著者
宮前 翔一 池田 朋弘 橋田 規子
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第66回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.524, 2019 (Released:2019-06-27)

プラモデルに施される加工によって生まれる感性的な効果を調査することで、プラモデルのより良い表現方法を探る。また、架空のロボットの「らしさ」を解明することを目的とする。それぞれ表面加工が違うプラモデル(ガンプラ)を5点用意し、それぞれの加工の全体的な印象について感性評価を行なった。次に新たに2点用意し、それぞれに対し加工の全体的な印象、部分的な印象について感性評価を行なった。
著者
宮前 光宏 望月 聡
出版者
日本応用心理学会
雑誌
応用心理学研究 (ISSN:03874605)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.12-20, 2018-07-31 (Released:2019-08-15)
参考文献数
31

While impaired attentional disengagement from threatening stimuli is thought to enhance anxiety, there are few studies focusing on this attentional bias in social anxiety. We used the gap task and overlap task to reveal the impaired attentional disengagement from threatening stimuli (angry and disgust faces) in socially anxious undergraduates. High (n=17) and low (n=13) socially anxious participants were asked to fixate on an emotional face (angry, disgust, or happy) or neutral face presented at the center of a screen, and discriminate the peripheral target stimulus. In the gap task, the face switched off and target appeared after the gap period. In the overlap task, the face was still on when the target stimulus appeared. The reaction times for angry faces in high socially anxious participants, compared with in low socially anxious, were longer than those for neutral faces after presentation times of 1000 ms in the overlap task. The results suggest that socially anxious people may have difficulty in disengagement from a socially threatening stimulus, and this occurs in the late part of information processing.
著者
前田 裕昭 川口 佳久 安田 明生
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
宇宙技術 (ISSN:13473832)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.31-35, 2007 (Released:2007-09-27)
参考文献数
5

準天頂衛星測位システム(以下QZSSと呼ぶ)では,地上軌跡が東経135度を中心とし8の字を描く軌道(以下QZOと呼ぶ)に衛星(以下準天頂衛星,あるいは,QZSと呼ぶ)を軌道上に打ち上げて,日本を中心とした東アジアやオセアニアに測位サービスを提供する. しかし,軌道は,地球質点重力以外に,Zonal項やNon Zonal項等の非球対称地球重力項の影響や,太陽や月の重力,太陽輻射圧の影響を受ける. そのため,それぞれの影響の大きさがどの程度であって,どれだけの期間でそれらを補正する必要があるか,またその補正に必要な速度増分量がどれくらいかの把握は,QZSS及びQZSの研究開発において主要な課題の一つであった. この研究課題については,既に幾つかの検討がなされているが,いずれも断片的であったり,視点が異なる. 今回我々は,主に,軌道傾斜角=45deg,離心率=0.099,近地点引数=270deg,及び,地上軌跡の中心を東経135deg(これは昇交点経度=146.5degに相当する)とする軌道が受ける摂動を解析し,その特性を評価した. 2.では,Zonal項について,2体問題と対比させて述べる.Zonal項は,主として昇交点赤経,近地点引数,平均近点離角,及び昇交点赤経と平均近点離角の変動に起因して昇交点経度に影響を与える. これらZonal項による昇交点赤経,近地点引数,平均近点離角の変動は,永年摂動項としてよく知られている. ここでは,永年摂動項に関しては,軌道長半径の調整により,昇交点経度がほぼ変動しないようにすることができることを示す. 3.では,地上軌跡変動に主要な影響を与えるNon Zonal項についてその影響が経度に依存することを示す. Non Zonal項は地球の経度に関係するものであって,主として軌道長半径に影響を与え,その影響の様子は静止衛星に対するものと似ている. 適切な頻度での東西制御が必要である. 4.では太陽輻射圧の影響,太陽と月の重力の影響を,昇交点赤経ごとに評価した. 5.では研究・考察の検討をまとめて,むすびとした.まとめとしては,次のようになる.すなわち,まず,永年摂動項による昇交点経度の変動は,軌道長半径の調整により,変動しないようにすることができる.地上軌跡の東西方向の変動は,その軌道保持運用間隔Pを半年とすると,その時の軌道長半径の毎回の制御量は15kmであり,昇交点経度の変動は4.5deg以内である.10年間の軌道傾斜角の変動幅は最大で7deg程度であり,QZSSのサービス仕様次第では,その変動幅が許容して放置することもできることを示唆した. 同様に,これもQZSSサービス仕様によるが,仮に初期の昇交点赤経が135deg~270degであれば,近地点引数でさえもその変動幅は20deg以下であるので放置が可能である. なお,離心率の変動は大きいため,軌道保持運用間隔に実施する軌道長半径の毎回の制御と併せて,保持制御されることが望ましいことも分かった.
著者
永井 康雄 藤原 雅俊 多田村 克己 秦 学英 中前 栄八郎
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.45-56, 2006-06-20 (Released:2008-04-11)
参考文献数
37

