著者
内田 立身 西村 拓史 瀧本 宏美 佐藤 美津子 西尾 由美子 福家 洋子 野崎 正範
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血学会雑誌 (ISSN:05461448)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.215-217, 1996-10-01 (Released:2010-03-12)
参考文献数
8
被引用文献数
1

We evaluated the effect of repeated 400ml whole blood donation on storage iron status in 26 males and 196 females. Iron status was estimated from hemoglobin concentration, transferrin saturation and serum ferritin. Storage iron was calculated according to the formula proposed by the National Health and Nutrition Examination Survey (NHANES). Calculated storage iron after repeated donation of 400ml was 806±174mg in male donors and 292±248mg in females. Levels after 400ml donation decreased to 606mg in males and to 92mg in females. Among females, 20.5% were in negative iron balance before donation, increasing to 37.7% after donation. However, no significant decrease in storage iron by repeated blood donation was recognized, when standards for blood collection were strictly complied with.
著者
丸田 恭子 園田 至人 内田 裕一 高橋 利幸 福永 秀敏
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.491-495, 2012 (Released:2012-12-26)
参考文献数
19
被引用文献数
4 7

症例は89歳女性である.四肢のしびれと筋力低下を訴え入院した.右視神経萎縮があり視力は手動弁,四肢・体幹の全感覚消失と四肢に中等度の筋力低下を認めた.間質性肺炎が認められ,MRIでは第2から第6頸椎レベルにかけて連続性脊髄病変があり,後索から灰白質中心にかけてガドリニウムにて造影された.抗核抗体640倍(speckled type),抗DNA抗体33.1 IU/ml,抗SS-A抗体40.4,抗SS-B抗体171.9,抗RNP抗体39.5と高値を示したことから,全身性エリテマトーデスやSjögren症候群による縦断性脊髄炎を考え,ステロイドパルス療法を施行した.症状は軽快し,頸髄の異常所見は消失した.その後,抗アクアポリン4抗体陽性が判明し,頸髄病変が再燃したためセミパルス療法を行い,プレドニゾロン10 mg/日を継続している.全身性エリテマトーデスやSjögren症候群による縦断性脊髄炎が報告されているが,視神経脊髄炎においては各種の自己抗体の上昇をともなう場合があり,視神経脊髄炎関連疾患も考察して抗アクアポリン4抗体を測定することが診断および治療の上で重要と考える.
著者
井上 文 保坂 嘉成 村山 陵子 田邊 秀憲 大江 真琴 内田 美保 小見山 智恵子 真田 弘美
出版者
看護理工学会
雑誌
看護理工学会誌 (ISSN:21884323)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.67-72, 2017-01-25 (Released:2018-02-28)
参考文献数
12

患者への末梢静脈カテーテル留置場面での,留置針を刺入し輸液ルートを接続する際の看護師の主観的体験を明らかにすることを目的とした.都内一施設の看護師10名(経験年数3~14年)の実際の刺入場面を録画し,それを視聴しながら手技を行っていた際の気持ちなどについて半構造化面接を行い,質的記述的に分析した.東京大学医学部倫理委員会の承認を受けた.分析の結果,【知識と経験に基づく血管選択の困難感】【末梢静脈路確保できないことへの不安感】【技術向上への思い】【血液に対する焦りと恐怖】【繁忙による焦り】【患者からの重圧】【末梢静脈路確保に伴う葛藤】の7カテゴリーが抽出された.技能の修得レベルの向上に伴い小さくなっていくカテゴリーもあったが,不安や困難感は完全には解消されなかった.看護技術をサポートすることで,困難感などの緩和,解消につながると考えられたカテゴリーも多く,末梢静脈留置針刺入の成功につながる可能性が示唆された.
著者
平山 裕子 井元 清隆 鈴木 伸一 内田 敬二 小林 健介 伊達 康一郎 郷田 素彦 初音 俊樹 沖山 信 加藤 真
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.60-64, 2008-01-15 (Released:2009-09-11)
参考文献数
27
被引用文献数
2 2

症例は76歳,女性.両下肢浮腫と呼吸困難を主訴に来院した.経胸壁心エコーで右房内に可動性に富む腫瘤を認め,心不全を伴う右房内腫瘤と診断し手術を施行した.術中の経食道心エコーで右房内腫瘤が下大静脈内へ連続していることを確認したが原発巣は不明なため,心腔内腫瘤摘除にとどめ,残存腫瘍断端はクリップでマーキングした.術直後のCTで子宮筋腫から下大静脈内へ連続する構造物の中にクリップを認め,さらに摘出標本の病理所見からintravenous leiomyomatosis(IVL)と診断した.術後半年のCTでクリップは下大静脈から子宮に連続する静脈内に移動しており,腫瘍は退縮傾向であると考えたが,今後も厳重なる経過観察が必要である.
著者
藤原 結花 内田 有紀 川西 亮太 井上 幹生
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.91-105, 2014
被引用文献数
2

