著者
奥井 伸宜 三浦 秀文 前岨 康祐 河合 英直
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.192-197, 2019 (Released:2019-01-26)
参考文献数
7
被引用文献数
1

モード走行時の運転バラつきは、燃費性能や排出ガス特性に影響を与える。そこで、運転バラつきの低減を目的として、ドライブロボットによる車両運転を実施した。ロボットを制御するドライバモデルには、人間の運転動作を実現したロジックを採用し、国連で採用が検討されているドライビングインデックスを用い評価を行った。
著者
前嶋 和弘
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.30-40, 2017 (Released:2020-03-01)
参考文献数
18

2016年のアメリカ大統領選挙をメディアとの関連から論ずる場合,重要なのが,近年非常に目立っている既存のメディアに対する不信感の増幅である。この不信感と保守・リベラルいずれかの政治的立場に与したり,どちらかの勢力のアドボカシーを行う「メディアの分極化」現象は密接に関連している。フェイクニュース現象,「リベラル・バイアス」論の再燃,ファクトチェックの多用,候補者の「ツイッター」を使った議題設定など,2016年選挙を特徴づける様々な現象は,このメディア不信や「メディアの分極化」現象を背景にしている。メディアとの関連でいえば,2016年選挙は過去数回の大統領選挙と同じようにソーシャルメディアの利用が目立っているが,それでも同選挙で勝利した共和党候補トランプの個人的な資質に頼った選挙戦であり,2012年選挙で台頭したスーパーPACの影は薄かった。
著者
今井 信雄 前田 至剛
出版者
学校法人 関西学院大学先端社会研究所
雑誌
関西学院大学先端社会研究所紀要 (ISSN:18837042)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.27-41, 2010 (Released:2020-03-31)

本稿は都市の空間構造の変容について、旧日本軍の軍用地を核として歴史的に跡づけ、その社会学的な意義を指摘するものである。それら「軍都の空間」が、都市の空間形成(地方都市のみならず大都市圏においても)にとって決定的であったというのが、中心的な枠組みである。本稿では、旧日本軍が占有していた「軍用地」を持つ地域として三重県と群馬県を取り上げる。そして、三重県の地方都市、群馬県の地方都市において、軍都の空間がどのように都市形成の核となってきたのかを素描する。 アメリカの都市社会学を範として発展してきた日本の都市社会学は、できるだけその理論に適合的な事例を取り上げ、理論を組み立ててきた。戦勝国のアメリカでは、軍用地の非軍用施設への転用という事態が行われなかったのであり、日本の社会学は軍施設の転用という都市形成の重大な契機を見落としてきてしまったのだろう。本稿では、軍都の空間の変容をみていくことで、日本における新しい都市空間の社会学を構想するものである。
著者
前林 清和
出版者
身体運動文化学会
雑誌
身体運動文化研究 (ISSN:13404393)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.17-27, 2022-03-15 (Released:2022-04-12)
参考文献数
40

In this study, we focus on God and human beings during life and death in the event of a disaster, and consider their mentality, soul, and physicality.The disaster area is a space-time where both life and death exist.In other words, it is a chaotic space-time where the raging gods, the spirits of the dead, and the souls of the victims who are likely to float are chaotic. The festival is a device that calms, inspires, and restores this space. At the festival, God possesses and dancers who perform requiescats. In a state of unity between God and man, it calms the raging god (earth spirit), mourns the souls of the dead, calms the souls of the victims, and inspires them. In other words, the rituals of the multi-layered soul will revitalize the affected areas and the people of the victims.That is why, after a disaster, the revival of the festival is desired above all in the disaster area.
著者
笹田 耕一 松本 行弘 前田 敦司 並木 美太郎
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.47, no.SIG2(PRO28), pp.57-73, 2006-02-15

本稿ではオブジェクト指向スクリプト言語Ruby を高速に実行するための処理系であるYARV: Yet Another RubyVM の実装と,これを評価した結果について述べる.Ruby はその利用のしやすさから世界的に広く利用されている.しかし,現在のRuby 処理系の実装は単純な構文木をたどるインタプリタであるため,その実行速度は遅い.これを解決するためにいくつかの命令実行型仮想マシンが提案・開発されているが,Ruby のサブセットしか実行できない,実行速度が十分ではないなどの問題があった.この問題を解決するため,筆者はRuby プログラムを高速に実行するための処理系であるYARV を開発している.YARV はスタックマシンとして実装し,効率良く実行させるための各種最適化手法を適用する.実装を効率的に行うため,比較的簡単なVM 生成系を作成した.本稿ではRuby の,処理系実装者から見た特徴を述べ,これを実装するための各種工夫,自動生成による実装方法について述べる.また,これらの高速化のための工夫がそれぞれどの程度性能向上に寄与したかについて評価する.
著者
前原 直子
出版者
中央大学経済研究所
雑誌
中央大学経済研究所年報 (ISSN:02859718)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.723-754, 2015-09-30