本論文は, 自然光環境下で使用する屋外移動体, 例えば車等の比較的小さい工業製品のデザイナーへの支援システムとして, 臨機応変に現場撮影可能な可搬性に富んだ2種類のパンビデオシーケンス撮影技法と, この背景パンビデオシーケンスを活用し, 設計段階でデザイナーが気軽にCGモデルを試行錯誤できる幾何学的・光学的に均整のとれた2種類の合成法を提案する. (1) 背景パンビデオシーケンスに移動体を同期させる方法であり, デザイナーは合成のためのスキルを必要としない. (2) 移動物体に背景パンビデオシーケンスを同期させる方法であり, デザイナーは移動体の軌道・速度を自由に設定できる.先ず開発の本題の背景を記述し, 背景パンビデオシーケンスの撮影手法, カラーデザインのための天空輝度分布取得法, 移動体に背景パンビデオシーケンスを同期させるための再編集法, CGモデルと背景パンビデオシーケンスの合成法を提案し, 適用例を挙げてその有用性を示す.
著者
前野 輝 岡田 稔 鳥脇 純一郎
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.168-177, 2004 (Released:2008-07-30)
参考文献数
18
被引用文献数
2 3

CG制作における形状モデリング過程では三面図は点や直線を仮想空間に数値的に正確に配置するための最もポピュラーかつ重要な道具であるが,これを利用して仮想物体の形状変形を行うためには特殊な技術と知識を必要とする.既に筆者らは形状創成過程におけるデザイナの初期発想支援を目的とする,形状関数を用いた双三次ベジエ曲面の直観的形状変形方式を提案している.本論文では,この方式とつまみ判定機能を用いた会話型モデリングシステムの一構成法を示す.本システムでは,データグローブと三次元位置センサを用いてユーザの手の動きを入力し,つまみ判定機能を取り入れることによりユーザの意志が反映されるようなシステムを実現している.本システムのプロトタイプを実装し,いくつかの実験により実際に手で押したり引っ張ったりするような感覚で変形操作を行えることが確認された.
著者
丹羽 利充 小沢 裕子 前田 憲志 柴田 昌雄
出版者
社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析療法学会雑誌 (ISSN:09115889)
巻号頁・発行日
vol.21, no.10, pp.951-956, 1988-10-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
18
被引用文献数
1

慢性血液透析患者血液中に蛋白結合して著明に増加しているインドキシル硫酸の高速液体クロマトグラフィー (HPLC) を用いた簡便な定量法の確立を試みた. 血清10μlをinternal-surface reversed-phase (ISRP) カラムを装着したHPLCにより分析した. 溶出ピークを乾固後, 二次イオンマススペクトロメトリー (SIMS) により測定したところ, 分子量が213と分かり, また, UVスペクトル, HPLCの保持時間もインドキシル硫酸と一致した. 蛋白結合型インドキシル硫酸の血清濃度を, 血清の除蛋白を必要とせずにHPLCにより短時間に容易に測定することが可能となった.透析患者80名の透析前および透析後の総インドキシル硫酸および遊離型インドキシル硫酸の血清中濃度をISRP-HPLCにより測定し, 各臨床検査値との相関関係を検討した. 透析前総インドキシル硫酸は平均32.6μg/mlと正常者の平均0.50μg/mlに比較して著明に増加していた. 透析後のインドキシル硫酸は平均25.7μg/mlであった. 透析前のインドキシル硫酸濃度は透析年数, 透析前血清クレアチニン, β2-ミクログロブリン濃度と弱いが有意に正相関した. インドキシル硫酸の蛋白 (アルブミン) 結合率は透析前89%, 透析後84%であった.インドキシル硫酸の薬物-アルブミン結合への阻害作用を平衡透析法により検討した. インドキシル硫酸はサリチル酸のアルブミン結合を用量依存性に阻害した. また, 透析患者の血清中にアルブミンと結合して著明に増加している3-carboxy-4-methyl-5-propyl-2-furanpropionic acidはインドキシル硫酸のアルブミン結合を用量依存性に抑制した.インドキシル硫酸は血中では大部分がアルブミンと結合しており血液透析により除去されにくく, 透析患者の血清中に薬物結合阻害因子として著明に蓄積していた.
著者
原 裕太 淺野 悟史 西前 出
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.90, no.4, pp.363-375, 2017-07-01 (Released:2022-03-02)
参考文献数
28

