- 著者
-
加藤 司
- 出版者
- 日本教育心理学会
- 雑誌
- 教育心理学研究 (ISSN:00215015)
- 巻号頁・発行日
- vol.48, no.2, pp.225-234, 2000-06
本研究の目的は, 友人関係を起因としたストレスフルなイベント, すなわち, 対人ストレスイベントに対するコーピングの個人差を測定する対人ストレスコーピング尺度(Interpersonal Stress-Coping Inventory;ISI)を作成し, その信頼性と妥当性を検証することである。因子分析の結果から, ISI(34項目)はポジティブ関係コーピング(16項目), ネガティブ関係コーピング(10項目), 解決先送りコーピング(8項目)の3つの下位尺度から構成されていることがわかった。信頼性に関しては, 内的整合性がα=.79-.87, 再検査法による信頼性係数がγ=.86-.92であった。妥当性に関しては, 内容的妥当性, 及びラザルス式ストレス・コーピング・インベントリー、尾関のストレス反応尺度, 抑うつ傾向を測定するCES-D, 友人関係に関する満足感との比較による構成概念妥当性の検証がなされた。その結果, 妥当性に関して幾つかの課題が残るものの, ISIの信頼性と妥当性を確認することができた。