『国富論』のアダム・スミスによれば,教育の役割は,《相対的幸福》の実現に寄与することにある。人間各人が,人生の目標を富の増大=物質的利益の増大に見定め,「利己心」を発揮し「勤勉」に自己「努力」を図り自己の境遇を改善すれば,物質的に豊かな経済生活を実現できる。こうして《相対的幸福》の実現を目指し,「勤勉」に自己「努力」する人間が増えてゆくならば,イギリスは生活水準の高い経済社会を形成するのみならず,国家の税収を増やし,道路の整備や港湾の建設などの公共事業を通じて,一国の資本蓄積を進展せしめ,豊かな経済社会を実現できる。 『国富論』においてスミスは,資本蓄積論と分業論を展開することによって,社会における「教育」の重要性を主張した。その意味でスミスは,経済的利益の増大と教育とが密接に関連していることを主張する教育経済論を展開しているといえる。具体的には,スミスの主張は国民教育の導入と大学教育の改革に向けられた。 これに対し,『道徳感情論』における教育の役割は,《絶対的幸福》の実現に寄与することにあった。人間各人は,他者との比較による物質的利益の増大,すなわち《相対的幸福》を実現したのちは,「生活必需品」と「便益品」を獲得すること以上の利己心の作用を「自己抑制」し,「心の平穏」を保持しなければならない。『道徳感情論』における教育の役割は,人間各人に高い「共感」能力を育成し,「心の平穏」を保持することの重要性,すなわち《絶対的幸福》の重要性を認識させることにあった。 総じていえば,スミスにおいて教育の役割は,「共感」能力の向上によって人生の目標を発見し,「利己心」の発揮によって自分の理想とする自分を創造する力の涵養,そして必要以上の「利己心」を「自己抑制」する「徳」を培い,自分の「才能」=自己「能力」に見合った仕事を通じて社会に貢献してゆく力の涵養,という点にあった。
著者
前田 幸男
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.2_326-2_349, 2021 (Released:2022-12-15)
参考文献数
44

本稿の目的は、ある特定のヒトの繁栄のために他のヒトおよびヒト以外の種を犠牲にしている状況を受けて、ノン・ヒューマンからのシグナルを 「声」 という形で拾い上げていくことはいかにして可能かという問いに応答することにある。本稿はいかにしてデモクラシーの主体をヒトに限定せずに構想できるかという問いに応答するものでもある。これにより環境破壊の阻止という実質的結果も得ることを目指すことを意味する。本稿はまた、ヒトが生態系と地球全体に与え続けている負荷に対して、気候危機や新型コロナ危機などのノン・ヒューマンから人類に挑戦が仕掛けられているという問題構成に立脚して議論を行っている。 そのためにまず第1節と第2節で自由民主主義体制の限界地点を確認し、第3節でそれを超えようとする熟議民主主義、第4節で 「モノゴトの議会」 の議論を経由したアゴーン的デモクラシーに焦点をあてる。第5節で政治的主体のノン・ヒューマンへの適用の仕方についてジェーン・ベネットを参照しながら論じる。第6節でノン・ヒューマンの立憲主義的な新展開について論じ、最後に生命の豊饒さをデモクラシーの豊饒さとして反映させ、ヒトとノン・ヒューマンとの関係性を戦争から政治へ転換させていくための課題を挙げることで論を閉じる。
著者
前原 正美
出版者
中央大学経済研究所
雑誌
中央大学経済研究所年報 (ISSN:02859718)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.545-575, 2013-09-20

