- 著者
-
伊豆 裕一
加藤 健郎
佐藤 浩一郎
松岡 由幸
- 出版者
- 日本デザイン学会
- 雑誌
- デザイン学研究 (ISSN:09108173)
- 巻号頁・発行日
- vol.64, no.2, pp.2_55-2_64, 2017-09-30 (Released:2017-12-22)
- 参考文献数
- 19
多くのデザイナーはデザイン案の発想にスケッチを活用する.一方,デザインの造形教育において,対象物を観察し表現するデッサンが重視される.両者の目的は異なるものの,透視図法や陰影法など,使用される表現スキルには共通点も見られる. 本研究は,デッサンとスケッチの描画スキルと描画過程を比較することにより,両者の関係について知見を得ることを目的とした.まず,10 名の対象者のデッサンとスケッチを描画スキルにより評価し分類した結果,対象者はデッサンスキル高,スケッチスキル高,およびその他の3つのグループに分けられた.つぎに,各グループのデッサンとスケッチの描画過程を分析し比較した結果,線や陰影と言った要素の描写時間や描画手順にグループによる違いが確認された.以上について分析した結果,デッサンとスケッチの描画には,表現スキルに加えて立体形状の認識方法の違いが影響することが示唆された.