中国の条件不利地域農村では環境保全と住民生活の改善の両立を目標に,耕地の緑化,実施者への有期の食糧・現金支給,農業の構造調整が実施されている(退耕還林).黄土高原ではこれまで行政村を単位とした郷鎮スケールの空間的な現状や問題点の検証は行われていなかったため,退耕還林による成果が均一に波及していない場所の特徴把握や,要因の推定,効率的な対処等が困難であった.本稿では,陝西省呉起県の一地域を事例に,各種社会経済データを用いたクラスタ分析を行った.行政村の空間立地に着目することで,河岸地域の経済的優位性が見出され,その要因として,現地での土地利用調査からトウモロコシ栽培やビニルハウスの導入などが推察された.一方で丘陵奥地の行政村では退耕還林による農業の構造調整後も,低い平均収入や高い生活保護世帯率などが課題として存在していた.
著者
前田 洋介
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.90, no.1, pp.1-24, 2017-01-01 (Released:2022-03-02)
参考文献数
53

従来,日本の「地域」は町内会などの地縁組織を中心に編成されていた.しかし,今日では,ボランタリー組織など,地縁組織とは地理的・社会的に特徴を異にする新たな組織もまた,「地域」を構成するようになっている.本稿は,名古屋市緑区で活動する災害ボランティア団体を事例に,活動の展開の詳述を通じ,ボランタリー組織が地縁組織を中心とした既存の「地域」にどのように織り重なっていくのか検討した.同団体は設立当初,「地域」と接点を有していなかったが,公的機関とスムーズに連携できたことや,さまざまな動機で集まったメンバーのネットワークにより,地縁組織やほかのボランタリー組織と接点を築きながら,「地域」での防災活動の場を増やしていった.同団体の活動は,既存の「地域」を補完する一方で,既存の「地域」を前提としながら,地縁を越えたネットワークによる新たな「地域」の担い方を実践していると特徴づけられる.
著者
前田 泰樹
出版者
日本保健医療社会学会
雑誌
保健医療社会学論集 (ISSN:13430203)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.12-20, 2019-07-31 (Released:2020-07-31)
参考文献数
35

本論の目的は、保健医療社会学におけるエスノメソドロジー・会話分析(EMCA)の特徴を明らかにすることにある。社会学的研究においては、日常的な概念連関について考察する必要がある。その中で、EMCAは、事例がそもそもどのようにそれとして理解可能なのかに着目し、概念使用の実践そのものを明らかにしようとする考え方である。こうした試みは、実践の参加者たちの問いを引き受けながら行われてきた。本論では、「急性期病院における協働実践についてのワークの研究」と「遺伝学的知識と病いの語りに関する概念分析的研究」の2つのプロジェクトを事例として、対象領域とのハイブリッド・スタディーズとしての性格を持つEMCAの方針を明らかにする。
著者
前田 健一 國枝 克行 河合 雅彦 長尾 成敏 田中 千弘 種田 靖久 岩田 仁
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.73, no.11, pp.2869-2873, 2012 (Released:2013-05-25)
参考文献数
10

症例は46歳,女性.全身倦怠感を主訴に前医を受診し,Hb 5.4g/dlと貧血を指摘され,精査加療目的に当院紹介となった.腹部症状は特に認めなかった.造影CTにて,十二指腸内腔に40mm大の腫瘤を認め,上部消化管内視鏡検査にて,十二指腸球部より発生し,先端は十二指腸下行脚に及ぶ有茎性腫瘍を認めた.Brunner腺過形成・過誤腫・腺腫,脂肪腫などが疑われた.大きさより内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection;以下EMRと略記)は困難と判断され,手術施行となった.手術は十二指腸球部から下行脚に切開を加え,腫瘍の基部で結紮切除した.病理組織学的検査でBrunner腺過誤腫と診断された.Brunner腺過誤腫はまれな疾患であるが,上部消化管出血の原因として考慮すべきである.