「人聞の幸福」=《相対的幸福》とは,他者や社会からより高い社会的賞賛=社会的是認を獲得するということであり,つまりは自分自身の存在価値の社会における他者と比較しての相対的優位性--富の大きさ,社会的地位や名声,能力や才能など--を獲得するプ ロセスのなかに自らの幸福を見いだす.という幸福のことである。「入聞の幸福」=《絶対的幸福》とは,現実の不完全な自分自身 =「良心」に従えない現実の自分自身から. 「良心」に従える完全な自分自身へと自分自身を創造してゆくことのなかに自らの幸福を見いだす.という幸福である。まさにそれは,スミスにとって真の意味での幸福であり,「良心」に従って自己を改善し.より完全なる自分を創造する.という意味で《絶対的幸福》 なのである。『道徳感情論』におけるスミスは. 「人間の幸福」 =《相対的幸福》論に加えて「人聞の幸福」論=《絶対的幸福》論を展開している。スミスの考えでは,最終的には「人間の幸福」は《絶対的幸福》を実現してゆ〈プロセスのなかにある。スミスは. 『国富論』において.資本蓄積の増進→富裕の全般化→高利潤・高賃金の実現→富の増大=物質的利益の増大→より高い社会的賞賛=社会的是認の獲得というプロセスのなかでの社会の全構成員の相対的地位の向上の実現可能性を資本蓄積論に基礎づけて論証したのだが,そうして万人が「人間の幸福」=《相対的幸福》の実現を目指し努力してゆけば.おのずと「見えざる手」を通じて万人が「人聞の幸福」=《絶対的幸福》の認識へと到達し 幸福の価値転換=意識転換を果たしてゆける機会を与えられてゆくであろう,と予想したのである。
著者
前田 壮志 大木 哲史 坂野 鋭
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J105-A, no.12, pp.175-178, 2022-12-01

耳認証系に対するオクルージョンの影響を,制御可能な変動を含まないデータベースに対して,画像処理的にオクルージョンを加えることで認証系に与える影響を調べた.オクルージョンとして,髪,イアフォン,イアリングを想定した人工的なオクルージョンを与えた認証実験を行ったところ,異なった画像記述子を用いた系であっても耳上部及び耳孔付近のオクルージョンの影響が最も大きいという事実が明らかになった.
著者
橋本 泰典 宮田 章正 大友 教暁 前田 朝平 松木 明知
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.176-178, 2001-07-20 (Released:2010-06-08)
参考文献数
9

51歳の女性が自殺目的にクロルプロマジン, フェノバルビタールなど8種類の薬物を服用後発見され, 本院に搬送された。来院時, 直腸温24℃で意識レベルはJCSで300, 瞳孔散大, 対光反射も消失していた。心電図上, 心室性頻拍と心室細動を繰り返した。ただちに気管挿管後, アドレナリン投与, 15回の電気ショックで除細動を行い成功した。復温を開始し, 中枢温が30℃に回復した頃から呼名開眼, 対光反射を認めた。搬入12時間後には体温も37℃に回復し, 脳波も正常となり抜管した。神経学的に後遺症を残さず回復した理由として, クロルプロマジンなどの神経節遮断薬と睡眠薬を大量に服用していたため, 低体温麻酔と同様の状態になっていたことが関与したと考えられた。
著者
山口 武志 影山 和也 中原 忠男 岡崎 正和 前田 一誠
出版者
全国数学教育学会
雑誌
数学教育学研究 : 全国数学教育学会誌 (ISSN:13412620)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.1-20, 2017-01-27 (Released:2019-01-17)
参考文献数
20

It is still very difficult for children to understand the meaning of division although various efforts for the improvement of teaching division have been implemented. Therefore overall researches which both capture difficulties and misconceptions of various kinds of division systematically and propose better way of teaching and learning of it to overcome them are required. From this perspective, as the first step of our research, we developed six sets of test of division, for fifth and sixth graders in the elementary school and first graders in the junior high school, which could reveal difficulties of understanding the meaning of division systematically. In six sets of test, various factors of story problems of division which will be expected to affect the percentage of correct answers, such as effect of the order or value of the dividend and the divisor, effect of figures, number lines, word expressions, key words and so on, were taken into account. It is the main reason for us to develop new tests why most of previous test or studies of division only focused on specific grade or specific kind of division such as division with fractions which children have difficulties. We conducted the longitudinal and cross-sectional survey with six tests for children at both elementary schools and junior high schools located in three prefectures: Okayama, Hiroshima and Kagoshima. This article reported results of children’s performance of solving problems of “partitive division and the extension of its meaning”, and analyzed children’s difficulties and misconceptions of them in terms of various factors of story problems of division.
著者
松崎 太郎 前薗 大聖 山中 千博
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-05-11

