著者
宇津野 伸二 山路 徹 与那嶺 一秀 審良 善和 小林 浩之 渡部 要一 吉田 倫夫 前薗 優一 川瀬 義行 松本 茂
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造) (ISSN:21856567)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.220-238, 2017 (Released:2017-06-20)
参考文献数
13
被引用文献数
1

本報では,海水中から海底土中部に設置された港湾鋼構造物の流入電流および電位を連続測定し,海底土中部の電気防食特性について検討を行った.海底土中部では海底面からの深度が深くなるにつれ防食管理電位に達するまでの期間が延びるものの,電気防食によって十分な防食効果が得られることが確認された.さらに,海底土中部の電気防食メカニズムを検証した結果,微弱でも防食電流を供給することにより,現在の設計で想定されている防食電流以下であっても防食効果は得られると考えられた.また,海底土中部の土壌抵抗が防食電流の供給に影響を及ぼすことを確認し,有限要素法を用いた電位・電流密度分布解析により,土壌抵抗率を考慮した電気防食設計手法を検討した.
著者
仁木 一順 澤田 珠稀 多田 耕三 西田 明代 土肥 甲二 光在 隆 奥田 八重子 森川 幸次 前 武彦 黒木 光代 高岡 由美 松岡 太郎 芦田 康宏 上田 幹子
雑誌
日本薬学会第140年会(京都)
巻号頁・発行日
2020-02-01

【背景・目的】超高齢化が進む現在、個々が主体的に健康の維持増進に取り組むことができる仕組みが求められる一方で、自らの健康について気軽に相談できる場の不足や、SNSなどの普及に伴う信憑性に欠ける健康情報の氾濫などの課題がある。そこで我々は、豊中市、豊中市薬剤師会と連携し、健康サポート拠点として薬局が発信する情報が地域の健康維持・増進に貢献できるのかを明らかにすることを目的とした産官学共同研究を2019年9月より実施している。今回は本研究を紹介するとともに、開始数か月間の経過を報告する。【方法】豊中市の7圏域それぞれ1件の薬局にデジタルサイネージ(DS)を設置し、市や薬剤師会からの健康情報を配信する環境を整備した。配信情報として、健診、予防接種など、薬局から関係機関へとつなぎ、疾病の重症化予防に貢献しうると考えられるものを中心に12カテゴリーを準備した。また、各薬局でタブレットを用い、配信した情報の有用性に関する5件法(そう思う~そう思わない)での14問のアンケートを実施するとともに、タッチ対応DSを使用することで薬局利用者が閲覧した情報履歴を収集し、解析した。【結果・考察】アンケート回答数は延べ339件であり、タッチによるDSの情報へのアクセス数は延べ13980回であった(11月15日現在)。「この情報が役に立ったと思いますか」、「今後も健康情報が欲しいと思いますか」と問いに対し、[そう思う・どちらかというとそう思う]の回答者は、それぞれ302名(89.1%)、311名(91.7%)であった。以上のことから、DSにより薬局が発信する健康情報が薬局利用者にとって有用となる可能性が示唆された。今後は、配信した情報による利用者の行動変容や市が集計する客観的指標なども評価し、薬局を拠点とした情報発信が地域の健康増進に貢献できるのかを検証していく。
著者
林田 紀和 前田 涼子 滝沢 義光 宮本 治子
出版者
社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析療法学会雑誌 (ISSN:09115889)
巻号頁・発行日
vol.25, no.11, pp.1247-1250, 1992-11-28 (Released:2010-03-16)

透析患者にとって, 便秘は隠された深刻な悩みの1つであり, 下剤を常用している患者は多い. 痔疾患は便秘が主因でくるために, 透析患者に多い合併症と思われるが, 今まで痔疾患についての報告は皆無であり, 当院での透析患者の痔疾患手術9例について検討した. 9例中男性5例, 女性4例であり, 内痔核8例, 痔瘻1例であった. 当院のこの2年間での健常者の痔疾患手術例は542例で, 63%は内痔核, 23%は痔瘻, 14%は裂肛であった. 従って透析患者では貧血や免疫能が低下しているに拘わらず, 予想に反して, 裂肛と痔瘻が少なくそめ考察を加えた. また手術例は透析導入後短期間であり, 痔疾の病悩期間はいずれも透析導入かなり以前より有し, 導入により増悪し易いが, 意外にも, 透析導入時に痔疾患がなければ, 便秘が頑固であっても, 痔疾患には罹患しづらいと思われる.
著者
備前 由紀子 佐々木 久長 BIZEN Yukiko SASAKI Hisanaga
出版者
秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻
雑誌
秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻紀要 (ISSN:18840167)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.53-65, 2016-03-31