愛媛県の重信川中流域に点在する灌漑用湧水池の魚類群集を,約 10 年を隔てた 2 時期 (1998-1999 年と 2008 年) 間で比較し,護岸改修工事やオオクチバスの定着が魚類群集にどのような変化をもたらしたかについて検討した.調査地である 11 の湧水池のうち 2 つが 2000 年以降に護岸改修 (素堀りから石積み護岸への改修) が施されたもので (改修湧水池), 別の 1 つは 1999 年においてオオクチバスの定着が確認されていたものである (バス湧水池). 出現種数,種構成,種毎の生息密度,および岸部の状態,底質,カバーといった環境要素を比較した結果,バス湧水池では,オオクチバス以外の種が激減するという大きな変化が認められた.このような顕著な変化はバス湧水池に特有のものであり,また,その 10 年間で環境要素に際立った違いは認められなかったことから,バス湧水池で見られた他魚種の激減は,オオクチバスによるものと考えられた.一方,改修湧水池では,改修工事に伴う大きな環境変化が示されたものの,魚類群集には顕著な違いは認められなかった.1 つの改修湧水池では種数は減少したが,もう一方の改修湧水池では増加していた.また,両改修湧水池で生息種の入れ替わりや生息密度の増減が認められたものの,そのような変動は他の非改修湧水池で見られた変動と同程度であった.それぞれの湧水池における各魚種の増減を総じて見た場合,生息密度が増加した例が 32 に対して減少したのは 56 例であり,全体的には減少傾向にあった.この減少傾向は,2008 年におこった水位低下による一時的な減少を含む可能性があるが,ヤリタナゴとタモロコの減少傾向については注意を払う必要があると思われた.これら 2 種は,以前生息していた湧水池の全て (ヤリタナゴ 6 池,タモロコ 2 池) から消失しており,これらの分布域や個体群サイズの縮小が示唆された.また,このことが氾濫原水域や農業水系網全体の劣化を示唆する可能性があることを指摘した.
著者
内田 善久 伊藤 正人
出版者
一般社団法人 日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1-2, pp.71-87, 1997-06-30 (Released:2017-06-28)

本稿では学際的領域としての採餌行動研究の最近の発展を概観した。最適餌場利用、最適食餌、頻度依存捕食という3つの話題に対してオペラント心理学が培ってきた方法論を適用した研究に主眼がおかれた。行動生態学から導出された最適餌場利用と最適食餌という最適性モデルは、動物は最も効率的に餌を採るという仮定を共通に持つ。最適餌場利用と最適食餌の問題に適用された、強化スケジュールを用いた実験室シミュレーションは、最適性モデルによる予測の検証や移動時間、餌の分布等の採餌行動に及ぼす様々な要因の効果を検討する上で有効な方法論であることが示された。また、頻度依存捕食とは動物が相対頻度の高い餌を過剰に摂食する現象のことを指す。この現象に適用された、並立連鎖スケジュールを用いた実験室シミュレーションの結果は、餌の目立ち易さの要因が頻度依存捕食を生起させる上で重要であることを示した。これらの知見から、実験室シミュレーションが最適性モデルによる予測の検討や採餌行動に影響する要因の探求に際して強力な道具となることが明らかにされた。
著者
杉浦 彩子 内田 育恵
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.120, no.5, pp.707-713, 2017-05-20 (Released:2017-06-20)
参考文献数
31

難聴は高齢者に最も多くみられる障害の一つだが, 近年難聴が認知機能低下のリスク要因であることが注目されている. 難聴と認知機能は, 共通の因子や相互作用もあると考えられ, その関係性は複雑である. 補聴器による難聴に対する介入で, 認知機能の維持・改善が報告されており, 2015年には大規模な疫学調査における補聴器装用の認知機能への有効性がイギリスとフランスから報告された. 難聴高齢者は難聴の自覚が乏しく, 家族から難聴を指摘されて受診する場合が多い. 高齢者において聴力を評価する場合には, 既に認知機能低下を伴っていて, マスキングがうまく入らなかったり, 聴力検査でのボタン操作が不安定だったりすることがある. また, 本来の難聴に機能性難聴を伴う症例があり, 留意が必要である. 認知機能低下のある高齢者の難聴への介入は, 語音明瞭度が悪く補聴器の効果が限定的な方が多いこと, 本人の自覚が乏しく補聴器装用の意思の乏しい方が多いこと, 意思があっても補聴器の操作などが困難な方がいること, 紛失のリスクが高いこと, などの問題点があり, 慎重な対応を要する. 認知機能正常の難聴高齢者と認知機能低下のある難聴高齢者とを区別して対応する必要がある. 高齢の難聴者の看過できない問題として耳垢栓塞があり, 湿性耳垢の多い欧米では高齢者の3割程度に認めるとされているが, 本邦においても1割弱の方に耳垢栓塞があると考えられ, 留意が必要である.
著者
内田 誠一 Seiichi Uchida
出版者
安田女子大学大学院
雑誌
安田女子大学大学院紀要 = The journal of the Graduate School, Yasuda Women's University (ISSN:24323772)
巻号頁・発行日
no.24, pp.91-98, 2019-03-31