大地震の先行現象として、地震発生の直前約40~50分前に震源上空の電離圏において総電子数(TEC)の異常が発生していることが、1994年から2017年までのM8を超える11以上の地震で報告されている(Heki, 2011)。一般にTEC異常は、磁気嵐や大規模伝搬性電離圏擾乱(LSTID)など太陽活動を起源としていることが多く、このほか大気重力波などの高層大気の力学的影響があることが知られている。しかし、地震の直前に見られるTEC異常は、震源上空に固定される局所的なもので、全地球的に影響を及ぼす宇宙起源のTEC異常やLSTIDとは区別することができる。さらに2011年に発生した東北沖太平洋地震では、震源の磁気共役点である北部オーストラリアで、同時にTEC異常が発生したことが確認されており(Heki, 2018)、これらの観測結果から一連の現象は、大気力学的なものというより、地震に先行する電磁気現象と考えられる。一つの仮説として、震央付近で臨界的な圧力が加わることによって、地殻中にマクロスケールな電気分極が発生し、分極による誘導電場と地球磁場によって電離層に影響を与えていることが考えられる。地殻中における圧力誘起分極として、ケイ酸塩鉱物中の過酸化架橋構造における正孔励起説(Freund, 2006)があり、地震前のTEC異常が観測される約40分の間、持続的に電荷を発生することができる点で注目されている。本研究では、応力印加による分極現象における正孔の移動・拡散による寄与を調べるために、極めて良い絶縁体である高純度のMgOセラミックスを用い、最大10MPaの一軸圧縮下で応力誘起電流値の変動を室温で計測した。結果として、ケイ酸塩鉱物と同様に、数ピコアンペア程度の応力誘起電流を観測できた。発表では、正孔移動の温度・吸水率依存性、および岩石データとの比較を行った上で、実験から得られた電流値を実際の地殻スケールで概算し、TECへの影響について議論する。
著者
渡邉 聡 前田 洋枝
雑誌
鈴鹿大学・鈴鹿大学短期大学部紀要 人文科学・社会科学編 = Journal of Suzuka University and Suzuka Junior College Humanities and Social Sciences (ISSN:24339180)
巻号頁・発行日
no.1, pp.129-142, 2018-03-15

本論文は、倫理的消費やソーシャルビジネスに参入する消費者ならびに生産者の行動動機と、それを支える経済・社会的メカニズム(「倫理的市場」と呼ぶ)を、経済学的に明らかにすることを目的としている。結果として、倫理的市場を形成するには、倫理的消費とソーシャルビジネスをつなぐプラットフォームの媒介的機能が必要であること、また、チャリティーショップを事例に、家庭におけるボランティアの参加が倫理的市場を形成する要因になることを示した。
著者
山口 さち子 井澤 修平 前谷津 文雄 圡井 司 引地 健生 藤田 秀樹 今井 信也 赤羽 学 王 瑞生
出版者
日本磁気共鳴医学会
雑誌
日本磁気共鳴医学会雑誌 (ISSN:09149457)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.103-119, 2018 (Released:2018-12-10)
参考文献数
27

In this study, we surveyed policies on allocating MRI scan duties to pregnant employees, and investigated the respondents' level of awareness of non-ionizing radiation. We sent 5763 questionnaires to facilities equipped with MRI devices in Japan (the corresponding respondent was a member of the personnel responsible for MRI scan duties). The questionnaire comprised: 1) Basic information; 2) General questions about the employees' pregnancies (e.g., whether the hospital has a particular policy); 3) The policy on MRI scan duties while pregnant and alternative duties ; and 4) Level of awareness of non-ionizing radiation in general. The results revealed inconsistent handling within Japan. Answers stating that ``increase the opportunity of allocation to MRI scan duties compared with the current situation'' accounted for 7.6%, ``maintaining the current frequency of allocation to MRI scan duties'' for 32.3%, and ``reduce the opportunity of allocation to MRI scan duties compared with current situation'' for 52.6%. Around half of facilities prepared work options (e.g. access restriction into MRI scan room or assign extra staff to MRI scan duties) in MRI scan duties during pregnancy. In an attitude survey for non-ionizing radiation emitted by medical devices, respondents showed higher attention compared with that for the radiation emitted by home electronic devices. This report describes a summary of the survey. Further analysis is in progress and will be reported soon.