本研究は, 高齢者の希死念慮とレジリエンスの関連を明らかにし, 高齢者の自殺予防のあり方を検討することを目的とした.秋田県A市の60歳以上の住民954人を対象とし, 健康推進員に調査対象への調査票配布を依頼した. 回収は対象者から直接郵送法とした. 調査内容は二次元レジリエンス要因尺度, 過去(最近1ヶ月間を除く) と最近1ヶ月間のそれぞれの希死念慮の有無, 抑うつ度(K6), 情緒的サポートである.その結果, 希死念慮の有無による二次元レジリエンス要因尺度得点の比較では, 過去あり群と最近あり群のそれぞれにおいて, 「資質的レジリエンス要因」の4つの下位因子全てとその合計点, 「獲得的レジリエンス要因」の下位因子「問題解決思考」「自己理解」とその合計点で過去なし群と最近なし群が有意に高かった. 過去と最近の希死念慮の有無をクロス集計したところ, 過去あり群の60.7%が最近あり群であり, 過去なし群の99.4%が最近なし群であった. 過去に希死念慮を抱いた人は再び抱きやすく, 過去に希死念慮を抱いたことのない人は, その後も抱くことがほとんどない傾向にあった.これらの結果から, 高齢者に対してレジリエンスに注目した自殺予防対策の可能性があること, 過去に希死念慮があった人を対象に自殺予防対策を行うことが効果的であることが示唆された.
著者
前田 昌也 佐藤 文夫
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.297-302, 2017-05-20 (Released:2017-06-20)
参考文献数
12

軽種馬の育成調教や競走成績に影響を及ぼす発育期整形外科的疾患(DOD)を回顧的に明らかにすることを目的に,国内の軽種馬生産牧場に対して,育成期全般に罹患したDODを含むすべての疾病について聞き取り調査を実施した.その結果,DODとして,腰痿,近位部関節の離断性骨軟骨症,骨端炎,肢軸異常,屈曲異常及び軟骨下骨囊胞があげられた.競走馬登録された個体の中で,種子骨炎,腱炎,外科手術を要する疝痛を罹患した個体は,病歴があげられなかった個体と比較して,初出走の時期が有意に遅延していた.一方で,購入前検査で発生率が高い遠位部関節の骨病変については競走への影響を訴える回答は得られず,深刻な症状を呈していない例が多いと考えられた.
著者
中川 裕美 前田 泰宏 久保 真人
出版者
日本マインドフルネス学会
雑誌
マインドフルネス研究 (ISSN:24360651)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.4-14, 2020 (Released:2022-02-22)
参考文献数
21

本研究の目的は,うつ病等の休職者を対象としたリワーク・プログラムにおいてマインドフルネス認知療法(MBCT)をベースとした「マインドフルネス講座」を実施し,その有効性とワーク・ライフ・バランスへの影響について検討することであった。マインドフルネス講座は,1回につき2時間の集団によるプログラムを計3回により構成した。本研究の参加者は17名であり,無作為に介入群(9名)と待機群(8名)に割当てて有効性の検討を行った。その結果,セルフ・コンパッションのポジティブ因子が向上し,身体的症状が軽減され,ワーク・ライフ・バランスの家庭の重要度が増した一方で,仕事への労力度が低下することが示された。また,各回における感想から,マインドフルネスの体験が参加者にもたらした変化について検討し,復職支援におけるマインドフルネスの意義と今後の課題について考察した。
著者
村上 美華 前田 ひとみ
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.1_133-1_139, 2010-04-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
26

本研究の目的は,新人看護師の職業性ストレスを測定する尺度を開発することである。まず,2006年1月と2007年1月に就職後10 ヶ月目の新人看護師を対象に尺度原案を作成するための調査を行った。文章完成法により得られた記述を内容分析し,23項目5件法の質問紙を作成した。次に,3県の施設に勤務する新人看護師383名を対象に,就職後6~7ヶ月目である2007年9月~ 10月に質問紙調査を行い,尺度項目の選定とCES-D及びSEとの相関から信頼性と妥当性を検討した。因子分析の結果, 16項目3因子が精選され,『職場環境』『看護実践』『自己成長』と命名した。尺度全体のCronbach’s α係数は0.860であり,抑うつ自己評価尺度とは正の相関,自尊感情尺度とは負の相関が認められた。以上の結果から,本尺度の信頼性と妥当性は概ね確保されており,実用可能な尺度であると判断できる。
著者
南郷 大輔 関塚 大 五島 誠 越前 宏俊
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.142, no.4, pp.341-344, 2022-04-01 (Released:2022-04-01)
参考文献数
15

Nowadays, medical big data has been developed and made available in a variety of fields such as epidemiology and pharmacovigilance. Spontaneous reporting databases are one category of medical big data and that has been adequate for analysing events related to side effects that rarely occur in general practice. These data are freely available in several countries. In Japan, the Pharmaceuticals and Medical Devices Agency has developed the Japanese Adverse Drug Event Report (JADER), and the Food and Drug Administration (FDA) developed the FDA Adverse Events Reporting System (FAERS) in the United States. Since the release of these medical big data, many researchers in academic and research setting have accessed them, but it is still difficult for many medical professionals to analyse these data due to costs and operation of requisite statistical software. In this section, we give some tips to study spontaneous reporting databases resulting from our learning experiences.
著者
森谷 美穂 橋本 璃乃 前田 桜 松木 亨 関 健二郎
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学会年会要旨集 第93回日本薬理学会年会 (ISSN:24354953)
巻号頁・発行日
pp.3-P-293, 2020 (Released:2020-03-18)