久邇宮朝彦親王が広島御謫居中に揮毫された新出の和歌短冊について紹介し、短冊の内容について分析・考察する。和歌の内容から、親王が広島にまず御到着になられたのが宮島であったこと、宮島から浅野家の別邸である古江の翠江園にお入りになった可能性が高いことを論じた。また、京都御還住以後に揮毫された、これまた新出の和歌短冊を紹介し、通行の親王歌集と文字の異同があることを指摘した。
著者
渡邊 祥子 菊池 和也 内田 成男 宮下 正好
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌
巻号頁・発行日
vol.26, pp.122, 2010

【はじめに】GPA(Grade Point Average)制度を導入している日本の大学では,GPAが2.0未満であると指導強化や留年,退学勧告がなされる.本校理学療法学科においてもGPAが,進級や卒業判定の参考資料になるのではと考え試験的に導入している.今回2年終了時の通算GPAと,臨床実習や3年次定期試験との関連性について若干の知見を得たので報告する.<BR>【対象】本校の平成21年度卒業生(3期生)49名中,在籍期間3年で卒業し紙面にて本調査への理解と同意を得られた31名(男性21名,女性10名)を対象とした.卒業時の平均年齢は23.4±4.7歳であった.<BR>【方法】3年次の臨床実習にて複数回の実習地訪問が必要だった学生及び最終評定(本校算定基準に基づき学校側で評定)がCであった学生(以下実習群)と,そうでなかった学生(以下実習可群).卒業判定の基準となる最終学年次定期試験が1科目でも6割を満たさなかった学生(以下試験群)と,そうでなかった学生(以下試験可群)に分けた.GPAは成績評定のAを4,Bを3,Cを2,再試験にて合格したCを1として算出した.また2年次までの成績を基礎分野(心理学など),専門基礎分野(解剖学など),専門分野講義(評価学など),専門分野実習(評価学実習など)の4分野に分けて算出した.3年次の状況,科目分野を二次元配置分散分析と多重比較を用いて、有意水準5%にて検討した.<BR>【結果】3年次定期試験は状況の主効果,科目分野の主効果ともに有意な差が認められたが、交互作用は認められなかった.臨床実習では2つの主効果および交互作用すべて有意差が認められなかった.2年通算GPAは試験群2.52±0.26,試験可群3.09±0.43,実習群2.63±0.24,実習可群3.04±0.47であった.<BR>【考察】3年次定期試験はGPAが関係しているが,臨床実習はGPAだけではなく他の要因も関係すると思われる.しかしながら3年次問題なく遂行できるためには,それまでのGPA3.0以上が目安になるのではないかと考える.今後は対象者を増やし,GPAと臨床実習,最終試験との相関性を調査したい.
著者
渡辺 亮 内田 健康 藤田 政之
出版者
The Society of Instrument and Control Engineers
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.35, no.7, pp.861-868, 1999-07-30 (Released:2009-03-27)
参考文献数
22
被引用文献数
3 4

The actual control systems possess some kind of restrictions on the control inputs like saturation, rate limit, and so on. It is known that these restrictions usually cause the large overshoot of the controlled variables for step reference signals. This overshoot phenomenon is called the windup phenomenon. Though the windup phenomenon crucially causes the undesirable performance of the actual control systems, formulation of the windup phenomenon from a control-theoretical point of view has not been proposed yet.In this paper, we characterize the windup phenomenon via output reachable sets and propose analysis technique for the windup based on reachable set analysis. Then we propose a new framework for anti-windup technique and characterize its anti-windup performance via output reachable sets. We also propose analysis technique for anti-windup performance based on reachable set analysis.
著者
内田 彬浩 林 高樹
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
pp.0180113a, (Released:2018-12-07)
参考文献数
22

日本の購入型クラウドファンディングプラットフォーム「CAMPFIRE」のデータを用いた実証分析を行い、米国の「Kickstarter」を対象とした研究と比較した結果、以下の3 点が明らかになった。第一に、日米ともに目標金額と募集日数の増加により資金調達の成功率が下がり、積極的なPR により成功率が上がる。第二に、動画の使用が成功率向上に有効とした米国での研究結果に対し、日本では動画が成功率に影響を与えるとは言えない。第三に、日本では首都圏に所在する資金調達者が実施したプロジェクトの成功率が高い。これらは、今後の日本のクラウドファンディングの発展過程の理解に資すると考えられる。