そこで,多視点画像を相互に位置合わせして超解像を行い,解像度を向上させる方法が考えられる.しかしながら,従来の手法では,Lytro Illumのようなカメラに特有のRAW画像の画素配列の扱い方に問題がある.RAW画像では,各画素はRGBのうち一つの色情報をもち,かつ,マイクロレンズが六角格子状に並んでいる.従来の手法では,デモザイキングにより色情報を復元し,レンズ配列が正方格子状になるように画素をリサンプリングする.これらの過程には重みづけ和のような演算を伴うデータの補間が含まれるため,RAW画像のもつオリジナルの情報が損なわれ,超解像の効果を妨げると考えられる.それに対して我々は,演算を伴う補間処理を行わず,RAW画像の画素配列を維持したsub-aperture imageを用いて超解像を行う手法を提案する.また,幾つかの実写画像を用いた実験により,提案手法の有効性を示す.
著者
内田 塔子
出版者
東洋大学ライフデザイン学部
雑誌
ライフデザイン学研究 = Journal of Human Life Design (ISSN:18810276)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.95-108, 2011

本研究は、大正期から大阪を本拠地として、先進的に児童愛護運動を全国展開した大阪児童愛護聯盟が、大正後期から昭和初期の時代に、どのような問題を子どもの喫緊の課題と認識し、それらの改善のためにどのような視点を重視していたのかについて、聯盟機関誌『子供の世紀』の内容分析を通じて明らかにしたものである。 『子供の世紀』所収の論考をテーマごとに分類・分析した結果、大阪児童愛護聯盟は、義務教育就学率はすでに高率であったものの乳幼児死亡率が依然として高率であった日本において、乳幼児死亡率の低減を最重要課題として育児知識の普及に取り組みつつも、それのみならず、母子保健・医療・教育・福祉・都市計画といった幅広い領域を視野に入れた総合性を備えていること、児童愛護の対象をすべての子どもに設定していることが明らかになった。The purpose of this study was to clarify what the Association of Osaka Child Protection thought as the urgent children's problems and what they thought was important to improve the children's situation in the Taishō and the Early Shōwa Era, by classifying the articles published in "The Century of the Child" which was the Journal of this association.It became apparent that, they considered their goal was to reduce the very high child mortality rate of Japan, and therefore, they tried to extend the knowledge of the child care to the parents. In addition, it also cleared that they covered many fields of study, such as maternal and child health, medical care, education, social welfare and city planning, and they focused on all children regardless of their physical, social or other conditions.
著者
錦織 圭史 村上 元良 内田 清 尾留川 正博 宮武 範夫
出版者
公益社団法人日本磁気学会
雑誌
日本応用磁気学会誌 (ISSN:18804004)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.321-324, 1997-04-15
被引用文献数
1

The potential advantages of magnetically induced super-resolution (MSR) for high-density recording in magneto-optical disks have spurred the study of various related technology. MSR systems can read signals from a smaller area than the laser spot area by using magnetic films with different temperature characteristics. Most MSR systems require an external magnetic field in the readout. We have developed a new type of MSR (S-RAD) that does not require an external magnetic field. The front masking area of the S-RAD is formed by shrinking the recording mark in the readout layer. This paper describes the readout principle and readout characteristics of S-RAD. A C/N of 49 dB was obtained at the 0.5μm recording mark. A crosstalk level of less than -40 dB was obtained at a track pitch of 0.8 μm.We believe that S-RAD has sufficient potential to allow practical use of high-density magneto-optical recording.
著者
内田 和義 中間 由紀子
出版者
The Association for Regional Agricultural and Forestry Economics
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.161-166, 2009 (Released:2012-04-06)

Although Funatsu Denjibei was a trained farmer, he worked at the Komaba Agricultural School, where he managed the farm and lectured students on traditional agricultural techniques. All the other teachers at the Komaba Agricultural School were foreigners and lectured the students on Western Agricultural Science. In this paper, we clarify Funatsu Denjibei’s attitude toward Western Agricultural Science.Funatsu Denjibei contributed to the establishment of modern agricultural science in Japan by imparting empirical knowledge to agriculturists. He kept company with the other foreign teachers and acquired knowledge on Western Agricultural Science from them and the young agriculturists who graduated from the school. Although he used some of this knowledge, it did not influence his agricultural techniques. The agricultural techniques that he advocated had accumulated over years of experience. He attached great importance to them and when the ideas held by other agriculturists ran contrary to his experience, he always retorted and strongly questioned their opinions.
著者
柑本 敦子 伊東 輝夫 内田 和幸 チェンバーズ ジェームズ 椎 宏樹
出版者
一般社団法人 日本獣医麻酔外科学会
雑誌
日本獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:21896623)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1+2, pp.9-13, 2017 (Released:2018-03-31)
参考文献数
9

8 歳、避妊雌のジャック・ラッセル・テリアに急性細菌性腹膜炎が認められた。開腹手術で空腸に2つの穿孔部位が見つかり、それぞれを切除し、病理組織検査と免疫染色から組織球性肉腫と診断された。術後は順調に回復し、カルボプラチンの投与を7回行い、術後185日目の慢性下痢による死亡時まで穿孔性腹膜炎や腫瘤の再発はみられなかった。本症例は犬の小腸原発組織球性肉腫の最初の報告例であるが、本腫瘍では小病巣でも自然穿孔が生じる可能性があり、それに対しては手術切除が有効であることが示唆された。
著者
内田 智士 佐々木 達矢 Uchida Tatsuya Sasaki Satoshi
雑誌
【C】平成28年電気学会電子・情報・システム部門大会講演論文集
巻号頁・発行日
2016-08-31

本発表は,集団がある課題を解決していく上で,個々の学習過程の違いが結果にどのような影響をもたらすかについて,数理的なモデルにより調べることを目的とする。学習過程としては,従来の個人主義的学習方法と,アクティブ・ラーニングに代表される構成主義的な学習方法(分人主義的学習方法)とを比較検討する。また集団が解決すべき課題としては,協調性の発展(協調関係の形成)を取り上げる。協調性は,幼児教育に関する種々の研究によって,最近特にその重要性が明らかになりつつある非認知的スキルのひとつだからである。個人主義的学習においては集団が一様になる傾向があるのに対して,構成主義的学習においては,集団に多様性がもたらされることが明らかとなる。
著者
宮田 怜 内田 栞
巻号頁・発行日
pp.1-41, 2017-11

派遣先: Australian National University 他 計6機関 (報告書を参照), 期間: 2017年10月29日-2017年11月10日