Re-experiencing trauma by overgeneralization is a hallmark of PTSD which is high comorbidity with depression. We thus studied the relation from overgeneralization to depression. Mice were subjected to context A with electric shock as a conditioning which was followed by unconditioned context B using a different, but similar box in 3h on Day1 and was followed by re-exposure to context A (Group ABA) or B (Group ABB) on Day2. Group ABA and ABB mice exhibited the longer freezing in context A and B on Day2. However, the mice which was not exposed to context B on Day1 (Group A-B) showed the shorter freezing time in context B on Day2, indicating that the overgeneralization was induced by experiencing the context B after the conditioning in 3 h. Group ABB mice exhibited the longer immobility time of tail suspension test (TST) than Group ABA and A-B. Freezing time in the first half of the test in context B and immobility time of TST in Group ABB were negatively correlated with the staying time of center zone in the box during the context B on Day1. In contrast, the freezing and immobility time of TST in Group ABA have positive correlation with the time of center zone during context B on Day1. These results suggest that the PTSD and depression may depend on the coping style during unconditioned context within a few hours after the trauma.
著者
前川 佳一 椙山 泰生 姜 聖淑 八巻 惠子
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.21-36, 2009-06-20 (Released:2022-08-20)
参考文献数
42

本論文では,富士通のフィールドワークの事業化の事例をもとに,サービス分野のイノベーションにおいてフィールドワークのような定性的な社会科学的方法が持つ意味を検討する.事例の考察から,フィールドワークが研究の形態から変容してサービス化することや,定性的研究法が技術者のコミュニティに受容される際に「比較可能化」されていくことを指摘する.
著者
前川 美行
出版者
東洋英和女学院大学心理相談室
雑誌
東洋英和女学院大学心理相談室紀要 = Toyo Eiwa University Journal of Clinical Psychology
巻号頁・発行日
vol.16, pp.62-72, 2012

①文献記載の加筆 ②不鮮明な表を削除し、図の説明を加筆 ③その他、誤字脱字修正のためPDF差し替え(2016年7月21日)
著者
汪前進 劉若芳整理
出版者
外文出版社
巻号頁・発行日
2007
著者
吉永 亮 前田 ひろみ 土倉 潤一郎 井上 博喜 矢野 博美 犬塚 央 木村 豪雄 山方 勇次 田原 英一
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.383-389, 2016 (Released:2017-03-24)
参考文献数
15
被引用文献数
2

蜂刺症とムカデ咬症に対して,受傷直後から黄連解毒湯エキスと茵蔯五苓散エキスを中心とした漢方治療を併用し,翌日には著明に改善した5例を報告する。症例1は70歳男性,30分前に左手背をスズメバチに刺されて受診した。症例2は43歳男性,20分前に左顔面をスズメバチに刺され受診した。症例3は55歳男性,10分前に左下腿をスズメバチに刺され受診した。症例4は39歳男性,60分前に右大腿をスズメバチに刺され受診した。症例5は35歳男性,20分前に右第1趾をムカデに咬まれて受診した。5例とも受診後直ちに漢方治療を開始し,以後,数時間おきに間隔を詰めて治療を継続したところ,翌日には疼痛と皮膚の紅斑と腫脹が改善した。蜂刺症,ムカデ咬症に対して漢方治療を行うことで速やかな治癒に貢献できる。
著者
平野 徹 岩崎 勝郎 鈴木 良平 浅田 和英 門前 芳夫
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.884-887, 1988-10-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
8

The results of marginal excision and irradiation (3, 000-5, 000cGy) in 9 patients with liposarcoma of soft tissue were analyzed to determine the effectiveness of radiation therapy. Only one out of 9 patients, who received 3000cGy, developed a local recurrence at 3 years and 3 months after surgery. The 5-year actuarial local control rate was 84.7%, which was similar to that by radical and/or curative wide resection in soft tissue sarcomas. In addition, histological examination disclosed that a liposarcoma with preoperative radiation fell into almost necrosis.It suggests that the combination of conservative surgery and radiation therapy in the treatment of liposarcomas is of use to maintain a functional limb.
著者
松前 重義 篠原 登
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電氣學會雜誌 (ISSN:00202878)
巻号頁・発行日
vol.53, no.544, pp.978-986, 1933-11-10 (Released:2008-11-20)
参考文献数
6

長距離通信網としての無裝荷ケーブルと裝荷ケーブルとの經濟比較を行つたものであつて,無裝荷ケーブルは裝荷ケーブルに比し建設費及び維持費共に經濟的となる事を述べてゐる。更に通信施設に對する經濟比較の基準を説明し社會的意義より見るも無裝荷ケーブルは最も優秀なる通信回線方式である事を述べてゐる。